ノックオフ部材を用いた橋梁の 設計手法に関する研究

2015年度
ノックオフ部材を用いた橋梁の
設計手法に関する研究
大阪市立大学大学院
都市系専攻
応用構造工学研究室
中西泰之
目的 ノックオフ部材を用いた橋梁の設計手法を確立する
・主要交通を担う橋梁の免震支承等を用いる上部構造の免震化は有効な地
震時安全性の向上策です.しかし,免震機能は地震時のみに必要とされる
機能であり,走行性の観点からは常時は固定されていることが望まれます.
・支承条件を,常時と地震時にて変化させることにより,下部工へ作用する
地震力の低減を図る構造”ノックオフ部材を活用した橋梁”に着目しました.
・ノックオフ部材を活用した支承形式の採用に向けて,下記の課題を解決す
る必要があります
研究目的:①ノックオフ部材を用いた橋梁の設計手法の確立
→振動特性の把握,解析の再現性の検証
②ノックオフ部材を用いた橋梁の適用性の検討
図-1 ノックオフ部材を用いた橋梁の一例
おもり
•すべり支承にノックオフ部材,変位制限装置を
ノックオフ部材
組み込んだ支承構造を提案しています.
ノックオフ部材
破断
すべり支承
振動台
変位制限装置
•提案する支承構造の振動台実験を実施し,振
動性状について確認しました
•初期状態では,固定と同様の振動性状を示し,
変位制限装
鋼製ピンが破断した後には,すべり状態に移行
置に衝突
することを確認しました.
•大変形時には変位制限装置に衝突が生じてい
図-2 振動台実験概要
ます
ノックオフ前 ノックオフ後
40
相対変位 (mm)
振動特性の把握
0
-20
すべり支承+変位制限装置
すべり支承+ノックオフ+変位制限
固定支承
時刻 (s)
2
4
6
8
-40
0
実験結果
解析①
解析②
40
20
0
-20
実験結果
解析①
解析②
40
0
-40
時刻(sec)
-40
-80
2
2.5
3
3.5
4
4.5
5
0
δ
図-4 ノックオフ部材 モデル化の検討
・すべり支承
15
0m
(50
m×
3径
間
)
0.008
K1
・ノックオフ部材
摩擦力
P
水平力
P
P y K2
変位
K1
δ
・変位制限装置
0.004
0.002
水平力
K2
P
P cr
K1
変位
δ
0
Ⅰ-1
K 1 変位
遊間u δ
Ⅰ-3
図-6 高架橋モデル 支承条件概要
Ⅰ-2
Ⅰ-3
TYPE2
E軸T1-1-3
HDR軸T1-1-3
PTFE軸T1-1-3
周期依存
性大
依存性小
0.1
・PTFEは,HDRと同程度に耐震性向上
に有用であるといえます.
Ⅰ-1
(a) 橋脚の発生曲率
14
12
10
8
6
4
2
0
応答加速度スペクトル/
入力加速度スペクトル
支承:バネ要素
基礎:線形バネ要素
Ⅰ-2
TYPE1
橋脚柱部材:非線形M-φ要素
上部工:線形梁要素
E
HDR
PTFE
0.006
変位
δ
発生曲率(1/m)
HDR
FIX
E
長
ダッシュポット
水平力
P Py
K2
すべり支承
SUS
PTFE
橋
変位
δ
時刻(sec)
15
図-5 変位制限装置モデル化の検討
高減衰積層ゴム支承
K1
10
実験結果 反発係数e≒0.55
解析①:バネのみ
解析②:反発係数に相当する
減衰項:
減衰項をモデル化
マス
解析①:最大荷重にて破断
解析②:最大荷重後の破断
までの靱性を再現 バネ
水平力
P
5
解析① 解析②
P
分散支承
・高架橋を対象に支承条件を変えた動的
解析を実施し,提案する支承構造(すべり
支承+ノックオフ部材+変位制限装置)を有
する橋梁の適用性について検討しました.
80
相対変位(mm)
ノックオフのタイミング
が実験と一致
ノックオフ部材を活用した橋梁の適用性の検討
・PTFEでは橋脚の発生曲率はHDRより
小さく,周期依存性が低いことが確認でき
ました.
変位制限装置に衝突
図-3 振動台実験結果
•提案する支承構造では,ノックオフ前後や衝突時等イ
ベント毎に剛性が急変します.バネ・マス・ダッシュポッ
トを用いて上記実験の再現解析を行いました.
•ノックオフ部材は,最大荷重後の破断までの靱性を正
確に再現することにより,解析の再現性が向上すること
が確認できました.
•変位制限装置は,反発係数による減衰をダッシュポッ
トにて簡易的にモデル化することにより,解析の再現性
が向上することが確認できました.
・支承条件は下記を対象としています.①
分散支承(E)や②免震支承(HDR),③提
案する支承構造(PTFE).
青 ≒ 赤
青≒黒
20
解析の再現性の検証
相対変位(mm)
Using Knock-off
New Roman
Bridge Design14pt_Time
Members
Study on
タイトル(英語)
→従来形式の支承との比較,最適形状の検討
1
周期(s)
10
(b) 周期依存性について
図-7 各支承条件の解析結果の比較
参考文献
すべり系支承を用いた地震時遮断機構を有する橋梁の免震設計法マニュアル(案),(独)土木研究所, 2006.10