Histoire et Architecture : Réhabilitation d`espace urbain en France

「物語と建築:
フランスの都市空間再生」
Histoire et Architecture :
Réhabilitation d'espace
urbain en France
千田勝 / フランス政府公認建築家。法政大学、
ロンドン AA スクールで学んだ後、渡仏し
L'Ecole Spéciale d'Architecture de Paris 卒業 。
現在フランスのブルターニュとパリを拠点に、
建築、リノベーション、都市計画、家具制作な
どの活動をしている。
@ Cinématic Architecture Tokyo / 25 juillet 2015
1)タイトル「物語と建築」の説明をしま
す。ここで「物語」と言っているのは、「都市
を解読し、既存空間を読み替え、地域の文化と
結びつけていく」ことを総称し物語と言ってい
て、フランス語で物語(Histoire)は、歴史と
いう意味もあり、歴史とは人間の作った物語で
あり、そんな都市の物語、 フランスの都市空
間再生について話し、ここはシネマティックな
ので、映像を交えながら進めて行きたいと思い
ます。
2)概念を話す前に、経歴をお話しさせてい
ただきますと、ロンドンやパリで建築を学び、
現在はフランスのブルターニュとパリを拠点に
建築の活動をしています。フランスは93年か
らで、20年以上になりますが、ロンドンで学
んだことが大きく影響していて、そこで話題に
なっていたシチュアシオニストの話しから始め
たいと思います。
3)アンテルナショナル・シチュアシ
オニストは、1957年から72年にかけて、
フランスを始めとしたヨーロッパ諸国において、
芸術・文化・社会・政治・日常生活の統一的な
批判・実践を試み結成された前衛集団です。
その中心人物である、ギー・ドゥボールは社会
改革派で「スペクタクルの社会」といった実験
的な映画を制作しています。もう一人、コンス
タント・ニーヴェンホイスは文化革命派で「ニ
ューバビロン」という未来都市構想プロジェク
ト「ユニタリー・アーバニズム」を提唱してい
ます。
シチュアシオニストとは(シチュアシオンを作
る人)簡単に説明すると、状況を構築すること
に努める人です。シチュアシオニストについて
詳しくは、こちらの本*か、最近は日本語サイ
トもありますので、参考にしてみてください。
今回は彼らの「定義した用語」についてを説明
します。*Situationist International Anthology,
1989, Edited and translated by Ken Knabb
シチュアシオニスト・オンライン文庫
http://d.hatena.ne.jp/situationniste/20060902/
p1
4)デリーブ(日本語で、漂流)は、出会
いに身を任せ都市のなかをさすらい歩き、都市
を解読する手法です。その中には「成り行きに
まかせた行動」と「心理地理学の影響を受けた
行動(成り行きではない行動、必要な行動)」
があり、それを認識することです。
左上は、シチュアシオニストを代表するデリー
ブのイメージで、パリの地図を区別に切り離し
て、貼ったものですが、漂流するように徘徊し、
ネットワーク状に結びつけた認知地図が描かれ
ています。
右上はチュミの「マンハッタン・トランスクリ
プト」です。Dérive というアイデアから、都市
の横断的記述、上から、空間、動き、出来事が
記述されています。
5)ところでデリーブとはいったい何か?まだ
わからないと思うので 、デリーブの行い方を
説明します 。まず「ルール」を設定する事。
フランス映画「アメリ」の中で良い例が見つか
ったので紹介します。「目の見えない老人に街
を案内する」というシーンからこのルールを適
用し街を漂流すると、こうなります。
https://m.youtube.com/watch?v=zjL5KjoYADw
ビデオを解説します。これは、パリ・モンマル
トルのラマルク・コーランクール駅周辺で撮影
したもので、このビデオでは(人の服装や表情、
店の飾り、メロンの匂い、肉やチーズの値段、
子供と犬とチキンの関係など)実際に感じてい
る街が描かれていて、これがデリーブです。ル
ール設定する時は、いつもこのような商店街と
は限らないので、サイトのコンテクストを読ん
で、ルールを設定してください。例えばそこが、
観光地、学生街、住宅街なのか、その他に、時
間や移動手段や小道具などがあれば、決めてお
いてください。そしてデリーブの結果を表記す
ること。チュミのような記述や、アメリのよう
な記録を文章で記述するなど、(少し構造的に
事実をとらえて、書きあらわしてください)
1
6)心理地理学は地理的環境が個人の行動
に対して、直接働きかけてくる効果を研究した
もの。(それは、その場所に行くと避けられな
い行動、又は、かなりの確率でそうしてしまう
行動の研究)そして、既存要素である、場所や
建物、住民の意識や記憶、 地域の雰囲気や伝
統などの調査で、 今日のフィールドワークと
近い考え方をしています 。(フィールドワー
クとは、研究対象となっている人びとと共に生
活をしたり、対話したり、インタビューをした
りする、社会調査活動)
左上は80年代に建築ムーブメントを起こした
NATO の雑誌で、都市の出来事の記述がされて
います。
7)右上は、シチュアシオニストの行った「パ
リ・レアールの心理地理学的描写の試み」で
す 。当時、中央卸売市場のあったレ・アール
での実験的なデリーブで、その中には労働者が
レストランで昼夜にぎわう様子など、アンケー
トを含め環境・雰囲気に関する地理的心理学の
調査が記録されています。
60年代のレ・アールのビデオ から。当時の
環境や雰囲気を想像してみて下さい。
https://m.youtube.com/watch?v=M_SJ8YHrg2U
8)アメリの撮影につかわれたムフタール通り、
パリ5区の有名なマルシェで、週2回マーケッ
トが並び、私もよく利用するのですが、昼時、
ここを通るとなぜか鳥の丸焼きを買ってしまう
(映画でも少し触れていて)これも地理的環境
がそうさせるということで、心理地理学です。
https://www.youtube.com/watch?v=NOey_KjH0
r8
9)転用は、以前に作られたものを再構築し
新しい価値を生み出そうとする試みです。
「転用」にはパロディーのレベルから、新たな
芸術作品、社会的メッセージを発するものがあ
り。左上は、シチュアシオニストが、漫画を転
用して作った予告宣伝用ビラでパロディーです。
その隣は、渋谷駅の岡本太郎さんの作品に、福
島原発を思わせる絵をはめこみ、原発事故を風
刺していて、転用し社会的メッセージを送って
います。その隣は、ストリート・アーティスト
BANKSY による NY 近代美術館でのゲリラ設置。
ストリート・アートは「芸術か」「落書きか」
といことで、美術館を鑑賞の場から、論争の場
にしてしまったので、これも転用で芸術作品で
あり作者のメッセージでもあります。
10)映画「ダ・ヴィンチ・コード」の中で登
場するパリ6区のサン・シュルピス教会。イギ
リスのグリニッジ天文台が、世界共通子午線の
起点に公認される以前、フランス人にとっての
子午線がこの教会を通っていたという事実から、
映画では、この子午線を「ローズ・ライン」と
呼び、教会内にあるオベリスクの足元に、秘密
を解く鍵が隠されているという物語がつくられ
ています。そのシーンを見てみましょう。
https://m.youtube.com/watch?v=BaAA4ZtFCrQ
これは映画の中の話ですが、神話・昔話・都市
伝説などは、このような摺り替え、読み替えに
より作られている場合がありこれも転用です。
11)構築された状況とは、環境と出来事
をコントロールすることにより意図的に構築さ
れた瞬間です。これは、ロンドンの団地街で行
った状況を構築するためのインスタレーション。
12)事前のアンケート調査から、住民はエコ
ロジーに関心があるのを知り、まず「エコロジ
カル・キャンペーン」というイベントを仕掛け
ます 。その内容は、団地の住民に古新聞、古
雑誌を持ってきていただきトイレットペーパー
と交換、 「ちり紙交換」のようなものです。
次に、団地の一角には人が入れるぐらいの大き
さの籠を設置します。籠の中に古新聞・古雑誌
を回収し、整理し、ディスプレーし、キヨスク
のような場所をつくり、新聞や雑誌に興味があ
る人や、通行人などを巻き込み、次第に出会い
の場となっていきます。このように日常的な出
来事から、意図的に状況を構築できるというこ
とです。 http://senda.pagespersoorange.fr/P%20J%20pavillon.htm
13)出来事。シチュアシオニストは、イベ
ント、運動を総称して出来事と呼んでいて、チ
ュミの言葉に「イベントなしの建築はなく、行
動なしの建築はなく、活動や機能のない建築は
ない」というのがあり、アクティビティーと建
築というか「イベントと空間の組み合わせ」に
ついて考えると、例えば、教会でボウリングす
るとか、プラネタリウムとジェットコースター
の組み合わせのように2つのプログラムを組み
合わせや、具体的には、1900年パリ万博の
時に建設されたオルセー駅は、19世紀の印象
派を中心にした オルセー美術館に改修され、
これは前者の既存空間を意図していないプログ
ラムの為に使ったもので、形態と機能の交換は、
現代社会ではよく見ることができ、新たにプロ
グラムを挿入することにより都市空間を再生さ
せています。
2
14)ここからは、今まで話した「概念」を元
に 「都市再生への実践」の取り組みを説
明していきます。
15)このプロジェクトはフランス・モンペリ
エで行われた建築フェスティバルでの提案です。
フェスティバルは左上の中庭で行われ、この年
のテーマは「束の間の好奇心」、そこで思
いついたのが 「砂の城」のような好奇心とは
かなさ、また 建設や消滅していく間のイベン
ト性を考慮し、 期間中、住民に建物を作って
いただき、終わると消えるというインスタレー
ションを計画しました 。
まず、家形の金網で囲われた籠の中に、住民に
使用済みのペットボトルを捨ててもらいます。
徐々にペットボトルが積み重なり、 屋根まで
到達すると、パビリオンが完成。 イベントが
終わると 、回収車がやってきてパビリオンが
なくなってしまうというものです。
16)これは、パビリオンの夜のイメージです。
室内の灯りがともり、歴史的建造物の中庭を照
らし 、フェスティバルの期間中このような風
景を見ることが出来ます。
http://senda.pagespersoorange.fr/Pavillon%20des%20bouteilles%20pla
stiques.htm
17)レ・アール再生計画。レ・アール
はパリの中心です。地上はこのような庭園や公
園がありますが、この断面図を見ていただくと
わかるように地下街は巨大な交通・商業施設が
あり、毎日15万人の消費者が訪れます。しか
し、多くの訪問者が訪れるにもかかわらず、パ
リ市民に親しまれているとは言い難い状態で、
その原因の一つが80年代に建設された建物に
あると言われています。そんな中、レ・アール
改修計画の話が持ち上がり、2003年にコン
ペが行われるのですが、そのプログラム確認の
ため、私もこのプロジェクトに関わさせていた
だきました。
18)レ・アールの地下街「フォーラム・デ・
アル」の様子を見てみましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=vvMxOTUT
ZwQ
19)これは、ここを訪れる人々の行動を記録
したものです 。多数の訪問者から無作為に選
び出す為、 ここでは「赤い服を着た人」を追
跡し記録することに決めました。記録を見て見
ると、訪問者はメトロでここを訪れ、地下から
地上が見えなかったり、分かりづらかったりし
て、とりあえず地上目指す行動がみられます。
そのため一方向に流れが集中し、反対にある場
所は人がほとんどいない。また、夜8時以降は
店が閉まり、パリの中心のショッピングモール
がシャッター通りになっていたり、地上レベル
の庭園は、未透視がきかないので、人の流れを
遮断していて、特に夜は犯罪の現場となりやす
く、人が近づかない場所になっているなど、問
題点は色々見えてきます。
20)これはプロジェクトの提案で、地上の未
透視が効かない庭園は撤去し、 オープン・ス
ペースとして開放し、時間帯と共に変わる訪問
者のニーズに合わせた使い方を提案していま
す 。例えば、 朝 、昼、晩、週末、時間帯に沿
った使われ方や、季節別に移り変わるイベン
ト・スペースに、そしてそのイベントは、地下
の商業施設の資本に支えられ、行われるような
仕組みづくりもしています。あと、地上と地下
の関係が薄い状態なので、外部 の様子がわか
るようにできるかぎり床を撤去し、車路スペー
スからも訪問者が徒歩で直接アプローチ出来る
ようにもしました。
21)地上と地下レベルの関わりが分かるビデ
オを見てみましょう。
http://senda.pagespersoorange.fr/LES%20HALLES.htm
*現在レ・アールは改修工事中、 まもなく完
成します。
https://www.youtube.com/watch?v=tsBNpXBd_4
3
22) オーステルリッツ地区再生計画 。
これは私の学生時代最後のプロジェクトですが、
当時、地区再生計画の話し合いが行われていて、
色々とお話を伺わせていただきました。
この写真は、パリ13区、現在国立図書館のあ
る場所です。以前は重工業地域でした。グラン
プロジェの一環として80年代以降、工場を撤
去し、線路を人工地盤で覆い、そこに今、新た
な街が生まれつつあります。また、線路の反対
側は歴史的街区、手前の大通りは中世までパリ
の城壁があり、外側には孤児院、のちに教会、
現在の病院になったものや、ルイ13世の命令
で作った武器庫、14世の作った刑務所が残っ
ています。そしてその中心に、オーステリッツ
駅があります。
23)駅の現状ビデオを見てみましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=Ds_4Ernjh4
24)問題点を整理すると、左上は、完成当時
の駅の大ホールで、その時代の雰囲気を今でも
伝えています。しかし現在の使用状況を見てみ
ると、駅の一部が使われているだけで、あとは
駐車場か物置場 、メトロが貫通し、 本来の良
さが生かされていないのがわかります。次に、
新しい街が誕生し、今後、駅を利用する人口の
増加見込まれ、駅の拡大も必要です。(現在、
年間1900万人から20年後、5700万人
現在の3倍になる)また、駅周辺は、古い街と
新しい街が重なり合う場所に位置しています。
そして、この場所に適した駅のプロトタイプを
考える必要があり、他の街の駅周辺施設も参考
にさせていただきました。
25)これは再構築するために考えたコンセプ
トです。本来、駅は街の「交通」の拠点である
と共に、人と人が交わる「交流」の拠点でもあ
りました。そんな2つのプログラムを掛け合わ
せることにより新しい駅のプロトタイプを計画
しました。下の層が「交通の拠点」で、現在ば
らばらに配置されている交通施設を再整備しま
した。上の層は「交流の拠点」で、既存の大ホ
ールは展示・見本市スペース として改修し、
新たに会議場、劇場、音楽ホール、そして庭園
を新設しました。 これらの施設を統合するこ
とにより、この駅の利用価値を互いに高めるこ
とができます。
26)地上レベルの長さ1km に及ぶこの細長
い緑地帯は、「歴史的な街」と「新しい街」の
緩衝地帯になります。そこを 遊歩道でつなぎ、
その軸線上にコミュニケーションの拠点が連な
る構成になっています。
27)
http://senda.pagespersoorange.fr/AUSTERLITZ.htm
*現在オーステリッツ駅は AREP と Ateliers
Jean Nouvel による改修工事が進行中。
28)ここからは、私が今住んでいるフランス
北西部ブルターニュの仕事を紹介します。
サンチーブ集合住宅。この写真は190
0年の頃の写真で70年代頃まで小学校でした。
フランスの田舎町の現状は、若者は仕事を求め
都会へと、移り住むという具合で、この小学校
も廃校になってしまいました。その一方、定年
を迎えると生まれ故郷に戻り、のどかな生活を
送るという習慣もあります。そんな、高齢化と
過疎化が進む街で、小学校であったこと、地理
的条件などを生かし、そこが出会いの場所であ
ったように、かつてのコミュニティーを再生す
る場にしようと考えました 。もちろん集合住
宅の住居部分はプライベートですが、敷地内を
見渡すと「住民の出会いの場」が 点々とある
構成になっています。例えば、現在赤い仕切り
のある場所にあった、この囲いを撤去し近隣の
公園と一体化し、車椅子でアクセスするスロー
プは、共有のテラスであり、建物の裏手の集会
所は、共有のサロンになっています。
29)
http://senda.pagesperso-orange.fr/St.Yves.htm
4
30)ロージョリル集合住宅。この写真
は20世紀初めの頃の、建物とその家族です。
この家族は、海運業を営んでいて、このように
多人数でこの邸宅に住んでいました。
下は改修前の写真で、室内は荒れ果てていまし
たが繁栄した当時の様子を想像することができ、
なるべくこの雰囲気と、港町の歴史を継承しな
がら、 集合住宅に改修することを考えました。
31)写真のイメージから100年たった、
現在様子を見てみましょう。
http://senda.pagesperso-orange.fr/Lorgeril.htm
34)
https://m.youtube.com/watch?v=9gkUDdS_Fh0
35)ここからは、現代フランスの都市
再生の実例を紹介します。
32)現在はヨットが停泊する港となり、基本
的に外観は当時の面影を残すために変えていま
せん。また、この邸宅を築いた家族ロージョリ
ルという名前も残しました。集合住宅内部の
構成は4DK から2DK の住居が23世帯入って
いて、この建物で使われていた古材が再利用さ
れています。
33)ブルターニュの水車。水車は、以
前貴重な動力として機能していました。穀物の
粉砕や繊維の仕上げなどに使われていて、ブル
ターニュでは12世紀頃から始まり、20世紀
には5000基ありましたが、水車が動力源で
なくなったこと、河川管理上のことで用水路が
廃止となり、現在はかなり少なくなってしまい
ました。そのような中で、水車を修復する人も
いて、私も(下の写真のような、機械としての
水車ではありませんが )かつての水辺の風景
を残すことを目的に水車を復活させました。右
は、納屋を改装した私のアトリエで。ここで、
このような水車や家具を製作しています。
36)パリ・プラージュ。毎年夏になると
セーヌ川沿いの車道が封鎖され、一時的に人工
的なビーチができます。パリは地形状、天候が
蒸し暑苦しく、また、フランス人は毎年夏にな
ると、海辺にバカンスに出かける慣習がありま
すが、近年バカンスに出かけることのできない
市民が多くなる中で、その暑さ問題を解消する
ための避暑地として提案されました。一方、こ
のシーズンになると仕事の車が減り、川の土手
にある車道を閉鎖することができるので、その
スペースを利用して人工ビーチにしています。
37)
https://www.youtube.com/watch?v=nITvMmG3
dvk
5
38)マシーン・デ・イル。この建物あ
るフランス西部ナントは、100年間に及ぶ造
船業の歴史がありましたが、造船所が別の場所
に移転してしまい、街は歴史を失い、 活気も
失ってしまいました。そんな中で、 この旧造
船所を、機械仕掛けのアトラクション・スペー
スと、工房に改修し、新しい街の歴史を作ろう
としています。このプロジェクトが面白いのは、
ただ旧造船所を修復するだけでなく、 ここで
はダビンチや地元出身の作家ジュール・ヴェル
ヌのイマジネーションの引用したもの(左上の、
象の形をした蒸気の家)や、機械の制作やパフ
ォーマンスをするグループの招待などが計画さ
れ、街づくりがされました。
39)
https://m.youtube.com/watch?v=hJueigrXkcY
40)ラ・ルシクリーは、以前運行してい
たパリの環状鉄道(プティ・サンチュール)の
駅舎 を改修してできたレストラン・カフェで
す。この建物は、パリ 18 区のクリニャンクー
ル地区にあり、この街には(骨董品からガラク
タまで取り扱う)パリ最大の蚤の市があります。
店の名前ラ・ルシィクリーとは、リサイクルを
するという意味で、循環型のシステムを提案し
て、地域のコンテクストに合った施設になって
います。
41)店のコンセプトをみてみましょう。
https://m.youtube.com/watch?v=nlBCsDClKeY
42)リサイクルをするという発想は、建物だ
けでなくテーブルやイスなどの家具を再利用し、
建物の外の、廃線跡には野菜が植えられ、家
畜が飼われています。そして、育てた野菜は食
べ、食堂の残飯は家畜の餌になります。カフェ
の一角には、自転車や家具などの修理法を教え
てくれるアトリエなどがあり、地域の文化と結
びついた施設になっています。
https://m.youtube.com/watch?v=1fXpXQFrdiY
43)物語と建築。いままで話をしてきた
ことを振り返ると、「リサイクルをする」とい
うメッセージを発信。過去の遺産を利用した新
たな街の歴史。車道が人工的なビーチに。かつ
ての水辺の風景の復元。港町の歴史を継承。小
学校をコミュニティー再生の場。駅を 「交
通・交流」の場。移り変わるニーズに対応した
場。住民により作られるパビリオン。これらは
プロジェクトの切っ掛けで、既存要素を読み替
えをし、地域の文化と結びつけ、都市の物語を
作っていこうとしています 。このように、都
市空間再生のためのシナリオを作り、住民 が
その場をつくっていける状況をつくること。そ
のようなシチュアシオニスト的なアプローチの
提案で、もう一度繰り返しになってしまいます
が、シチュアシオニストとは状況を構築するこ
とに努める人で、人々のアクティビティーとい
うか行動・出来事が介入することによりその場
が作られていくような、建築を提案しています。
44)終わりにシネマティックといことで、も
う一度、映画の話しに戻ります 。フランス映
画「アメリ 」は、2001 年に公開され、パ
リ・モンマルトルを舞台に、パリジャンの日常
を描がいています。映画に登場する場所はパリ
に実在していて(ここで、2つ紹介しましたが)
それぞれの場所の特徴をよく描かれていて、そ
れ以上に映画に登場する人物像(例えば、人の
癖、性格、態度など)もよくとらえていて 、
実際このような人はいます。映画で挿入したも
のは、シナリオであったり、音や特殊効果であ
ったりしますが、ごく普通の日常生活を、組み
替えただけにも見え、そこに共感と心地よさを
感じます。このような映画は、フランス映画に
よく見られ、ディズニー映画のようなフィクシ
ョンではなく、「日常的の出来事が物語」にな
る、今まで話をしてきた建築的手法に近いもの
を感じました。
45)これが最後のビデオです。
https://m.youtube.com/watch?v=RMbFcxbLMrY
6