有機硫黄系電池材料の基礎物性研究

京都・先端ナノテク総合支援ネットワーク
北陸先端科学技術大学院大学
Kyoto-Advanced Nanotechnology Network
平成20年度 トピックス
分子・物質合成領域における支援成果
有機硫黄系電池材料の基礎物性研究
a株式会社ポリチオン
上町裕史a
【研究目的】
現在、多くの分野で利用されているリチウムイオン電池において、用いられている正極活物質
の蓄電量は、負極活物質である炭素の蓄電量より少なく、リチウムイオン二次電池の高容量化、
軽量化には、正極活物質の高容量化が重要な開発課題となっている。硫黄系材料は蓄電量も
多く 次世代リチウムイオン電池の材料として最も期待されているもののひとつである 我々は
多く、次世代リチウムイオン電池の材料として最も期待されているもののひとつである。我々は、
硫黄系材料の中でも、安定性(安全性)、電気伝導性において高いポテンシャルを有する有機
硫黄ポリマーの開発を進め、その実用化を目指している。本研究では、リチウムイオン二次電
池の高容量正極活物質として期待される有機硫黄ポリマーに対して、その中間生成物である
前駆体モノマーとモノマー酸化体を試料とし、核磁気共鳴(NMR)法を用いて分子構造に関す
る知見を得ることを目的とした。
【成
果】
今回合成した目的物質の分子構造を図1に示す。図2に、合成した試料のNMRスペクトルを
示す。図2には、比較のために、チオ尿素、ジチオビウレットと1-フェニル-2-チオ尿素のNMRス
ペクトルも示す。得られた試料のスペクトルはブロードであり、NMRスペクトルのみから図1の
構造を直接同定するには至らなかったが 目的とする分子構造から期待されるNMRスペクトル
構造を直接同定するには至らなかったが、目的とする分子構造から期待されるNMRスペクトル
と矛盾しない結果が得られた。この他、質量分析、元素分析、赤外吸収の結果を合わせ、ほぼ
目的通りの構分子合成に成功したことが明らかになった。これらの結果から、有機硫黄ポリ
マーの電池反応が、硫黄の酸化還元反応で起こっていることも明らかとなり、我々が提案して
いる電池反応モデルを証明することが出来た。
図1.前駆体モノマー(上)とモノマー酸化
体(下)で期待される分子構造.
図2. 上からチオ尿素、ジチオビウレット、1-フェニル-
2-チオ尿素、前駆体モノマーとモノマー酸化体のNMRスペ
クトル.