身体障害者用ケアホームに JKAの支援で介護用リフトを導入

ココにも発見
競輪補助事業社会貢献レポート
どっぽ
社会福祉法人 独歩(独歩ケアホーム宝来)
身体障害者用ケアホームに
JKAの支援で介護用リフトを導入
話を伺った施設長・串田哲也氏。
「介
護のさまざまな場面でリフトが大活
躍しています」
普段からリフトを使ってい
る、ホームの利用者・浅
見和夫さん。「車イスの
乗り降りや入浴時に、安
心して体を任せることが
できます」とニッコリ。
脇と腿の下に通したベルトをフックに引っ掛けて昇
降ボタンを押すと、苦もなく体が持ち上がる。介
護者はもちろん、利用者にとっても負担が少ない。
トイレなどの際に使用する床走行
式リフト。狭いスペースでも小回
りが効いて便利。
居室と浴室の天井に設置した天井走行
リフト。利用者を持ち上げたまま、レー
ルをスライドできる。
社会福祉法人・独歩は昨年の4月、さいたま市では初めての身
導入したことで、スタッフからは、腰への負担が大幅に改善され
利用者の生活全般を支援している。
スの質の向上につながるという利点もあるようだ。
体障害者のためのグループホーム「独歩ケアホーム宝来」を開設し、
こぢんまりとしたアットホームな雰囲気のホームでは、身体に
重い障害のある人が自立した生活を送るためのサポートを行う。
現在は、長期にわたって居住するケアホームで6名、在宅介護の
人が利用するショートステイで1名の、最大7名の利用者が生活
している。実は、ホームで運用される福祉機器は、JKA の補助事
業 RING!RING! プロジェクトの補助金によって購入されたものだ。
このたび導入したのは、浴室と居室に設置した天井走行リフト
と、床走行式リフトの2種類、計4台。体を動かすことができな
い入居者の身体介助用として、トイレや入浴、ベッドから車椅子
へ移る際などに利用されている。
ホームの施設長・串田哲也氏は、次のように振り返る。
「リフトを設置するまでは、ひとりの利用者を介助するために男
性職員が二人がかりで行っていました。リフトの導入により、全
介助の利用者でも週3回入浴できるようになりました」
そもそも、ケアホーム開設のきっかけは、氏の父親でホームの
理事長でもある、串田由幸氏が不慮の事故で四肢麻痺の障害者と
なったことにさかのぼる。由幸氏は自身の苦しい体験を契機とし
て 14 年前、障害者向け移送サービスを行う NPO 法人を立ち上げ、
さらに4年前から訪問介護事業を開始。その後、社会福祉法人と
なり、このケアホームの開設にこぎつけた。
長年、父親の介護を経験してきた串田氏は、障害者への身体介
たと大好評。また、より安全に介助が行えるようになり、サービ
試しに記者もリフトに乗ってみたところ、不安感などは一切覚
えなかった。ベルトがしっかりと体を支えて、ゆっくりと昇降す
るので、安心して身を任せることができた。中には、これまでシャ
ワー浴や機械浴しか経験したことがなく、今回初めて普通の湯船
に浸かったという利用者もいた。職員だけでなく、利用者にとっ
ても介護用リフトの評判は上々のようだ。
「介護用リフトなしに、長期間の継続的な身体介護サービスを提
供するのは不可能です」と串田氏は断言する。働き手の不足が著
しい介護の現場では、こうした福祉機器を導入することで職員の
負担軽減に大きな役割を果たしている。
現在、身体障害者のためのグループホームは、そのニーズが高
いにもかかわらず、施設数が不足している。設備費用が高額であ
ること、圧倒的に人手が足りないことが、身体障害者向けグルー
プホームの普及を大きく阻んでいる。また、自治体ごとに福祉施
設への助成の仕組みが違うため、地域によっては新規参入が難し
いという問題もある。独歩では、身体障害者向けグループホーム
のモデルケースとなるべく、利用者と地域福祉に貢献する活動を
続けている。
私たちにとって、決して他人ごとではありえない社会問題の解
消のために、JKA の補助事業が大きな役割を担っている。
護の大変さを痛感したという。実際、離職率の高さが問題視され
ている介護の現場では、離職の原因のひとつとして、重労働によ
る腰痛は見過ごせない問題になっている。今回、介護用リフトを
は、地方自治体が施行する競輪の売上金の一部を財源に、
モノづくり、スポーツ、地域社会への貢献など、さまざまな分野の活動を支援しています。
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