青森空港業務継続計画 Aomori Airport Business Continuity Plan 【概要版】 平成28年3月 青森県県土整備部港湾空港課 1.本計画の目的・意義 1.1.策定目的 • 青森空港BCPは、大規模災害時における青森空港が果たすべき役割を踏まえ、発 災後に迅速に空港運用体制を確保し、空港施設・機能を早期に復旧することを目的 に、関係者間で情報共有すべき計画を策定した。 1.2.BCP策定の意義 • BCPを策定することで、航空需要と空港の輸送能力との需給ギャップを埋めることが 可能となる。 1 1.本計画の目的・意義 1.3.果たすべき3つの役割 1. 情報収集、捜索救難、救急・救命活動等の災害対応活動にあたる航空機(主に回 転翼機)の活動拠点となる役割。 2. 被災地の復旧に必要な緊急物資・人員の空輸を支える役割。 3. 地域の社会・経済を維持する交通手段として、民間航空機の運航をできるだけ早期に 再開する役割。 1.4.青森空港BCP策定協議会 青森空港BCPは、有識者、行政関係者、空港・航空関連事業者等の地域の関係者等 の参画者からなる青森空港BCP策定協議会による協議を経て策定した。 ○第1回協議会 開催日:平成27年10月7日(水) 概 要:想定されるリスク要因、青森空港の防災拠点のあり方について ○第2回協議会 開催日:平成28年2月3日(水) 概 要:青森空港の被害想定、青森空港BCP(素案)について ○第3回協議会 開催日:平成28年3月16日(水) 概 要:青森空港BCP(案)について 2 2.青森空港の被害想定 2.1.業務継続に係る3つのリスク ① 地震 青森空港の施設・機能に最も被害をもたらすと考えられる地震は、内陸直下型の「青森湾西岸断 層帯」を震源とする地震であり、空港と震源の距離が近い場合は、最大で震度6強と想定される。 なお、太平洋側や日本海側のプレート境界型の地震のように、青森空港から震源が遠い地震の 場合には、地震の規模が大きく青森県内に大きな被害が発生しても、青森空港では空港施設の 被害は軽微であり、運用を継続できると考えられる。 ② 火山 青森県内の活火山は、津軽平野西縁の岩木山、県中央の八甲田山、下北半島の恐山、県南 部の十和田であり、いずれも噴火警戒レベルの対象火山となっていない。 青森空港に最も近接する活火山は、空港の南東約18kmにある八甲田山であり、八甲田山火 山防災協議会による数値シミュレーション結果によると、青森空港は1cm程度の降灰の影響を受 ける可能性がある。 ③ その他 青森空港は全国でも有数の豪雪地帯にある。常駐する除雪部隊は、基本施設等の除雪を40分 程度の短時間で実施する能力を有するが、降雪は災害時の初動対応に遅れが生じる可能性があ る。 回転翼機の多くは有視界飛行を行うため、降雪や夏のやませによる視界不良が長時間続く場合に は、青森空港は災害対応機の拠点としての機能を発揮できないリスクがある。 3 2.青森空港の被害想定 2.2.空港施設の被害想定 主な被害箇所 想定被害 滑走路 沢部の盛土区間の沈下により、滑走路の一部で縦断勾配が規定値を逸脱する。 取付誘導路 取付誘導路の一部で縦横断勾配が規定値を逸脱する。 平行誘導路 高盛土部の誘導路帯では法面の変状により不同沈下が発生する。 場周・保安道路 高盛土部では、法面の変状により、場周道路は通行不可となる区間が発生する。 場周柵 高盛土部では、法面の変状により、場周柵は倒壊する区間が発生する。 旅客ターミナルビル・駐車場 旅客ターミナルビル、立体駐車場付近の地盤面は不同沈下が発生する。 進入灯橋梁 地盤面の水平変位により、橋梁構造へ影響が及ぶ可能性がある。 (注)上記の被害想定は、青森空港に想定される最大の地震被害を示したものである。 4 3.復旧目標の設定 3.1.発災後に想定される航空需要 • 大規模地震発生後、青森空港には「救急・救命活動等」、「緊急物資・人員輸送活 動」、旅客輸送に従事する「民間航空運航再開」と段階的な航空需要を想定する。 主な航空活動/発災後 ∼1h ∼6h ∼12h ∼24h ∼48h ∼72h 72h∼ ① 航空機の避難 ② 偵察、捜索・救助等 ③ 広域医療搬送 ④ 緊急物資・人員輸送 発災から72時間以内の活動量が多い(主に回転翼機) 12時間以内開始より72時間程度まで 72時間以内に開始 ⑤ 民間航空運航再開 (注)南海トラフ地震における具体的な応急対応活動に関する計画(平成27年3月30日:中央防災会議幹事会)で想定しているタイムライン。 5 3.復旧目標の設定 3.2.航空活動の受入れ開始目標 • 大規模地震の発生により、青森空港の施設が被害を受けた場合、当面の対応として、救急・救 命活動等や緊急物資・人員等輸送活動に必要な機能を早期に回復することを目標とした基本 施設の復旧を行う。 ■航空活動の受入れ開始目標 救急・救命活動等 (偵察、捜索・救助) 緊急物資・人員等 輸送活動 民間航空機の 運航再開 発災後即 2日以内 できるだけ早期 活動開始目標 3.3.施設の復旧目標 • • 優先的に応急復旧を行う箇所は、滑走路、取付誘導路の一部であり、当該箇所の応急復旧は、 被災調査も含めて3日以内を目標とする。 ※滑走路長2000m確保に向けた応急復旧は、2日以内を目標とする。 (注)太平洋側や日本海側のプレート境界型の地震のように、青森空港から震源が遠い地震の場合には、地震の規 模が大きく青森県内に大きな被害が発生しても、青森空港では空港施設の被害は軽微であり、運用を継続で きると考えられる。 6 4.初動体制の確保 4.1.地震発生時の対応 1.地震発生時の対応 ①地震の安全の確保、②空港利用者等の安全確保、③空港管理事務所職員の参集 2.現地対策本部の設置 青森空港管理事務所長は、青森市で震度5以上の地震が発生し空港に大規模な被害が発生した場合及び その他災害の発生により必要とする場合に現地対策本部を設置する。 本部の設置場所は管理事務所とし、事態の規模等に応じ、所長は必要に応じて現場指揮所を設置する。 3.関係機関との連絡体制の確保 4.災害情報等の報告 青森空港管理事務所長は、震度4以上の地震が発生した場合には災害情報等を収集し、港湾空港課長に 「第1報」として状況を報告する。 空港内の関係機関は、各々の人的被害の状況、施設被害の状況について、出来るだけ速やかに空港管理事 務所(現地対策本部)に報告する。 5.応援要請 現地対策本部長は、必要に応じて県土整備部港湾空港課に応援要員の派遣を依頼する。 6.資機材等の準備 7 4.初動体制の確保 4.2.多様な航空活動に対する体制の確保 • • 青森県災害対策本部には、消防、警察、自衛隊、海上保安庁等に関係機関のリエゾン(災害 対策現地情報連絡員)やDMAT(災害派遣医療チーム)が派遣され、青森空港には複数の 関係機関の航空部隊やドクターヘリが飛来する。 多様な航空機の運用調整にあたり、県災害対策本部では連絡調整部(航空機運用調整)に おいて航空全体の運用調整を行い、現地対策本部と連絡・調整を行う。 <現地対策本部の構成> <航空活動に係る連絡・調整> 8 4.初動体制の確保 4.3.関係機関の役割分担 国 空港管理 東京航空 事務所 局等 海上保安 庁 地方公共団体等 自衛隊 青森県 青森市 警察機関 消防機関 空港内事業者 医療機関 DMAT 空港ビル 給油 空港消防 航空会社 空港警備 駐車場等 アクセス 事業者 ライフライ 復旧工事 ン 事業者 初動対応 空港内利用者等の安全確保、避難誘導 青森空港現地対策本部の設置、運営 空港施設・機能等の緊急点検 広域の被害状況の収集 救急救命、緊急物資・人員輸送活動への対応 滑走路、取り付け誘導路等の応急復旧 応急復旧工事の資機材、燃料等の確保 災害対応機への給油、航空機燃料の確保 DMAT活動支援(受入れ) DMAT活動支援(搬送) 活動項目別に、主体となる機関を定め計画した。 SCU(航空搬送拠点臨時医療施設)の設置 広域医療搬送(空港内患者搬送含む) 緊急物資・人員輸送活動 民間航空の運航再開への対応 空港のセキュリティの確保 航空保安施設の機能の確保 空港ビル等の旅客利便性・安全性の確保 空港アクセス道路・駐車場の確保 空港アクセス手段の確保 空港旅客サービス業務環境の確保 地上支援車両の確保 民間航空機への給油、航空機燃料の確保 凡例:◎は主体となる機関 9 5.空港滞在者への対応 5.1.航空機の避難場所の確保 • 現地対策本部は関係機関と調整し、地震発生後、誘導路等から旅客ターミナルビルに引き返す 航空機に対し、当日のスポットの利用状況を踏まえ、駐機スポットを用意する。国際線については2 番スポット、国内線は3番から5番スポットを想定。 5.2.旅客等の一時避難場所の確保 • • 旅客ターミナルビル1階のチケットカウンター前、1階国内線到着ロビー、2階出発ロビーとし、原則 として制限区域外に確保する。 一時避難場所は、県内在住の方、県外在住の方、日本人以外の方などの避難者の属性により ゾーニングすることで、以降の避難者の対応し易いように工夫する。 5.3.災害備蓄品の提供 • 現地対策本部は、職員や空港滞在者へ支給する災害対策用品の必要性を判断し、必要に応じ て県対策本部を通じて手配する。 10 5.空港滞在者への対応 5.4.災害情報の収集と提供 • 現地対策本部は、関係機関と連携して大規模災害の被害の状況やアクセス手段の復旧見込み など、必要な情報を収集し、空港ビルや航空会社等の協力を得て、空港滞在者に提供する。 提供する情報等 大規模災害の被害状況発災後の状況の変化 航空機の運航再開見込み 青森空港と市内のアクセス手段 被災地内と被災地外の移動ルートに関する情報 空港滞在者の滞在場所や備品提供等に関する情報 インターネット、Eメールサービス 提供方法 館内設置のテレビ放送 紙媒体による館内掲示、館内放送、ホームページ 紙媒体による館内掲示、館内放送、ホームページ 紙媒体による館内掲示、ホームページ 紙媒体による館内掲示、館内放送 無線LAN、Wifi環境の確保 提供主体 青森空港ビル 青森空港ビル、航空会社 青森空港ビル、アクセス事業者 青森県 現地対策本部、青森空港ビル 青森空港ビル 5.5.外国人への対応 • 空港滞在者のなかには、外国人旅行者が含まれる可能性がある。現地対策本部は、航空会社、 空港ビル等に協力を要請し、通訳者の確保や外国文字による資料提供など、外国人に対する必 要な情報の提供に努める。 5.6.負傷者への対応 • • 傷病者が多数発生した場合には、現地災害対策本部は、空港ビルの協力を得て空港内に応急 救護所を設置し、青森県を通じDMATの派遣を依頼する。 DMATは、青森県DMAT調整本部の指示に基づき、傷病者への対応にあたる。 11 6.段階的な航空活動への対応 6.1.偵察、捜索・救助活動等に従事する航空活動への対応 • • • 青森県災害対策本部や、消防・警察、海上保安庁、自衛隊、報道機等の災害活動主体からの 要請に基づき、災害対応機の活動場所を提供する。 地震発生後の平行誘導路の利用については、施設被害を点検し安全が確認された後に実施する。 ノースエプロンに駐機中の小型機は、所有者らの協力を得て格納庫内へ移動するなど災害対応の 活動スペース確保に協力を頂く。 6.2.救急・救命活動等への対応 • • • • 青森空港では、青森県災害対策本部からの要請に基づき、DMAT空路参集に係る自衛隊機等 のスポットの手配、空港内SCU設置場所や資機材の提供などの対応が求められる。 青森空港SCUの設置場所は、季節や天候に応じて空港ビル1階の国際線手荷物受取所又は消 防車庫(救急医療資機材搬送車庫含む)とする。 広域医療搬送の基本的な流れは、対象者が県内の災害拠点病院等から救急車両や回転翼機 で青森空港SCUへ搬送され、安定化処置を施された後に自衛隊の輸送機等で被災地外のSCU に搬送される。 制限区域の管理は、青森空港ビル1階の国際線手荷物受取所にSCU(候補1)を設置す る場合は国際線手荷物検査場出口で行い、消防車庫(救急医療資器材搬送車庫含む)にS CU(候補2)を設置する場合は1番ゲートで行う。 6.3.緊急物資・人員輸送活動への対応 • 青森県災害対策本部からの要請に基づき、緊急物資・人員輸送を行う自衛隊機等の災害対応 機のスポットの手配、空港内における支援物資の一時保管場所や資機材の提供など、活動を支 援する。 12 6.段階的な航空活動への対応 6.4.民間航空機の運航再開に向けた対応 • • 発災後、民間航空機の運航は見合わせになることが想定される。空港施設の安全性や空港アク セス等の必要な条件が確保され、民間航空機の運航再開の環境が整った場合には、2番、3番ス ポットを使用して運航を再開する。ただし、発災当初は災害対応機の運航を優先する。 青森空港の施設が大きな被害を受けた場合には、被害状況を踏まえた早期復旧計画を検討し、 出来るだけ早期に運航再開する観点からは、はじめは昼間時間帯における臨時便が運航可能な 施設の応急復旧を目指す。 ■施設被害と早期運航再開に向けた対応事項 被害を受ける主な施設・機能 内陸直下型地震において可能性のある被害 早期運航再開に向けた対応事項 滑走路 滑走路の一部が沈下。 応急復旧工事 誘導路 エプロンとの取付誘導路の一部が沈下 応急復旧工事 ILS設備・機器の不具合 精密進入以外の進入 地盤の変形に追従し、PAPIや滑走路・誘導 路関連灯火、進入灯等に不具合 昼間のみ運航 進入角指示灯(PAPI)、滑走路末端灯の応急復旧 消火・救難体制 強震による建物、設備・機器の被害 使用機材に応じた消火能力を確保 セキュリティ機能 場周柵の倒壊が発生 立哨警備、カメラ等を用いたセキュリティの確保 強震及び不同沈下による建物・設備機器の 被害 強震及び不同沈下による建物・設備機器の 被害 強震及び不同沈下によるタンク、ラック、配管 等の設備・機器の被害 ターミナルビルの一部供用、最低限の安全性・利便性を確保 ターミナルビルが使用不可の場合はプレハブ等の簡易ターミナルを検討 平面駐車場の利用 バスアクセスの確保 航空無線施設 航空灯火 旅客ターミナルビル 立体駐車場 給油機能 車両による航空機燃料の確保 13 7.早期復旧計画 7.1.空港施設の被害状況の点検・確認 • • 青森空港で想定される最大の地震動(青森湾西岸断層帯の地震)に対する検討結果より、青 森空港の被害の範囲は、いずれも旧沢部の盛土区間に位置しており、不同沈下が生じる可能性 が高い範囲である。 したがって、大規模地震発生時には特に当該範囲に留意し点検を行うものとする。点検は、「青森 空港管理業務処理要領」及び「青森空港飛行場面点検要領」に準じ実施する。 7.2.被害施設の応急復旧計画 • • • 早期復旧計画においては、2日以内に緊急物資・人員等輸送活動に必要な機能を回復すること を目標として、基本施設の応急復旧工事を行う。 応急復旧範囲は滑走路(2箇所)と取付誘導路の合計3箇所を想定する。 盛土崩壊に伴い誘導路帯の一部や場周道路。場周柵の被害が想定される範囲は、すべり破壊 を起こした土塊を除去し盛土を再構築する必要があるため、本復旧によるものとした。 7.3.補修工法と応急復旧工程 • • • 滑走路と取付誘導路の被害は勾配の逸脱、ひび割れの発生が想定されるため、応急復旧はオー バーレイ工法、注入工法(シーリング工法)により計画する。 なお、舗装表面の平坦性と舗装下部に発生した空洞への対応をより優先して実施する。 応急復旧に投入可能な人員と作業時間によって状況は異なるが、1日目に被災調査を実施し、 滑走路と誘導路の工事に4班を投入できれば、その後2日間で滑走路と誘導路の応急復旧が可 能である。 14 8.バックアップ体制 8.1.周辺空港との連携 • • 地震災害等により、滑走路等の基本施設が被害を受け固定翼機の運航が出来ない場合や、回 転翼機の運航に支障のある気象条件であり天候回復が見込めない場合など、青森空港において 災害対応活動が直ぐに開始出来ない場合には、周辺空港との連携を検討する。 青森県災害対策本部は、県内被害の状況、周辺空港の状況、被災地への災害対応機等の需 要等を総合的に勘案し、周辺空港の役割分担について関係機関と協議し協力を要請する。 ■青森空港周辺に位置する空港の概要 空港内事業者等 ○事業者の被害状況を把握 青森空港現地対策本部 ○空港の施設被害等の状況を集約・整理 空港名 管理主体 滑走路長 旅客数 (26年度) 三沢飛行場 米軍 3050m 23.8万人 函館空港 国 3000m 171.9万人 北海道は応援調整県の第1位 大館能代空港 秋田県 2000m 12.0万人 秋田道は応援調整県の第2位 その他 その他 青森県内には、八戸航空隊基地(滑走長2250m)、大湊航空基地(滑走路長600m)が ある。 ■バックアップ空港の考え方(案) 青森県災害対策本部 ○関係機関と連絡調整し、災害対応活動の拠 点とする空港を総合的に判断 ○青森空港が固定翼機の離着陸が出来ないような被害を受けた場合 → 回転翼機の運航が可能であれば、青森空港は救急・救命活動等の拠点として利用。 → 緊急物資輸送の拠点を、三沢、八戸、大館能代の順に検討 → 民間航空機の運航再開を、三沢、函館、大館能代の順に検討 ○回転翼機が運航できない場合(悪天候が長時間継続すると予想される場合等) 周辺空港の役割分担について協力を要請 <バックアップ空港検討の流れ> → 青森空港は、民間航空機の受入れを担うことを検討。 → 救急・救命活動等は、三沢、八戸、函館、大館能代等の活動拠点を検討 → 緊急物資輸送の拠点を、三沢、八戸、大館能代の順に検討 15 8.バックアップ体制 8.2.航空機燃料等の確保 ■災害対応機の燃料確保 • • • 主に青森県防災航空隊や青森県警察航空隊などの航空機に給油を行っている給油会社は、災害対応機への 航空機燃料の提供を行う。 災害対応機が多数飛来すると、航空機燃料が不足する恐れがあることから、石油元売りに対し燃料確保に向け た行動をとる。 現地対策本部は給油会社による燃料調達の状況を把握し、青森県災害対策本部に報告する。青森県対策 本部は、必要に応じて国に燃料確保の要請を行う。 ■民間航空機の燃料確保 • • 民間航空機用の航空機燃料は、燃料タンクにより4日から5日分程度のストックがある。 主に民間航空機に給油を行っている給油会社は、石油調達の動向について情報を収集する。また、地震災害に より油槽所が被害をうけ、調達に時間がかり燃料の枯渇が予想されるときには、必要に応じて航空会社にタンカリ ングを要請する。 8.3.電源の確保 • • • 青森空港への送電が止まった場合には、主な施設では非常用電源が機能する。 非常用発電機のための燃料も貯蔵されているが、非常用発電機で稼働できる電気設備は限られており、また連 続運転が可能な時間は2日から3日程度である。 空港施設の管理者は、商用電源の供給が遅れるようであれば、非常用発電の燃料を調達する必要がある。 16 9.行動計画 行動計画は、災害対応活動のタイムラインに沿って、青森空港の現地対策本部の主たる構成要員であ る連絡班、現場班、情報収集班の行動や、関係機関等と連絡・調整が必要な事項を整理した。 地震発生時の対応 □自身の安全確保 □家族の安否確認 □空港利用者等の安全確保 ■行動計画 初動体制の確保 □職員の参集状況、安否確認 □基礎的な情報の収集 □現地対策本部の設置 □被害状況等の報告 □応援要請 □空港内滞在者の避難 □負傷者への対応 滑走路が直ぐに 利用可能な場合 航空会社 空港ビル 情報取集班行動計画 今後の対応方針を検討 □県災害対策本部、関係機関と連絡・調整 救急・救命活動等への対応 □災害対応機等受入れ対応 □DMAT受入れ対応 □青森空港SCU設置・運営への協力 滑走路が直ぐに 利用できない場合 救急・救命活動等への対応 □災害対応機等受入れ対応 □DMAT受入れ対応(回転翼機のみ) □青森空港SCU設置・運営への協力 現場班行動計画 連絡班行動計画 現地対策本部長 行動計画 空港施設の応急復旧への対応 緊急物資・人員輸送等への対応 □輸送機等受入れ対応 □物資一時保管場所の確保 □物資積替え、トラック輸送への対応 □空港施設被害の詳細調査 □被害状況の把握(関係機関含む) □復旧範囲、優先順位の決定 □応急復旧計画の検討 □復旧目標を決定 民間航空輸送再開への対応 □セキュリティの確保 □空港消防能力の確保 □航空会社の運航体制の確保 □空港ビル等の旅客利便施設の確保 □空港アクセスの確保 <大規模地震発生後の現地対策本部の行動計画> 17 10.教育・訓練 災害が発生した時に、被害状況に応じて柔軟かつ迅速に対応するためには、青森空港BCPの関係者に、 青森空港BCPの必要性、青森空港施設に想定される被害、段階的な航空活動への対応方法、関係 者の役割・活動、ボトルネック事項等について、認識や理解を深める教育を行うとともに、さらに訓練を定 期的に実施する必要がある。 青森空港では、これまでにも災害等を対象とした訓練を毎年実施していることから、これらの訓練に新たな 訓練項目を加えたり、関係機関等と合同で実施する訓練に参加するなど、計画的な訓練の実施に努め るものとする。 <教育・訓練の例> 青森空港BCP の見直し □動員訓練(初動体制の確立、発災時期、時刻による行動シ Action Plan Check Do 青森空港BCP の策定 ナリオ) □情報連絡訓練(指揮命令事項の伝達) □空港施設等の被害状況確認訓練(情報収集・整理) □応援ヘリの受入れ訓練(臨時スポットの設定、臨時スポットを ボトルネック や課題点の整理 青森空港BCP 教育・訓練の実施等 活用した訓練) □SCU設置、広域医療搬送訓練(消防車庫、国際線旅客取 扱施設における設置訓練) □自衛隊機等の輸送機の受入れ訓練(物資荷卸し、積込み訓 練) □早期復旧訓練(被害想定に基づく復旧範囲の設定、段階的 な応急復旧方法の検討) □青森空港BCPや各種マニュアル等の熟知、検証 <BCPの管理> 青森空港BCPの管理は、計画をより効果的に運用するため、業 務マネジメント手法のひとつであるPDCAサイクルに基づき管理する ものとする。 青森空港BCP協議会を定期的に開催し、空港を取り巻く状況の 変化、ボトルネック事項への対応状況、訓練実施による評価を行 うとともに、関係機関等の計画との整合性に留意し、青森空港 BCPを継続的に見直し改善することにより、本計画の効果的な運 用を行うものとする。 18
© Copyright 2024 ExpyDoc