7.24.2015 担当:Yoshimi FUJINO ソーシャルワーク入門(14) ソーシャルワークにおける権利擁護の概念と意義 Ⅰ.前回のレスポンス・ペーパーから 〔伴奏型支援について〕 ・人にはそれぞれできることや課題が違うので、支援者が一対一で寄り添うことが大切だと感じ ました。これは生活困窮者だけでなく、障害のある人や子どもへの支援にも言えることだと思い ます。 ・岩手県で伴走型支援を行っている団体は、どのくらい存在するのですか?具体的にはどのよう な活動をしていますか? ・長い目で支援していくということの意味がやっと分かった気がした。今回の場合は、支える側 が同じ経験をしていたということで、支えられる側にとって一番の理解者になれるというのが、 重要なポイントになっていたと思う。 ・正直、何回も同じ失敗を繰り返す支援を受ける人たちを見て、信じられないと思ってしまいま した。何で、そういうことをしてしまうのか理解するのが難しいなと思いました。支援するスタ ッフの方々は、過去に同じような経験をしていて、気持ちが分かるからこそ、支援を続けられる んだなと改めて感じました。相手の立場に立てることって大切なんだなと思います。 ・伴走型支援の番組を見て、様々な事情のある人々、それぞれの生活に寄り添った支援のかたち は福祉の理想なのかなぁと思いました。自分が死ぬときは、看取って欲しいという利用者の言葉 からも、そこが家庭に代わる役割をしているということが伝わりました。同じような経験をもつ 支援者だからこそ、利用者の思いなどがよく分かるのは、伴走型支援にとって良い面だと思いま す。一方で、同じ経験がなければ、相手の思いに気づくことができないのかと思うと、つらい気 持ちも感じます。無力だと知っていても、関わろうとすることも社会正義に含まれるのかなと思 いました。 ・ 「無力を知る」ということは、自分は出来ない。だから、どうすれば良いかを考えるきっかけに もなると思います。以前先生がおっしゃっていた「人の気持ちなんてわからない、だからその人 をわかりたいと思う」というように、人によりそうことも同じじゃないかなと思いました。 「自分 は全然その人のために何もできない、無力だ!」と感じるからこそ、せめて「その人の側にいよ う」と思うのかなと思いました。 ・寄り添うこと、安心することが大事とあって、私自身それにとても共感した。そうすると、 「支 援」という言葉が、それこそ人の間に差をつけてしまうのではないか、と感じた。今回のビデオ で、全てつつみ込んで、仲間と一緒に人生を歩んでゆく、大きすぎる愛に込み上げるものがあっ た。どうしてそこまでできるのか、聞きたくなった。 ・ビデオの中には、一人暮らしの高齢者もいて、その人はやはり「家族の世話にはなりたくない」 と言っていた。レスポンス・ペーパーでも、少し内容の被ったところがあって、家族がいるから こそ、その家族には自分の今の姿を見せたくないのかなと、改めて考えさせられた。 →見せたくないという気持ちもあるでしょうが、「迷惑をかけたくない」「自分のことで、手間を かけるのは申し訳ない」といった気持ちが強いのだと思います。 ・人生の終わりにまで寄り添うこの支援はすばらしいと思いますが、困っている人全てを把握し て、全ての人に手を差しのべるのは、とても難しいと思います。自分から施設に入居することを 望む人もいれば、絶対行きたくないと思う人もいて、みんなのニーズが多様すぎて、 「福祉」って 考えれば考えるほど、わからなくなりますね。 →分からないから、おもしろいのです。簡単に答えがでることに、愛情や執心は生まれません。 p. 1 7.24.2015 担当:Yoshimi FUJINO 〔その他〕 ・NHK で難聴の人のためのスピーカーが開発されたということをやっていました。どんな構造 で難聴の人が聞こえるのかよく理解できなかったのですが、魔法みたいで感動しました。びっく りしすぎて、先生に伝えたいと思ったので書きました。すごいですよね! ・欧米では集団いじめに対応する言葉がないということですが、人種差別はいじめとは異なるの か、いじめの中のひとつが人種差別であるのかということが気になりました。 →人種差別は人種差別ですし、人種差別でいじめ的なことがあったら、それは犯罪(ヘイト・ク ライム)であったり、暴力ということになります。 ・レスポンス・ペーパーのホームレスの話で、社会福祉を学ぶことは、障害者やホームレスのよ うな差別される対象だけに働きかけるのではなく、差別をする社会にも働きかけることなのだな と改めて思いました。 →授業でも伝えましたが、 差別はなくならないといって何のアクションも起こさないのではなく、 差別を無くすよう地域や社会に働きかける前線に立つ人になっていって欲しいです。 ・レスポンス・ペーパーからの話になるが、先生の言った障害を受け入れることと、受けとめる ことはあいまいな表現だがグッときた。相手に受け入れさせるのではなく、こちら、あるいは社 会が受けとめることが求められているのだと感じる。自殺の話にも言えるが、理解しようとする ことは大事だと改めて思う。相手を変えようとすることは、自分を変えることより難しいが、映 像を見ると、やはり必要なことだと考えた。自分や社会が変わるべきとき、相手がかわるべきと き、見極めることもまた難しいことだろう。 ・私は個人的に「正義」という言葉があまり好きではありません。確かに、差別や暴力はあって はならないものですが、 「正義」という言葉はある意味正しさの押しつけだと考えてしまうことも あるからです。 ・人は人が多ければ多いほど、精神的な孤立感というのを感じやすいのかなと思った。 →ひとりの時に感じる孤独感より、人の中にいて感じる孤独感の方がやっかいな孤独感です。 ・ 「生きることがつらいから自殺をする」という考え方よりも、「生きることがつらいから、誰か に助けを求めよう」という考えが広まることが、自殺を減らす第一歩なのかもしれない。そのよ うな場をつくりたいし、広めていきたいとも思う。 〔名言集?〕 ・私はスラムダンクが大好きです。 「あきらめたら、そこで試合終了ですよ」も名言ですが、「も はや何が起きようと揺らぐことのない、断固たる決意が必要なんだ」という安西先生の言葉があ ります。これも支援をする上で、大きな糧になる言葉だと思います。 →皆さんはまだ若いので、断固たる決意はまだ必要ないとわたしは思います。揺れて、揺れて、 その揺れに慣れるというか、揺れることが自分の一部になるくらいで良いと思います。下記の尾 崎先生の本も興味ある人はぜひ読んで下さい。 ・ 「お前を信じる俺を信じろ」という言葉が好きです。某ロボットアニメのセリフですが、自分で 自分を信じられないときは、自分を支えてくれるその人を信じようと思え、元気がでてきます。 誰も1人で生きることはできないんだと、しみじみ感じました。 〔オススメの本〕 *奥田知志、稲月正、垣田裕介他(2014)『生活困窮者への伴走型支援』明石書店 *尾崎新(1999) 『揺らぐことのできる力 ~ゆらぎと社会福祉実践~』誠信書房 社会福祉実践における「ゆらぎ」の重要性に触れています。 p. 2 7.24.2015 担当:Yoshimi FUJINO Ⅱ.権利擁護の概念と意義 ◆権利擁護の概念 ・advocacy を権利擁護と訳されることもあるが、権利擁護は advocacy を含むより広い概念 ・ 『六訂 社会福祉用語辞典』 (2012)での定義 「自己の権利や援助のニーズを表明することの困難な障害者に代わって、援助者が代理としてそ の権利やニーズ獲得を行うこと」 ・本来持っている権利が侵害されている利用者の権利を、 等を通して護ること 狭義の権利擁護・・・ソーシャルアクション 制度化された権利擁護・・・ 地域福祉権利擁護事業(日常生活自立支援事業) 、オンブズマン活動 ◆「権利擁護」が法制度として創設される流れ *社会福祉基礎構造改革(中間まとめ) (1998) 7つの方向性が示される(テキスト P 121~122) ①福祉サービス利用者と提供者との対等な関係の確立 ②利用者本位の立場にたった地域での総合的支援 ③利用者の幅広いニーズに応えるための多様なサービス供給主体の参入 ④サービスの費用負担や国民の納得と信頼を得られるようなサービスの質と効率性の向上 ⑤社会福祉に対する利用者の信頼を高めるため、情報開示など事業運営の透明性の確保 ⑥高齢化の進展で増大する社会福祉の費用についての公平かつ公正な受益者負担 ⑦住民の積極的かつ主体的参加による自助・共助・公助による福祉文化の創造 *社会福祉基礎構造改革でのポイント 「利用者自身による選択」 「利用者の自己決定」「利用者の主体性」が尊重されればされるほど、 選択や自己決定に支援が必要な人たちの存在が浮かび上がった。 ⇒ *2000 年以降 ・社会福祉法 … 福祉サービスの情報提供、苦情解決の基盤整備等 ・成年後見制度(民法の改正) … 財産保護の観点 ⇒ ◆権利擁護の背景と沿革 ・権利擁護とノーマライゼーション 「障がいがある人も普通の生活に」 ・権利擁護とエンパワメント:代弁=権利擁護ではなく、ノーマライゼーション具現化のための 活動や生活の質の向上に向けた活動及び代弁機能 できない存在としてではなく、価値ある存在としてエンパワメントしていくこと ◆権利擁護の内容と現状 ・社会福祉法と権利擁護 福祉サービスの情報提供、福祉サービス利用者保護のための利用援助事業の法制化 苦情解決の規定整備など p. 3 7.24.2015 担当:Yoshimi FUJINO ◆権利擁護のシステム *苦情解決システム … 運営適正化委員会 *日常生活支援システム … *人権擁護のシステム … 日常生活自立支援事業、成年後見制度 虐待や暴力から被害者を保護し支援していく活動やシステム オンブズマン(オンブズパーソン)活動 こうしたシステムそのものが権利擁護ではなく、権利擁護は理念であり、活動である。 理念や活動を支えるためにシステムがあることを前提として理解しておくこと。 ◆高齢者における権利擁護 ・権利擁護が必要な状況 ①1人暮らしの認知症高齢者等で、世帯内あるいは親族に適切な意思決定のできる人がいない ②虐待、訪問販売、詐欺被害等他者からの権利侵害が疑われる ③外からの支援が必要であっても、福祉サービス利用や周囲からの支援を当事者が拒否している ④世帯内に他にも困難な状況を抱えている家族がいるなど、高齢者の介護保険サービスの利用だ けでは解決しない複数の問題を抱え込んでいる ・権利擁護の観点からの専門的支援 ~地域包括支援センターでの支援~ ①成年後見制度の活用 ②老人福祉施設等への措置 ③虐待への対応 ④困難事例への対応 ⑤消費者被害の防止 ◆権利擁護を理解するうえで、重要なこと ◆「ソーシャルワーク入門」のまとめ ソーシャルワークは「価値」の実践 ソーシャルワークは専門家として固有の知識を持つ ソーシャルワークの専門家として固有のスキルを用いて支援を行う ブトゥリムによるソーシャルワークの価値前提 ◆テストについて:8 月 7 日(金)4 限、共通講義棟 201 講義室 テストは、16:25 開始。穴埋め 80 問のテスト時間は 40 分、持ち込みは一切不可。 穴埋めテスト後に、自分の意見・考えを書く小テストを予定(10 点~15 点、20 分~30 分) 穴埋めテストの出題範囲は「ソーシャルワークの定義(グローバル定義も含む) 」 、 「ソーシャルワ ークの歴史(英米、日本)」 、 「ソーシャルワークの理念」です。テキストでは、p2~p171 です。 追再試験はしません。座る席は指定するので、前日か前々日にサイト上に座席表をアップします。 p. 4
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