2015 1.農村と農業の実態 第7講 (1)発展途上国の農民は怠惰か 農村の貧困:1年間の収穫は十分とはいえない →この原因は農民が怠惰であることか ⇓ 生き延びることにしか 関心がない 先進国の研究者 →農民の( )的な行動パターンを問題視 ⇓ 二重経済発展理論 →経済発展には,農業中心の社会構造から近代的工業 社会への急激な( )の必要性を訴える。 (テキスト第10章) 経済発展と農村問題 1 2 図 農業就業人口(全労働力比,棒グラフ)と農業生産(対GDP比,折れ線グラフ)の推移 100 1.農村と農業の実態 90 (2)発展途上国の農業の実態 戦後の途上国の高い経済成長 ⇓ 主な牽引役:( )部門による ( )の実績は対照的 →就業人口は相対的に( )が,付加価値額は相 対的に( )。 ⇓ 農業部門の( )が工業・商業部門と比較して低 い。 80 農業就業人口 70 南アジア 東アジア・大洋州 60 ラテンアメリカ サブサハラ・アフリカ 50 南アジア 東アジア・大洋州 ラテンアメリカ 40 30 20 10 0 1960 1970 1980 1990 2000 3 2010 4 (出所)WB 1.農村と農業の実態 1.農村と農業の実態 低い農業生産性を引き上げるため,( )品種が 導入された=「( )」 ⇓ 利益は必ずしも広く行き渡らなかった。 環境面では持続可能ではなかった(農薬,化学肥料)。 飢饉がアフリカの広範囲で発生した。 ⇓ 途上国の将来は農業の行く末に係っている。 →これらの出来事は( )に影響を与えた。 =( )を重視する方針へ転換 5 (3)農村の規模と貧困の実態 ・発展途上国の人口比:農村( )都市 (第9章第1節) ⇓ 従来,おおむね( )の人口比であった。 ⇓ 低所得国:従来比をほぼ維持。 中所得国:( )に変化。それは,急激な( による。 ) 6 1 2015 図 農村人口の規模(棒グラフ)の推移(折れ線グラフ)(実数と全人口比) 3000 74.7 2000 2,534 2,525 85.2 2500 百万人 1.農村と農業の実態 100.0 89.0 2,368 78.5 81.4 72.4 62.1 低所得国(人) 60.0 57.1 1,538 表 農村人口の貧困率(%) 72.0 70.0 67.3 1,816 90.0 80.0 75.7 2,119 71.2 2,533 中所得国(人) 51.0 1500 低所得国(%) 50.4 50.0 中所得国(%) 40.0 1000 30.0 500 398 317 262 212 588 579 490 20.0 10.0 0 0.0 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2011 7 ・農村の貧困率($1.25/日)= ( ) →農村人口比で3割から5割に 達する。 上位中所得国の中には異常 に高い国もある。 国名 貧困率 (農村人口 比,%) 年次 タイ 23.1 2010 インド 33.8 2010 バングラデシュ 35.2 2010 エジプト 22.1 2000 ルーマニア 47.8 2000 ザンビア 77.9 2010 ボリビア 87.0 2000 コロンビア 49.7 2010 8 (出所)WB 2.農村における貧困の原因 2.農村における貧困の原因 (1)構造的問題 ①ラテンアメリカの二元的構造 <特徴> ラティフンディオ:労働者数千人規模の大農場 ミニフンディオ:家族のみの場合もある零細農場 ミニフンディオ ラティフンディオ 土地集中度 ジニ係数 農場数(%) 面積(%) 農場数(%) 面積(%) エクアドル 89.9 16.6 0.4 45.1 グアテマラ 88.4 14.3 0.1 40.8 ― ペルー 88.0 7.4 1.1 82.4 0.91 (1992年) ― コロンビア 64.0 4.9 1.3 49.5 0.86 アルゼンチン 43.2 3.4 0.8 36.9 ― チリ 36.9 0.2 6.9 81.3 ― ブラジル 22.5 0.5 4.7 59.5 0.84 9 2.農村における貧困の原因 2.農村における貧困の原因 ②アジアにおける村落共同体の崩壊 <特徴> ( )土地にあまりにも( )の人々がひしめき合う 農場・面積の分布 5ha未満 農場数(%) <問題発生の原因> グンナー・ミュルダールによると, ①( )支配,②( )の浸透,③( +④法律の導入(( )の明確化), がアジアの伝統的農業構造を破壊した。 土地集中度 ジニ係数 5ha以上 面積(%) 農場数(%) <問題点> ・土地分配の不平等 →徹底的な( )を行った国(メキシコ,ボリビア,キュー バ)以外では典型的な形態となっている。 一部の国(ブラジル,ベネズエラ,ウルグアイ)では家族自営 農場,中規模農場の割合が高い。 ・大農場における非効率な生産 →地主は( )のためでなく,( )を誇示するために 広大な土地を所有する。 ⇓ 10 農村社会の構造の再構築が必要不可欠である。 )増大, 面積(%) バングラデシュ 90.6 67.6 ― ― 0.42 インド 88.7 46.7 0.1 3.7 0.62 インドネシア 97.9 68.7 0.05未満 13.6 0.56 フィリピン 84.8 47.8 0.2 13.9 0.51 タイ 72.3 39.0 0 0.9 0.45 植民地化以前のアジアの伝統的農業構造 →農村は( )を中心として組織化 11 12 (出所)『トダロとスミスの開発経済学』 p.521 2 2015 2.農村における貧困の原因 2.農村における貧困の原因 植民地支配が既存の村落共同体システムを崩壊させ た。植民地支配は何をもたらしたか。 →法律と貨幣経済の導入 ・法律の導入はいかなる結果を引き起こしたか。 →地主が単なる( )になる=( ) 村人に対する責任がなくなる=村人保護の責任なく なる。 (参照)小林多喜二(1929年)『不在地主』 ・貨幣経済の導入はいかなる結果を引き起こしたか。 →村落が( )経済から( )経済へと変化した。 ( 13 ):担保を取って金を貸すビジネス 債務不履行の際には担保を没収する ⇓ むしろ,農民を所有地から追い立て,その土地を不在 地主へ売却して利益を上げようと仕向けた ⇓ 慢性的な貧困の罠にはまると抜け出せない ⇓ 土地なし農業労働者→仕事のない放浪者→都市へ流 れ,スラム住民となる 14 2.農村における貧困の原因 2.農村における貧困の原因 ③アフリカの前近代的農法 <特徴> ・焼畑式農業 ・農繁期には人手不足,農閑期には( 状態 <問題点> ・農業生産性が低い ・人口増加が顕著 ⇓ 農業に活路を見出せない。 (2)開発政策における農業の軽視 ①発展途上国が独立以前に抱えていた様々な矛盾 ・ラテンアメリカ:土地所有の二元構造 ・アジア:植民地支配による村落共同体の崩壊 ・アフリカ:前近代的農法 ②発展途上国の独立後に生じた矛盾 経済発展=( ) ⇓ ・工業化を優先する諸施策(為替政策など)が重視された。 ・農業の軽視(そもそも無策)→農業生産性向上のための 諸施策(土壌整備,灌漑施設の建設,農法改善など)に は注意が払われなかった。 16 )雇用 15 2.農村における貧困の原因 3.農村開発の在り方 工業化優先策で農村は発展できるのか ⇓ 二重経済発展理論によると, ・( )効果が農村部へ利益をいずれ もたらす。 ・農村は主体的に( )しなくても良い。 ・農村部門の役割=( )供給源。 ⇓ 結局,その効果は( )しなかった。 2つの矛盾が相まって農村の( )に拍車がかかった。 17 (1)農業開発か,農村開発か 発展途上国での飢饉の頻発 →食糧増産の重要性と必要性が高まる ⇓ 農業開発が重視される →食糧増産及び生産性向上などの取り組み 「緑の革命」 →1960年代,国際稲研究所(IRRI) 小麦、コメ、トウモロコシの高収量品種の開発・普及 18 3 2015 3.農村開発の在り方 3.農村開発の在り方 高収量品種の生育には様々な条件が充足されなければ ならなかった。 →水の管理,大規模な耕作地,種子の購入,化学肥料, 農薬 ⇓ ( )等に対応できるのは富農のみであった。 ⇓ 農村における( )を助長した。→矛盾 一方で,諸問題は相互に関連していることから,地域 開発は部門別に実施することは望ましくないという見 解が支持を集める。 ⇓ 農村の貧困問題への対処には, ・農業のみならず, ・( )を開発の対象としなければならない。 ⇓ 農村開発という発想に結びつく。 →パイロット・プロジェクト:コミラ・モデル 20 19 3.農村開発の在り方 3.農村開発の在り方 <コミラ・モデル> ・目的:①農業生産の増大,②(非農業)部門の振興 ・組織体制:二層式協同組合システム →単位農協(200世帯)と群レベルの農協連合から構成 ・単位農協:組合員の声を反映させ やすい ・農協連合:大規模組織で効率的な サービスを目指す ①農業生産の増大 ②第2の目的 ・農業機械・資材(種子, 肥料,農薬など) ・生産情報網の構築 ・農業の経営指導 ・小規模金融制度の設立 ・農村基盤整備(道路や 橋梁の整備) ・農村家内工業の振興 →能外所得を獲得する 機会を提供する。 ・社会開発(教育、訓練、 保健など) →技能を高めて職業選 択の幅を広げる。 21 3.農村開発の在り方 22 3.農村開発の在り方 ・問題点 ①小規模金融の受益者は( )に限られた。 →担保を出すことが出来る。 ②多角経営(主食以外の農産物も生産)の奨励に応えるこ とが出来るのは( )のみであった。 →貧農は失敗した場合を恐れて冒険できなかった。 ③( )が主,( )が従という固定観念にとらわれた。 →非農業部門の振興を謳ったにもかかわらず,主な所得 獲得限はあくまでも農業という考えを変えなかった。 ⇓ ( )ストラテジーの必要性と重要性を( )に対して徹 底できなかった。 23 (2)農外所得の重要性―グラミン銀行の取り組み― 農村の貧困の原因:独立前と独立後の矛盾 ⇓ これらの抜本的な解決なしに,農業に執着して貧困撲滅につ なげることは極めて困難といえる。 →農業への( )を減少させる一方,その他の( )を 見出すのが現実的な対応といえる。 その他:かご作り,土器製造,家畜肥育,商店・食堂経営など ⇓ 貧農は基本的に( )。ノウハウは持っている。副業を始 める( )はどうするか。 24 4 2015 3.農村開発の在り方 3.農村開発の在り方 課題は,いかにして元手を確保するか。 →貧農に対する融資を実施すること。 ⇓ ただし,普通の金融機関は貧農を相手にしない。 貧農を相手にするのは高利貸しだけ。しかし,彼らに頼ると 貧困から抜け出せなくなる。 ⇓ 貧農を貧困の罠から救い出す取り組み →グラミン銀行 無担保融資を受け,それを事業資金として活用する。 25 返済率は98%,投資収益率は150%に達する。 <グラミン銀行> ・創立:1976年,・創設者:( ),・業種:マイクロ・クレジット ・実績(2010年): 従業員:22,225人,支店数:2,565店舗,メンバー数:834万人(うち 女性が96.4%),1人当たり借入額:1万タカ(140USドル)(1人当たりGDP:780ド ル, 2011年),返済率:97.4%(2010年12月) ・なぜ貧者に融資できるのか ①グループ融資:( ) ②借入者の面前で業務:( )構築 ⇓ この2つの要素が( )貸し出しを可能にしている。 26 3.農村開発の在り方 3.農村開発の在り方 (3)農村開発の基本原則 農村開発( )農業開発 →非農業部門の充実を含む農村部の( ユヌスは「貧しい人は( )である」とよく述べている。 →植木鉢から出して庭に植え替えると大きく育つ。 ⇓ 貧者は, ・( )が与えられれば,( )を出すことができる。 ・貧しいのは彼らの( )に問題があるのではなく,彼らを 取り巻く( )に問題がある。 ①農業の近代化 ・農業技術の発展 ・農業の効率化(資材の共同 購入,生産物の共同販売,農 業機械の共同運営,経営指 導など) ・農村基盤の整備 27 )的な開発 ②非農業部門の振興 ・農村家内工業の振興 ・マイクロクレジットの供与 ・教育の推進(技能教育を含む) ・保健衛生の振興 ⇓ ( )の暮らしを豊かにする。 貧者との( )関係を築きながら実施する。 28 5
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