森町地域新エネルギービジョン概要版

平成 26年度
森町地域新エネルギービジョン
概 要 版
平成 27 年 1 月
北海道
森町
新エネルギービジョン策定の背景と目的
●エネルギー問題●
現在の私たちのくらしや社会はエネルギーを利用することによって成り立っています。しかし、
日本はエネルギー資源に乏しく、海外からの輸入に頼っており、特に石炭や石油・天然ガスなどの
化石燃料はほぼ全量を輸入しています。
また、これらの化石燃料は限りある資源であり、このままのペースで使い続けた場合、資源を確
保することが困難となるおそれがあります。
図1 エネルギー資源の確認可採埋蔵量(出展:経済産業省)
●地球温暖化問題●
現在の地球の平均気温は約14℃となっていますが、これは二酸化炭素や水蒸気、メタンなどの
「温室効果ガス」のはたらきにより地表の温度が保たれていることによるものです。
しかし、化石燃料の大量消費により大気中の二酸化炭素濃度が大幅に増加すると、温室効果ガス
のはたらきが強くなり、地表面の温度が上昇し、「地球温暖化」が起こります。
「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)
」が取りまとめた報告書では過去100年間で世
界の平均気温は0.74℃上昇しており、特に最近50年の気温上昇は、過去100年の上昇速度
のほぼ2倍となっており、近年になるほど温暖化が加速しています。
また、この報告書では最も気温上昇の大きいシナリオで約4℃、最も気温上昇の小さいシナリオ
でも約1.8℃、21世紀末までに上昇すると予測されています。
地球温暖化が進むことにより、干ばつや暴風雨の増加など異常気象の発生や、感染症の媒介動物
の分布変化、海水面の上昇など人間社会や自然環境に深刻な影響が生じると考えられています。
これらの問題を解決するために、輸入に頼らない安定的なエネルギーの確保や省エネルギー対策、
再生可能エネルギーなど非化石エネルギーの開発・導入を図るなど、国の主導で様々な施策が展開
されていますが、地方自治体においても、地域の特性を活かした、太陽光や風力、バイオマス、地
熱、水力などの新エネルギーの積極的な活用が期待されています。
1
新エネルギービジョンの位置づけ
森町では、
「第 1 次森町総合開発振興計画」を
策定しており、その中の重要項目として「自然・
環境さわやかなまちづくり」
、
「基盤・安全 あん
ぜんなまちづくり」を設定しています。
これらでは、それぞれ環境にやさしいまちづく
りを目指し、主要施策として設定されています。
この主要施策の実現に向けて、エネルギー問題
や地球温暖化問題に取り組むために新エネルギー
の導入を目指し、地域一円での複合的な利活用を
地域新エネルギー
ビジョン
地球温暖化対策
実行計画
図るため、
「森町地域新エネルギービジョン」を策
定し、
「地球温暖化対策実行計画」とともに、「新エ
図2 新エネルギービジョンの位置づけ
ネルギー」の観点からハード整備や普及啓発事業推
進に向けてアプローチする指針として活用します。
新エネルギーとは
再生可能エネルギーとは、使っても資源が減ることがなく、時間をおけば元どおりになるエネルギー
源のことをいいます。そのうち、新エネルギーについては、自然の力を利用したり、今まで使われてい
なかったエネルギーを利用したりする地球にやさしいエネルギーのことです。
「新エネルギー利用等の促
進に関する特別措置法(新エネ法)
」では、
「技術的に実用化段階に達しつつあるが、経済性の面での制
約から普及が十分でないもので、石油代替エネルギーの導入を図るために特に必要なもの」を新エネル
ギーとしています。
なお、新エネルギーの概要や事例・参考文献について次頁に示します。
再生可能エネルギー
革新的なエ ネルギー高度利用技術
新エネルギー
再生可能エ ネルギーの普及、
熱利用分野
発電分野
エ ネルギー効率の飛躍的向上、
中小水力発電
太陽熱利用
エ ネルギー源の多様化に資する
太陽光発電
雪氷熱利用
新規技術であっ て、 その普及を
風力発電
バイ オマス熱利用
バイ オマス発電
温度差熱利用
地熱発電
図る こ と が特に必要なも の
ク リ ーン エ ネルギー自動車
天然ガスコ ージ ェ ネレ ーシ ョ ン
燃料電池
燃料分野
バイ オマス燃料製造
など
大規模水力、 地熱 ( フ ラ ッ シュ 方式 )、 海洋エネルギー
*1 中小規模水力発電は 1,000kW 以下のもの、地熱発電はバイナリー方式のものに限る
*2 新エネルギーとされていないが、普及が必要なもの
図3 新エネルギーの定義(新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法)
2
3
八雲町
七飯町
森町
区分
番号
①
②
③
④
八雲町
鹿部町
名称
家畜糞尿・ 生ごみバイ オガス実証プ ラ ン ト
郵船商事八雲町メ ガソ ーラ ー
ハピ ネスひま わり 太陽光発電所
濁川地熱発電所
七飯町
森町
⑧
④ ⑤
⑮
①
⑬
⑥
③
⑫
⑦
390m 3 ( 発酵槽)
規模
25,000kW
1,000kW
2,000kW
⑨
⑪
本文
P3-18
P3-4
P3-5
P3-14
⑭
番号
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
⑬
⑭
⑮
規模
名称
5,020kW
稚内メ ガソ ーラ ー発電所
10kW + 16kW h
浜中町 交流保養セン タ ー防災型太陽光蓄電システム
760kW
ITKソ ーラ ー北海道新ひだか太陽光発電所
札幌市北区体育館太陽熱利用システム
約8m 2
1基
札幌市円山動物園こ ど も 動物園太陽熱利用
300W
富良野市 白鳥川小水力発電
30W
音更町むつみアメ ニテ ィ パーク マイ ク ロ 水力発電( 実証実験)
2,000kW ×5
ユーラ ス伊達ウイ ン ド フ ァ ーム
4,000kW
鹿追町環境保全セン タ ーバイ オガスプ ラ ン ト
600kW ×3
別海バイ オガス発電所( 2015年稼働予定)
50,000kW
紋別市木質バイ オマス火力発電所
180kW
下川町五味温泉( 木質チッ プ ボイ ラ ー)
1,600kW
芦別市健民セン タ ー( 木質チッ プ ボイ ラ ー)
270t
浦幌町 農産物雪氷貯蔵庫
苫前漁港衛生管理型低温荷捌施設
72m 3
雪氷冷熱
ヒートポンプ
バイオマス
バイオガス
水力発電
太陽熱
風力発電
太陽光発電
文部科学省 学校における太陽光発電の導入事例 http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/newdeal/jirei/1288305.htm
NEDO 太陽光発電フィールドテスト事業 http://www.nedo.go.jp/content/100110086.pdf
一般社団法人 ソーラーシステム振興協会 http://www.ssda.or.jp/example/business.html
NEDO 日本における風力発電設備・導入実績 http://www.nedo.go.jp/library/fuuryoku/index.html
全国小水力利用推進協議会導入事例 http://j-water.org/result/index.html
全国水土里ネット 農業用水利用小水力発電 http://www.inakajin.or.jp/jigyou/tabid/187/Default.aspx
バイオガス事例 総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会資料
http:// www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shoene_shinene/shin_ene/pdf/003_03_00.pdf
北海道 家畜ふん尿等による施設整備事例 http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/nss/2_kannri/Kan_biomasu.htm
北海道 森林バイオマス事例集 http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sr/rrm/grp/02/biomassjireishu.pdf
一般財団法人 ヒートポンプ・蓄熱センター ヒートポンプ・蓄熱システム導入事例http://www.hptcj.or.jp/library/tabid/616/Default.aspx
北海道経済産業局 おんせん DE ヒーポン http://www.hkd.meti.go.jp/hokne/onsen/pamphlet.pdf 北海道経済産業局 熱利用 DE ヒートアップ http://www.hkd.meti.go.jp/hokne/20130220/pamphlet.pdf
北海道経済産業局 雪氷熱エネルギー活用事例集 http://www.hkd.meti.go.jp/hokne/c_energy5/
※ここに挙げた事例はごく一部であり、その他各種事例などについての情報については以下などがあります。
参考文献など
区分
【 雪氷冷熱】
【 バイ オマス
( 木質バイ オマス
系) 】
【 バイ オマス
( バイ オガス系) 】
【 風力発電】
【 中小水力】
【 太陽熱】
【 太陽光】
区分
②
⑩
本文
P3-5
P3-4
P3-5
P3-8
P3-8
P3-10
P3-13
P3-14
P3-15
P3-14
P3-15
P3-16
P3-16
雪氷冷熱: 雪や自然外気で製氷し た氷などを 用い、 農産物保冷や建物冷房などを に利用する 。
バイ オマス( 湿潤系): 食品廃棄物や家畜ふん尿・ 汚泥などを メ タ ン 発酵さ せて熱利用や発電を 行う 。
バイ オマス( 乾燥系): 林地残材や農業残渣・ 建築廃材などを 直接燃焼さ せて熱利用や発電を 行う 。
風力発電: 風車発電機などを 用い、 風の力で発電を 行う 。
水力発電: 水車発電機などを 用い、 水の流れの力で発電を 行う 。
太陽熱利用: 集熱パネルを 利用し 、 太陽光によ っ て温水を 製造すし 、 暖房や給湯などに利用する 。
太陽光発電: 太陽電池を 利用し 、 太陽光を 直接的に電力に変換。 日光の当たる 場所なら ばどこ でも 発電でき る 。
森町のエネルギー使用状況
森町のエネルギー使用状況を推計し、二酸化炭素排出量を算出します。
本調査では、エネルギー使用を製造業、民生家庭、民生業務、運輸のように区分します。
一次エネルギー推計方法
「新エネルギー賦存量等推計支援ツール(北海道経済部)
」を用いて算
出。本ツールでは、世帯数や人口、製造品出荷額等の活動量を用いて、製造業、民生家庭、民生業務の
それぞれの電気・熱の消費量を推計する。
二酸化炭素排出量推計方法
前述の各分類のエネルギー消費量推計値と「都道府県別エネルギー
消費統計(炭素単位表)
」を用いて算出。
それぞれ上記の手法で推計した結果、一次エネルギー消費量では、森町全体で 2,646,522GJ/年、
一人あたり二酸化炭素排出量で 8.8t-CO2/人・年という結果となりました。
運輸, 224,000,
8%
運輸,
0.8
業務,
447,849,
17%
業務, 1.3
産業,
1,402,340, 53%
産業, 4.9
家庭, 1.8
家庭, 572,333,
22%
合計8.8t-CO2/人・年
合計2,646,522GJ/年
一人当たり二酸化炭素排出量[t-CO2/人・年]
一次エネルギー消費量[GJ/年]
図4 森町の一次エネルギー消費量推計値と一人当たり二酸化炭素排出量推計値
公共施設については新エネルギーの導入施設として期待されることから、別途集計して示します。
ここでは、新エネルギーの導入が期待される公共施設について、別途エネルギー消費量及び二酸化炭
素排出量について整理します。それぞれ過去 3 カ年分(平成 22 年度~平成 24 年度)の電力・燃料消
費量の平均値からエネルギー消費量・二酸化炭素排出量を推計しています。
福祉・保健衛生施設では施設の稼働率が高いためエネルギー消費量についても大きくなっています。
また教育施設では小学校を中心に暖房用の燃料消費量が多くなっています。
エネルギー消費量
二酸化炭素排出量
40,000
2,500
2,109
30,000
24,782
20,000
17,923
16,463
10,000
4,556
4,684
3,533
5,203
二酸化炭素排出量[t-CO2/年]
一次エネルギー消費量[GJ/年]
34,257
2,000
1,562
1,500
500
2,454
158
1,011
912
1,000
276
293
201
316
151
8
0
0
※一般世帯の暖房エネルギー消費量約 30GJ/世帯・年、年間総一次換算エネルギー量約 90GJ/年・世帯
図5 公共施設のエネルギー消費量推計値 公共施設の二酸化炭素排出量推計値
4
新エネルギーの利用可能量調査
森町において新エネルギーがどの程度利用可能かを把握するため、各種エネルギーの賦存量及び利用
可能量の推計を行います。ここで、賦存量とは、主に自然エネルギーが対象地域にどの程度存在してい
るかを示すものであり、現在ある資源を最大限利用すると仮定して推計します。利用可能量は、賦存量
の推計では考慮していない社会的条件などの制約要因を設定して推計するエネルギー量とします。
※推計に際しては「新エネルギー賦存量等推計支援ツール(北海道経済部)」を主に活用しており、推計の際に参照とする
統計資料のデータが「0」や「0 に近い数値」になる場合や計算方法によって、推計値が「0」となることがある。
表 1 利用可能量のまとめ
項目
利用可能量
灯油換算
(kL)※1
相当世帯数
(世帯)※2
-
9,586
太陽光発電
42,457MWh/年
太陽熱利用
553GJ/年
15
13
該当重点
プロジェクト
(P8 参照)
①-1
②-2
②-3
-
風力
発電
大型
-
-
1 未満
-
小型
1,700kWh/年
-
1 未満
②-2
中小水力
全河川合計(260 万/kW 未満)
40,743MWh/年
-
-
②-1
個別地点想定
バイオ
マス
家畜廃
棄物
汚泥
食品
残渣
木質
乳用牛
0 GJ/年
0
0
肉用牛
125 GJ/年
3
3
豚
1,049 GJ/年
28
25
下水汚泥
し尿・浄化槽汚泥
集落排水汚泥
食品加工残渣
家庭系生ごみ
事業系厨芥類
林地残材
0
0
0
499
3,280
1,346
1,839
GJ/年
GJ/年
GJ/年
GJ/年
GJ/年
GJ/年
GJ/年
0
0
0
13
89
36
50
0
0
0
12
80
32
45
切捨間伐材
3,486 GJ/年
94
84
果樹剪定枝
125 GJ/年
3
3
2,002 GJ/年
54
49
もみ殻
514 GJ/年
14
13
麦わら
0 GJ/年
25,432 GJ/年
4,065 GJ/年
0
692
110
0
622
99
GJ/年
GJ/年
GJ/年
GJ/年
127
65
4
7
114
58
4
6
新増築廃材
183 GJ/年
4
4
公園剪定枝
237 GJ/年
13,185 GJ/年
6
5
稲藁
その他農業残渣
ササ
ススキ
国産材製材廃材
外材製材廃材
建築廃材
雪氷冷熱(全道路)
5~200 MWh/年
4,664
2,417
156
289
359
322
地熱
地域全体としての試算は未計上。ただし道南地域では
今後も期待されるエネルギー
※1 利用可能量(GJ)を灯油の標準発熱量を用いて換算したもの
※2 利用可能量(MWh)や灯油換算量(kL)を 1 世帯あたりの標準的な消費量で換算したもの
5
③-3
①-2
③-4
③-1
③-2
新エネルギーの導入等に関するアンケート調査結果について
ビジョン策定にあたり、全世帯・全事業者を対象に無作為で町民1,000名及び事業者100社を
選定しアンケートを実施しました。アンケート回収率は町民364名(36.4%)、事業者33社(3
3.0%)となっており、以下に主な調査結果について抜粋して記載します。(詳細は本編参照)
【事業者向け 質問1】
事業所において、地球温暖化問題などに対処す
るための省エネ・新エネの取り組みの必要性に
ついてどのような認識をお持ちですか。
【町民向け 質問1】
森町で、地球温暖化問題や新エネルギー導入に
取り組むべきと思いますか。
あまり必要性は高く
ないと思う, 3件, 9%
取り組まなくて良い,
32件, 9%
ほとんど必要性は
無いと思う, 2件, 6%
非常に必要性が高
いと思う, 13件, 39%
必要性は高いと思
う, 15件, 46%
取り組むべき, 325
件, 91%
【町民向け 質問2】
【事業者向け 質問2】
森町で、新エネルギー導入に取り組む場合、ど
事業所において、環境負荷低減に向けた取り組
のようにするべきと思いますか。
みとして、重視しているものは何ですか。
地球温暖化対策へ
の啓発等町民意識
を高める, 61件,
17%
公共施設へ新エネ
ルギー施設を積極
的に導入する, 127
件, 35%
その他, 5件, 1%
新エネルギー導入
に対する補助制度
を充実する, 104件,
29%
大気汚染の防止や
廃水浄化など有害
物質排出の低減, 7
件, 12%
新エネ
ルギー
の導入,
8件,
13%
その他, 0件, 0%
廃棄物の削減・
資源リサイクル
の推進, 21件,
36%
省エネルギー・エネ
ルギー利用効率化
の推進, 10件, 17%
省資源化の推進, 7
件, 12%
温室効果ガ
スの排出抑
制, 6件, 10%
新エネルギーの普
及促進のために勉
強会などの情報提
供を行う, 64件, 18%
【町民向け 質問3】
【事業者向け 質問3】
今後、ご家庭で導入したいと思う新エネルギー
事業所において、新エネルギー導入を推進する
設備はありますか。
場合の行政に対する要望について。
その他
16
燃料電池
専門家の派遣
支援, 4件, 5%
クリーンエネルギー自動車
情報提供, 13件,
17%
90
補助金等の助成制
度の充実, 25件,
33%
21
太陽熱利用
50
太陽光発電
121
0
20
その他, 0件, 0% 町との共同事業(コ
ンソーシアム)など,
1件, 1%
相談窓口の設置, 5
件, 7%
12
バイオマス利用
規制緩和, 4
件, 5%
40
60
80
100
120
140
6
融資制度の充実,
13件, 17%
税金の
優遇制
度の創
設, 11
件, 15%
森町における新エネルギーの導入に向けて
森町における新エネルギーの導入に向けて、重点プロジェクトを設定します。重点プロジェクトは、
新エネルギーの活用や普及啓発の推進のための重要な事業となります。前章までの検討結果を踏まえ、
森町に豊富に賦存する新エネルギーと、その有効な利用方法を検討して、ソフト・ハードの両面から重
点プロジェクトを設定します。
前章までの検討事項及び町民・事業者アンケートや各エネルギー毎の評価を踏まえ、重点プロジェク
トを設定します。
【アンケート結果まとめ(詳細は本編参照)】
・新エネルギーや地球温暖化問題に対する関心は非常に高く、森町としても新エネルギーの導入に
取り組むべきという意見が多くなっています。
・家庭においても事業所においても新エネルギーの導入はほとんど進んでいない状況です。
・新エネルギー導入のためには、
「普及啓発や情報提供をおこない町民意識を高める」「公共施設へ
の積極的導入」
「補助制度を充実する」「情報提供が重要」等が重要との意見が多く見られました。
【各エネルギーの評価】
エネルギー
太陽光
区分
特徴
方針
特徴
風力
方針
特徴
中小水力
方針
特徴
評価
太陽光発電は日照のある地点であれば、どこでも発電可能であることが利点であり、森町全体の利
用可能量も大きな値となっている。
公共施設への積極的な導入及び防災の視点から、太陽光発電と蓄電池を組み合わせたシステムを防
災拠点である公共施設へ導入することが有効と考えられる。
森町では年間を通しての風況が良好という結果となっていないため、風力発電の年間発電量が低く
なることが推計される。
普及啓発面を意識した街路灯などへの利用が有効と考えられる。別途、個別地点での導入可能性の
検討も重要となる。
年間稼働率が高く、河川全体としての利用可能量は非常に大きくなっているが、個別地点での導入
を考えた場合、ある程度の落差・流量がまとまって取得できることが重要である。複数の普通河川
の現地調査からは、一定規模以上の発電適地が現段階では見つかっていないため。
普及啓発用の小型水力発電機を公園など町民に親しみやすい地点に設置することが有効と考えら
れる。
乾燥系バイオマスの利用可能量が大きくなっており、湿潤系に関しては、家畜廃棄物系及び食品廃
棄物系において、一定のバイオマス利用可能量が推計される。
収集コストや導入地点・利用方法など検討するフィージビリティスタディを行い、エネルギーの地
産地消の可能性調査を行うことが重要。乾燥系に関しては森林整備の一環として林地残材などを活
用することが有効と考えられる。また、熱需要の高い施設に導入することで年間稼働率も向上し高
効率となるため熱需要の高い公共施設への積極的利用も有効と考えられる。
バイオマス
方針
雪氷冷熱
特徴
方針
利用可能量は比較的大きな値となっている。
農産物や水産物の保冷など、森町の特産物への利用を行うことが有効と考えられる。雪は近隣から
の収集可能性や既存除排雪場の利用可能性の検討も重要。
地熱
特徴
方針
森町は道内唯一の地熱発電所が稼働しており、余熱の農産物栽培への活用なども行われている。
今後の発電所の稼働状況や計画を踏まえ、さらなる余熱利用の可能性の研究が重要であり、近年は
低温廃熱を小型バイナリー発電として活用する事例も出てきている。
7
本ビジョンでは利用可能量が比較的多く確保可能、または普及啓発に大きく寄与できると考えられる
ものから、前項の評価を考慮し、以下の 3 本の柱を枠組みとして、重点プロジェクトを提示し、それぞ
れについて具体的なテーマを設定しました。
重点プロジェクト①
「公共施設における新エネルギー導入事業」の推進に向けて
テーマ 1:防災拠点である公共施設における太陽光発電・蓄電池の導入
テーマ 2:熱需要が高い公共施設への木質バイオマスボイラーの導入
テーマ 3:革新的なエネルギー高度利用技術(クリーンエネルギー自動車等)
重点プロジェクト②
「新エネルギー導入の推進に向けた普及啓発事業」の推進に向けて
テーマ 1:普及啓発・環境教育を目的としたマイクロ水力発電施設の整備
テーマ 2:小型太陽電池・小型風力発電を利用した街路灯の整備
テーマ 3:住宅用太陽光発電システムの普及
テーマ 4:住民・小中学生を対象とした普及啓発・環境教育プログラムの充実
重点プロジェクト③
「森町の地域資源の利活用事業」の推進に向けて
テーマ 1:雪氷冷熱を活用した農林水産施設などの整備
テーマ 2:地熱発電の余熱の活用を目指した研究
テーマ 3:家畜糞尿系バイオマスなどを活用したバイオガス発電施設の整備
テーマ 4:木質バイオマスの有効活用
新エネルギー導入にあたっては、町民・事業者・行政各関係課の個々の自主的な取り組みに加えて、
お互いの協働によって総合的に進めていく体制づくりが必要となります。そのため、新エネルギーの導
入促進のための情報収集や導入促進に向けた検討を行うための庁内検討委員会などを立ち上げ施策推進
の要に位置づけます。
また、広域での事業展開が有効なプロジェクトについては、都度、近隣自治体と情報交換や協議の場
を設け、スケールメリットを生かした取り組みの体制づくりを図ります。
行政
事業者
行政
庁内委員会
町民
事業者
町民
多様な主体の連携・ 協働による
魅力と 活力ある地域社会の実現
森 町
ス ケ ー ルメ リ ッ ト を
活かし た 連携
近隣自治体
地域の多様な主体が、 地域の将来像を共有し 、 その実現に向けて、 適切な役割分担の下、
地域づく り の方向を共有し て多様な連携・ 協働の取組を推進
図 6 新エネルギー導入の推進体制案
8
基本施策の推進に向けたロードマップを作成します。
ロードマップの時間軸は、計画前半(5 年間を目安)、計画後半(最終年次平成 36 年度)とします。
また、それぞれの時期に設定した重点的な取り組みは、基本施策を踏まえて設定しています。
重点プロジェクト①「公共施設における新エネルギー導入事業」の推進に向けて
計画前半
● 町民や事業者の環境意識向上を目的に、公共施設における率先導入を推進します。
● 導入施設選定・FS 調査など導入に向けての詳細な検討を行います。
計画後半
● 導入可能性調査の結果、導入が有効となり施設が整備された際は、普及啓発事業への積極
的な活用を図ります。
● 各種公共施設の更新の際には、新エネ設備の導入可能性の検討も視野に入れます。
● 最終年次にあたっては低炭素社会構築に向けて、新たなビジョン作りに着手します。
重点プロジェクト② 「新エネルギー導入の推進に向けた普及啓発事業」の推進に向けて
計画前半
● 設備導入に向けて導入地点選定・FS 調査など導入に向けての詳細な検討を行います。
● 環境面における生涯学習事業、適正な進行管理事業を展開します。
計画後半
● 重点プロジェクト①及び重点プロジェクト③と連携してエネルギーの上流から下流までを
意識して普及啓発事業への活用を目指します。
● 低炭素社会構築に向けて、新たなビジョン作りに着手します。
重点プロジェクト③ 「森町の地域資源の利活用事業」の推進に向けて
計画前半
● 各重点プロジェクトについて、導入可能性調査・フィージビリティ(FS)調査などにより
事業の効果を検討します。
● 広域地域連携を視野に入れた協働体制を整えます。
計画後半
● 地域資源を活用した事業を起業し、雇用の安定化、経済活動の活性化に繋がることを目指
します。
● 地域資源の利用拡大の足がかりとなる事業を展開します。
● 最終年次にあたっては低炭素社会構築に向けて、新たなビジョン作りに着手します。
9
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森町 企画振興課
〒049-2393 北海道茅部郡森町字御幸町144番地1
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この事業は北海道の補助により実施しました。