(6)penalisation 原法 参考)眼科 MOOK №10P213∼P217(視能学 P445 とは違う) 両眼視機能を重視しながら弱視眼の視力改善をはかる光学的視能矯正であり不完全遮閉法である。本法は光学的方法と薬物(アトロピンの点眼、 縮瞳薬)の併合によるものである。 ○ペナリゼーションの原理・方法・利点 調節麻痺薬と凸レンズにより、健眼に不完全遮閉のペナルティーを与え、弱視眼の視力を増強させる方法である。 適応と利点 (1) 健眼遮閉が十分に実行できない、または健眼遮閉の不成功例 (2) 両眼視機能の獲得期にあるもの (3) 弱視の軽いもの (4) 聴覚障害などの重複障害を伴っているもの (5) 潜伏眼振、先天眼振があるもの (6) 試験など学校生活での不便さの高いもの。また遮閉治療を行っていることが外見的にわかると社会生活で困るもの (7) 遮閉弱視、斜視の危険性が少ない 例) 調節力 10D とする 弱視眼視力(0.15)以上∼(0.4)未満対象(近見で弱視眼使用) 健眼完全矯正と1%アトロピン点眼遮閉+弱視眼完全矯正に+3,0D負荷(視能矯正学 P376 は+1,5∼+4,0D) ①Near penalization AT点眼 網膜にピントの合う範囲 F.P=N.P ∞ 健 健 患 患 視力 (F.P) 3D F.P 健眼 角膜頂点前方 33cm∼7.7cm 弱視眼 +3.0D 10D 10D N.P ∞ 33cm ∞の 1 点のみ 調節力 0 散瞳 眼前 7.7cm 視力は近方から育つ! 遠近の視力を必ずチェックすること! 近見視力が弱視眼の方が勝っていないと 意味がない。 ②Far penalization 弱視眼視力(0.4)以上になったら(遠見で弱視眼使用) 健眼完全矯正に+3,0D負荷と1%アトロピン点遮閉+弱視眼完全矯正 +3.0D (F.P) 3D AT点眼 33cm のみ 調節力 0 散瞳 F.P=N.P ∞ 33cm 健 健 視力 両眼視 患 F.P 10D 健眼 10D の可能性 患 N.P ∞ 10cm ∞∼10cm 弱視眼 視能矯正学 ②´Complete(total) penalization ①②で効果がない又は 0.1 以下の場合(遠見・近見とも弱視眼使用) (全) 健眼完全矯正に−4,0∼5,0D(視能矯正学は−1,0∼2,0D)負荷と1%アトロピン点遮閉+弱視眼完全矯正 -4.0D F.P=N.P 4.0∼5.0D (F.P) ∞ 眼球後方 RV≒LV に なったら③へ AT点眼 健眼 なし 調節力 0 散瞳 健 健 患 患 視力 10D 10D F.P ∞∼10cm N.P ∞ 弱視眼 10cm ③Alternating penalization RV≒LV になったら(両眼を交代に使用) 遠方 Ⅰ健眼完全矯正+弱視眼完全矯正に+3,0D負荷(Near penalisation) 健>患 近方 健≒患 ∞∼10cm 健眼 33∼7.7cm 弱視眼 1 日交代で眼鏡装用 Ⅱ健眼完全矯正に+3,0D負荷+弱視眼完全矯正(Far penalisation) 健<患 健≒患 33∼7.7cm ∞∼10cm 健眼 弱視眼 視能学 ④Last stage (Slight) penalization 再発防止(健眼と弱視眼同時に使用) 健眼完全矯正に+1,0∼1,5D(視能矯正学は 2,0D)負荷+弱視眼完全矯正 (軽度) +1.0∼1.5D 10D (F.P) 1.0∼1.5D 10D F.P 健眼 N.P ∞ 100∼9cm 健 100∼67cm 健 視力 9∼8.7cm 健 両眼視の可能性 患 F.P 患 10D 患 N.P ∞ 10D ∞∼10cm 弱視眼 10cm その他輻輳過多の症例に対して 2重焦点眼鏡を使用する選択ペナリゼーション(selective penalisation)という のがある。 弱視の診断と治療 P80 より ○欠点 (1) 矯正視力 0.1 以下の例には無効であること。 (2) 健眼をペナリゼーションしてもレンズによる異常像感覚が残存するために不快感があり、その状態に耐えることは、低年齢では無理で、完 全遮閉法よりは精神的圧迫感が強いこと (3) 薬物を毎日使用することによるアレルギー性疾患に対する注意が必要であること (4) 重度の弱視には効果がない(斜視弱視には不十分)こと (5) 眼鏡のコストがかかりすぎること アイパッチができない場合 (7)アトロピン遮閉法 例)(7)(8) (両眼完全矯正)+健眼アトロピン遮閉(通常夜 1 回) 健眼→S±0D 弱視眼→S+5D とする 調節力 10D AT点眼 ∞の 1 点のみ 調節力 0 散瞳 F.P=N.P ∞ 健 健 健 患 患 患 健眼 視力 10D ∞∼10cm 10D F.P N.P ∞ アトロピン使用法 弱視眼 10cm 2 歳未満 0.25% 5 歳以下 0.5% 6 歳以上1% 可能なら近方視力チェックを! 不可能な場合、嫌悪反応や斜視なら固視交代を見ること! 近見で弱視眼使用していないと意味がない! Moore-Johnson 法については、調べても はっきりした記載がない。 (8)-1 Johnson 法 R 健眼1%アトロピン軟膏遮閉+弱視眼縮瞳剤(フォスフォリンアイオダイド○ )ヨウ化エコチオパート 留まる毒性強い AT軟膏 F.P=N.P ∞の 1 点のみ 調節力 0 散瞳 ∞ 健 視力 になっていることが重要 患 F.P 眼球後方 縮瞳剤 10D+α 10D+α 5.0D 健眼 N.P ∞∼20cm 以下 屈折の近視化 弱視眼 調節反応の増加 縮瞳による焦点深度大 ∞ 20cm 以下 (8)-2 Moore 法 健眼1%アトロピン点遮閉+弱視眼縮瞳剤(DFP)イソフルロフェート 毒性強い 上記に同じ (5)- (8)-3 Moore ‒Johnson−石川変法 R 両眼完全矯正+健眼1%アトロピン点遮閉+弱視眼縮瞳剤(1%ウブレチド○ )臭化ジスチグミン AT点眼 ∞の 1 点のみ 調節力 0 散瞳 F.P=N.P ∞ 健眼 健 視力 になっていることが重要 患 10D+α F.P ∞ 縮瞳剤 10D+α N.P 10cm 以下 ∞∼10cm 以下 屈折の近視化 調節反応の増加 縮瞳による焦点深度大 弱視眼 ○適応と利点 上記ペナリゼーションと同じ ○欠点と不適応者 (1)偏心固視を伴う弱視のある者 (2)弱視眼視力が0.1以下である者(健眼視力を0.1以下に下げることが困難) (3)アトロピン・縮瞳剤アレルギーのある者 光学的眼位矯正と不完全遮閉(斜視弱視がある場合) 膜プリズムによる方法 両眼完全矯正と健眼斜視量の膜プリズム遮閉 例) 左眼内斜視 とする Base out の膜プリズム F.P ∞ ①F (F) ① 健眼 健 視力 をねらう 患 上から見た図 F.P ② ∞ 斜視 ② F (F) 健眼 斜視眼 斜視眼 (6)(7)(8)まとめ 幼児の薬物による弱視治療例 参考)眼科Mook №10 P216 裸眼視力の左右差が 2 段階以上又は RV≒LV≦0.7 であるか? YES サイプレジン麻痺下の屈折検査を行う 矯正視力はいくらか? RV≒LV≧(0.8) 両眼弱視 通常の屈折異常 Penalization は現在 では殆どやらない。 あまりにも色々な面 で大変すぎる。 左右差 2 段階以上 RV≒LV≦(0.7) 片眼弱視 アトロピン麻痺下の屈折検査を行い完全矯正眼鏡を処方する 視力発達を待ち、眼鏡度数を約 6 ヶ月ごとに適正眼鏡に漸次変更してゆく 弱視眼の完全矯正視力はいくらか? アトロピン遮閉又は Moore-Johnson 変法を行う <6 ヶ月 眼振があっても可能であるな ら遮閉法にトライする場合も ある。 NO 0.1 以下 効果としては完全遮閉が ベストとは言われている。 詳細は(5)遮閉法参照。 矯正視力が向上したか? 又は 完全矯正眼鏡のみ装用する <6 ヶ月 NO RV≒LV になったか? YES 効果はあったか? NO 矯正視力が向上したか? (0.4)以上になったか? YES 又は 破線の方法は 不自然すぎる 方法な ので通 常用いない。 3∼6 ヶ月 NO NO Far Penalization 法を行う 完全矯正眼鏡と遮閉法を行う 6 ヶ月 Near Penalization 法を行う YES <6 ヶ月 YES 潜伏眼振があるか? NO 0.4 以上 0.15∼0.3 <6 ヶ月 NO YES RV≒LV になったか? YES 又は 3∼6 ヶ月 Complete Penalization 法を行う NO RV≒LV になったか? YES 又は Alternating Penalization 法を行う 眼鏡度数を約 6 ヶ月ごとに適正眼鏡に漸次変更してゆく 7.眼鏡処方 の項参照。 眼鏡処方又は 経過観察 両眼とも年齢に相応する視力になったか? YES 治療不能 弱視治療成功 3∼6 ヶ月 再発防止 Last Stage Penalization 法を行う
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