はじめに - 東京工業大学 大学院社会理工学研究科社会工学専攻

はじめに
これが、おそらく最後の梗概集になります。
東京工業大学の教育改革にともなう組織改編で、社会工学専攻および社会工学科は 50
年の歴史を閉じることとなりました。学士課程にあっては 2016 年度の入科生、修士・博士
課程にあっては 2015 年度の入学生の卒業・修了時点を以て、専攻および学科としての使命
を終えます。
そうした大きな組織改編を目前に、日々積み重ねてきた授業も、あるいは身になじんだ
学事日程も、ひとつひとつ今年でもう終わってしまうのかという、一抹の寂しさとともに
年度を終えようとしています。
けれども、よくよく思いを巡らせてみれば、「これが最後」という感懐は大学に籍を置
く教職員だけのものであって、大学を通過点とする学生のみなさんにとっては、授業も研
究も、大学で経験する全てのことが、一生に一度限りの「これが最後」であるわけです。
そうした学生のみなさんにとっての一回限りの出会いにふさわしい授業内容や研究環境
を提供できているだろうか、変革を節目にそんな自省を心にとめつつ、これからの新しい
体制のなかで仕事をしてゆきたいと考えているところです。
年々歳々
花相い似たり
歳々年々
人同じからず
いや、花も人も、似ているだけで、同じものはひとつとして無いということなのでしょ
う。
学士課程 44 名、修士課程 26 名。桜花散り敷く大岡山キャンパスから送り出す 70 名のみ
なさまのこれからの人生に、たくさんの花が咲くことを願いつつ、母校もまた、新しい歩
みを始めます。
その出発点としての本梗概集に、お目通しいただければ幸いです。
2016 年春
社会工学専攻長
山室 恭子