生命科学 第3回 担当教員: 三笠俊哉 1 「人間の身体は,できるだけ私たち(の現 実の体)によく似させるように神が特別に 土から形成した彫像,土製の機械にすぎ ないと私は思う。」 デカルト『人間論』,1章 2 デカルトの人間機械論 • 人間は精神と肉体からなる。 • 肉体は機械(二元論) – 精神の本性は思惟であり意識。 – 物質の本性は空間を閉める延長 3 デカルトの動物精気 • 心臓には光のない火があって,それによって血液が 循環する。 • 脳室に微細な血液が入り込んだものが動物精気。 • 神経管の中の糸が刺激によって引っ張られると,神 経管の脳室に向いている蓋を開け脳室内の動物精 気が動揺する。 • それにより脳室内の中心の松果腺が動き,その影 響で他の管に動物性木が入り込む • 神経管によって移動した動物精気が筋肉中に入っ て,これをふくらませ運動が起こる。 4 5 顕微鏡の発明 1590年,ザハリアス・ヤンセンが発明 • 植物の顕微構造の研究 • 動物の胚発生の研究 6 レーウェンフックの顕微鏡 Anton van Leeuwenhoek, (1632-1723) • オタマジャクシの尾の毛 細血管 • 原生動物の発見 • (多分)バクテリアを観察 した。 7 顕微鏡学派 ー フック Robert Hook, 1635-1703 『ミクログラフィア』,1665年 さまざまな動植物の顕微鏡を用いた観察 スケッチを作成 「細胞」の名付け親 『ミクログラフィア』,18章 コルク片 8 胚発生の顕微鏡的研究 ニワトリの卵を用いた胚発生の研究 • 肉眼ではわからないような時期にすでに心房 と心室がある。 • マルピーギ,『卵内でのヒヨコの形成』(1672) で詳細な観察結果が出版。 9 前成説 前成説: あらかじめ存在する構成部分が展開して くる。 スヴァンメンダム(17C) 「蛹のなかに成虫が折りたたまれて入っている。」 「卵のなかに幼虫が,幼虫のなかに蛹が入れ子に なって入っている」 10 前成説のバリエーション • 精原説 – 成体が精子のなかに入れ子 になっている • 精子は運動能力を有する • 文化的背景として,アリストテレ ス以来の男性優位思想 • 卵原説 – 成体が卵内にある。 • ヌックの実験(交尾した犬の子 宮を輸卵管への開口部で結ん で塞いでも着床した)→実は実 験ミス • アリマキ(アブラムシ)の単為生 殖の発見 11 近世の後成説 一定の器官が存在するためには,他の器官が その前に存在していなければならない」 • ヒドラの再生 – 横に切断すると各断片が完全なヒドラに再生する。 – 縦に切断すると各片が両縁を癒着させて完全に ヒドラに再生する。 • ザリガニのハサミの再生 12 • http://brh.co.jp/s_library/j_site/scientistweb/no21/i ndex.html 13 動物の足の発生 • 受精卵が37℃で発生はじ めてからの肢の推移 • 当初は形はないが徐々 にできていく。 14 機械論・前成説・後成説 デカルト以来,機械論的自然観が支持を集め ていった。 • 後成説を指示する実験的,観察的証拠は多 数あったが,機械論との相性はよくない。 • 前成説は,機械論との相性がよい。 15 「種」の概念による生物の分類 Carl von Linné(1707-1778) 『自然の体系』,1735 • 植物(24綱68目) – 花の雄ずい,雌ずいの重視 – 果実の性状,花序 • 動物(6綱) – 心房,心室 – 十分に体系化されていない。 16 二名法 属名+小種名=学名 ex) 和名 学名 ライオン Felis leo トラ Felis tigris ネコ Felis catus 17 現在の分類体系 分類 例 生物 ドメイン 真核生物,原核生物(細菌,古細菌) 界 動物界,植物界 門 脊索動物門,被子植物門 鋼 哺乳綱, 目 サル目,シソ目 科 ヒト科 属 ヒト属,エノキタケ属 種 Homo sapiens, 18
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