四柱八字は、生まれた瞬間にその人がうけた五行の気の 状態を示すもので、一生変わることはない。その他に、子 だいうん 平では 、流年と大運という、出生後、次第に変化して行き、 四柱八字に影響を与える干支の巡りがある。その干支の巡 りは四柱八字から一義的に定まり、構成上は、本人の意思 によって変えることができないものとなっているので、普 段﹁運﹂と言っているものに対応するように思われる。し かし、流年と大運は、いわゆる運と言われるものと、その 運という言葉は、何らかの超自然的な力が人生の成り行 きを決定していることを認めることを前提としている。流 はんちゅう 年と大運の干支自体は変えられないが、命の元々持ってい る可能性の範 疇で、具体的事象の発現の状態を変えるこ とが可能であると考える。運などと言う得体の知れないも 「命と運」 http://www . shihei . com/ 考え方において大きな違いがある。 命 運 の 推 し 方 copyright 2000 Akira 0 sanai のは論議の対象にしないのである。 十九世紀末頃までは、物理学の世界においても運の存在 えいごう を認めるような考えがあった。アイザック・ニュートンに 始まる力学理論によれば、未来永劫にわたってすべての現 象の成り行きは決定していると考えられていたのである。 相 対 性 理 論 で 有 名 な ア イ ン シ ュ タ イ ン で さ え 、﹁ 神 は さ い ころを振らない﹂と語り、あくまでミクロの世界に限定し た話ではあるが、未来は確定的に定まっていると主張し、 論陣を張った。この考えが仮にマクロな世界でも通用する とすると、人間の肉体はもとより、その精神的な活動も原 子・分子の運動に由来するものであるから、人間のすべて の行動、思想、そして運命と言われているものでさえ一義 的に決定しているということになってしまうのである。 しかし、二十世紀初頭、この考えは前提条件から誤って われている。レポート用紙一、二枚という大変短い論文で あったそうであるが、ハイゼンベルグはこれでノーベル賞 を受賞した。 その理論は、専門的に言うと、正準共役な関係にある二 「命と運」 http://www . shihei . com/ いることが理論的に証明された。それは不確定性原理と言 命 運 の 推 し 方 copyright 2000 Akira 0 sanai つの量を同時に正確に知る︵観測する︶ことは出来ないと いうことである。例えば、粒子の﹁位置﹂を正確に知ろう とすると﹁速度﹂が曖昧になってしまい、その粒子のその 後の運動は予測できないことになるのである。このことが マクロな世界において、果たしてどれほどの有効性がある かは不明であるが、運命学を論じる者として気になる話で はある。 子平によれば未来を予知できる。しかし、SF小説のよ うに確定的な未来がどこかに同時的︵?︶に存在していて、 そこに向かう以外、選択肢がない、などという考えはして いない。子平では、その人が現在向かっている方向性がわ かる。その人の、肉体、精神、性格、嗜好、等々が原因と なって、その人自身が自分で未来を決定していると考えて 例えば、漢方とも共通する考えであるが、人はその人の し こ う 一番弱い臓器に良くないものを好む。したがって、食べ物 の嗜好がわかれば、その人が将来どのような病気になるか はおおよそ見当をつけることができる。つまり、その人の 嗜好が、将来発病の恐れがある病気を選択してしまってい 「命と運」 http://www . shihei . com/ いるのである。 命 運 の 推 し 方 copyright 2000 Akira 0 sanai るのである。 未来は、空から降ってくるものでもないし、また、未知 ひそ なる何らかの力によって決定されているものでもない。そ の人の中に、すでに可能性として潜んでいるのである。 最近、カオス理論とか複雑系と言われる分野が発展し、 生物のようなマクロで、非線形な系を論じることが徐々に 可能になり始めている。 二、三十数年ほど前、人は体内に時計のようなものを持 っていることが明らかになっている。その時計は、四季の 変化、日周変化を感知し、ズレを調整しているということ である。このシステムも非線形な系である。 陰陽五行論は、既述もしたように、天地という言葉で総 括される四季の変化、日周変化を認識・記述する方法であ とを論じる方法とも言えるのである。したがって、生物時 計がカオス理論で解明されれば、運とは何なのか、という ことについて、何らかの答えが出る可能性もあるのではな いか、と期待している。 最終更新 ・1・ 2000 「命と運」 http://www . shihei . com/ る。つまり、地球という天体に適応した人という生物のこ 命 運 の 推 し 方 copyright 2000 Akira 0 sanai 16
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