CFRTP 製自動車用フロアのプレス成形への取組み

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CAD/CAM/CAE③
A−8
CFRTP 製自動車用フロアのプレス成形への取組み
Efforts to car floor made by CFRTP in press forming
〔National Institute of Technology,Gunma College〕群馬工業高等専門学校
〔Asano Co., Ltd.〕㈱浅野
〔JSOL Corporation〕㈱JSOL
〔Gunma Industrial Technology Center〕群馬県立産業技術センター
1.はじめに
黒
阿
中
西
平
鏑
瀬
部
村
島
木
雅 詞*
徳 秀**
仁***
正 人****
禎*****
哲 志******
引張試験はオートグラフ AGIS−500 kN(島津製作
産学官連携により、戦略的基盤技術高度化支援事業
所)と恒温槽を用いて各試験温度(25∼200℃)で行
(サポイン事業)で平成 24 年度∼26 年度の 3 カ年で
った。試験条件は JIS−K 71651)をもとに決定し、試験
「熱可塑性 CFRP による車載用大型複雑形状製品の成
速度は 2 mm/min で行った。ひずみの測定はひずみ
形技術の開発」に取り組んだ。開発の趣旨は量産性に
ゲージ法と画像相関法を用いた。また、同温度条件で
優れる熱可塑性タイプの炭素繊維複合材(CFRTP)
曲げ試験(インストロン5582)も行った。曲げ試験
を用い、車載用大型複雑形状製品を既存の金属プレス
はヒートディストーションテスター HD−PC−3(安田
機で製造する技術を確立することである。その開発に
精機)でフラットワイズ法による熱ひずみ試験も行っ
向けた各要素の取組みについて述べる。
た。
2.材料試験
ねじり試験機は常温についてのみ、複合材料ねじり
(1) 試験方法
試験機 TO−1020(前川試験機)を用いて行い、±10°
CFRTP の材料特性は成形条件に左右されるため、
恒温槽において所定の温度で引張試験を行い、材料定
までのサイクル試験を実施した。
(2) 試験結果
数を求めた。実験に用いた CFRTP はアクリル樹脂
室温環境における破断までの積層パターンごとの応
ベースの 0/90°の直交平織プリプレグを 4 層にして
力−ひずみ線図を図 1 に示す。0/90 配向材が最も高い
プレス成形したスタンパブルシート(SS)である。
縦弾性係数を示し、±45 が最も低い値を示すが、こ
材料試験では CFRTP の各層の繊維方向を組み合わ
の場合は非線形性が顕著に見られることがわかる。積
せて試験した。試験片寸法は 25×250×1 mm である。 層パターンを変えた場合は応力もひずみもこの中間の
SS の作製では 780 t と 900 t でプレスして影響を調
挙動を示していることがわかる。
熱ひずみ試験による曲げ試験では図 2 に示すよう
べた。
に母材の PMMA よりも変位点温度は高くなり、0 材
*
Masashi Kurose:機械工学科 教授
Norihide Abe:専攻科生
〒371−8530 群馬県前橋市鳥羽町 580
***
Hitoshi Nakamura:技術開発部
〒372−0011 群馬県伊勢崎市三和町 2718−1
****
Masato Nishi:エンジニアリングビジネス事業部
〒104−0053 東京都中央区晴海 2−5−24
*****
Tei Hirashima:エンジニアリング本部
〒550−0001 大阪市西区土佐堀 2−2−4
******
Tetsushi Kaburagi:技術支援係 独立研究員
〒379−2147 群馬県前橋市亀里町 884−1
**
の方が変形しにくい傾向にあることがわかる。また、
900 t で成形した方が変位温度は高い傾向にある。
高温における引張試験の一例として±45 の 4 層材
の 180℃ と 200℃ の結果を図 3 に示す。破線が実験
結果であり、ガラス転移温度以上では同様な傾向を示
し、せん断ロッキング角度以上から応力が増加し始め
200
(45)
4(780t)
(45)
4(900t)
(0)4(780t)
(0)4(900t)
PMMA
変位点温度(℃)
応力(MPa)
500
400
[0]
4
[45]4
(0)2(45)2
(45)
2(0)
2
(0)
(45)
2(0)
(45)
(0)
2(45)
300
200
100
0
0.000
0.006
0.012
ひずみ
0.018
図 1 積層パターンごとの応力−ひずみ線図
024
150
100
50
0
2
4
6
8
積層厚さ(mm)
10
図 2 母材(PMMA)と SS の熱ひずみ試験結果
12
応力τ12(MPa)
1.5
温度
50℃
1.0
185℃
せん断ロッキング
0.5
ストローク 20mm
180℃ 実験
200℃ 実験
解析 180℃以上
0.1
0.2
0.3
ひずみ ε12
0.4
ストローク 30mm
[(0/90)
]
4 ホットプレス
図 5 SS の S タイプレール温間プレスシミュ
レーション結果
0.0
0
成形中の
温度低下
0.5
トルク T(Nm)
図 3 SS の高温引張試験結果とシミュレーション結果
6
4
2
0
−2
−4
−6
−10
0/90_780_2 層
±45_780_2 層
−5
0
5
比ねじれ角φ/l(rad/m)
10
(a)しわコンター
(対称境界モデル)
図 4 面外せん断(ねじり)試験時のヒステリシス
ループ
ることがわかる。実線は後述のシミュレーション結果
である1)。
さらに、ねじり試験ではスタンパブルシートの接合
長さを変えて実験しているが、図 4 に示すように、
ヒステリシスループに差異が生じていることがわかる。
つまり、面内せん断だけでなく、面外せん断が起きる
ような場所では 0/90 材の方が非線形性を示し、±45
材の方が線形性を有するのである。
(b)フロア部品(斜め十字は SS 接合跡)
図 6 CFRTP 自動車用フロア材のシミュレーションと
成形結果
3.CAE
従来の織物繊維モデルは複雑な 3 次元構造をして
4.成形実験
おり、面内の引張圧縮特性からプレス成形のような面
シミュレーションの結果から、図 (
6 a)
に示すよう
外曲げの特性は把握できない。そこで西らは、繊維基
に、自動車用フロア材の金型を調整し、成形可能な条
材の面外曲げ剛性を考慮するため、膜要素とシェル要
件を見出した。その結果、同図
(b)
に示すように従来
素を組み合わせ、非線形の曲げ剛性を付加するモデル
の 300 t 油圧プレス成形機(三起精工)を用いて 1 分
を提案した
1)
、
2)
。これにより、図 3 の実線で示したよ
以内で意匠形状を得ることができた。
うにガラス転移温度以上のせん断剛性も追従する結果
が得られるようになった。
このような材料試験パラメータを取り入れることに
より、図 5 に示すような S タイプレールの温間プレ
参 考 文 献
1)西正人、鏑木哲志、黒瀬雅詞、平島禎、倉敷哲生:有限要素法
による織物強化熱可塑性樹脂のプレス成形解析、日本機械学会
論文集、Vol.
80、No.
820(2014)
、pp.
1−10
2)M. Nishi et al. : Forming Simulation of Thermoplastic Pre−Im-
ス成形解析も可能となった。温度と時間の関係は実験
pregnated Textile Composite, World Academy of Science, En-
により得ている。金型と接触する位置で温度が低下し、
gineering and Technology International Journal of Chemical,
剛性が高くなることで成形性が悪くなることが予測さ
れる。また、フラット部分のせん断変形によるしわの
Nuclear,MetallurgicalandMaterials Engineering, Vol. 8, No. 8
(2014)
,pp.671−679
発生状況も把握できるようになった。
型技術
第 30 巻 第 12 号 2015 年 12 月号
025