(P5の位置図以外) (PDFファイル)

提
(平成 26 年 7 月
言
書
大瀬川上空より空撮)
平成 27 年 5 月
城山公園城跡景観等専門家会議
【城山公園城跡景観等専門家会議 委員一覧】
番
号
氏名
現在の所属等
1 市川 浩文
敏喜
2 今井
(延岡市在住)
菊池 則生
3
(延岡市出身)
4
北川 義男
(高鍋町在住)
会議開催日
第 1 回目
第 2 回目
第 3 回目
第 4 回目
役職
佐賀県立
石垣等
名護屋城博物館主査
樹木医、
緑清園代表
1 級造園施工管理技士
宮崎県立
延岡市景観アドバイザー
都城工業高等学校
都市景観、緑地計画、造園
(一財)日本造園修景 (宮崎県景観アドバイザー)
会長
(元南九州大学環境造園学部
協会 宮崎県支部長
造園学科教授)
延岡市文化財保護 文化財
副会長
審議会委員
博吏
5 渡邉
(延岡市在住)
6 中村 慎二
延岡市企画部長
7 山本 昌男
専門
行政
延岡市都市建設部長 行政
平成 26 年 11 月 13 日
平成 26 年 12 月 24 日
平成 27 年 2 月 12 日
平成 27 年 3 月 24 日
-1-
「城山公園」は、城山の鐘、散策、遠足、花見、薪能、神楽まつり・・・、と古くか
ら、延岡市民に最も幅広く親しまれている公園である。
この城山公園は、元々は、1603 年に当時の藩主であった高橋元種により築城され、
400 年以上の歴史を有する延岡城跡である。延岡城跡は、近世の城としては県内唯一の
ものであり、その象徴ともいうべき、「千人殺しの石垣」は、九州でも熊本城に次ぐ高さ
を誇っている。また、延岡城築城後は、水郷延岡と呼ばれる所以である五ヶ瀬川、大瀬
川を天然の外堀として城下町が形成された。さらに、園内で最高地盤高の天守台跡地に
は、鐘撞き堂があり、明治 11 年より代々続く鐘守によって、延岡市民に毎日欠かすこ
となく時を告げている。このように延岡城跡は、県内他市に類のない歴史を有しており、
非常に価値の高い本市の歴史的資源と言える。
近年、念願であった東九州自動車道の開通等、「延岡新時代」を迎え、「延岡城(跡)
を活かしたまちづくり」は、県内外からの観光客誘致を図り、さらに、市民共通の誇り
となる素材として、最もふさわしいものと考える。
「延岡城(跡)を活かしたまちづくり」を語るには、三階櫓をはじめとする絵図等の
史料に残っている歴史上の建築物の復元や「城下町の佇まいを感じることができるよう
な街づくり」の再現まで言及したいところである。しかしながら、巨木に覆われ、外か
らは、城跡らしさを感じることができなくなっている現状を踏まえると、当面は、城跡
としての景観を取り戻す取り組みから始めるべきものと思慮した。
このようなことから、「城山公園城跡景観等専門家会議」は、
「城山公園(延岡城跡)
「城山公園(延岡城跡)における城跡景観整備の基本方針
(延岡城跡)における城跡景観整備の基本方針」
における城跡景観整備の基本方針」
と、これを持続的に維持していくために
「城山公園(延岡城跡)の樹木管理計画」
を提言する。
なお、今後は、この提言に基づく景観整備が実施され、城山公園が市民に「延岡城跡」
として再認識されるとともに、絵図等の史料に記載されている「三階櫓」や「二階門」
などの建築物等については、市民のコンセンサスを得たうえで、可能な限り史実に基づ
く形で将来的に復元されることを望む。
また、計画が進められている内藤記念館の改築事業との連携についても、可能な限り、
議論されていくことを望む。
-2-
(1)400 年以上経過した石垣を、最も城跡らしく、効果的に見せる
ことを城跡景観整備の基本とする。
(2)延岡を訪れた方を城山公園に誘うための「外から見せる石垣」
と、園内に入って改めて気づく「内から見せる石垣」に分類して
取り組む計画とし、別途、計画を示す。なお、この計画に伴う必
要最小限の樹木の剪定・伐採は、やむを得ないものとする。
(3)剪定・伐採にあたっては、石垣、ヤブツバキ群、杉の大木、他
の生態系の保全や、城山関連イベントの背景や木陰等の機能にも
十分に配慮した計画とする。
(4)持続的に城跡景観を維持していくために、別途、
「城山公園(延
岡城跡)の樹木管理計画」を定める。
-3-
【園内の樹木が与える
【園内の樹木が与える効果】
樹木が与える効果】
園内の平坦部には、桜や梅等植栽されており、斜面部には、日本 3 大群生地の一つで
あるヤブツバキが可憐な花を見せるほか、クスやシイ等大木化した樹木が生い茂ってい
る状況である。しかしながら、それらの樹木が公園を訪れる市民に与える効果も大きい
ため、下記の効果を考慮した計画とする。
①花見(桜、ウメ、ヤブ椿等)、紅葉(イロハモミジ等)
②木陰
③景観(石垣との相乗効果)
④薪能等各種イベントの背景として
【全体に共通する植栽管理計画】
全体に共通する植栽管理計画】
①外来種の樹木等を整理する。
②今後、新たに植栽をする際は、在来種で手入れのしやすい樹木を選定する。
③弱った樹木(特に桜)については、根周囲の養生等行い、樹勢の回復を図る。それ
でも樹勢が回復しない場合は、伐採する。(特に本丸付近の桜)
④ヤブツバキや延岡市の木であるクロガネモチについては、可能な限り保全する。
⑤樹形の悪い木や現地に馴染まない木については、剪定・伐採を行う
⑥園内は、野鳥にとってオアシス的な存在であるため、城跡景観等整備上、影響のな
い樹木は極力残す。
⑦園内には、一部、民有地がある為、樹木の剪定・伐採の際には、十分注意する。
【ゾーン別植栽管理計画】
ゾーン別植栽管理計画】
管理手法上、園内を大きく 3 つのゾーン(次ページの図を参照)に分けて植栽管理
計画を立てることとする。
①歴史的環境保護ゾーン・・・天守台、三階櫓跡地、三の丸、本丸等石垣周辺
②自然環境保護ゾーン・・・・東・南・北・西斜面
③交流と憩いの創出ゾーン・・二の丸広場、牧水歌碑広場、遊具広場
-4-
位置図等は、
位置図等は、データが大きい為
データが大きい為、
大きい為、別添としています。
としています。
-5-
(1)【歴史的環境保護ゾーンの植栽管理計画】
共通事項
(歴共-1)石垣天端付近は、可能な限り低木(ツツジ等)を植える。また、既存の天
端付近の低木は、剪定時期を考慮し、1m以下の高さで剪定を行う。
(歴共-2)石垣天端付近の既存の桜等の樹木については、石垣に影響があると思われ
るものは伐採する。桜については、石垣等に影響のない場所に苗木を植える。
(歴共-3)個人所有の「延岡城下図屏風」や絵図等の史料を参考として、城下町から
の見え方、登城道からの見え方等、往時の城山の景観を想像できるような計
画とする。
(1-1:天守台エリア)
①市役所方面から大瀬橋方面にかけ、市街地から鐘撞き堂が見えるように、可能な限
り、斜面の樹木の剪定・伐採を行う。
②鐘守宅周辺の斜面の樹木は、屋根の高さを超えない程度とする。
③西側方面から天守台が見えるように、可能な限り、天守台への登り坂付近の樹木に
ついて、剪定・伐採を行う。
④虎口門付近の樹木は、遺構に影響を与えない範囲で剪定・伐採する。
(1-2:三階櫓エリア)
①市役所方面から大瀬橋方面にかけ、市街地から三階櫓跡地の石垣が見えるように、
可能な限り、斜面の樹木の剪定・伐採を行う。
②三階櫓跡地内に生えているクスノキ等については、可能な限り、伐採する。
③三階櫓については、今後、櫓の復元も検討されることになるが、当面、石垣天端付
近に低木(ツツジ)を補植する。
(1-3)三の丸エリア
①市役所方面から大瀬橋方面にかけ、市街地から石御門跡地の石垣が見えるように、
可能な限り、斜面の樹木の剪定・伐採を行う。
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(1-4)本丸エリア
①弱ってきている桜が多く存在するため、桜の保全に努める。なお、桜の生育状況次
第では、伐採も視野に入れる。
②西側トイレ付近の西側にある樹木については、可能な限り、剪定伐採を行う。
(2)【自然環境保護ゾーンの植栽管理計画】
①原則として、自然のまま樹木を保全するゾーンとする。ただし、他の 2 つのゾー
ンに影響するもの、又、城跡景観に支障を来すような樹木は、対象外とする。
②小動物(野鳥等)の保護の為、必要最小限の維持管理とする。
③斜面下の民家に影響のある樹木については、所有者等の意見を聞いた上で剪定・
伐採を行う。
(3)【交流と憩いの創出ゾーン】
①千人殺しの石垣や二の丸広場を形成している石垣など、訪れる人々に石垣の美し
さを紹介するため、適宜、除草を行う。また、牧水歌碑広場下の石垣については、
広場北側及び西側の石垣が見えるよう斜面の樹木の剪定伐採を行う。
②イベントの開催会場として、イベント開催時の背景や訪れた人々への木陰として
の機能に配慮しながら、適宜、剪定を行う。なお、城跡景観に支障を来すような
樹木は、対象外とする。
③イベント等開催に支障のないように広場の除草を行う。また、園内には、メリケ
ントキンソウが見受けられるため、適宜、駆除を行う。
【注意点】
各エリア毎に剪定を行う樹木の高さを設定する。なお、高さ設定に関しては、剪定後
の成長を考慮し 5 年から10年後の成長高さを考慮した高さとし、今後は、剪定・伐
採等の維持管理を適宜行っていくこととする。
-7-
城山公園(延岡城跡)
城山公園(延岡城跡)における城跡景観整備の基本方針
(延岡城跡)における城跡景観整備の基本方針の(2)
における城跡景観整備の基本方針の(2)
で示すとした別途計画
【①剪定伐採後の内藤記念館からの眺め(イメージ図)】
※三階櫓と二階櫓については、あくまでも復元した場合のイメージとして入れておりま
※三階櫓と二階櫓については、あくまでも復元した場合のイメージとして入れておりま
す。構造や壁の色等、詳細は、史実と異なる場合があります。
【②剪定伐採後の中町通りからの眺め(イメージ図)】
※三階櫓については、あくまでも復元した場合の
※三階櫓については、あくまでも復元した場合のイメージとして入れております。
した場合のイメージとして入れております。構造
イメージとして入れております。構造
や壁の色等、詳細は、史実と異なる場合があります。
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