初心者における器械運動種目習得に関する一考察 ~後方宙返りについて~ 横山 真弥 (生涯スポーツ学科 学校スポーツコース) 指導教員 仲宗根 森敦 キーワード:補助の知識・補助の仕方,鉄棒の運動感覚,様々な指導方法 1. 緒言 ない③両膝を胸に素早く引き付ける④地面を見 授業における指導に関して考えると,発展より て足で着地を行う)の内,一つでも欠けると不十 も基本的な技の反復練習を繰り返している場面が 分な後方宙返りになると考えられ,かえって生徒 多く見受けられる. 生徒の様子を観察していると, たちに取り返しのつかない大けがに繋がりかね 怪我はなく安全面は問題ないが,物足りなさを感 ない.指導者側は最悪の事態は避けたいため,4 じている者が多々いた.筆者は生徒が向上心を持 つのポイントを実施者はもちろん,補助者が実施 って器械運動に取り組んで欲しいと考え,後方宙 者の状態を理解し,修正ポイントや長所を伸ばし 返りに着目をした.出来ないことが出来るように てあげられるというアドバイスを行うことが出 なるという体育の本当の楽しさを理解してもらい, 来るかどうかで安全かつ正確な後方宙返りが習 大技(後方宙返り)に挑戦させようと考え,研究 得出来るかが決まってくる. の動機となった. そこで本研究では,生徒一人一人の運動感覚や 4.結論 体の構造・機能に違いがあるため,筆者自らが研 教員として指導を行っていく上で行わなけれ 究対象となる.様々な練習方法・運動感覚を研究 ばいけないのが,補助の知識・補助の仕方である. し,個人個人に合わせた指導が出来るようになる 補助は密着して全てをサポートしてしまうので ことを目的とする. はなく,スムーズにかつ安心感を持たせるという ことである.安心感を持たせるとは,大技(後方 2. 研究方法 宙返り)を行う上で実施者が思い切って足を踏み 本研究の調査対象は筆者自身である.研究は二 切り,失敗を恐れずにチャレンジできる環境のこ つの研究方法で行う.一つ目は本来指導書に記さ とを言う.生徒たちができないことが出来るよう れている練習方法で行う.二つ目は、筆者が考案 になり,体育そのものに興味を持って取り組める したオリジナルの練習方法で練習を行う.上記の ことが体力向上にも繋がり,学校現場が明るく元 二つを筆者自身が練習を行い,練習方法・指導方 気になっていくことを筆者は心から願っている. 法のレパートリーを増やす. 3.結果と考察 結果は,すべての練習方法で技を習得すること が出来,様々な角度から練習を行い,指導をする という観点から後方宙返りを研究することが出 来た.そしてさらに,補助者と実施者の間でコミ ュニケーションを図ることで習得する速さ,理解 の定着にも良くも悪くも影響が出るという結果 も出た. 考察は,4つのポイント(①真上に真っ直ぐジ ャンプをする②顎を早い段階から上げてしまわ 引用・参考文献 金子明友(1971) 『体操競技<男子編>』 .講談社: 東京 加藤澤男・監物永三(1982) 『現代スポーツコーチ 実践講座 3 器械体操(男子) 』 .ぎょうせい:東京
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