名城論叢 17 2006 年 11 ⽉ Cournot, Stackelberg 並びにマーケット・シェアーの 複占モデルの新しい幾何学的表現 尾 崎 雄⼀郎 1.はじめに 差別化されていない⽣産物市場において,互いに競争相⼿の企業はその⽣産量を変化させないも のと想定して,⾃⼰の利潤を最⼤にする数学的な複占モデルを Cournot[3]が 1838 年に発表した. 両企業の利潤最⼤化のための条件から各々の企業の⽣産量は競争相⼿の企業の⽣産量の関数とな る.この関係を反応関数と⾔い,両⽅の企業の反応関数から Cournot の複占モデルの最適な⽣産量 が求められる.Cournot の複占モデルはそれ以来多くの⽂献(たとえば,Chamberlin [1], pp. 32-4, 221-5, Cohen and Cyert [2], pp. 235-9, Fellner [4], pp. 56-77, Henderson and Quandt [6], pp. 223-8, Naylor and Vernon [7], pp. 439-41, Silberberg [8], pp. 663-5, Stackelberg [10], pp. 190-3, Varian [11], pp. 285-7, Varian [12], pp. 456-60 など)において考察され,現代の複占理論の重要な 基礎となっている. Stackelberg([9], pp. 16-24)は,Cournot の反応関数を利⽤して,⼀⽅の企業は追随者として⾃ ⼰の反応関数に基づいて⾏動するけれども,他⽅の企業は⾃⼰の反応関数には従わず,相⼿企業が その反応関数に従って⾏動することを前提に,先導者として⾃⼰の利潤を最⼤にするように⾏動す る,という複占モデルを 1934 年に提案した(Stackelberg [10], pp. 194-204 も参照) .なお,Stackelberg の複占モデルにおいて両⽅の企業がともに追随者として⾏動する場合には,Cournot のモデ ルと同じになる.Stackelberg の複占モデルもミクロ経済学の多くの著作(たとえば,Cohen and Cyert [2], pp. 240-3, Fellner [4], pp. 98-110, Henderson and Quandt [6], pp. 229-31, Naylor and Vernon [7], pp. 121-2, 441, Varian [11], pp. 295-7, Varian [12], pp. 448-54 など)において取り上げ られ,やはり重要な複占モデルの1つとなっている. 競争相⼿の企業は互いにその⽣産量を変化させないと想定して,⼀⽅の企業はその利潤を最⼤に しようとし,他⽅の企業は⾃⼰の⽣産量が市場に占めるシェアーを⼀定に保とうとするマーケッ ト・シェアーのモデル(たとえば,Cohen and Cyert [2], pp. 243-4, Henderson and Quandt [6], pp. 232-3, Naylor and Vernon [7], pp. 8, 49-50 など)も興味深い複占モデルの1つである. Cournot の複占モデルにおける反応関数を⽤いた幾何学的分析は,理解し易く,安定性の分析に 対しても有⽤であるけれども,直接的には最適な⽣産量を求めることができるだけで,⽣産物価格 や利潤は別に求めなければならない.また,企業の数が3つ以上ある寡占の場合には反応関数によ る幾何学的分析は⽤いることができない.Stackelberg の先導者と追随者のモデルにおいても最適 な⽣産量や⽣産物価格を同時に扱う幾何学的な考察はこれまで⾏われたことがなく,マーケット・ シェアーの複占モデルにおいても⽣産量と⽣産物価格を同じ図で取り扱う幾何学的分析は⾏われた ことがない. 18 第7巻 第3号 本論⽂において,Cournot の複占モデルを考察するに当って反応関数を⽤いるのではなく, 「統合 した供給曲線」を導出し,これを⽤いて両企業の最適な⽣産量,⽣産物価格,利潤を同時に⺬すこ とができる幾何学的⽅法を提案する.この⽅法は企業が3つ以上存在する Cournot 的な寡占モデ ルにも適⽤できる.Stackelberg の複占モデルを考察するに当って「先導者に対する需要曲線」を 導出することによって,またマーケット・シェアーの複占モデルにおいては利潤最⼤化⾏動をとる 企業に対する需要曲線を導出することによって,複占企業の最適な⽣産量,⽣産物価格などを同時 に求めることができる新しい幾何学的⽅法を⺬す. 2.Cournot の複占モデル 本節において,Cournot の複占モデルにおける⽣産量,⽣産物価格,利潤を同時に考察できる幾 何学的⽅法を⺬す. 差別化されていない⽣産物の市場価格を p,複占企業の⽣産量を各々 q 1,q 2 とし,市場の需要曲 線を簡単化のために p1 p/,a pq 1+q 2+b, a>0, b>0 とし,複占企業の総費⽤を TC 1 と TC 2 とし, TC 1/c 1q 21, c 1>0 p2 TC 2/c 2q 22, c 2>0 とする.両⽅の企業の利潤を各々 p 1 と p 2 とすると,p1 と p2 より p3 p 1/pq 1,TC 1/,a pq 1+q 2q 1+bq 1,c 1q 21 p 2/pq 2,TC 2/,a pq 1+q 2q 2+bq 2,c 2q 22 と表せる.Cournot に従って複占企業は互いに競争相⼿の企業がその⽣産量を変化させないと想定 して,⾃⼰の利潤を最⼤にするものとすると,p3 より p 1 /,2aq 1,aq 2+b,2c 1q 1/0 q 1 p4 p 2 /,aq 1,2aq 2+b,2c 2q 2/0 q 2 が成⽴し,さらに 2p 1 q 21 2p 1 q 1q 2 2p 2 2p 2 q 1q 2 q 22 / ,2a ,a ,a ,2a の主座⼩⾏列式が交互に負,正とならなければならない(たとえば,Henderson and Quandt [6], pp. 401-2, Naylor and Vernon [7], pp. 63-6, Silberberg [8], pp. 109-12, 160-3 など) .後者の2階の条 件は a>0 より常に満たされる. Cournot の複占モデルを解く従来の⽅法は,p4 から両企業の反応関数 Cournot, Stackelberg 並びにマーケット・シェアーの複占モデルの新しい幾何学的表現(尾崎) p5 q 1/, a b q 2+ 2pa+c 1 2pa+c 1 q 2/, a b q 1+ 2pa+c 2 2pa+c 2 19 を導びき,p5 の反応関数の交点から両企業の最適な⽣産量を求め,さらに需要曲線 p1 より⽣産物 価格を,そして p3 より複占企業の利潤を求める. 以下において新たな観点から Cournot の複占モデルを幾何学的に解く⽅法を説明する.p4 より ,2aq 1,aq 2+b/2c 1q 1 ,aq 1,2aq 2+b/2c 2q 2 である.この最初の式の両辺に aq 1 を,2番⽬の式の両辺に aq 2 を加えると, ,a pq 1+q 2+b/pa+2c 1q 1 p6 ,a pq 1+q 2+b/pa+2c 2q 2 となる.複占企業の限界費⽤を MC 1 と MC 2 とし,p1 を⽤いると,p6 は p/MC 1+aq 1 p7 p/MC 2+aq 2 と表せる.p7 は p4 から導出した利潤最⼤化のための条件式であり,p7 を満たす q 1,q 2,p は需要 曲線 p1 を満たす q 1,q 2,p と両⽴しなければならない. 横軸に⽣産物の数量を,縦軸に⽣産物価格を測って,限界費⽤曲線 MC 1 と MC 2 を描き,MC 1 と aq 1 を,MC 2 と aq 2 を垂直⽅向に加えると,p7 の各々の式を表す曲線がえられる.同⼀の⽣産物価 格 p に対して p7 の最初の式が表す曲線上の点の座標は pq 1, p,2番⽬の式が表す曲線上の点の座標 は pq 2, p であるから,p7 の2つの曲線を⽔平⽅向に加えた曲線上の点の座標は pq 1+q 2, p となる. p7 の2つの曲線を⽔平⽅向に加えてえられる曲線は,両⽅の企業の⽣産量の和を表すとともに, 各々の企業の利潤最⼤化条件を満たしているから,このようにしてえられた曲線を複占企業の「統 合した供給曲線」と呼ぶことにする.統合した供給曲線は,この場合 p7 より p8 p/ pa+2c 1pa+2c 2 pq 1+q 2 2pa+c 1+c 2 と表せる.以上の曲線を描くと,第1図のようになる. 第1図において需要曲線 p1 と統合した供給曲線 p8 の交点 E が両企業の最適な⽣産量の和と最 * 適な⽣産物価格を表す.複占企業の最適な⽣産量を各々 q * 1 ,q 2 ,これらに対応する最適な⽣産物 価格を p * とすると, * * q* 1 +q 2 /EG, p /GO である.統合した供給曲線の導出⽅法から明らかなように,p * のところで EG/F 1G+F 2G であるから,p7 に基づいて * q* 1 /F 1G, q 2 /F 2G/EF 1 である.このときの両企業の総収⼊は, * * p *q * 1 /OA 1F 1G の⾯積,p q 2 /OA 2F 2G の⾯積 * であり,各々の企業の総費⽤ TC * 1 と TC 2 は,この場合 20 第7巻 第3号 p, MC 1, MC 2 b p/,a pq 1+q 2+b MC 2+aq 2/pa+2c 2q 2 MC 1+aq 1/pa+2c 1q 1 MC 2/2c 2q 2 p/ p* G F1 F2 pa+2c 1pa+2c 2 pq 1+q 2 2pa+c 1+c 2 E MC 1/2c 1q 1 B2 B1 A1 A2 O q* 2 q* 1 * q* 1 +q 2 b a q 1, q 2 第1図 @ /@ TC * 1 / TC * 2 0 0 q* 1 2c 1q 1dq 1/OA 1B 1 の⾯積 q* 2 2c 2q 2dq 2/OA 2B 2 の⾯積 * であるから,複占企業の最⼤の利潤 p * 1 と p 2 は各々 * * * p* 1 /p q 1 ,TC 1 /OA 1F 1G の⾯積 ,OA 1B 1 の⾯積 /OB 1F 1G の⾯積 * * * p* 2 /p q 2 ,TC 2 /OA 2F 2G の⾯積 ,OA 2B 2 の⾯積 /OB 2F 2G の⾯積 となる(以上の結果を代数的に表すこともできる) . 3.Stackelberg の複占モデル 本節において,Stackelberg の先導者と追随者の複占モデルにおける最適な⽣産量と⽣産物価格 を同時に求める幾何学的⽅法について説明する. 企業1を先導者,企業2を追随者とし,前と同様,差別化されていない⽣産物に対する需要曲線 を p1,両企業の総費⽤曲線を p2 とすると,企業2の利潤は p3 の2番⽬の式で⺬される.企業1 の⽣産量が変化しないと想定して,企業2がその利潤を最⼤にするならば,やはり企業2の反応関 Cournot, Stackelberg 並びにマーケット・シェアーの複占モデルの新しい幾何学的表現(尾崎) 21 数 q 2/, p5' a b q 1+ 2pa+c 2 2pa+c 2 がえられる.企業2が追随者として p5' に従って⾏動すると予想して,企業1は先導者として⾃⼰ の反応関数には従わず,p5' を⾃⼰の利潤 p3 に代⼊した q 1 だけの関数 p 1/,aq 21,aq 1 , a b q 1+ +bq 1,c 1q 21 2pa+c 2 2pa+c 2 * 1 * を最⼤にするように最適な⽣産量 q を決定し,続いて p5' によって q * を求め 2 を,p1 によって p るのが従来の⽅法である. 従来のように追随者である企業2の反応関数 p5' を先導者である企業1の利潤 p3 に代⼊して考 察するのではなく,市場の需要曲線 p1 に代⼊して「先導者に対する需要曲線」 p9 p/, pa+2c 2b apa+2c 2 q 1+ 2pa+c 2 2pa+c 2 を導出し,これを⽤いて考察する.先導者に対する需要曲線 p9 に対する限界収⼊曲線は, MR 1/, p10 apa+2c 2 pa+2c 2b q 1+ a+c 2 2pa+c 2 と表せる.市場の需要曲線 p1,先導者に対する需要曲線 p9,その限界収⼊曲線 p10,限界費⽤曲線 p, MR 1, MC 1 b p/,a pq 1+q 2+b pa+2c 2 b 2pa+c 2 p* MR 1/, p/, J1 H a pa+2c 2 pa+2c 2 q 1+ b 2pa+c 2 2pa+c 2 E MC 1/2c 1q 1 a pa+2c 2 pa+2c 2 b q 1+ a+c 2 2pa+c 2 B1 A1 O q 第2図 * 1 * b q* 1 +q 2 2a b a q 1, q 2 22 第7巻 第3号 MC 1 を描くと,第2図のようになる. 第2図において,先導者に対する需要曲線 p9 の縦軸との交点は市場の需要曲線 p1 のそれよりも ⼩さく,追随者の企業2の総費⽤が p2 のように表される場合,p9 は p1 と横軸上の b/a のところ で交わる.先導者である企業1の限界収⼊曲線 p10 と限界費⽤曲線が交わる点 B 1 に対応する⽣産 * 量のところで企業1の利潤は最⼤になる.したがって,企業1と2の最適な⽣産量 q * 1 と q 2 ,⽣産 物価格 p * は, * * q* 1 /J 1H, q 2 /EH,J 1H/EJ 1, p /HO であり,企業1の最⼤の利潤は p * 1 は, p* 1 /OA 1 J 1H の⾯積−OA 1B 1 の⾯積=OB 1 J 1H の⾯積 と表せる(以上の結果を代数的に表すこともできる) . 4.価格先導的な寡占モデルとの⽐較 前節で考察した Stackelberg の先導者と追随者の複占モデルとこれと類似した価格先導的な寡占 モデル(たとえば,Cohen and Cyert [2], pp. 245-6, Ferguson and Maurice [5], pp. 333-4, Varian [11], pp. 298-9, Varian [12], pp. 454-6 など)とを本節で⽐較する. 価格先導的な寡占モデルは,1つの先導的な企業と幾つかの追随的な企業が存在する市場におい て,先導的な企業が⽣産物価格を設定し,追随的な企業はそれらの限界費⽤からなる供給曲線に基 づいてその設定価格に対応する量を供給する.先導的な企業は市場の需要量と追随的な企業の供給 量との差に等しい残りの量を供給する.これより先導的な企業に対する需要曲線は市場の需要曲線 と追随的な企業の供給曲線との⽔平的な差として導出される.先導的な企業は⾃⼰の⽣産物に対す る需要曲線から導かれる限界収⼊曲線と限界費⽤曲線の交点に対応する量を供給し,⾃⼰の利潤が 最⼤になるように価格を設定する,というのが価格先導的な寡占モデルである. Stackelberg の複占モデルと⽐較するために,企業1を価格先導的なモデルにおける先導的な企 業,企業2を追随的な企業とする.これより企業2の限界費⽤曲線がその供給曲線となる.した がって,企業2の供給曲線は p/MC 2/2c 2q 2 である.これと市場の需要曲線 p1 との差として企業 1に対する需要曲線が導出される.第3図におけるように,市場の需要曲線と企業2の供給曲線と の交点に対応する価格 2c 2b/pa+2c 2 のところで市場の需要量は企業2の供給量によってすべて満 たされるから,企業1に対する需要量はゼロ,価格が KO のとき市場の需要量は EK,企業2の供給 量は JK であるから,企業1に対する需要量は EK,JK/EJ/D 1K,価格がゼロであるときには,こ の場合企業2の供給量はゼロであるから,企業1に対する需要量は b/a である.以上より価格先導 的な企業1に対する需要曲線は, p11 p/, 2c 2b 2ac 2 q 1+ a+2c 2 a+2c 2 となる.p11 に基づく企業1の限界収⼊曲線は, p12 である. MR 1/, 4ac 2 2c 2b q 1+ a+2c 2 a+2c 2 Cournot, Stackelberg 並びにマーケット・シェアーの複占モデルの新しい幾何学的表現(尾崎) 23 p, MR 1, MC 1 b p/,a pq 1+q 2+b p/MC 2/2c 2q 2 2c 2b a+2c 2 p/, p* MR 1/, K J D1 2ac 2 2c 2b q 1+ a+2c 2 a+2c 2 E MC 1/2c 1q 1 4ac 2 2c 2b q 1+ a+2c 2 a+2c 2 B1 A2 O q * 2 A1 q * 1 b 2a * q* 1 +q 2 b a q 1, q 2 第3図 第3図において,企業1の限界収⼊曲線と限界費⽤曲線が交わる点 B 1 のところで企業1の利潤 * * は, が最⼤になる.企業1と2の最適な⽣産量 q * 1 と q 2 ,⽣産物価格 p * * q* 1 /D 1K, q 2 /JK/ED 1, p /KO * であり,このときの両企業の利潤 p * 1 と p 2 は, * p* 1 /OB 1D 1K の⾯積,p 2 /OJK の⾯積 となる(これらの結果も容易に代数的に表せる) . 以上より Stackelberg の複占モデルにおける先導者に対する需要曲線 p9 の縦軸との交点 pa+2c 2b/2pa+c 2 は,価格先導的な寡占モデルにおける先導的な企業に対する需要曲線 p11 の縦軸 との交点 2c 2b/pa+2c 2 より⼤きく,2つの需要曲線 p9 と p11 はともに横軸上の b/a のところを, 2つの限界収⼊曲線 p10 と p12 はともに横軸上の b/2a のところを通る.したがって,第2図にお ける限界収⼊曲線 p10 と限界費⽤曲線との交点に対応する先導者としての企業1の⽣産量のほう が,第3図における限界収⼊曲線 p12 と同じ限界費⽤曲線との交点に対応する企業1の⽣産量より ⼤きく,第2図における⽣産物価格のほうが,第3図における⽣産物価格よりも⾼いことがわかる. 24 第7巻 第3号 5.マーケット・シェアーの複占モデル 本節で,マーケット・シェアーの複占モデルにおける最適な⽣産量と⽣産物価格を求める新しい 幾何学的⽅法について説明する. マーケット・シェアーの複占モデルにおいて企業1は相⼿企業がその⽣産量を変更しないと想定 して⾃⼰の利潤を最⼤にしようとするけれども,企業2は利潤を最⼤にするのではなく,市場に占 める⾃⼰の⽣産量のシェアーを⼀定に保つように⾏動するものとする.市場に占める販売量のシェ アーを⼀定に保とうとする⾏動は,⽣産物が差別化されている場合に⼀層適当であるが,差別化さ れていない場合にも,このモデルは適⽤可能である. 企業2は,企業1がその⽣産量を変更しないと想定して,市場に占める⾃⼰の⽣産量のシェアー を⼀定の k に保とうとする,すなわち q2 /k, 0?k?1 q 1+q 2 p13 が成⽴するように⾃⼰の⽣産量を決定する.p13 より q 2 を求めてこれを市場の需要曲線 p1 に代⼊ すると,企業1の⽣産物に対する需要曲線 p14 p/, a q 1+b 1,k p, MR 1, MC 1 b p/, a q 1+b 1,k p* p/,a pq 1+q 2+b N M1 E MC 1/2c 1q 1 MR 1/, 2a q 1+b 1,k B1 A1 O * * q* 1 p1,kb q 1 +q 2 2a 第4図 p1,kb a b a q 1, q 2 Cournot, Stackelberg 並びにマーケット・シェアーの複占モデルの新しい幾何学的表現(尾崎) 25 がえられる.p14 より企業1の⽣産物に対する限界収⼊曲線は, MR 1/, p15 2a q 1+b 1,k となる.市場の需要曲線 p1,企業1の⽣産物に対する需要曲線 p14,限界収⼊曲線 p15,企業1の 限界費⽤曲線を描くと,第4図のようになる. 第4図において,MR 1 と MC 1 が交わる点 B 1 のところで企業1の利潤が最⼤になるから,企業 * * 1と2の最適な⽣産量を q * 1 ,q 2 ,⽣産物価格を p とすると, * * q* 1 /M 1N, q 2 /EM 1, p /NO * * であり,これらの q * 1 と q 2 に対して p13 が成⽴する.このとき,企業1の最⼤の利潤 p 1 は, p* 1 /OA 1M 1N の⾯積−OA 1B 1 の⾯積=OB 1M 1N の⾯積 である(これらを代数的に表すことも可能である) . 参考⽂献 [1] Chamberlin, E. H., The Theory of Monopolistic Competition. Eighth Ed., Cambridge, Mass. : Harvard University Press, 1962. [2] Cohen, K. J., and Cyert, R. M., Theory of the Firm : Resource Allocation in a Market Economy. Second Ed., Englewood Cliffs, N. J. : Prentice-Hall, 1975. [3] Cournot, A. (tr. by N. T. Bacon), Researches into the Mathematical Principles of the Theory of Wealth (1838). New York : Macmillan, 1897 ; Homewood, Ill. : Richard D. Irwin, 1963. [4] Fellner, W., Competition among the Few : Oligopoly and Similar Market Structures. New York : Knopf, 1949 ; New York : Augustus M. Kelley, 1965. [5] Ferguson, C. E., and Maurice, S. C., Economic Analysis. Revised Ed., Homewood, Ill. : Richard D. Irwin, 1974. [6] Henderson, J. M., and Quandt, R. E., Microeconomic Theory : A Mathematical Approach. Second Ed., New York : McGraw-Hill Book Co., 1971. [7] Naylor, T. H., and Vernon, J. M., Microeconomics and Decision Models of the Firm. New York : Harcourt, Brace & World, 1969. [8] Silberberg, E., The Structure of Economics : A Mathematical Approach. Second Ed., New York : McGrawHill Book Co., 1990. [9] Stackelberg, von H., Marktform und Gleichgewicht. Wien : Verlag von Julius Springer, 1934. [10] Stackerberg, von H. (tr. by A. T. Peacock), The Theory of Market Economy (1948). London : William Hodge and Co., 1952. [11] Varian, H. R., Microeconomic Analysis. Third Ed., New York : W. W. Norton, 1992. [12] Varian, H. R., Intermediate Microeconomics : A Modern Approach. Third Ed., New York : W. W. Norton, 1993.
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