学校法人 奈良育英学園 奈良育英小学校 導入事例

学校法人 奈良育英学園 奈良育英小学校
創立60周年を迎える奈良の名門校が
タブレット端末を使ったICT教育で
問題発見解決型の先進的な授業を展開
導入の狙い
ICT教育を強化したい
「問題発見解決型」の学習スタイルを
確立したい
タブレット端末を効果的に活用したい
導入システム
タブレット端末『iPad Air』
電子黒板『BIG PAD
(80インチ)』
無線LANアクセスポイント
(アルバネットワークス社製品)
導入効果
子どもたちがすぐにデジタル機器の
使い方を覚えた
相手に伝わりやすい研究発表ができ
るようになった
子どもたちの創造力を養う授業が行
えるようになった
「育英誓願」の教育理念のもと、
「問題発見解決型」の学習スタイルを確立するためICT教育を強化している
学校法人 奈良育英学園 奈良育英小学校は、2016年に創立60周年を迎える名門
校である。同校では、ICTを活用した21世紀型のグローバル教育を積極的に推進
しており、その一環として、校内に無線LANアクセスポイントを設置、タブレット端
末『iPad Air』や電子黒板『BIG PAD(80インチ)』を使った先進的な授業を行っ
— U S E R P R O F I L E ———————————————————
学校法人 奈良育英学園 奈良育英小学校
●業種:教育
ている。その狙いは、
「問題発見解決型」の学習スタイルを確立することだ。導入し
てまだ1年目だが、
『iPad Air』
を効果的に活用することで、相手に伝わりやすい研
究発表が行えるようになるなど、すでに多くの効果をもたらしている。
●事業内容:小学校の運営
●教職員数:227名
(2014年3月末現在
奈良育英学園全体)
ICTを活用したグローバル教育を推進する学校法
人 奈良育英学園
2014年12月取材
断に人格を高めていくという誓いが記
他学年との交流を通して
支え合う子どもを育てる
されており、過去、現在、未来にわたっ
学校法人 奈良育英学園は、藤井
もともと、私立育英女学校を奈良市
高蔵・藤井ショウ夫妻によって1916
花芝町に開校したのが始まりで、その
年に創 立された。そ の 教 育 理 念は、
後、奈良市法蓮町に校舎を移し、現在
1946年に明文化された「育英誓願」
の奈良育英中学校・奈良育英高等学校
に集約されている。そこには、他者へ
(男女共学)へ発展。さらに奈良育英
て変わらない学園共通の指針である。
の誠実な敬愛の念と、ひたむきな向上
幼稚園、奈良育英小学校、育英西中学・
心を大切にして、常に勉学に励み、不
高等学校(女子)
を順次開校し、幼稚園
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学校法人 奈良育英学園 奈良育英小学校
から高等学校まで一貫して教育が行
力や創造力を養うことを目的に、タブ
える環境を整えている。
レット端末を使ったI C T教育にも力を
このうち、奈良育英小学校は、
「育
入れている。その狙いは、子どもたち
英誓願に従い、子どもたちの人間とし
が自ら問題点を見つけて解決策を導
ての本性を正しく伸ばし、自主創造の
き出す、
「問題発見解決型」の学習ス
能力と友愛協同の態度を育てること」
タイルを確立することだ。
を教育方針に掲げ、1956年に開校
された。以来、一人ひとりの個性を大
れる教育に努めてきた。2016年には
教育用アプリが豊富で
ウイルスに強いiPadを採用
奈良育英学園創立100周年、並びに
奈良育英学園の藤井理事長は、急速
奈良育英小学校創立60周年の大き
に進展するグローバル化に対応するた
な節目を迎える。それに伴い、2015
めに、以前からICTを活用した21世紀
年からカウントダウンイベントを実施
型のグローバル教育に熱心に取り組ん
する計画を立てている。
できた。具体的には、語学力と共に幅
まさに半世紀にわたって多くの子ど
広い教養や問題解決能力などの国際
もたちを育成してきた同校の大きな
的素養を身につけ、将来的に政治・経
切にしながら、自主性や創造力が培わ
特長は、学年の垣根を超えた縦のつな
済・法律・学術分野などで国際的に活躍
がりが強いこと。例えば、「支え合う子
できる人材の育成に力を注いでいる。
ども」をテーマに掲げ、1年生と6年生
その取り組みへとつなげていくた
が一緒に勉強や遊びをする機会を積
め、理事長が奈良育英小学校にタブ
極的に設けている。また、4・5・6年生
レット端末を導入してみてはどうかと
の子どもたちが一体となり、テーマご
提案し、それをきっかけにタブレット端
とにグループに分かれて行う奉仕活動
末を活用したICT教育の実践に着手す
「なかよしグループ」や文化活動「な
ることになった。
かよしクラブ」も活発に行われている。
まず、奈良育英学園で取引実績の
「ほかの学年の子どもたちと触れ合
あった大塚商会に相談し、タブレット端
うことで、人間関係の幅が広がります。
末としてiPadを導入する方針を固め
例えば、低学年の子どもたちは先輩の
た。その主な選定理由は、①教育用ア
行動を見習い、高学年の子どもたち
プリが充実していること、②ウイルス
は、もっとしっかりしなければと思うよ
に強いこと、③価格の変動が少ないこ
うになります。その相互作用がとても
との3点だった。
機能しています」と校長の東 誠司氏
例えば、i P a d用のアプリをダウン
は語る。
ロードできるApp Storeは、アプリを
その一方、今の子どもたちの多く
登録する際の審査基準が厳しいため、
は、何か分からないことがあっても、
ウイルスなどを忍ばせた悪意のある
自分でいろいろ調べて答えを見つけ
アプリが配布されるリスクが、ほかの
ようとしないという。しかし、それでは
タブレット端末に比べて圧倒的に低い
社会に出ても活躍することは難しい。
といわれている。
そのため、同校は、子どもたちの思考
また、ほかのタブレット端末は、購入
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校長
東 誠司氏
「大塚商会さんには、実際の授業のサポー
トにも入っていただきました。提案内容も
適切で的を外したことがありません。今後も
ICT教育を推進する良きパートナーとして、
双方にメリットのある良好な関係を維持して
いきたいです」
教頭 上田 照彦氏
「ICT教育は、単にPCのソフトを使いこなせ
るようにすることが目的ではありません。むし
ろ、ICTを使って自分の思いを相手に伝え
るスキルを磨くことが大切です。今回導入し
たiPadは、それを具現化する有効なツール
だと思います」
2016年には奈良育英学園創立100周
年、並びに奈良育英小学校創立60周年
の大きな節目を迎える。
する店舗などによって価格に大きな開
価格の変動が少ないので、予算が立
安全で快適に利用できる
無線LAN環境を校内に整備
てやすいというメリットもあった。
実際に全校の授業でiPadを活用し
さらに、教育用アプリが充実してい
ていくためには、無線LAN(Wi-Fi)
を
るため、実際の教育の現場で多くの活
利用できる環境を事前に整備しておく
用実績があることが選定の決め手と
必要がある。そのため、春休みを利用
なった。
して校内の数カ所に無線LANアクセス
「当時、Windows系のタブレット端
ポイントを設置する作業を実施した。
末はこれから立ち上がる段階で、iPad
「無線LANを利用する際には、電波
の方が、導入実績が断然に豊富です。
干渉やセキュリティ面を十分に考慮す
一歩も二歩も先を走っている状態でし
る必要があります。本校の立地環境
た」
と教頭の上田 照彦氏は語る。
のように、民家が密集している場所で
iPadの導入に先立ち、既にiPadを
の無線L A N設備は、電波強度とチャ
活用したI C T教育を実践している東
ネルの設計をしっかり行わないと失敗
京の先進校を視察。実際に行ってい
してしまう危険性があるため、特に注
る授業を見学しながら、自校で展開す
意しました。そうした情報を事前に伝
るiPadの活用イメージを膨らませて
えたうえで、大塚商会さんに校内で安
いった。そのうえで、全校の教員を集
心して無線L A Nが利用できる環境を
めて、iPadの活用方法などを紹介す
整備していただきました」と、全学年
るプレゼンテーションを実施し、iPad
で音楽と習字の授業を担当している
を授業に取り入れる目的などをあらた
越前 圭介氏は語る。
めて確認し合った。
さらに、子どもたちがiPadを使って
「最終的に目標に定めたのが、子ど
有害サイトにアクセスできないように、
もたちの創造力を伸ばすことです。そ
インターネットに接続するためのサー
のための有効なツールとして、iPadを
バーにフィルタリングソフトを導入す
授業中に子どもたちに使わせることに
るなど、万全なセキュリティ対策を施
したのです」
と東氏は語る。
した。そのうえで、iPadシリーズの新
その後、i P a dを使って具体的にど
世代である『iPad Air』を45台導入
のような授業を行えば効果が上がる
し、2014年4月から授業での活用を
のか、教科や学年ごとに分かれて教員
開始した。
同士で研修を重ねていった。
「子どもたちがi P a dを上手に使え
「まず、各教科でiPadを使って何が
るようになるか心配でしたが、もとも
できるのか、すべて洗い出しました。
とiPadは使いやすいこともあり、みん
その中から授業に使えそうなものを
な、すぐに覚えてしまいました。以前
選び、年間の授業計画を立てていきま
からスマートフォンなどを使っていた
した。さらに、教員自身がiPadのアプ
子どもたちが、ほかの子どもたちに自
きがあるが、iPadはどこで購入しても
教員
村上 雄一朗氏
「現在は主に研究発表用にiPadを活用し
ていますが、今後、鉛筆やノートと同じよう
に、iPadが授業の中で当たり前のように使
われるようになれば、もっと効率よく授業が
行え、子どもたちがいきいきと学習できるよ
うになると思います」
教員
越前 圭介氏
「今の子どもたちは、学習塾などの習い事
が多く、とても忙しいです。その中で、学校
生活をもっと充実させて、学校でしか学べな
いことをいろいろ教えていきたいです。iPad
を用いた創造力を養う授業は、その顕著な
例です」
リを使いこなせるように、何度も研修
発的に操作方法などを教えるようにな
を行いました」と6年生のクラス担任
り、1学期の中頃には、ほとんどの子
をしている村上 雄一朗氏は語る。
どもがiPadを使いこなせるようになっ
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学校法人 奈良育英学園 奈良育英小学校
たのです」
と村上氏は語る。
で、校内の風景写真を撮影し、それを
自分で作曲した音楽で表現する試み
思考力や創造力を伸ばす
さまざまな授業を展開
を行いました。特にやり方を教えなく
ても、自分たちで創意工夫をしながら
楽しんで曲づくりを行っています」と
同校では、子どもたちの思考力や
越前氏は語る。
創 造 力を伸ばすことを目 的に据え、
さらに 同 校 は 、2 0 1 4 年 7 月に
『iPad Air』のメリットを生かしたさま
シャープの電子黒板『BIG PAD(80
ざまな授業を展開している。
インチ)』を1台導入し、主に2年生の
例えば、以 前から1 年 生は毎 週 1
教室で使用している。これにより、大
時 間 、4・5 年 生は毎 週 2 時 間 、P C
型液晶ディスプレイに直接指で触れな
を使ったI C T 教 育を実 践し、5 年 生
がら、子どもたちの興味を引く効果的
からはP o w e r P o i n tを使った研究
な授業が行えるようになった。
発 表 などを 行って き た 。ところが 、
例えば、漢字の書き取りの問題を画
PowerPointで作成したプレゼン用
面に表示し、子どもたちに前に出てき
の資料に自分で撮影した写真を張り付
てもらい、電子黒板に直接手書きの漢
ける際に、その写真がどこのフォルダ
字を書く授業を行っている。
にあるのか分からなくなり、苦労して
「タブレット端末と同じように、子ど
いる子どもたちが多かったという。し
もが電子黒板に書いた漢字を指で拡
かし、
『iPad Air』を導入したことで、
大して、みんなで書き順を確認したり
研究発表の資料づくりが簡単に行える
できるので大変便利です。特に低学年
ようになったのだ。
の子どもたちには好評で、以前よりも
「iPadのアプリを使えば、写真のア
授業に集中して取り組むようになりま
イコンを押すだけで保存されている
した」
と上田氏は語る。
写真がすべて表示されます。その中か
『iPad Air』を授業で活用するよう
ら必要なものを選び、そのまま指で移
になってから、まだ1年足らずだが、既
動させるだけで簡単・直感的に写真を
に次の展開を視野に入れている。例え
張り付けられます。そのため、子ども
ば、算数はどこの国でも通用するので,
たちは便利になったと大変喜んでいま
今後は算数の授業でもiPadを用いた
す」
と村上氏は語る。
問題発見解決型のグローバル教育を
また、研究発表のテーマや見出しを
推進していく計画だ。
『i P a d A i r』で大きく表示したり、自
さらに、
「奈良は世界に誇れる文化
分で撮影したインタービュー動画を
の宝庫なので、世界180ヵ国の学校
流したりすることで表 現 力が格 段に
が参加しているユネスコスクールなど
アップ。以前よりも相手に伝わりやす
を通じて世界中の子どもたちと交流を
い効果的な研究発表が行えるように
図りながら、iPadを使って奈良の文化
なった。
を世界に発信していきたいです」と東
『 i P a d A i r 』は音楽の授業でも役
氏は今後の展開に大きな期待を寄せ
立っている。
「iPadには子どもたちで
ている。
iPadの充電設備は一度に全ての充電を
行え移動も自由だ
無線LANのアクセスポイントは、電波干渉やセキュリティ
面を十分に考慮したうえで、校内中に配置している
学校法人奈良育英学園 奈良育英小学校の
ホームページ
http://www.ikuei.ed.jp/ikuei-e/
も手軽に作曲ができるアプリがあるの
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・事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものであり、配付される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
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