お役立ち技術情報 水力発電所における維持流量放流方法の最適化システムの開発 【既存の制御方法の問題点】 水力発電所の取水において、規定の維持流量を放流しなければならない。維持流量の管理は、ダム水位 によって行っており、既存の制御方法では、上限値と下限値に対するダム水位の監視に基づいた一定量 の動作を行っており、以下の問題点が顕在化している。 1)ゲート動作量は一定で、ダム流入量の変化に対応するダム水位の変化を反映していないため、ダム 水位の制御精度が低い。 2)ダム流入量が低下する場合は、ダム流入量の低下によるダム水位の低下が抑えられず、ダム水位を 下限水位以内に制御できないことがある。 3)安定した運用を行うために、上限水位と下限水位の幅および規定水位(維持流量に対応するダム水 位)と下限水位の幅に余裕を持たせた設定となっており、余裕分を電力損失量として甘受してきた。 新制御方式では、ダム水位の制御精度を上げることで、電力損失量の回復を目指す。 上限水位 U ダム水位 目標中心水位 ダム水位の変化 3)余裕が必要 電力 損失量 (大) 下限水位 L 規定水位 1)一定量の動作量のため、 必ずしも目標中心水位に制御できない。 2)ダム流入量が低下する時に 制御不足になることがある。 ダム流入量の変化 図1 既存制御方法の概要と問題点 【新制御方法の特長】 一定量の動作量から、以下に示す最適動作量による方式に改良した。 1)理論と実測の関係式 ダム水位、水路水位、ゲート開度に関する関係を理論式および実測値により導き、必要なゲー ト動作量を与える。 2)ダム流入量の変化に対応するためのフィードバック機能 常にダム水位実測を監視し、目標中心水位と差が生じた場合は適正な補正を与える。 ダム流入量変化時等において、ダム水位実測値と目標中心水位との誤差が大きくなる場合は、 直前の誤差に相当する動作量を、次回のゲート動作に反映させることで、素早く目標水位と なるようする。 以上の結果、ダム水位の制御精度が向上し上限水位と下限水位の余裕および下限水位と規定水位 の余裕を大幅に削減でき、その結果、電力損失量の大幅な回復が可能となった。 「目標中心水位と規定水位の差」(シミュレーション事例) 既存制御方法 (60 ㎜ )→新制御方法 (17 ㎜ ) となる大幅削減 ダム水位 上限水位 U ダム水位の変化 誤差ΔH 目標中心水位 電力 損失量 (小) 下限水位 L 規定水位 1)ダム水位、水路水位、 ゲート開度に応じた 動作量を与える。 2)ダム流入量増加時の目標中心水位に 対する誤差(ΔH)を次回動作時に反映させる。 ダム流入量の変化 図2 新制御方法の概要と特長 維持流量を最小限に絞り、電力量を回復します。 特許出願済 株式会社 シーテック土木建築本部 営業部 〒455-0054 名古屋市港区遠若町3-7-1 TEL : 052-651-2216 FAX : 052-651-1138
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