第 22 回通常総会議案 - 東京税財政研究センター

第 3 号議案
第 22 回通常総会議案
事業活動計画案
1.はじめに
戦後七〇年の節目の年、日本は憲法に規定された国民主権、平和主義、基本的人権
の三原則の
いずれの分野でも大きな危機に立たされています。とりわけ世界でも類を見ない憲法 9
条を柱とする平和条項は、戦後日本の平和を築き、国際的評価を得てきましたが、2014
年 7 月 1 日、安倍内閣による「集団自衛権行使容認閣議決定」に始まるいわゆる「戦
争法制」は 2015 年 7 月 16 日、自公により強行採決されました。国民の圧倒的多数が
「理解できない」
「憲法違反」
「成立を急ぐ必要はない」という中で、これを無視する
というきわめて強権的なものです。
しかし、一方で国内各地では 60 年安保反対闘争を彷彿とさせるような世代や階層を
超えた国民世論の廃案に追い込むための反対運動が盛りあがっています。
安倍政権の近年の政治姿勢は、
「特定機密保護法施行」「武器輸出3原則撤廃」「TP
P促進」
「原発再稼動決定」
「原発輸出促進」「辺野古移設強行」「東日本大震災、福島
原発事故の復興遅延」
「中・韓関係改善遅延」等々の一連の政治課題に見られるように、
そのことごとくが国民の意思を無視し、強権的、独裁的な色合いを強め、国内外から
の不信、危機感を醸成し、日本への国際的信頼をそぎ落とすものとなっています。安
倍政権の暴走は国民との矛盾を急速に激化させています。
2.税財政の特徴
安倍政権のこうした政策は、税財政の異常な状態をますます深刻なものとし、その
ための負担を中小・零細事業者、低所得者、老人、子供へしわ寄せし、社会保障費の
削減を拡大し、財政再建の破綻をいっそう推進することが予測されます。
「戦争法案」を通そうとする下で、歯止めのない軍事費の膨張が予想され、
「26 中期
防衛計画」に見られるように、すでに始まっていて、「消費税増税分はすべて社会保障
費に」などの公約は空語となり、「国民生活切捨て」へ暴走しつつあります。
宮内義彦オリックス会長の 55 億円を筆頭に、年間報酬 1 億円を超える大企業の役員
は 400 人を超えます。その一方で、非正規雇用者は 1,962 万人と過去最多、年収 200
万円以下は 276 万人増え 1090 万人に、生活保護受給者は 200 万人を超えて増え続けて
います。地方にとどまらず、廃屋は近じか全国でも 3 軒に 1 軒といわれています。格
差の拡大、地方の切捨ては広がるばかりです。また、派遣法改悪によって非正規労働
の固定化が図られようとしています。
こうした状況下にあって「経済財政運営と改革の基本方針 2015」
(2015 年 6 月 30 日
閣議決定)
」ではアベノミクスの誇大な評価をしたうえで、5カ年計画となる「経済財
政再生改革」を定め、社会保障制度を、儲けの場とする民間市場化により、解体する
方向を示しつつ、2017年の消費税税率引上げ準備にはいるとする一方、法人税実
効税率引下げを早期かつ継続実施としたほか、所得課税の見直しなど、大企業減税、
庶民増税となる税制改革の具体化を目指しています。
2015 年 10 月 5 日から施行される「マイナンバー制度」は国の個人情報独り占めにも
繋がる極めて問題の制度です。しかも、年金情報の漏洩に見られるように、常にその
危険性を抱え悪用される可能性もあります。そうしたことに対する体制も整わず、国
民の理解も十分ではない中、拙速に実施をするという状況は否めず、セキュリティ管
理その他の膨大な費用を一方的に国民に押し付ける形になっています。
日本の税・財政の未来にかかわる現在の政治状況を、国民総がかり運動の中で転換
させる必要性が増しています。
3.税務行政を取り巻く状況
国税通則法が改正から 3 年半が過ぎました。税務調査手続きの法制化は、民主的国
家として当然のことですが、現状は税務調査の現場で、この法律を十分に周知してい
ないと思われる対応がさまざまに報告されています。しかも、「再調査」規定の改悪や
事前通知方法の簡略化など、さまざまな形で改正通則法の骨抜きを図ろうとしていま
す。
税務調査は調査手続きの法制化後、調査件数の約 30%ダウンに対して、従来の申告
水準を高めるコプライアンスを確保するためとして「接触率」強化策がとられ、
「実地
調査以外の手法」による調査(ハイブリット調査等)を従来の倍近くまで拡大してい
ます。改正通則法との関連で、法律的にも多くの問題を含んでおり、引き続いて研究、
問題提起をしていく必要があります。
税務の職場は、職員管理の強化、統括官の業務が大幅に拡大され、
「統括官への昇任
拒否」職員が現れる状況です。職員への画一的管理もかつてなく強まり、膨大な法律、
通達、指示文書などをすべてオンラインで送付するため、運営方針の不徹底、意思疎
通の不足、調査手法や法律の研修も限られたものとなって、調査能力の低下を指摘す
る声もあります。
4.税理士会の自主自立化を求めて
現状の税理士会は、弁護士会等に比較してもその保守性はきわめて高く異型のもの
となっています。総会での君が代斉唱はその典型です。安倍政権の超保守主義政治の
もとで、その傾向は政治のみならず教育などあらゆる面で拡大しており、税理士会は
その先端を行っています。
納税者の権利・利益を守る立場を放棄して一方的に大勢に順応する方向が強まるこ
とが予想されます。税理士会の自主、自立化に向けて発信を続けていく必要がますま
す重要になっています。
5.おわりに
今私たちは、戦後七〇年の憲法に守られた平和日本から「戦争をする国」へと変わ
ろうとする大きな歴史の岐路に立たされています。税制は、ひとたび戦争となれば「戦
争のための兵器」とされる宿命を持っています。こうした状況下では、中小業者、低
所得者、弱者の権利・利益を守り、国民生活擁護の為のセンターの活動、研究、提言
は一段と重要性を増してきます。センターの一層の活動の飛躍を追及していきます。
注・
「5.おわりに」について、4行目「国民生活擁護」の前に「納税者権利憲章の
制定を目指す等」を挿入すべきとの意見があり、これを含めて採択されました。
事業計画
1.公開講座
(1)第53回公開講座
①日時・2015年11月6日(金)
②会場・全労連会館
③課題
イ.平成27事務年度の事務運営に関する問題
ロ.マイナンバーの実務対応
ハ.税務調査関係
(2)第54回公開講座
①日時・2016年2月5日(金)
②会場・全労連会館
③課題・未定
(3)日時は会場の関係から若干前後することがあります。
(4)税制、税務行政について、緊急・重要な課題が生じた場合、またはセンターが必
要と判断した場合には、随時、臨時に公開講座を開催します。
2.資料の蓄積・収集
(1)行政文書の開示請求を緻密に行っていきます。
(2)民間税調、公正な税制を求める市民会議など新たな団体についても情報の収集を
図ります。
(3)収集した情報公開資料の活用を促すため、ホームページを通じて会員無料、会員
以外有料で頒布する。
3.研究活動の充実、情報・成果の発信
納税者の権利を守る立場から、法律解釈、税務行政のチェック等について情報の収
集、研究に
基づく成果を、積極的に発信していきます。
(1)各研究部会を通じ、各税の基本問題について研究を深めます。
(2)消費税2%の増税をにらんで、消費税の本質、軽減税率等について研究を深めま
す。
(3)国税通則法改正に伴う税務行政、税務調査の実態の把握に引き続き努めるととも
に、改正法
の骨抜き、逆進をにらむ多様な調査方法などについて厳しく監視して意きます。
(4)海外の税制、税務行政の研究を行い、交流を検討します。
(5)マイナンバー法と税務行政の関連について研究速度のアップを図ります。
(6)センターホームページを研究部会の研究成果の発表の場となるよう一段の研究を
行います。
(7)センター研究活動報告集の発刊を継続し、今年度はホームページへの転載も研究
します。
(8)各研究部会の活動
<権利・研究部会>
・隔月開催
・税務行政における苦情処理機能の問題点と改革課題
-納税者権利擁護官制度やオンブズマン制度の導入と納税者支援システムの検
討
・税理士制度の現状と改革課題
-諸外国の制度比較と専門家の役割、納税者権利保護法制との調和
・消費税の基本問題
-税法としての位置の再検討、基幹税としての消費税の存在意義
<法人課税部会>
・年 8 回程度の定例研究会を開催します。
・法人税率の引き下げ等、法人税制の研究を行います。
・調査事例の検討等、会員の要望に沿った研究活動を行います。
<資産課税部会>
・年4回(9.12,1,6月)開催
・税制改正の学習
・税務調査の問題点
・実務事例研究
・相続税改正による相続対策
<所得課税部会>
・年⑤~6 回の定例会議を開催します。
・税務調査の問題点を研究します。
・税制改正のうち所得税に関する事項について研究します。
<徴収部会>
・9 月 16 日に発足が予定されている「滞納相談センター」に、徴収部会として、
相談・学習活動など積極的に関わっていく。
・部会内外での事例検討、学習会活動を行っていく。
4.
「滞納相談センター」への積極的対応
今後、消費税はじめ大幅な滞納増加が見込まれ、そうした中で、強権的な滞納処分
によって納税者の権利の侵害が危惧されます。にもかかわらず、このことへの対応が
税理士会等において期待できない中、徴収部会員や差押え発行に携わってきたセンタ
ー会員を中心に「滞納相談センター」設立に向けての準備が進められ、9 月 16 日設立
の運びとなりました。
「滞納相談センター」は、当センター内の組織ではありませんが、センターの方針・目
的に沿うものであり、設立に賛意を示すとともに、センター会員の「滞納相談当セン
ター」への積極的に参加を呼びかけていきます。
5.各種提言、意見、パブリックコメント等への積極的対応
各種研究成果を土台にして、機を逸せず税・財政、税務行政に関する提言、発言を
積極的に発信し、ホームページ等で公表します。
6.講師活動
(1)他団体からの講師派遣要請に積極的にこたえるとともに、主催段他との情報の交
流、連携を図ります。
(2)講師陣の集中化を解消し、新加入会員などの参加を求め講師団の拡充を図ります。
7.会報の発行
(1)発行回数の拡大
(2)小論文の掲載、研究部会報告などの掲載も含め紙面の充実を図ります。
(3)編集企画は原則として理事会に諮ります。
8.諸団体との交流
税経新人会、全国税制懇話会、地方税研究会、東京社保協、都・県土建、保団連、
保険医協会
全商連、消費税をなくす全国の会、不公平な税制をただす会、TCフォーラム等々税
制、税務行政の研究、民主化、公平税制、納税者の権利確立を求めて活動する個人、
団体等々との交流を図ります。
9.会員拡大
(1)独自の議題として毎回の理事会で協議していきます。
(2)税理士のみにとどまらず、幅広い層への働きかけも行います。
(3)個別具体的な検討をしていきます。
10.事務局体制の強化
総合的、効率的な運営を図ります。