●● 「里山コミュニティ経済」で 美しく豊かな農山漁村を後世に 2015年2月9日 大和田順子 認定NPO法人JKSK女性の活力を社会の活力に 理事長 一般社団法人ロハス・ビジネス・アライアンス 共同代表 立教大学21世紀社会デザイン研究科 兼任講師 大和田順子 自己紹介 東急百貨店マーケティング部、東急総合研究所生活行動研究室研究員、ザ・ ボディショップ(イオンフォレスト)コミュニケーション部長・販促部長、 イースクエアマーケティングディレクター等を経て2006年独立。 2002年に日本にLOHAS(ロハス)を紹介。宮城県大崎市、福島県いわき市、 埼玉県小川町など、全国各地で有機農業や生物多様性、再生可能エネルギー を活かしたサステナブルな地域づくりに参画。企業と農山村をつなぐCS R・CSV活動にも注力 環境カウンセラー/消費生活アドバイザー/ 総務省 地域資源・事業化支援アドバイザー/世界農業遺産 専門家会議委員 日本の農山村が直面する逆境 過疎、高齢化 耕作放棄地 森林の荒廃 獣害 低い木材自給率 低い食糧自給率 低いエネルギー自給率 進む都市集中 進む気候変動 地域で循環する経済のしくみづくり 現 状 改革後 大都市 海 外 大規模エネルギー供給 ・・・ 大都市 海 外 大規模エネルギー供給 ・・・ 共 存 地域の自給力と創富力による成長 緑 の 分 権 改 革 人 資源 人 資金 資金 流 出 地 域 地 域 歴史 食料 伝統 文化 クリーン エネルギー (分散自立・地産地消・低炭素型社会へ) 総務省・緑の分権改革調査事業の考え方 3 地方創生 ⇒ サステナブルな社会への転換 石油に依存した大量生産・大量消費型経済・社会 自然エネルギー、地域資源、ローカル生産を 重視した“里山コミュニティ経済”創出へ 4 健康とサステナビリティに配慮するライフスタイル ロハス:Lifestyles Of Health And Sustainability <3つの思いやり> 次世代への思いやり 人の健康 地域社会 の健康 地球の 健康 LOHAS 途上国への思いやり 他の動植物への思いやり コミュニティによって“つながり”を取り戻す コミュニティとは、「人がそれに対して何らかの帰属意識をもち、かつそ の構成メンバーの間に一定の連帯ないし相互扶助(支え合い)の 意識が働いているような集団」 (広井良典著 『コミュニティを問いなおす』 ちくま新書) •現代社会における個人は、個人 の根底にあるコミュニティや自然から 切り離されがちであり、そうしたもの との「つながり」を何らかの形で回復 していく必要がある。 (広井良典共著 『コミュニティ』 勁草書房) 個人 コミュニティ 自然 (スピリチュアリティ) 6 サステナブル・コミュニティとは その構成員が諸活動を通じ、地域の環境、社会、経済面を 改善・維持することで豊かで幸せなコモンズを育み、それ を次の世代に継承するコミュニティ。 7 各地の地域資源をまるごと活用・事業化 地域 宮城県大崎市 (14万人) 資源・課題(逆境) 生物多様性への価値理解が低い ・ラムサール湿地蕪栗沼・周辺水田 震災、特に原発事故に起因する地 域課題 福島県 いわき ・風評で増大が加速する耕作放棄 市 地 (33万人) ・壊滅的な観光業 ・高い再エネポテンシャル 町民の帰還3割、高齢者中心、農 福島県 広野 業再生不十分 町 (5000人) ・双葉八町村の入り口、隣の楢葉、 富岡等は未帰還 富山県 南砺 ・過疎、高齢化 市 五箇山 ・世界遺産合掌の里 (1800人) ・茅場 ・合掌の森 ・過疎高齢化する中山間、獣害 長野県 池田 ・花とハーブの町 町(1万人) ・有機カモミール畑 岐阜県 東白川 ・過疎高齢化する中山間 村 ・東濃ひのき、有機白川茶、 (2300人) 有機農業、清流白川 埼玉県小川町 (3万人) ・日本を代表する有機の里 取組(事業化)内容 物語:渡り鳥との共生 ふゆみずたんぼなど生物多様性稲作(一ノ蔵) 物語:「いわきおてんとSUNプロジェクト」復興・地域 の未来づくり。食、繊維、エネルギーを地域自給する暮 らし・社会 ・オーガニックコットン栽培・製品化 ・コミュニティ電力(再エネ事業)(ブリヂストン) ・被災地復興スタディツアー ・物語:防災緑地を地域再生の拠点に、広野町を双 葉八町村再生の騎手に ・町有地の太陽光発電所の売電益を地域還元 ・防災緑地、ミカン、オリーブ、綿畑で交流創出 ・物語:「合掌の森再生プロジェクト」 ・企業CSR・CSV(ネクスコ西日本、ジャパンフラワー コーポレーション) ・大学との連携 ・コンセプト:ハーバルヘルスツーリズム ・獣害に強く、美しいカモミールの栽培(カミツレ研究 所) コンセプト:・丁寧な村づくり ・J-VERを活用したCSR ⇒ CSV(スーパーホテ ル) ・霜里農場⇒下里集落が有機の里に転換 ・地場産業、企業(OKUTA)との連携 ・市民向け有機野菜塾、しもざと桜ファーム 8 事例1.小利大安・有機の里づくり(埼玉県小川町) 小川町 東京池袋から52km 池袋から電車で70分余り 住民基本台帳人口 33,882人 住民基本台帳世帯数 12,874世帯 (平22.12.31) 山林 38% 田畑15% 周囲を山に囲まれた里地里山の地形 は「武蔵の小京都」呼ばれ、風情ある 歴史ある町として、古くから地域資源 を生かした建具、絹、和紙が伝統産 業として栄えた。 食とエネルギーを自給する「霜里農場」 1971年から有機農業に取り組んで40年。金子美登さん「霜里農場」 (3ha) 工業製品(化学肥料・農薬)、石油に依存せず、身近にある資源(バイオマス・ 太陽)を活かして、食料、エネルギーを自給 消費者と提携 → 地場産業と提携 → 集落の有機化に取り組む 農林水産祭 「村づくり部門 天皇杯」受賞 (2010年11月) 金子さんの野菜は、 一般小売店では販 売しない 10 11 エネルギーの自給&命の循環 12 天ぷら油を精製したSVO(ストレートベジタブルオイル)で動くトラクター、自家用車 有機農業と地場産業が共に栄える町づくり ・集落全体(20ha)が慣行農法から有機農法に転換 お米→日本酒、レストラン 小麦→うどん、醤油、パン 大豆→豆腐店 ・再生産可能な価格での取引 ・地域の中小企業によるCSA(地域が支える農業) お米、大豆の買い支え ・地域住民への普及“小川の野菜が食べられる店” 「べりカフェ」 「おがわの自然酒」 晴雲酒造 1988年~ ・醤油「夢野山里」 1994年~ ・石臼挽き地粉めん 1988年~ 豆腐 2000年~ とうふ工房わたなべ 下里・有機の里づくりの歩み 年 主体 1971 金子さん 1975 1988 2001 2003 2005 2006 2007 2009 2010 取り組み 有機農業を始める (同年、有機農業という言葉が誕生) (1987年、空散中止) 金子さん ・農薬の空中散布中止を申し入れ ・この頃からゴルフ場開発計画が複数もちあがる 金子さん+ ・地元晴雲酒造と「おがわの自然酒」開発・販売。小川精麦と「石臼 地場産業 挽き地粉めん」開発 ・ゴルフ場開発計画中止 下里集落 ・集落のリーダーが金子さんに有機農業を学ぶことを決意 下里集落 4.3haの転作田で大豆栽培実施。県の特別栽培農産物の認証取 得。大豆は全てときがわ町の「とうふ工房わたなべ」にて加工・販売 集落 +消費者 交流事業「米作りから酒造りを楽しむ会」始まる 特栽による大豆、小麦の集団栽培が8haに拡大。水稲の特別栽 集落 培開始 下里地区 農地・水・環境向上対策委員会発足。特栽小麦 集落 5.4ha、大豆4.5ha 集落 集落の水稲販売農家全戸が水稲の特別栽培開始 +企業 集落 「平成22年度 第49回農林水産祭 むらづくり部門」天皇杯受賞 下里集落と小川町の収量、販売金額等の比較 (平成20年) 10a当たり販売金額(円) 収穫量(kg/10a) 600 300000 500 400 下里 町 300 250000 200000 200 150000 100 100000 0 うるち米 小麦 大豆 販売金額(円/kg) 700 50000 0 うるち米 600 500 差: 400 300 200 100 0 うるち米 小麦 大豆 149,872円 小麦 大豆 28,632円 60,277円 ※生産者と事業者の信頼関係による再生産可能な価格 での買取が実現 →農業経営の安定 ※米600円は晴雲酒造による購入金額 ※出典:「平成22年度農林水産祭 むらづくり部門 天皇杯受賞事例」監修 埼玉県東松山農林 振興センターより 16 地域が支える有機農業( Community Supported Agriculture) 神川町 ヤマキ醸造 清水屋 豆腐店 晴雲酒造 玉井屋 水 稲 麦 類 げんきの木 大 豆 花和楽の湯 有機食堂 わらしべ 久保マルシェ 小川精麦 マイクロブリュワリー ボン・レギューム 秩父市 くろうさぎ 直売所 べりカフェ 道の駅おがわ(かたくり) 下里直売所 とうふ工房 わたなべ たまがわ直売所 さいたま市 OKUTA 生活の木 八王子市 埼玉屋本店 17 OKUTAこめまめプロジェクト ―100年先を見据えて― 石油減耗・食糧危機時代に向けた、社員の食料確保対策の 一つとして「こめまめプロジェクト」を位置付けている。 経営目標(定量目標) 有機無農薬米調達率 2015年50%、2022年 80%以上を目指す! 社員の食を守る 給与の一部を米で払う! 次世代に豊かな環境を 残し、子供たちへの環 境教育を行う。社員の 第二の故郷として集う。 慣行農法から有機農法へ 転換する農家を後押し。地 域の 生物 多様 性を育む 。 有機農家を 支援する 石油が無くなっても農業ができる! 地域の環境を 保全する 里山保全に取組み、山川田んぼを育む! 社員の職と食を守り100年経営を実践する! とうふ工房わたなべ (埼玉県比企郡ときがわ町) ※年商3億5千万円。地元大豆買い上げ量 年間60~100トン。 全量一括買い上げ、現金支払い。原価3割、人件費3割、経費3割、利益1割 とうふ工房わたなべ 経営方針 素性のわかる豆腐作りをテーマに取り組んでいます。 誰が作った大豆なのか、誰が作った豆腐なのか、非常に簡単なようで すが現代の流通機構では、食品の素性を知りたくてもなかなかむずかし いようです。 大豆を作る人、豆腐を作る人、配達をする人、買ってくれる人、食べて くれる人、みんなが顔見知りになり、この人のために大豆を作る、豆腐を 作る、配達をする、この人が作った大豆だから、豆腐だから安心、人と人 とのつながりの中に結ばれる「信頼関係」、そして「安心感」が大切で す。 とうふ工房わたなべは、安全で体によい食品、それはこんな人間関係 から生まれてくると考えています。これからも、社会のさまざまな約束事を 守り、豆腐づくりを通じて地元農家とお客様との橋渡しをしてまいりま す。 和紙や個性的な飲食店の原料もオーガニック 21 霜里農場見学会 (隔月、第2土曜日開催) 22 市民の“農力、協働力”を高める(2012年~) ・旧下里分校を活動の拠点に ・貸し菜園「しもざと桜ファーム」は小川町の内外から12組が参加 ・「有機野菜塾」も毎月開催(25人参加) ・メイン講師は若手世代の有機農業者 23 「農民が元気になると農村が美しくなる」 「農民が元気になると村は美しくなります。大地はキャンパスです。私達は季節ごとに大 地に絵を描いています。3月はカタクリ、二輪草、4月 桜、5月 菜の花、6月田植 え、7月 麦秋、8月 きつねのかみそり、9月 彼岸花、10月 稲穂、11月 紅葉と、 下里地区は毎月彩りが変化するんですよ。それはそれは美しい。」 (金子美登さん) 24 事例2.岐阜県東白川村 ・「お茶とヒノキと清流の里」として知られる東白川村は標高1,000m前後の山 に囲まれ、村の90%を山林が占める人口およそ2,400人の村。 ・「日本で最も美しい村連合」に加盟。(全国で49町村) ・村の中央には清流が美しい白川が東西に貫流。 ・東濃ヒノキで知られ、2003年より国際的な森林認証である「FSC認証」を取 得。 ・寒暖の差や朝霧が立ち込める地形を活かし、白川茶発祥の地であり、お茶の 栽培も盛ん。 ・同村では明治維新後の廃仏毀釈の影響により、村内に寺院が存在しないこ とや、全国でも有数のツチノコの目撃証言が伝わる地域でもある。 東白川村の課題。取り組み始めたこと <課題> 林業 お茶 農業 清流 :材価の低迷/新販路の開拓/林産物活用 :後継者不足/荒廃農地/採算性/文化・コト化 :荒廃農地の増加/後継者不足 :豊かな川づくり活動/鮎かけのメッカであるが鮎料理があまり無い <昨年度から開始した取組> 有機農業 :ひのきチップ+飛騨牛フン=有機堆肥 「五加茶生産組合」はお茶の有機化に挑戦。 オリジナル商品開発へ (これまでは無農薬で行ってきたが、堆肥も 有機化へ) 「NPO青空見聞塾」はグリーンツーリズムを推進 企業研修の受け入れ開始 白川茶:ブランディング、家庭対象のお茶の 入れ方講習会の実施 26 スーパーホテルと東白川村の出会い 27 ホテル業界唯一 エコファースト企業 ・一泊朝食付き5,000円台~ ・無駄を排除し、経営品質を上げ、低価格を実現したビジネスホテルチェーン。 2007年度 「関西経営品質イノベーション賞」受賞。「ハイサービス300選」選定 売り上げ228億円(2014年3月期)、全国107店舗 ・人の健康:安眠へのこだわり/セミダブルベッド/天然温泉/無料朝食(有機食材) ・地球の健康:ISO14000の取得/CO2削減/顧客参加で「エコひいき活動」/ “エコ泊” (カーボンオフセット)/天井に珪藻土など 朝食のサラダに有機JASの野菜を提供 2012年11月~全店で導入 有機JAS野菜、減農薬米、無添加ド レッシング(5種) 有機納豆、有機大豆味噌・・・ 29 東白川村での社員研修(2014年9月) 一泊二日で新入社員を対象に合宿研修を実施。受け入れはNPO法人青空見聞塾。 体験を通じ地域の資源、課題を発見し、解決策を考える。 <林業関連プログラム> ヒノキの枝葉の搬出 エッセンシャルオイルの抽出 東濃ヒノキ間伐見学 無節のヒノキ (製材所見学) 「母樹林公園」見学 木工所見学 30 <食関連プログラム> 初日の昼食「山弁」 2日目の昼食 地産地消御膳 夕食(炭の火起しから、鮎焼き、ダッチオーブンで炊飯、スープ、チキン料理など) お茶の火入れ体験 朝食も自炊 31 東白川村と共有価値を創造する(CSV) 過疎高齢化、林業の低迷、農業者の高齢化など典型的な課題を抱え る日本の農山村の一つと協働し、豊かで幸せな「日本で最も美しい村」 づくりをめざし、新たな共有価値(CSV)を創造する。 地域の各種資源を多方面から活用! 出口は全国105店のホテル ※商品開発、しくみづくり等に総務省、農水省等の制度・事業を活用。 1.J-VERの購入(県内2店舗分) 200トン 2.社員ボランティア研修ツアー:林業・茶畑・有 機農業体験、村の課題解決を一緒に考える ワークショップ(2013年~)、「エコプロダクツ 展」での発表 3.お茶栽培の有機農業転換の応援:オリジナル 安眠茶の開発・店頭活用 4.木材の活用:オリジナル木工品 (温泉用ヒノキ椅子、ヒノキ枕 雑貨、内装材等)活用 32 世界農業遺産(GIAHS) 世界重要農業遺産システム(GIAHS):Globally Important Agricultural Heritage Systems 2002年、国際連合食糧農業機関(FAO)によって開始されたプロジェクト 世界13か国31地域が認定(2014年6月現在) 創設の背景には、近代農業の行き過ぎた生産性への偏重が、世界各地で森林破 壊や水質汚染等の環境問題を引き起こし、さらには地域固有の文化や景観、生 物多様性などの消失を招いてきたことが挙げられる。 世界農業遺産の目的は、近代化の中で失われつつある、その土地の環境を活かし た伝統的な農業・農法、生物多様性が守られた土地利用、農村文化・農村景観 などを「地域システム」として一体的に維持保全し、次世代への継承していくこと。 33 世界農業遺産 認定サイト 全31サイト 2014年4月 アジア23サイト 23 GIAHS(ジアス)国内認定5地域 35 日本の農林業の視点から考慮すべき3項目 ① 生態的レジリエンス(環境的側面):地域の伝統的・独創 的な農業システムは、自然災害や生態系の変化に対し早期 に回復する能力を有してきたか。 ② 多様な主体の参加(社会的側面):女性や若者を含め、 地域の多様な主体が参加し、主体間の連携が図られているか 。 ③ 6次産業化の推進(経済的側面):農業システムを活かし た6次産業化の推進が図られ、農産物のブランド化や観光振 興による地域活性化が図られているか。 36 2014年10月、新たに3地域が国内認定! 岐阜県 長良川上中流域 【里川における人と鮎のつながり】 鮎を中心とした内水面漁業が盛んな長良川は、流域の人々の日々のくらしや水質保全 活動により清らかな流れが保たれ、その清流により鮎が育ち、地域の人々が鮎からの恩恵を 享受。人の生活・水環境・漁業資源が相互に連関する長良川の里川システム。 和歌山県 みなべ・田辺地域 【みなべ田辺の梅システム】 養分に乏しい礫質の斜面を利用し、梅林としての利用と周辺には薪炭林を残すことで水 源涵養や崩落防止等の機能を持たせ、薪炭林に生息するニホンミツバチと梅との共生等、 地域資源を有効活用して高品質な梅を持続的に生産する農業システム。 宮崎県 高千穂郷・椎葉山地域 【高千穂(たかちほ)郷(ごう)・椎葉山(しいばやま)の森林保全管理が生み出す持続的な 農林業と伝統文化~森と農林文化が創る森林理想郷~】 険しく平地が少ない山間地において、針葉樹と広葉樹で構成されるモザイク林等による森 林保全管理、伝統的な焼畑農業、急斜面に築かれた500km超の水路網を有する棚田 の米作りなどの複合的農林業システムと神楽など特色ある伝統文化を継承。 37 世界遺産と世界農業遺産の違い • • ユネスコの「世界遺産」(文化遺産、自然遺産)は、遺跡や歴史 的建造物、自然など「不動産」を登録、保護するもの FAOの「世界農業遺産」は、次世代に継承すべき伝統的な農業の 「システム」を認定し、その保全と持続的な利用を図るもの – – より良い方向への変化を可能にする伝統的な知恵の蓄積として の遺産 変わりゆく遺産、進化する遺産 都市農山村、里山資源活用で共通価値を創出⇒サステナブルコミュニティへ 【農山漁村力】 自給力をベースに、農商工連 携や6次産業化など経済的 側面、さらに社会・環境面を付 加することによる農山漁村力の 回復。 【ソーシャルキャピタル力】 家族、地域、そして都市と農 山村の交流により形成されたコ ミュニティにおいて信頼関係 (ソーシャル・キャピタル)が醸 成され、新たな“公共(コモン ズ)”、持続可能な地域コミュ ニティという新たな社会価値を 共創する。 【社会・ 環境面】 農 山 漁 村 力 ↑ ・生物多様性 農 ・互助、共助 山 漁 【経済面】 村 ・農商工連携 の ・6次産業化 持 続 【自給】 可 ・食、エネル 能 ギーの自給 農 地・漁場 の 再 性 集落 市町村 サスコミを 共 創 CSA CSF CSE 生 都市農村交流 信頼関係の範囲の拡張→ ソーシャルキャピタル力 地域の里山資源と“物語”を活かしたイノベーション キーワード:伝統的農法・農業・農産物/文化(祭り、料理) /生きものとの共生(生物多様性) - “つながり”を取り戻す地域の物語は?都市と農山漁村の人と人 (人) 先人と子孫 (文化) 人と生きもの・自然 (環境) 農山漁村力(地域資源)×交流力・信頼力 コミュニティ経済×生物多様性×多様な主体の協働 新しい社会価値を創造する 幸せで豊か、持続可能(サステナブル)な地域
© Copyright 2024 ExpyDoc