窓口業務の民間委託に関する検討

資料1
窓口業務の民間委託に関する検討
平成28年3月16日
内閣府 公共サービス改革推進室
窓口業務における民間委託モデル自治体の選定結果
モデル自治体
官民競争入札等監理委員会・地方公共サービス小委員会の関与のもと、窓口業務における現状の
業務フロー・コストの調査・分析を行うとともに、当該分析を踏まえて作成された標準委託仕様書
等に基づく民間委託を試行する自治体
選定経緯
・「地方公共サービス小委員会」において募集について了承(平成27年12月3日)
・全市区町村に対して希望する検証対象業務と併せて募集を実施した結果、10自治体から応募有
(平成27年12月11日~平成28年1月29日)
・「地方公共サービス小委員会」においてモデル自治体8自治体を選定、検証対象業務4業務
(案)を
選定(平成28年2月24日)
人口規模別選定自治体数
(自治体名非公表)
5~10万人 1自治体
10~20万人 3自治体
20~50万人 3自治体
50万人以上
1自治体
※地域別内訳
関東3 関西3 中国2
検証対象業務(案)
○住民基本台帳関連業務
・住民異動届
○マイナンバー関連業務
・個人番号カード等の交付
・個人番号カード等の券面変更
・住民票の写し等の交付
等
・戸籍の附表の写しの交付
○国民健康保険関連業務
○戸籍関連業務
・各種届出書・申請書の受付
・戸籍等抄本等の交付
及び被保険者証等の交付 等
・戸籍の届出
2
地方公共団体における民間委託の推進に関する調査
調査概要
地方公共団体における民間委託の実施状況やメリット・課題を把握するため、全市区町村(1,741市区町
村)に「地域の公共サービスに関するアンケート調査」を実施した。
・調査期間:平成27年8月~9月 ・調査方法:電子メールおよびヒアリング(民間事業者を含む)
・回答自治体数:1,352市区町村(回答率約77.7%)
窓口25業務(※)の民間委託の実施状況
住民異動届
7%
7%
住民票の写し等の交付
1%
15%
12%
戸籍の附票の写しの交付
8%
11%
戸籍の届出
4%
戸籍謄抄本等の交付
中長期在留者に係る住居地の届出
3%
6%
印鑑登録
0%
5%
埋葬、火葬許可
5%
納税証明書の交付
7%
6%
65%
15%
77%
78%
1%
71%
14%
0%
5%
4%
1%
8%
7%
国民健康保険関係の受付、交付
65%
73%
15%
11%
住居表示証明書の交付
14%
14%
0%
7%
印鑑登録証明書の交付
64%
17%
8%
6%
1%
15%
1%
1%
11%
特別永住許可等に関する受付、交付
71%
1%
8%
6%
※平成27年6月4日付け内閣府通知掲載の業務
1%
65%
14%
76%
13%
0%
77%
13%
5%
1%
5% 0%
75%
12%
82%
10%
後期高齢者医療制度関係の受付、交付
3%
4% 0%
9%
83%
介護保険関係の受付、交付
3%
5% 0%
9%
84%
国民年金関係の受付
2%
児童手当関係の受付
4% 0%
3%
精神障害者保健福祉手帳の交付
3% 0%
1% 3%0%
83%
11%
85%
8%
8%
88%
身体障害者手帳の交付
1%3%0%
8%
89%
療育手帳の交付
1%3%0%
8%
89%
妊娠届の受付、母子健康手帳の交付
2% 2%0%
飼い犬の登録
87%
8%
18%
狂犬病予防注射済票の交付
2%0%
21%
自動車臨時運行許可
5%
転入(転居)者への転入学期日…
2% 2%0%
0%
1. 実施している
5%
0%
72%
7%
2%0%
70%
6%
80%
9%
87%
8%
10%
20%
2. 実施に向けて準備、検討している
30%
40%
50%
3. 以前は実施していたが、現在は実施していない
60%
70%
4. 検討した結果、実施しないこととした
80%
90%
3
5. 検討したことがない
100%
地方公共団体における民間委託の推進に関する調査
人口規模毎の委託実施状況(自治体数)
(住民票の交付業務)
人口規模毎の委託実施状況(回答割合)
(住民票の交付業務)
100.0%
300
90.0%
250
80.0%
70.0%
200
60.0%
50.0%
150
40.0%
100
30.0%
20.0%
50
10.0%
0
0.0%
0.5万未満0.5万以上 1万以上 2万以上 4万以上 8万以上 16万以上 32万以上
0.5万未満 0.5万以上 1万以上 2万以上 4万以上 8万以上 16万以上 32万以上
実施している
検討している
実施している
検討している
実施後打ち切った
検討後実施しないこことした
実施後打ち切った
検討後実施しないこことした
検討したことがない
検討したことがない
4
地方公共団体における民間委託の推進に関する調査
窓口25業務毎の民間活用におけるメリット(上位3項目)
業務
1位
2位
窓口25業務毎の民間委託導入時の課題(上位3項目)
3位
業務
1位
2位
3位
住民異動届
定員削減・配置転換
77.8% 事務量増大への対応
53.5% 接遇向上
36.8%
住民異動届
個人情報の取扱い
55.4% 経費削減効果がない
38.7% 業務の切り分けが困難
36.9%
住民票の写し等の交付
定員削減・配置転換
69.8% 事務量増大への対応
45.8% 接遇向上
33.0%
住民票の写し等の交付
個人情報の取扱い
55.1% 経費削減効果がない
39.6% 業務の切り分けが困難
32.9%
戸籍の附票の写しの交付
定員削減・配置転換
72.0% 事務量増大への対応
47.4% 接遇向上
34.7%
戸籍の附票の写しの交付
個人情報の取扱い
55.6% 経費削減効果がない
38.9% 業務の切り分けが困難
33.3%
戸籍の届出
定員削減・配置転換
72.6% 事務量増大への対応
49.6% 接遇向上
34.1%
戸籍の届出
個人情報の取扱い
56.3% 経費削減効果がない
39.4% 業務の切り分けが困難
38.4%
戸籍謄抄本等の交付
定員削減・配置転換
71.9% 事務量増大への対応
48.3% 接遇向上
34.8%
戸籍謄抄本等の交付
個人情報の取扱い
55.9% 経費削減効果がない
39.0% 業務の切り分けが困難
34.2%
中長期在留者に係る住居地の届出
定員削減・配置転換
80.3% 事務量増大への対応
49.6% 接遇向上
39.3%
中長期在留者に係る住居地の届出
個人情報の取扱い
54.3% 経費削減効果がない
39.4% 業務の切り分けが困難
35.4%
特別永住許可等に関する受付、交付
定員削減・配置転換
79.2% 事務量増大への対応
47.9% 接遇向上
38.5%
特別永住許可等に関する受付、交付
個人情報の取扱い
53.9% 経費削減効果がない
39.5% 業務の切り分けが困難
35.3%
印鑑登録
定員削減・配置転換
79.4% 事務量増大への対応
53.1% 接遇向上
38.7%
印鑑登録
個人情報の取扱い
52.7% 経費削減効果がない
37.1% 業務の切り分けが困難
32.7%
印鑑登録証明書の交付
定員削減・配置転換
70.5% 事務量増大への対応
45.7% 接遇向上 混雑緩和
33.1%
印鑑登録証明書の交付
個人情報の取扱い
53.9% 経費削減効果がない
39.5% 業務の切り分けが困難
32.0%
住居表示証明書の交付
定員削減・配置転換
78.9% 事務量増大への対応
54.2% 接遇向上
40.1%
住居表示証明書の交付
個人情報の取扱い
46.6% 経費削減効果がない
38.2% 業務の切り分けが困難
27.5%
埋葬、火葬許可
定員削減・配置転換
68.4% 事務量増大への対応
43.6% 接遇向上
36.8%
埋葬、火葬許可
個人情報の取扱い
52.9% 経費削減効果がない
39.4% 業務の切り分けが困難
34.5%
納税証明書の交付
定員削減・配置転換
71.3% 事務量増大への対応
46.1% 接遇向上
41.9%
納税証明書の交付
個人情報の取扱い
58.8% 経費削減効果がない
44.0% 業務の切り分けが困難
28.7%
国民健康保険関係の受付、交付
定員削減・配置転換
79.7% 事務量増大への対応
58.5% 接遇向上
39.0%
国民健康保険関係の受付、交付
個人情報の取扱い
58.8% 経費削減効果がない
38.6% 業務の切り分けが困難
35.6%
後期高齢者医療制度関係の受付、交付 定員削減・配置転換
81.4% 事務量増大への対応
62.9% 接遇向上
39.2%
後期高齢者医療制度関係の受付、交付 個人情報の取扱い
58.5% 経費削減効果がない
38.2% 業務の切り分けが困難
35.5%
介護保険関係の受付、交付
定員削減・配置転換
77.2% 事務量増大への対応
59.4% 接遇向上
36.6%
介護保険関係の受付、交付
個人情報の取扱い
60.3% 経費削減効果がない
39.3% 業務の切り分けが困難
34.2%
国民年金関係の受付
定員削減・配置転換
88.0% 事務量増大への対応
51.1% 接遇向上
38.0%
国民年金関係の受付
個人情報の取扱い
58.1% 経費削減効果がない
38.2% 業務の切り分けが困難
34.3%
児童手当関係の受付
事務量増大への対応
73.6% 定員削減・配置転換
62.6% 接遇向上
34.1%
児童手当関係の受付
個人情報の取扱い
60.0% 経費削減効果がない
40.0% 業務の切り分けが困難
32.1%
精神障害者保健福祉手帳の交付
定員削減・配置転換
73.9% 事務量増大への対応
60.9% 接遇向上
39.1%
精神障害者保健福祉手帳の交付
個人情報の取扱い
63.8% 経費削減効果がない
40.2% 業務の切り分けが困難
35.8%
身体障害者手帳の交付
定員削減・配置転換
72.7% 事務量増大への対応
59.1% 接遇向上
36.4%
身体障害者手帳の交付
個人情報の取扱い
63.6% 経費削減効果がない
40.1% 業務の切り分けが困難
35.7%
療育手帳の交付
定員削減・配置転換
62.8% 事務量増大への対応
58.1% 接遇向上
37.2%
療育手帳の交付
個人情報の取扱い
63.4% 経費削減効果がない
39.9% 業務の切り分けが困難
35.4%
妊娠届の受付、母子健康手帳の交付
定員削減・配置転換
77.9% 事務量増大への対応
51.5% 接遇向上
36.8%
妊娠届の受付、母子健康手帳の交付
個人情報の取扱い
60.8% 経費削減効果がない
40.5% 業務の切り分けが困難
32.0%
飼い犬の登録
事務量増大への対応
50.9% 混雑緩和
37.4% 接遇向上
27.8%
飼い犬の登録
受託できる事業者が見込めない
45.0% 経費削減効果がない
42.1% 個人情報の取扱い
41.2%
狂犬病予防注射済票の交付
事務量増大への対応
49.7% 混雑緩和
35.1% 接遇向上
29.5%
狂犬病予防注射済票の交付
経費削減効果がない
41.2% 個人情報の取扱い
40.5% 受託できる事業者が見込めない
23.9%
自動車臨時運行許可
定員削減・配置転換
80.2% 事務量増大への対応
48.9% 接遇向上
38.9%
自動車臨時運行許可
経費削減効果がない
41.8% 個人情報の取扱い
37.0% 業務の切り分けが困難
23.6%
転入(転居)者への転入学期日及び就学すべき小中学校の通知
定員削減・配置転換
83.3% 事務量増大への対応
51.5% 接遇向上
51.5%
転入(転居)者への転入学期日及び就学すべき小中学校の通知
個人情報の取扱い
54.5% 経費削減効果がない
46.1% 業務の切り分けが困難
27.0%
【選択肢】
1.職員の定員削減・配置転換 2.人件費以外の経費削減 3.事務量の増大への対応
4.休日や夜間など開庁時間の拡大 5.住民への接遇の向上 6.窓口の混雑緩和 7.その他
【選択肢】
1.経費削減効果が見込めない 2.個人情報の取扱いに課題がある 3.待ち時間が長くなる 4.住民への接遇が低下
する 5.制度上、職員が行うこととされている業務との切り分けが困難である 6.労働者派遣法(偽装請負等)と
の関係で業務フローが複雑になる 7.職員のOJTの機会が減り、ノウハウが蓄積されない 8.窓口が縦割りになる
9.受託できる事業者が見込めない 10.特になし 11.その他
5
地方公共団体における民間委託の推進に関する調査
住民票の写し等の交付に関する実施・検討状況別の
民間活用におけるメリット
16%
経費削減効果がない
63%
定員削減・配置転換
住民票の写し等の交付に関する実施・検討状況別の
民間活用を実施するにあたっての課題
75%
81%
5%
人件費以外の経費削減
26%
個人情報の取扱い
6%
待ち時間の増加
9%
13%
2%
3%
4%
接遇の低下
43%
事務量増大への対応
50%
開庁時間拡大
19%
4%
受託できる事業者が見込めない
34%
31%
特になし
0%
1%
13%
その他(自由記載)
0%
10%
20%
8%
6%
4%
実施に向け準備・検討している
40%
50%
60%
70%
80%
90%
16%
27%
7%
4%
17%
0%
0%
30%
44%
20%
5%
18%
13%
13%
その他(自由記載)
38%
27%
56%
8%
13%
6%
11%
9%
窓口が縦割りになる
0%
44%
45%
32%
19%
接遇向上
38%
21%
職員にノウハウが蓄積されない
35%
34%
35%
22%
11%
0%
61%
6%
7%
6%
労働者派遣法との関係
混雑緩和
46%
44%
44%
32%
13%
17%
56%
10%
13%
8%
業務の切り分けが困難
25%
実施している
38%
38%
38%
8%
10%
実施している
以前は実施していたが、現在は実施していない
検討したことがない
20%
30%
40%
50%
60%
実施に向け準備・検討している
検討した結果、実施しないこととした
以前は実施していたが、現在は実施していない
6
70%
地方公共団体における民間委託の推進に関する調査
アンケートの分析や地方公共団体・民間事業者へのヒアリングを通じて明らかになった課題認識等
(1)職員削減や配置転換、事務量増大に対する効果
・自治体は職員の削減により不足した人員の代替として民間委託を実施している傾向がある。
・経費削減効果については、本庁窓口のみまたは出張所のみで効果を上げている場合や、効果は
表れていないが人手不足が先行し民間委託せざるを得ない等、各自治体で様々である。
・民間委託の検討に際しては、非常勤職員や臨時職員などの直接雇用、労働者派遣契約などの選
択肢とともに、直接経費の他、労務管理や研修など間接経費を含めて試算する必要がある。
(2)価格と質の二面性
・民間委託により「接客サービスの向上」や「混雑緩和」等の効果がある一方、過剰な価格競争
により業務の質の確保が難しくなることを自治体・民間事業者ともに懸念している。
・業務の質を担保するため、仕様書や事業者選定基準によって要求する質の水準の明確化や、価
格と質の両面で正当な評価をする必要がある。
(3)委託可能範囲の明確化
・窓口業務における民間委託可能な範囲については、内閣府通知および各所管府省通知で示され
ているが、民間委託の実施準備段階ではいまだに業務の切り分けに自治体が苦慮している現状
があり、さらなる明確化が必要である。
・民間委託の実施に当たり必要な仕様書や業務マニュアル等の作成が人的・財政的に困難なた
め、民間委託を躊躇する自治体も一定数存在する。
7
地方公共団体における民間委託の推進に関する調査
(4)個人情報の取扱について
・民間委託に慎重な自治体は個人情報の取扱いを懸念している一方、既に民間委託を実施してい
る自治体は①事業者選定の工夫②運用時の工夫③罰則規定等の設置等によりリスクを軽減して
いる。
・これらの優良事例についても国の標準委託仕様書等によって例示することが望ましい。
(5)偽装請負について
・発注者が民間事業者の労働者を指揮命令する等の労働者派遣法違反(偽装請負)については、
特に留意が必要である。
・自治体においても業務スペースや休憩スペースに仕切りを設け、制服の着用を義務付けるなど
の工夫を行っている。
・逆に十分な業務スペースを設けられないと、委託者・受託者が同じ空間で業務を行うことで偽
装請負を疑われる可能性が高まり、民間委託の実施への障壁となっている。
(6)民間事業者や第三者の意見反映
・自治体はノウハウのない事業者に委託することを不安に感じている一方で、民間事業者は仕様
書等の公開情報から業務の量・質が読み取れないことや、業務の規模や年数によっては投資が
回収できず参入の魅力がないと感じている。
・入札等の実施に際しては、意見募集や第三者委員会による審議を行い、業務内容の具体性や求
める水準、契約期間、引継期間等仕様書の内容を点検することで意見の不一致を解消すること
が有用である。
8