14.踏切信号化における安全対策の検討

株式会社
ケー・シー・エス
踏切信号化における安全対策の検討
∼超ミクロシミュレーションによる安全対策の検討∼
1.調査の必要性及び背景
・本調査は、
「開かずの踏切」における交通容量の向上、環境負荷低減のため、踏切に交通信号機を
設置する事業に先立ち、既設の鉄道と道路との踏切の安全対策検討を実施するとともに便益・効果
測定のための調査・検討を行うことを目的とする。
(調査のポイント)
①ドライバー運転挙動の分析
ドライビング・シミュレータにより、標識や停止線設置等の安全対策の有無によるドライバーの
運転挙動(知覚・認識・判断・操作)をデータ化し、ドライバーの運転挙動を分析する。
②「アストランズ※」によるドライバー挙動に着目した安全対策の効果検証
超ミクロシミュレーション「アストランズ」を用いて、安全対策の有無によるドライバーの運転挙
動の変化を考慮した踏切信号化・安全対策の効果の把握、検証を行う。
2.調査の最終成果(アウトプットイメージ)
◆踏切信号化によって生じる事故形態・危険事象の想定と安全対策の検討結果(Output1)
(Output1)
車間距離に対する注意喚起の看板
踏切手前での情報提供
通常の交差点事故から
想定される危険事象
スペース確保に対する注意喚起の看板
電車が踏切に到達する時間表示
踏切直前での情報提供
踏 切道の事故から
想定される危険事象
道路に段差(振動)で注意喚起
信号停止位置を手前にし、横断領域を
広くみせて注意を喚起
信号停止ゾーンの明示
トリコの危険を示すゾーンの提示
◆ドライビング・シミュレータを用いた安全対策に対するドライバー特性の把握結果(Output2)
(Output2)
1.減速度の最大値分布
知覚ミス、認知ミスが起こらず、普通
に運転している場合と、知覚ミス、認知
ミスによって回避動作をする場合とで
は、ブレーキの強さの 頻度 対策後
対策なし
最大値に差が現れると
考えられ、この特性を
分析する。
2.危険横断頻度
信号現示が黄色となったときに、進行
する車両と停車する車両の割合を分析
する。これが
停止する車両の割合
小さい方が、直前 (累積度数)
対策なし
対策後
横断の確率が小さ
い。
停止線からの距離
減速度(ブレーキの強さ)
3.線路内停滞時間
車両が線路内(あるいは停止線で挟
まれた領域など)に停滞(存在)して
いる時間の合計。
こ れ が 小さ い 方 が 停滞時間
ト リ コ 発 生の 確 率
は小さい。
対策なし
対策後
(Output3)
4.追突までの余裕秒
事故回避行動として、差し迫った危
険が発生する状況でブレーキを踏ん
で、危険を回避す
るまでの余裕秒を
安全対策の有無で
危険
計測。大きいほど
回避確率が高い。
頻度度数
対策なし
対策後
衝突までの余裕秒
◆ドライバー特性を考慮した先進的交通シミュレーションシステム(アストランズ※)を用いた安全対
策の検証(Output3)
無断の複製、頒布、転用を禁ずる
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3.調査方針及び調査フロー
Output2:対策がドライバ
の運転挙動に及ぼす影響
Output1:安全対策案
Output3:各種指標算出
ドライビング・シミュレータ
を利用して、ドライバを観察
想定される
事故形態
・危険事象
安全対策
立案
想定される事故要因
から対策を検討
検討
対策が
ドライバの運転挙動
に及ぼす影響
アストランズ
による
成果予測
効果検証
◎ 想定される事故形態・危険事象についてその発生要因を分析し、その結果に基づいて安全対策
を検討する。
◎ 安全対策が、どのような効果があるかを確認するためにし、シミュレータ実験を実施する。
◎ドライビング・シミュレータの実験に際しては、あらかじめ事故が起りそうな
状況を想定した仮想空間(自動車レースのゲームのようなアニメーションで作
成した空間)を作成し、その状況下でのドライバーの行動を観察するとともに
リスクの確認と安全対策の効果を検証する。
(対策案の効果を検討するための危険事象)
・先行車が大型車で視界が悪く、信号や標識が認識しづらい状況
・信号が青の場合に、先行車が踏切手前でブレーキを踏み減速する状況
・踏切横断手前で信号現示を黄色あるいは赤に変えた場合のドライバーの挙動
◎ドライビング・シミュレータにより取得したドライバーの運転挙動特性(安全対策の
有無による事故回避特性)及び過年度調査結果、既存文献等(停止時・走行時車間距
離、発進・減速加速度の最大値、自由流走行速度等)を基にアストランズを用いた交
通シミュレーションを実施する。
◎交通シミュレーションで得られる交通流動特性を元に、四種の切り口(1.減速度の最大
値分布、2.危険横断頻度、3.線路内停滞時間、4.追突までの余裕秒)における指標を算
出し、踏切信号化及び安全対策に対する安全性の効果を検証するとともに有効な安全対
策の提案を行う。
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