IGT インフォメーション・リーフレット W67 グラビア印刷テスト 180°(平滑性/色/全体) IGT AIC2-5T2000, Global Standard Tester 2/3H 2014 年 1 月版 はじめに 一般的に言って、小規模なグラビア印刷試験を行うことは大変難しい。その理由は、試 験を行っている間、揮発性溶剤の入ったインキの乾燥を防ぐことは困難であり、インキ の乾燥の問題は又、水性インキの場合も同じである。 研究所の試験では僅かなインキと紙で行える試験装置が必要になる。 その解決方法として優れているのがグラビア印刷用装置を持つGSTAIC2-5T2000 とGST 試験機 2 及び 3H である。これらの試験機は非常に適応性に優れており、さまざまな異 なった印刷環境で試験が可能である。印刷速度、印刷荷重、プリンティングディスクの 形式(スクリーン線数、容積) 、インプレッションシリンダー(圧胴)の硬度/平滑性な どの印刷パラメーターを容易に変更して印刷できる。調節は、試験するインキのタイプ とその粘度、試験サンプルのタイプとインキ特性、及び紙の組み合わせにより異なる。 下記の 2 種類の方法で印刷を行う: • “グラビア 180°”メソッド。この方法では、プリンティングディスクへインキを 1回だけ着肉し、着肉後直に印刷する。この方法については AIC2-5T2000 及び GST 2 / 3H の使用を説明する IGT インフォメーションリーフレット W67 で解説する。 • “グラビア 360°”メソッド。この方法では、プリンティングディスクへインキを 2回着肉し、着肉するたびに直ちに印刷する、従って、着肉後2回印刷することに なる。この方法では、第 1 回目と第 2 回目の印刷の間には違いがあり、2 回目の印 刷では最善の方法でセルにインキが満たされる。この方法については、GST 2 及び 3H の使用を説明する IGT インフォメーションリーフレット W73 で解説する。 このリーフレット W67 では“グラビア 180°”での印刷手順を説明する。 試験原理: グラビア用装置は彫刻プリンティングディスク、ドクタリング装置、インプレッション シリンダー(圧胴)で構成されている。インキを数滴プリンティングディスクに滴下し、 溢れたインキをぬぐい、インプレッションシリンダー(圧胴)に取り付けた被印刷物に 印刷する。標準プリンティングディスクは 70 l/cm (175 l/inch)で 11 印刷区分、11 から 33 ㎛の深さを持つ。また、他のさまざまな彫刻ディスクも使用可能である。 下記は、適切な印刷条件の選択のための推奨値である: 特製 評価 試験条件 100N;1 m / 秒;ヘリオテストインキ 紙の平滑性 網点抜け数 ゴムパッキンのアストラロン片 500N;0.2−1m/ 秒;Ka 用紙 インキの色 色調の測定 ゴムパッキン 概要 低粘度インキ 1m/ 秒 高粘度インキ 0.2 m / 秒 試験用紙 ヘリオテストインキの標準インキ 試験インキ APCO II / II( IGT コード Ka)の標準インキ 試験用材/試験条件 1 IGT AIC2-5T2000 又は IGT GST 試験機 2 又は IGT GST 試験機 3H ****************************************** AIC2-5T2000 の場合: 2 彫刻プリンティングディスク 3 取り付け軸 4 ドクターブレードホルダー ****************************************** GST の場合: 彫刻プリンティングディスク 5 ドクターブレードホルダー 6 クランプ付きセクター(GST 試験機 2 用) 7 ****************************************** ドクターブレード 8 ゴム製パッキン、55mm 9 10 アストラロン片、55mm 11 ヘリオテストインキ赤(必要に応じて) 12 試験用紙片、55 x 355 mm、各サンプルに付 3 片 4. で必要な印刷速度に調整する。 速度を定速モード 改造装置(マウンティング軸)を厚軸と共に試験機の上部の付属部品の穴 に、軸の平らな部分が左を向くように取り付ける。 この装置を試験機の左側にネジで締め付ける。 ドクターブレードをホルダーに取り付ける。W100 参照。 改造装置からネジを外す。 ブレード付ホルダー装置を下に滑らせ、錘を改造装置上で右に向かせ、止 まるまで反時計回りに廻し、ネジを改造装置に再度取付け、ブレードホル ダー装置が軸から滑り落ちるのを止める。 インキが入っている瓶又は缶をよく振る。 (使い捨て)ピペットにインキを充填する。 3.5. 3.6. 3.7. 3.8. 3.9. 3.10 402.153.412*) 453.031.412 361.000.000 180.431.710.001 404.001.006 404.009.013 404.003.006 520.300 ▶ 1 から 12 は IGT テスティング・システムズで入手可。 *)その他のプリンティングディスクも使用可。 試験準備 1. 用紙、ピックテスト・オイル、器具は 6 時間以上適正標準大気中に置くことを条件 とする。 、ト 2. 試験片をカットし(サイズは 55 x 355 mm2 が適当、1 試料につき 3 片を用意) ップサイド及び/又はボトムサイド、MD 方向及び/又は CD 方向、用紙タイプコ ードを記載する。 3. AIC2-5T2000 の場合: 3.1. アストラーロン片を装着する必要があればゴム製パッキンをセクターに取 り付ける。W100 参照。 3.2. 上部プリンティングディスク軸の印刷荷重を必要な数値に調節し、バック ラッシュが適切であることを確認する。W100 参照。 3.3. 402.153.710*) 435.054.710 450.054.710 13 網点抜けスケール(必要に応じて) 14 分析システム(必要に応じて) 15 濃度計(必要に応じて) 16 分光光度計(必要に応じて) 17 グラビアインキ(必要に応じて) 18 インキピペット(使い捨て) 19 ケバなし布切れ 20 ベルベット 21 エタノール、酢酸エチル又は他のインキ溶剤 印圧 100 - 150N 印刷速度 0.2 - 1 m / 秒 試験方式: • 試験は適正標準大気下にて行うことが望ましい。適正標準大気とは、気温 23.0± 1.0℃(73.4±1.8℉) 、相対湿度 50±2%である。 • AIC2-5T2000、GST 試験機、ハイスピードインキングユニット 4、インキピペット の操作方法についてはマニュアル、IGT インフォメーションリーフレット W100、 ディスプレイ上での取扱い説明を忠実に遵守することが必要である。 • 試料は慎重に取り扱うこと。 3.4. 710.000.000 412.000.000 467.000.000 5. 6. 7. GST の場合: 4.1. 試験機にセ クターが取 り付けられ ていない場 合、試験機 にクランプ 付きセクタ ーを取り付 ける。 4.2. アストラー ロン片を装 着する必要 図 1:AI2-5T2000 のグラビア装置 があればゴム製パ ッキンをセクター に取り付ける。W100 参照。 4.3. ディスプレイでメニュー“Gravure 180°”を選択する。する。 4.4. 上部プリンティングディスク軸の印圧を必要な数値に調節する。 4.5. 必要な印刷速度に調整する。 4.6. インキの入っている瓶又は缶をよく振る。 4.7 ピペット(使い捨て)にインキを充填する。 注意:作業を継続する場合、必要に応じて分配装置を使用できる。GST マニ ュアル参照。 4.8 ドクターブレードホルダーにドクターブレードを取り付ける。W100 参照。 4.9 ブレードを装着したブレードホルダーを下に下して、マウンティングプレー トの 2 本のピンの真上に正確に合わせる。 プリンティングディスクをベルベットの布とエタノールで清拭する。 試験機の上部軸にプリンティングディスクを取り付ける。 “試験実施”章の説明に従い、グラビア装置機能をチェックする。 IGT Testing Systems K.K. Internet: http://www.igt.jp W67 for IGT AIC2-5T2000, GST 2/3H 試験実施 1. セクターの前部クランプに試験片を取り付ける。 2. AIC2-5T2000 の場合: 2.1 セクターを始動位置に移動させる。 2.2 ディスク上でブレードがディスクの最初の部分にのるように、ディスクを 時計回りに廻す。 2.3 グラビアディスクを試験片の印刷位置に移動させる。 2.4 ディスク上のブレードのニップにインキを数滴供給する。 2.5 印刷する。W100 参照。 2.6 ブレードホルダーを停止するまで反時計回りに廻す。 GST 2 / 3H の場合: 2.7 ディスプレイ上で “Make print” を選択 する。 2.8 サイドボタンを押 しながら、セクター を始動位置に移動 させ、ドクターブレ ードホルダーを下 に下げる。 2.9 (使い捨て)ピペッ トでプリンティン グディスクにイン キを供給する。 注意:作業継続のた めのインキ練り装 置の使い方につい ては、GST マニュア ル参照。 図 2:GST のグラビア装置 2.10 サイドボタンを押し 清拭する。或いは、ディスクを一晩酢酸エチルに浸し、その後溶剤で濡らしたビ ロードで清拭してもよい。 てプリンティングデ ィスクにインキ練りをし、印刷を行う。 2.11 “Enter”を押してプリンティングディスクからドクターブレードを上げる。 3 4 5 6 7 8 9 10 プリンティングディスクを軸から外し、エタノールを含ませたベルベットで清拭す る。 プリンティングディスクを上部プリンティングディスク軸に取り付ける。 エタノールを含ませた布でドクターブレードを清拭する。 セクターから試験片を外す。 “試験結果の評価”章の説明に従い、結果を計測する。 各試験片について 1 から 7 を繰り返し試験する。試験は、インキと被印刷物の各組 み合わせ毎に、最低 3 回繰り返して実施する。 テスト終了後は、全部品をマニュアルに従い清拭し保管する。 試験条件と結果を正確に記録する。 試験結果の評価 1. 平滑性について: 1.1. 網点抜けの数を調べる。可能な ら、全ての試験片の必要な場所 で、参考サンプルで作成した定 規と比較し目視で計測するか、 或いは画像分析装置を使用して 計測する。 1.2. 平均値と、必要に応じて標準偏 差値も算出する。最高値と最低 値の算出が有効な場合もある。 2. 色調について: 2.1. 分光光度計又は視覚的に(標準) サンプルを比較し、色調を測定 する。 注意: 1. GST 試験機 AIC2-5T2000、AIC2-5、GST 試験機 1、1−W の試験結果は、試験が 同一試験条件下で行われた場合、ほぼ同 程度の結果が得られる。 2. ►2006:旧バージョンのリーフレットに対し、このリーフレットではグラビア印刷につ いて解説し、新型グラビア装置を紹介している。AIC2-5T2000 と GST 試験機に対応して います。 ►2012:このリーフレットでは文章の変更も加筆されています。 このインフォメーション・リーフレットの制作には最善の注意を払っております。ただ し、不適切な箇所を見つけたり或いはご意見がある場合は IGT Testing Systems 営業所に ご連絡くださいますようお願いします。 ディスクのセル内に乾燥したインキを残 留させぬよう注意が必要である。セル内 に乾燥したインキが残った場合は、イン キ溶剤で濡らしたビロードでディスクを 図 3:グラビア印刷 IGT Testing Systems K.K. Internet: http://www.igt.jp
© Copyright 2024 ExpyDoc