平成 27 年 11 月 25 日 関係各位 熊本大学大学院生命科学研究部産科婦人科学 教授 片渕秀隆 拝啓 10 月5日に、日本人として3人目のノーベル医学生理学賞が北里大学の大村 智特別 栄誉教授に贈られることが発表されました。そして、翌日にはノーベル物理学賞の受賞 として、2002 年の小柴昌俊教授に次いでニュートリノ研究で、東京大学の梶田隆章教授 に決定しました。 アジアの中でも突出して 24 人ものノーベル賞受賞者を輩出している我 が国を、私たち日本人は誇りに思わずにはいられません。 第 30 回日本生殖免疫学会総会・学術集会を、11 月 21 日(土) ・22 日(日)の両日に 熊本で開催させて頂き、241 名ものご参加を頂き、無事に終了することが出来ました。 今回の学術集会では、私たち産科婦人科学の領域でのみ可能となる生殖免疫と腫瘍免疫 を同じ俎上に乗せ議論する場を提供することを念頭に置き、 「生殖免疫と腫瘍免疫:その 相似と相違」というテーマを掲げさせて頂きました。特別講演をお願いした京都大学の 齋藤通紀教授は、今や日本が世界に誇る研究者のひとりで、マウスの ES 細胞/iPS 細胞 から精子と卵子、さらには健常な産仔を生む能力を有する始原生殖細胞の誘導を試験管 内で再構築された研究は圧巻でした。生殖医学の世界では、生殖免疫学の領域が急速な 発展を遂げ、不妊症や不育症、妊娠高血圧症候群に代表される異常妊娠の病態解明の扉 が開かれ、治療戦略としての展開が現実となって来ました。一方、がん免疫療法も、1992 年に京都大学の本庶 佑教授らが発見された免疫反応を制御する分子である PD-1 に対 する抗体、ニボルマブが製剤化されたことで、概念の世界を脱却しました。悪性黒色腫 の治療薬として承認されたのに続き、この9月には京都大学の小西郁生教授らが卵巣癌 に対する効果と安全性を発表されました。また、小西教授の同級生の坂口志門教授が 1995 年に制御性 T 細胞を同定されたことで、自己免疫疾患をはじめ様々な疾患の病態が 明らかとなり、新たな治療開発へと繋がっています。本庶教授と坂口教授は今年のノー ベル賞受賞者の有力候補とされていましたので、来年以降の 10 月が楽しみです。 12 月と新年1月の予定表を同封致しました。12 月 28 日(月)の午後7時から、恒例 の教室忘年会をホテル日航熊本で行います。 沢山のご来場をお待ち申しあげております。 敬具
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