簡易視覚記号を用いた学習用コンテンツの自動編集システム

簡易視覚記号 を用 いた学習用 コンテ ンツの自動編集 シス テ ム
井上 亮文
東京 工 科大学 コンピュー タサイエ ンス学部
〒192-0982東京 都八 王子市片倉町 14041
An Automatic lndexing System fOr Lecture W「ideos
using Silnple Highlighting
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School of Computer Science,Tokyo l」 niversity of Technology
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1404-1,I(atakuramachi,Hachioji,Tokyo 192-0982,Japan
1 は じめに
黒板 /ホ ワイ トボー ド
大 学 が講 義 をイ ン タ ー ネ ッ トで無 料 配信 す る OCW
(Open COurse Ware)や ,オ ン ライ ン受 講 に加 えて試
験 や レポ ー トを 課 して修 了 証 を発 行 可 能 な MOOCs
ヽ
、
ラ
メ
力
オ
︻
ア
ビ
きな注 目を集 めて い る [11。この ような背景か ら,オ ンラ
イ ン学習用講義動画 コンテ ンツの需要が急速 に高 まって
′
騒
懐
隠
懐
暉
ヽ
︺
中
ふ
申
ヽ
いつた学習環境が
(MaSSiVely Open Online Courses)と
普及 し始 めて い る。特 に EU諸 国 にお ける MOOCsは
2014年 9月 時点で 770も の コー スが 開講 され るな ど大
い る。
入力
図 1 想 定す る撮影環境
現在 主流 のス ライ ドを用 いた講義 で は,講 師 が事前 に
作成 済 みのス ライ ドに沿 つて説 明 を して い く。 1枚 のス
ライ ドは見 出 しと内容か ら構成 され ,ス ライ ドの切 り替
わ りは内容 の切 り替 わ りを示す。講義 の進行 と教材 の構
造 は定型化 されてお り,電 子 的 に処理が しやす い。 その
書講義 向けシステム O r c u s に ついて述 べ る. 4 章 で はホ
ワイ トボ ー ドを用 い た議論 向 けシ ス テ ム M e e t i n g S h e l f
ため,講 義 中の 見 たいス ライ ドヘ移動す るな どの ラ ンダ
につ いて述 べ, 5 章 で本研究 を ま とめ る。
ム ア クセスが可能 な動画 を 自動生成 す る研究や製 品は多
ヽゝ1 2 , 3 1 .
これ に対 し,数 学や物理 な どの基礎 教養科 目では,現
在 で も黒板 を用 いて実施 す る。 また,語 学や ゼ ミな ど少
人数 クラスで はホワイ トボ ー ドも多用 され る.こ の種 の
講義 は手書 きの板書 を多用 す るため,電 子 的な 自動編集
を施 すのが難 しい.結 果 として,編 集側 が手 動 で ランダ
ム ア クセスのた めのイ ンデ ックス を作成 した り,視 聴者
が 動画 の再 生位 置 を手動 で探 した りして い るのが現状で
ある.
本研 究 で は,黒 板や ホワイ トボー ドを使 った板書 を用
2 要 求条件
本研 究で システムを設計 ・実装す るにあた り,以 下 の
3点 を重視 した。
1.簡 易 な撮影機材
2.板 書担 当者 へ の負担が少 な い収録
3振
り返 り視聴 へ の特化
21 撮 影機材
本研究 では,黒 板や ホワイ トボー ドに板書す る様子 を,
い る講義や議論 を収録 した動画か ら,学 習 に有用 な コン
H D対 応 ビデ オカ メ ラ 1台 で撮影 す る環境
市販 の Full―
を想定す る (図 1).黒 板 や ホ ワイ トボ ー ドに電子的な機
テ ン ツを 自動 的 に生 成 す るシ ス テ ムの構 築 を 目的 とす
能 は不要 であ る.
る。 この 目的達成 のた め,板 書担 当者 が簡単 に記入可能
な 「
簡 易視覚記号」 を用 いた プ ロ トタイ プシステ ム を 2
種類 開発 し,評 価 した。
本論 文 の構成 を以下 に示 す。2章 で は開発 す るシステ
ムの要 求条件 につ いて述 べ る.3章 で は黒板 を用 いた板
これ までの板書収録 システムの多 くは,電 子黒板 や 自
動追跡 カ メ ラな ど特 殊 な設備 を必 要 とす る μl.す で に
設置済み の機 材や,一 般家庭 で も普及 して い る機材 で撮
影設備 を整 えるこ とがで きれ ば,導 入 にかか る コス トを
大幅 に押 えるこ とが可能で あ る。
22 収 録方法
動画 を撮影 す るにあた って は,板 書担 当者 は可能 な限
り機 器操作や特殊 な動作 をせ ず,通 常 の講義 と同 じよ う
に振 る舞 え るよ うにす る。操作 に気 を取 られて説 明の円
滑 な進行が妨 げ られ るの は本末転 倒で あ り,受 講側 のモ
チベ ー シ ョン低下 に もつ なが って しま う.
23 振
り返 り機能
学 習 コンテ ンツは,そ の講義 を初 めて受講 す る学生 に
グラミング
レ
コンピュータヘの
よる新規視聴 と,受 講済 みの学生 による復 習視聴 による
プログラミング言語の種類
こ
と
書く
命令を
C
2種 類 の形態が考 え られ る.本 研究で は後者 を扱 う。
PHP
。_ (医 五)
新規視聴 で は,撮 影 した動画 を最初 か ら最後 まで ひ と
通 り視聴 す るこ とが求め られ る。 これ に対 して復 習視聴
赤 マグネット
で は,公 式や講義 中 にわか りに くか った説 明 を選択 して
図 2 0rcusを
視聴 す る。必要 な説 明 に即座 に移動 で きた り,そ の説明
を時間 ・場所 を問 わず繰 り返 し確認 で きるこ とが重要 で
用 いた板書講義 の進め方
あ る.
3 板 書講義 の自動編集 システム Orcus
2章 の要 求条件 に従 い,板 書講義 の映像 か ら復 習 に適
される。ページ下部 (4)には,文 献 降1の技術を用いて
講師の姿を除去した画像が (2)の動画 と同期 して表示さ
れる。
した形 式 で コンテ ンツを 出力す るシステ ム Orcusを 開
32 講 義 イ ンデ ックス
発 した。紙面 の都合 か ら,本 稿 で はシステ ム とその機能
Orcusで は,数 式や図 に黄 マ グネ ッ トを,重 要 なキー
ワー ドに青 マ グネ ッ トを付与 しなが ら講義 をすす め る。
の紹介 に留 め る.性 能や アル ゴ リズ ムの詳細 につ いて は
図 2に Orcusを 用 いた板 書講 義 の進 め方 を示 す.講
このマ グネ ッ トに囲 まれ た板書領域 はサ ーバ 上で切 り抜
かれ た後 でサ ムネイ ル化 し,講 義 一 覧 ペ ー ジや講義配信
ペ ー ジに表示 され る。 これ を講義 イ ンデ ックス と呼ぶ .
師 は講義 開始前,黒 板全体 が映 る位置 にビデオカメラを
講義 イ ンデ ックス によ り,視 聴者 は複数 の動 画 を 1つ 1
設置 して録画 ボ タ ンを押す.講 義終 了後 には この動画 を
コンテ ン ツサ ーバ にア ップ ロー ドす るだ けで よい。講義
つ再生 しな くて も復習 した い 内容 を含 む動画の特定が容
文献 卜1を 参照 され たい.
31 シ
ステム概 要
易 になる.
の撮影 に関 して,講 師 には特別 な知識や技術 は必要 ない.
講 師 は講義 中,図 2の よ うにカ ラー マ グネ ッ トシー ト
33 説
で板書 を囲 い なが ら講義 を進 め る。講 師 は どの板書 に ど
ネイ ルは,動 画 の再生時亥Jを移動す るイ ンデ ックス とし
のマ グネ ッ トを付与 す るか を意識 す る必要が あ るが,こ
の動作 はチ ョー クに よる下線や色 の使 い分 け と類似 して
て も利用で きる.こ れ を説明 イ ンデ ックス と呼ぶ.
い る.マ グネ ッ トを貼 り付 けるタイ ミングは,板 書 を書
聴者 は,主 に講 師付近動画 と講 師除去画像 を閲 覧 しなが
きなが らで も,後 にな ってか らで もよい。講義方法 によ
る講 師へ の負担 はチ ョー クのみの場合 と比較 して大 き く
ら学習 をす る.図 4上 部 で は動画 の再 生 時間が 4:15を
変 わ らな い.
サ ー バ は動画 か らマ グネ ッ トを貼 つた位置や時間 な ど
を 自動 的 に解 析 し,図 3の よ うな コンテ ンツを生 成 す
る.ト ップペ ー ジで あ る講義 一 覧 ペ ー ジ (a)に は,ア ッ
プ ロー ドされ た講義 の板書 のサ ムネイ ルが表示 されて い
る。講 義 を選 択 した後 に表示 され る講義配信 ペ ー ジ (b)
上部 (1)に は,そ の講義 の見 出 しを表 す板書 のサ ムネイ
明イ ンデ ックス
重要 なキー ワー ドに付与 され た青 マ グネ ッ ト内のサ ム
説 明 イ ンデ ックスの動 作 を図 4に 示 す.Orcusの
視
示 して い る。 この状態でイ ンデ ックス表示部 にあ る説 明
イ ンデ ックスの見 出 し画像 を選択す る と,そ の 見 出 しを
書 き始 めた再生 時間で あ る 0:18に ジ ャ ンプ して い るの
が確 認で きる。説明イ ンデ ックスに よ り,視 聴者 は再生
カ ー ソル を調整 しな くて も復 習 した い説 明 に即座 にア ク
セスで きる.
34 区
間イ ンデ ックス
Orcusで は,数 式 の証 明 の よ うに一 部分 だ けで も コン
ルが 表示 されて い る。 ペ ー ジ 中央左 (2)に は,講 師 だ け
をズ ー ム ア ップ した講 師付近動画 が表示 され る。 ペ ー ジ
テ ンツ として成立す るもの に赤 マ グネ ッ トを付与 しなが
中央右 (3)に はシステ ムが生成 したイ ンデ ックスが表示
間イ ンデ ックス と呼ぶ .
ら講義 を進 め る。 この とき生成 され るイ ンデ ックス を区
プElグラミング入FS2… 2009/01/1716こ
47153
見強 じ醸鶴
( a ) 講義
一 覧 ペー ジ
(b)講 義 配 信 ペ
ージ
図 3 orcusが生成するコンテンツ
図 4 説 明 イ ンデ ッ クス
図 5 区 間 イ ンデ ッ クス
区間イ ンデ ックスの動作 を図 5に 示す。図 5右 上 にあ
る区間 イ ンデ ックスの画像 を選択す る と,説 明イ ンデ ッ
クス と同様 ,そ の説 明 の 開始 時間 で あ る 14:12へ 再 生
カ ー ソルが 移動 す る。 また,区 間イ ンデ ックスの画像下
段 階で答 えて も らった。 また,項 目 (1)(2)(3)ではその
選択肢 を選 んだ理 由 も記入 して も らった。 この ア ンケ ー
部 には 00:14:12-00:18:48のよ うに,説 明の開始 時刻 と
“
終 了時刻 が 表 示 され て い る。 PodCast"の リン クを選
トに よ り,講 師が マ グネ ッ トを付与 しなが ら講義 を行 う
こ とを どの よ うに感 じたか を把握 す る.イ ンタビューで
択 す る とこの 区間 だ けを切 り出 した動画 の RSSが 配信
は,講 師 とともに撮 影 した動画 を視聴 しなが ら講義 を振
され る。 これ を iTunesな どに登録 すれ ば この 区間動画
り返 った.こ れ に よ り,あ る板書 に対 して マ グネ ッ トを
を携帯端末で持 ち出 し,い つで もどこで も くり返 し復習
貼 つた こ との是非や ,講 義 を振 り返 って気 にな った こ と
をす るこ とがで きる。
を聴取 した.
35 シ ステムの利用評価
講義 の科 目は数学 とし, 1回
20分 の講義 を異 な る内
提案 システムが どの程度講 師 の負担 にな るか を知 るた
容で計 3回 行 つた。 1回 目は,講 師 自身 が講義 を円滑 に
行 うため に板書 内容 を事前 に整理 した ノー ト (以下,講
め に,講 義歴 10年 以上 の 男性講 師 に,実 際 にシステ ム
義 ノー ト)を 用 いて講義 を行 つた。 2回 目は,講 義 ノー
を利用 した講義 を行 つて もらった。講義後,シ ス テ ムに
つ いての ア ンケ ー トとイ ンタ ビュー を実施 した.
トを用 い た上で問題 を解 くための演習時間 を設 けて講義
を行 つた。 3回 目は,講 義 ノー トを用 いず に講義 を行 つ
ア ンケー トの項 目を表 1に 示す.ア ンケー トで は,マ
か な り○
グネ ッ トを貼 る 。剥がすな どの行為 に対 して 「
た。 これ によ り,講 義方法 の違 いに よるマ グネ ッ トの付
与方法 の違 い を比較 す る.ア ンケー トは 1回 目の講義の
○ した 。○○ した ・あま り○○ しな い 。○○ しな い」の 4
後 に行 った。 イ ンタ ビュー は各講義 の終 了後 に行 つた。
351 方
法
表 1 ア ンケー トの内容 と結果
項 日
回答
「
(1)講義 をする際に マ グネ ッ トによる編集」を意識 したか ?
(2)講義中にマ グネッ トを貼 る行為 は負担 になるか ?
あまり意識 しない
あまり負担 にならない
(3)講義中にマ グネッ トを剥がす行為 は負担 になるか ?
(4)その他, 自由意見 を記入
後述
講義 は 250人 程度 が入れ る教室で行 った。黒板 のサイ
ズは幅 72m×
高 さ 12■ 1で あ る.Full HD対
応 ビデ
オカ メ ラは黒板 全 体 が撮影 で きるよ うに黒板 か ら 1l m
後 方 に設置 した.
352 結
果および考察
表 1の ア ンケ ー ト結 果 か ら 「マ グネ ッ トに よる編 集」
をあ ま り意識 しな い とい う回答が得 られ た。こ の理 由 と
して は 「
数学 の講義 で はあ る程度講義資料が ま とめてあ
あま り負担 にならない
4 ホ ワイ トボー ドの振 り返 り支援 システム
MeetingShelf
板 書講 義が大学等 の教 育機 関で需要 が高 いの に対 し,
ホ ワイ トボ ー ドは企業や小規模 グル ー プでのデ イスカ ッ
シ ョンや アイデ ア出 しに広 く利用 され て い る。 そ こで
Orcusで の成 果 を もとに,ホ ワイ トボ ー ドを用 いた議論
の動画 を効率 的 に振 り返 るシステ ム MeetingShelfを開
り,そ の時点で構造化 が終 わ つてい るため,そ れ に沿 つ
発 した。紙面 の都合 か ら,技 術 的な詳細 は文献 阿 を参
て マ グネ ッ トを貼 り付 けれ ば よ いか ら」 とい う こ とで
マ グネ ッ トを貼 る 。剥がす行為」は負担 になる
あった。 「
照 されたい。
41 シ ステム概 要
か とい う とい う間 に対 して は,「 マ グネ ッ トを貼 らな い
Orcus同 様 ,MeetingShelfも ホ ワイ トボ ー ドで議 論
こ とに越 した こ とはな いが ,あ ま り負担 にな らな い」 と
して い る様子 を固定 した市販 の ビデオカメ ラで撮影 す る
だ けで よい。 Orcusで は 3色 の カ ラー マ グネ ッ トを用
い う回答が得 られた.
次 に,講 義 ノー ト (事前準備 )の 有無 で結果 を比較 し
た。講義 ノー トあ りで は, ノ ー ト上で 内容の構造化が さ
意の タイ ミングで緑色 の下線 を引 くだ けで良 い よ う改良
れて い るため講 師 は迷 うこ とな くマ グネ ッ トを貼 り付 け
て いた。 また,講 義後 の インタビュー で も 「
講義 ノー ト
した。
サ ーバ は動画 か ら下線が書 き込 まれ た場所や時刻 を解
が あ る とマ グネ ッ トの貼 り忘れ が発 生 しな い」 との意見
が得 られた。 一方,講 義 ノー トな しで は,「マ グネ ッ トの
析 し,(1)カ タ ロ グ ビュー,(2)ス ライ ドビュー,の 2つ
い て重 要箇所 を強調 して いた が ,MeetingShelfで は任
す る」 とい う意見が得 られた。実際 にマ グネ ッ トで 囲 つ
の 閲覧画面 で構成 され る コンテ ンツを生 成 す る。 この画
面 は DicksOnら の システム 181のよ うにホ ワイ トボー ド
全体 を映 した もので はな く,ホ ワイ トボ ー ド中の重要 な
た領域 を,マ グネ ッ トを貼 り直す こ とで拡張す る事例が
箇所 をよ り見やす く,探 しやす くした もので あ り, これ
見 られ た.
によ り動画 の振 り返 りを支援 す る.
42 カ タ ログ ビュー
色や位置 を迷 う」や 「(マグネ ッ トでの編集 を)多 少意識
講 義 内容 が イ ン タ ラ クテ ィ ブに変 化 す る場 合 , 講 義
ノー トを用 いて もマ グネ ッ トの付 与 で迷 う可能 性 が あ
図 6に カタ ログビ ューの外観 を示す.カ タロ グ ビュー
る. こ れ は講義 回数 を重ね るこ とに よる 「
慣 れ」で発生
い
ン
ビ ュー で も
が減
して
くと考
え
られ
る.
タ
少
頻度
イ
は記録 され た過 去 の 議 論 群 か ら振 り返 りた い議 論 を見
つ けるための画面で あ る.カ タ ロ グ ビュー で は,入 力 さ
「回数 を重 ね るご とに慣 れ て くる」 とい う意見 を聞 くこ
れ た動画 か ら抽 出 された強調板書 の画像 がサ ム ネイ ル と
なって動画 ご とに一 覧表示 され る。 なお,MeetingShelf
とがで きた。
以上 の結果 か ら, マ グネ ッ トを付与 しなが ら講義 を行
で は 1つ の動画 に 1回 の議論 が記録 されて い るこ とが想
う こ とは それ ほ ど負担 にな らな い と考 え られ る. 講 義
ノー トを用 いた場合 と用 い な い場合 とで は, 講 義 ノー ト
定 されて い る。例 えば 6中 の 上か ら 2つ 目の動画 は,「開
AndrOidSDK」 な どの画像が表示 されてい る.
発環境」 「
を用 い た方が よ リシステムを うま く利用 で きるこ とがわ
か った. 講 義 ノー トを用 い な い場合や イ ン タラクテ ィブ
これ らの画像 の文字 か ら,該 当す る動画では AndrOid用
アプ リケ ー シ ョンの開発 に関す る議論 が されて いた こ と
に講義が進行 す る場合で も, シ ステムの利用 回数 が増 え
るこ とで 「
慣 れ」が発生 し, よ り自然 にマ グネ ッ トを付与
が推測 で きる。
しなが ら講義が行 えるよ うになってい くと考 え られ る。
の大 まか な内容 を知 るこ とがで きるため,動 画 を 1つ 1
カ タ ロ グ ビュー を用 い る と,強 調板書 の画像 か ら議論
‖
掛1廿
│!畠
進望望肇幸妻毒翠髪婁
拙路塗輩::撃
よ
1材
期
ぴ
│1川
│ホ
棚脚 熊
1
詭
1 家差豪七志
纂諏111ゑ
図
6 カ タ ロ グ ビュー の 外観
ぃすぃぃ、再生位寮
│
忠
‖
│‖
紳材
協1材
紹州‖
解 霧襲善苦││1甘
器││十1
典 撃 鎖 熙 熙 岬 球
議
‖ ‖"
小
1榊
強調板書の画像の左端にスライダーを合わせる
図8
ス ライ ドビュー: 書 き出 しイ ンデ ックス
│
誨 │ヽ
ミ
読秘竹1 繍 酪総‖
綿 1鵬 i
止
ヤ
す │!,機 11‖ ‖
│││ま
│,率 │イ
ヤ 11掌
三
===
孝
図 7 ス ライ ドビュー外観
1嬰
強調板書の画像をクリックする
つ再 生 して内容 を確認す る こ とに比 べ ,目 的 の議論 を容
図 9 ス ライ ドビュー : 書 き終 えイ ンデ ックス
易 に探 す こ とがで きる。 また,強 調板書 の画像 はす べ て
システ ムに よ り自動 的 に特定 ・抽 出が され る。 ユ ーザ は
下線 を引 く以外の動作 をす る必要 はない。
43 ス ライ ドビュー
カ タ ロ グ ビュー上の強調板書 の画像 を ク リックす る と
ス ライ ドビュー (図 7)に 移行 す る。 ス ライ ドビュー は
全体画像 を表示す るこ とがで きる (図 9).
ス ライ ドビュー を用 い る と,動 画 において重 要 な書 き
込 みが され た場面 に素早 くアクセスがで きるため,長 時
ク リック した議 論 の 詳 細 な 内容 を振 り返 るた めの 画面
で あ る。画面上部 にはホ ワイ トボー ドの全体 を映 した画
間議論 した ロ グであ つて も容易 に議論 の結果や流 れ を振
り返 る こ とがで きる。 また,カ タ ロ グ ビ ュー と同様 に,
像 ,そ の下 には時間軸 を示 す シ ー クバ ー が表 示 され る.
ホ ヮイ トボ ー ドの全体画像 はシー クバ ー上のス ライダー
ス ライ ドビュー も動画 か ら自動 的 に生成 され る。 ユ ーザ
を操作 す る こ とで任意 の 時刻 の全体画像 に切 り替 えるこ
44 シ ステムの性能評価
とがで きる。
441 方
の特別 な操作 は必要 としな い。
法
画 面 下 部 には 強調板 書 の 画像 が ス ライ ダ ー を操 作 す
実装 した プ ロ トタイプを用 いてホ ワイ トボー ド上の単
る際 の イ ンデ ック ス として 利用 で き るよ うに並 べ られ
て い る。 ス ライ ダーの位置 を各画像 の左 端 に合 わせ るこ
語 (以降,文 字 ブ ロ ック)の 特定 の精度 評価 を行 った.
とで,そ れ ぞれの強調板書 が書 き始 め られ るタイ ミング
の ホ ワイ トボ ー ド全体画像 を表示 す るこ とがで きる (図
画 内の文字 ブロ ックの数 を Q,シ ステムが文字 ブ ロ ック
8)。また,強 調板書 の画像 を ク リックす るこ とで,そ の
強調板書が書 き終 え られた タイ ミングの ホ ワイ トボー ド
を Mbと して適合率 島 と再現率 兄bを 求 めた。 Pb,貴 b
評価 には,実 際 の議論 を模 した動画 5本 を使用 した。動
として特定 した数 を 対b,Nぅ の うち正 し く特定 された数
は式 1,2に よ り算 出す るこ とがで きる.
今後 は講 師や受講 生側 の声 な ど音声情報 と組 み合 わせ
表 2 文 字 ブロック特定の精度評価結果
る こ とで板 書 の 認識精度 を向上 させ たい と考 えて い る.
σb
乳
lrb
適合率 (%)
再 現 率 (%)
動画 1
20
16
12
75
60
動画 2
23
23
17
74
74
動画 3
25
17
12
71
48
動画 4
21
19
17
89
81
へ口
動画 5
21
20
18
90
86
110
95
76
80
69
また,別 の簡 易視覚記号 を用 い るこ とで,新 しい振 り返
り方法が実現 で きないか を検討 して い る。
謝辞
本研究 の遂行 にあた り,公 益財団法人 高柳記念財 団の
助成 を受 けま した。 ここに記 し,感 謝 の意 を表 します.
参考文献
11l http://www.openeducationeuropa.eu/en/
10月 確
european_scoreboard_moocs(2014年
認)
講義スライドのフッターを用
レl井上宗徳,下川俊彦,“
P b = 靴
×1 0 0 ( % )
兄
b=拳
×1 0 0 ( % )
442 結
(1)
(2)
果および考察
評価 結 果 を表 2に 示 す.5本 の 動 画 全体 の 結 果 とし
て ,適 合率 80%,再 明 率 69%と い う結 果 が 得 られ た 。
動画 4,5に つ いて は適 合率,再 現率 ともに 8割 を超 え
た結果 が得 られた。 しか し,動 画 3に つ いては他 に比 べ
悪 い結 果 とな り,再 現 率 は 5割 を下 回 る結果 となった。
この原 因 として,動 画 3で は他 の動画 と比較 して文字が
細 か く,斜 めに書 かれて いた文字 も多か ったために文字
ブ ロ ックを包括す る矩形領域 の特定が期待 した通 りの動
作 を しなか った と考 え られ る.
文字 の細 か さに関す る問題 につ いて は,板 書 の文字 の
大 きさか ら文字 ブ ロ ックを包括す る矩形 の特定 の座標条
件 を動 的 に設定 で きるよ うに実装 を変 え るこ とで対処で
い た ラベ ル 付 け に よ る講 義 映像 の イ ン デ ッ クス作
",電
成 に関 す る研 究
子情報通信 学会技術研 究報 告,
Vol 107,No.391,pp1 6(2007)
降l小 澤憲秋 ,武 部浩明,勝 山 裕 ,直 井 聡 ,横 田治夫,“
",
文字認識 を利用 した講義動画中の ス ライ ド同定
情報科学技術 フォー ラム 2002,pp 133134(2002)
一
降l野 田潤 ,倉 本到,藤 本典幸 ,萩 原兼 ,“検索可能な
樹状 ヒス トリ機能 を備 えたホワイ トボー ドシステ
ム S.W.ボ ー ド の提案 と実装",情 報処理学会研究
2000,No 97,pp 55-60
報告 [グルー プウェア1,Vol・
(2000).
板書の意識的
bl井上亮文,品田良太,市村哲,星徹,“
な強調 を利用 した復習用 コンテ ンツ自動生成 システ
ム",情 報処理学 会論文誌 ,Vol.53,No.1,pp.4960,
2012年 1月 .
い1市村哲,井上亮文,宇田隆也,伊藤雅仁,国胡和哉,
文字 ブ ロ ック矩形 を特定 す る際 に矩形 の 回転 を考慮す る
松下温 ,“ChalkTalk:講 師動画 と板書静止画 の 同時
",情 処理学
報
記録 が可能 な講 義 自動収録 システ ム
こ とで対処で きる と考 え られ る。
o147,N03,pp 924 931(2006).
会論文誌 ,ヽア
きる と考 え られ る。 また,斜 め書 きの問題 につ い て は,
その他 の問題 として,蛍 光灯 の映 り込 み によ り,下 線
書き
『1谷日禎英,堀口悟史,井垣宏,井上亮文,星徹,“
の色が判定 しに くい場合 が あつた。 この よ うな映 り込 み
込 みの 時間軸 表 示 に よ るホ ワイ トボ ー ドロ グの振 り
",情
返 り支 援 シ ス テ ムの 実 装
報 処 理 学 会研 究 報 告 ,
につ いて は,文 献 plの よ うな映 り込 み に よって消 えて
しまった映像 中の板書 を補正 す る手法 を実装す るこ とで
対応 で きる と考 え られ る。
V o l . 2 0 1 2 G N - 8 5 , N O . 2 9 , p p l - 6 , 2 0 1 2 年9 月
1 8 1
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DV i. cR ki sc oh na ,r ヽ
A d r i o n , A l l e n
Hansons “ Automatic Creation of lndexed Pr←
5 お わ りに
本研 究で は,板 書者 へ の負担が少 な く,か つ,簡 易 な
seIItations iom Classroom Lectures"AITiCSE'08:
Proc. 13th Annual COnference on lnnovation
撮影設備 で 利用 で きる板書動画 自動編集 システムの開発
and Technology in Computer Science Education,
を 目的 とし,黒 板講義 の動画 に対 して Orcusを ,ホ ワイ
トボ ー ドを用 いた議論 の動画 に対 して MeetingShelfを
pp 12-16(2008).
191 ZhengyOu Zhang,LiWei He, “
Whiteboard scan―
開発 した。両 システム ともに,現 実的な精度 の も とで復
ning and image enhanceIIlent力
習や振 り返 りに適 した コンテ ンツを 自動 生成 で きる こ と
Processing, ミ も1.17, N02, pp.414-432, A/1arch,
が確認 で きた.
2007.
, Digital Signal