polyXtrue概要(PDFファイル約450KB)

JJSSM
ME
Eニ
ニュ
ュー
ース
スレ
レタ
ター
ー22000088 年
年 1100 月
月
押出成形ダイ設計支援用
三次元樹脂流動解析ソフト polyXtrue
中村
健
ポリダイナミックスインク
結果のグラフ表示機能を有している。PC を用いた 100 万要素
1. はじめに
polyXtrue は、米国 Plastic Flow 社[1]にて最近リリースさ
までの解析ならば約1時間以内で解析できる。図1に異形押出
れた高精度かつ使いやすい 3 次元樹脂流動解析ソフトである。
ダイの解析例を示す。
Plastic Flow 社の社長 Dr. Mahesh Gupta は、米国ミシガン工
3. polyXtrue 多層押出モジュール
科大学機械工学科の教授である。本ソフトは、彼のミシガン大
本モジュールは、前述の単層モジュールに、共押出ダイの樹
学での研究成果(これまでにプラスチック成形加工に関する多
脂界面位置を求める機能を加えたものである。これまでは、共
数の論文を発表している)を元に開発されたものである。
押出ダイの設計は各層の挙動が複雑なため、特にフィードブロ
polyXtrue には現在二つのモジュール
(単層押出モジュールと多
ックを用いた共押出の普及にブレーキがかかっていた。本モジ
層押出モジュール)がある。polyXtrue を用いれば、フィードブ
ュールを用いれば、短時間に精度よく各層の肉厚や界面位置を
ロックを用いた共押出ダイ等の設計を支援することができ、試
求めることが出来る。界面位置の計算には、MPT 法(Mesh
作回数の低減や開発期間の短縮、コスト低減を志向することが
Partitioning Technique)が用いられている[2]
。MPT 法の採
可能となる。さらに、Plastic Flow 社では、PELDOM と呼ば
用によって、
れる樹脂伸長粘度推算ソフトもリリースしている。polyXtrue
界面位置の
では PELDOM で求めた伸長粘度を考慮した解析ができるので、
移動に伴う
押出ダイ内にある流路断面の急変部での圧力損失などを精度よ
メッシュの
く推定することが可能になった。以下これらソフトの概要を紹
再作成が不
介する。
要となり、計
2. polyXtrue 単層押出モジュール
算時間の短
界面形状
本モジュールは、押出ダイ(フラットダイ、スパイラルダイ、
縮と計算精
異形ダイ)の出口での流量バランスを取るために用いられる。
度の向上が
せん断粘度と同時に伸長粘度を用いることが出来るので、解析
図られてい
精度の向上を図ることが出来る。また、ダイに必要な押出圧力
る。さらに、
の最小化によってダイの押出量の最大化が可能である。解析手
界面での法
法は、有限要素法で、一次の四面体要素が用いられている。非
線方向の流速がゼロとの条件を導入することによって、更なる
等温、非ニュートンせん断粘度、伸長粘度を考慮できる。伸長
精度向上が図られている。図2に解析例を示す[3]
。
粘度を考慮した解析が精度良くできるので、伸長粘度が支配的
4. 伸長粘度推算ソフト PELDOM
流速分布
図2 共押出の解析例
(界面形状と流速分布)
な部分(流路断面形状が
本ソフトは、
polyXtrue で用いられる伸長粘度式のモデルパラ
急変する部分)で、樹脂
メータを決定するものである。伸長粘度は、キャピラリーレオ
の滞留や劣化が生じな
メータで得られた入口圧損データから求められる。キャピラリ
い様なダイ形状の検討
ーレオメータ内の樹脂流れを有限要素法で解析して伸長粘度モ
が可能になる。また、専
デル式のパラメータを推算する。伸長粘度モデルは、
用のメッシュジェネレ
Sarkar-Gupta モデル[4]である。本伸長粘度モデルは、図3
ータ(フリーメッシュ、
に示すように広範囲のひずみ速度(0.001~1,000 1/s)での複雑
狭い領域での境界層分
図1 異形押出の解析例
割などを採用)
、境界条
(圧力分布)
な伸長粘度特性を表現できるので、従来用いられていた
Cogswell や Binding らの近似式に比べて高精度で、高価な伸長
件設定機能および計算
粘度測定装置と同等の精度である。
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ME
Eニ
ニュ
ュー
ース
スレ
レタ
ター
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年 1100 月
月
7
10
6
ηep Cogswell
η ea Binding
ηep Binding
ηep
ηs, ηea, ηep (Pa.s)
10
ηea
105
ηs carreau (215oC)
ηea optimization (215oC)
o
ηep optimization (215 C)
ηea Binding (215oC)
o
ηep Binding (215 C)
ηs carreau(230oC)
o
ηea optimization (230 C)
ηep optimization (230oC)
ηea Binding (230oC)
o
ηep Binding (230 C)
ηs experimental (215oC)
ηs experimental (230oC)
o
ηea Cogswell (215 C)
o
ηea Cogswell (230 C)
ηep Cogswell (215oC)
ηep Cogswell (230oC)
104
10
3
10
2
10-5
10-4
.
10-3
.
10-2
10-1
ηea
Cogswell
ηs
100
.
101
102
103
eII=γ, √3ε(axisymmetric), 2ε(planar)(s )
-1
図3 PELDOM による伸長粘度の
モデルフィッティング例
5. おわりに
polyXtrue は新しくリリースされたソフトで、
さらに使いやす
いソフトとするために精力的な開発が継続されている。例えば、
現バージョンでは、メッシュ作成には外部から形状データを読
み込まなければならないが、来年度には形状データ作成機能を
組み込む予定である。また、多層押出モジュールでは、現在2
層までしか取り扱えないが、近い将来にはもっと多くの層数ま
で取り扱える予定である。さらに、MPT 法を用いたニ軸スクリ
ュー押出機の解析手法はすでに確立されているので4)、ニ軸ス
クリュー押出モジュールのリリースは、ユーザインターフェー
スの開発後に行われる予定である。ニ軸スクリュー押出機の噛
合部の解析では伸長粘度が考慮されるので、解析精度向上が期
待される。なお、弊社は、Plastic Flow 社でリリースされてい
るこれらソフトの日本国内での販売および技術サポートを
2008 年 7 月から開始している。
参考文献
[1]ホームページは、http://www.plasticflow.com
[2]M. Gupta, “Mesh Partitioning Technique for Three
-dimensional Simulation of Coextrusion”, SPE ANTEC
Tech. Paper (2008).
[3]M. Gupta, “Non-isothermal Simulation of the Flow in
Co-rotating and Counter-rotating Twin-screw Extruders
Using Mesh Partitioning Technique, SPE ANTEC Tech.
Paper (2008).
[4]M. Gupta 他, “Estimation of the Elongational Viscosity of
a Polystyrene using Entrance Loss Data”, PPS-22 (2006).
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