全校集会校長メッセージ

平成 27 年 7 月 17 日
全日制全校集会
校長の話
平成 27 年度の前期、夏休み前の授業が終了しま
した。勉強に、部活動に、また文化祭に、生徒一
人ひとりが自分なりの目標を持って取り組んだこ
とと思います。長期休業に入りますが、これまでの自分の取り組みをしっかり
振り返って、まずは勉強においてしっかりした長期休業計画を策定し、実行し
てください。
昨日、今日とせっかく計画していたスポーツ大会が中止になりました。台風
のためとはいえ大変残念です。三年生にとっては最後のスポーツ大会でした。
昨年のスポーツ大会では、日頃の勉強から解放されたきみたちのパワー全開を
見て感動しただけに、私もとても残念です。準備を続けてきた運営スタッフの
みなさん、大変残念ですが、ここまでの準備作業本当にお疲れさまでした。さ
て、今日は時事的な話題を拾って、ひとつお話ししたいと思います。
今年、6月 17 日参議院本会議において、全会一致で改正公職選挙法が可決成
立しました。新しい選挙法が公布されてから1年後の平成 28 年6月 19 日以降
行われる国政選挙、おそらく 28 年7月の参議院議員選挙から満 18 歳以上の国
民が有権者となります。
日本で選挙権資格に大きな変革がなされたのは 70 年ぶりです。残念ながら今
回の法改正は、18 歳という年齢が成人にふさわしいかどうかという議論をあま
りしないまま、憲法改正国民投票法で投票資格を 18 歳以上と定めたため、それ
との整合性をつけるために法改正された面が強いことは事実です。しかし、経
緯はどうあれ満 18 歳以上の国民が国政ならびに地方選挙において有権者となる
意味は大変大きいものがあります。今ここに並んでいる君たち、まず3年生は
全員、そして2年生の中で来年7月の段階で 18 歳になっている生徒は選挙権を
行使するのです。責任重大であるという自覚をもってください。
昨今の社会は、ネット上での書き込みなどにみられるように、物事をあえて
深く追求検討せず、いたずらに単純化し、言葉のレッテルを貼って攻撃するよ
うな傾向が顕著です。しかし、有権者として政治判断を行う上で、こうした軽
率な判断は許されません。物事にはさまざまな側面があります。善と悪、白と
黒、敵と味方、そんなに単純に割り切れるものではありません。一つひとつの
現実を分析的に考えてください。ものごとを多面的・多角的に考える。それが
有権者の最大の心構えだと思います。
日本国憲法前文には、
「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつ
て、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その
福利は国民がこれを享受する」という一節があります。ここで言う国民が、20
歳以上から、18 歳以上に拡大されたわけです。もう、待ったは許されないので
す。一人ひとりが責任ある公民として、社会のこと、政治や経済のことをきち
んと考え、判断をくだせる国民になってください。
日々の勉強と、この課題は矛盾するものでも、両立不可能なものでもありま
せん。まさに日々の勉強の中で、公民となるための資質を培ってほしいと思い
ます。
最後に歴史上の人物を挙げ、彼らが 18 歳だったときどんなことが起きたか、
それが人生にどれだけ大きな影響を与えたか考えてみましょう。
ペリーが浦賀にやってきて、日本中に衝撃が走ったとき、坂本竜馬はまさに
18 歳でした。福沢諭吉は 19 歳です。高杉晋作が 17 歳のとき、ハリスが公使と
して着任し、19 歳のとき無勅許で日米修好通商条約が井伊大老によって締結さ
れます。
これらの事件は3人の人生を大きく変えていくのです。徳川家康が 18 歳のと
き、それまで服従してきた今川義元が桶狭間の戦いで織田信長に敗れ、人生の
大きな転機が訪れます。
歴史上ひとかどの人間たちは、多感な 18 歳の出来事をきちんと受け止め、人
生を切り開く契機となしていきます。みなさんの 18 歳はどうでしょうか。
18 歳という年齢を意識して、大人として自他ともに認められる人格を形成し
てください。
小田高生にはそれができると信じています。