(仮称)伊達市学校給食センター 整備運営事業 審査講評

(仮称)伊達市学校給食センター
整備運営事業
審査講評
(仮称)伊達市学校給食センター整備運営事業
PFI事業者選定審査委員会
(仮称)伊達市学校給食センター整備運営事業PFI事業者選定審査委員会(以下「審査
委員会」という。
)は、
(仮称)伊達市学校給食センター整備運営事業(以下「本事業」とい
う。)の事業者選定に関する事項を審議・審査するため、平成 25 年 11 月に設置され、民間
資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成 11 年法律第 117 号)に
基づく実施方針や募集要項等について審議を重ねるとともに、応募者の業務提案内容につ
いて厳正かつ公正な審査を行い、この度、最優秀提案者を選定しました。
本事業は、本市にとって初めてPFI方式による整備手法を採用したばかりでなく、元町
調理場と大滝区調理場を統合するとともに、従来の学校給食センターの機能に加え、市民の
健康増進及び伊達市の食材PRに資する事業者による自主事業を展開するための施設等を
整備する事業であり、市民の関心も高く、また、期待されている施設でもあります。
そのため、審査委員会としては、非常に重い責務であることを痛感しつつ、慎重な議論に
努めてまいりました。
今回、応募グループから提案を受けた業務提案書等については、いずれもPFI手法の導
入目的である民間の創意工夫・ノウハウの活用が期待でき、当初の目的を十分に達成できる
ものであったと評価しております。
本審査講評は、審査委員会における審査の過程と審査結果について公表するものです。
平成 27 年 6 月 5 日
(仮称)伊達市学校給食センター整備運営事業
PFI事業者選定審査委員会
委員長
石 井 吉 春
委員長職務代理者
若 山 憲 治
委 員
荒 川 義 人
委 員
諏 訪
厚
委 員
鎌 田
衛
委 員
岡 田
忍
委 員
紺 野 哲 也
委 員
大 山
委 員
松 下 清 昭
孝
<
1
目
次
>
審査の方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
(1)審査の方式 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
(2)審査の方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
(3)審査体制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
2
審査委員会の開催経緯
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
3
審査結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
(1)資格審査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
(2)提案審査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
①業務提案書の提出 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
②基礎審査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
③応募者ヒアリング ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
④定量化審査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
⑤定量化審査における評価点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7
⑥提案価格審査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8
⑦総合評価点の算定及び順位の決定 ・・・・・・・・・・・・・・・・
8
⑧最優秀提案者の選定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8
総 評 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8
4
1.審査の方法
(1)審査の方式
本事業を実施する事業者には、本施設の設計、建設、維持管理、運営を通じて、効率的・
効果的かつ安定的・継続的なサービスの提供が求められるものであり、事業者の広範かつ高
度な能力やノウハウ等と事業実施における経済性とを総合的に評価する必要がある。従っ
て、事業者の選定については、提案価格及び価格以外の要素を総合的に評価する公募型プロ
ポーザル方式とした。
(2)審査の方法
最優秀提案者の選定方法は、資格審査と提案審査(基礎審査、定量化審査)の段階的審査
により実施した。
(3)審査体制
審査委員会の構成は、以下のとおりである。
所属団体・職名等
北海道大学公共政策大学院
氏名
教授
備考
石
井
吉
春
学識経験者、委員長
若
山
憲
治
保護者・市民代表、委員長職務代理者
荒
川
義
人
学識経験者
伊達市校長会
諏
訪
厚
学校関係者代表
伊達市企画財政部長
鎌
田
衛
財務所管
伊達市総務部長
岡
田
忍
防災所管
伊達市市民部長
紺
野
也
食育所管
伊達市建設部長
大
山
孝
施設整備所管
伊達市教育委員会教育部長
松
下
昭
事業所管
伊達市 PTA 連合会
天使大学看護栄養学部栄養学科
教授
哲
清
2.審査委員会の開催経緯
審査委員会の開催と審議等の経緯は以下のとおりである。
年月日
平成 25 年 11 月 22 日
内容
第1回審査委員会
(設置、委員長選出、職務代理者指名、事業概要について等)
平成 26 年 3 月 11 日
第 2 回審査委員会
(実施方針について、要求水準書案について等)
平成 26 年 7 月 4 日
第 3 回審査委員会
(経過報告、事業スケジュール、優先交渉権者選定基準について等)
平成 27 年 5 月 7 日
第 4 回審査委員会
(資格審査・基礎審査について、業務提案書等について等)
平成 27 年 5 月 22 日
第 5 回審査委員会
(応募者ヒアリング、最優秀提案者及び次点者の選定等)
1
3.審査結果
(1)資格審査
平成 26 年 10 月 8 日までに以下の3グループから参加表明があり、いずれのグループも
参加資格を有することを確認し、平成 26 年 10 月 20 日付けで資格審査確認結果を各グルー
プへ通知した。
◆資格審査を通過した応募者(受付順)
・日総グループ
・グリーンハウスグループ
・寿浅グループ
(2)提案審査
①業務提案書の提出
資格審査を通過した3グループから、平成 27 年 2 月 16 日までに業務提案書及び設計図
書の提出があった。
◆業務提案書等を提出した応募者(受付順)
グループ名
日総グループ
構成員
協力企業
㈱日総(代表企業)
㈱札幌日総建
須藤建設㈱
㈱マルゼン苫小牧営業所
太平ビルサービス㈱札幌支店
㈱長大札幌支社
グリーンハウスグループ
㈱グリーンハウス(代表企業)
㈱アトリエブンク
伊藤組土建㈱
日本調理機㈱北海道支店
石井ビル管理㈱札幌営業所
八千代エンジニアリング㈱北海道事務所
寿浅グループ
㈱寿浅(代表企業)
㈱菅設計企画
㈱創建社
浅水建設㈱
平口建設㈱
伊達環境管理㈱
㈱栗林商会
タニコー㈱
㈱東洋実業
㈱東洋食品
北海道リース㈱
中道リース㈱
2
②基礎審査
市は応募者から提出された業務提案書に記載された内容が、以下に示す基礎審査項目を
満たしていることを確認した。
◆共通事項
・提案書全体について、同一事項に対する2通り以上の提案又は提案事項間の矛盾等がな
いこと。
・提案書全体について、様式集に従った構成となっていること。
◆設計図書
・当該提案に関連する各様式に示す項目に対する提案の内容が要求水準書を満たしてい
ること。
◆設計・建設業務提案書
・当該提案に関連する各様式に示す項目に対する提案の内容が要求水準書を満たしてい
ること。
◆維持管理業務提案書
・当該提案に関連する各様式に示す項目に対する提案の内容が要求水準書を満たしてい
ること。
◆運営業務提案書
・当該提案に関連する各様式に示す項目に対する提案の内容が要求水準書を満たしてい
ること。
◆事業計画提案書
・初期投資における借入金の返済期間に追加的な出資又は融資を想定していないこと。
・リスク分担に関し、実施方針別紙で示したリスクの分担方針との矛盾等がないこと。
・当該提案に関連する各様式に示す項目に対する提案の内容が要求水準書を満たしてい
ること。
③応募者ヒアリング
審査委員会は、基礎審査において要件を満たしていると確認された応募者に対し、提案内
容についてのヒアリングを以下のとおり実施した。
◆日
時
平成 27 年 5 月 22 日(金)9:00~
◆場
所
伊達市役所 2 階会議室A・B
◆内
容
プレゼンテーション 20 分以内、質疑応答 20 分程度(最大 60 分/グループ)
3
④定量化審査
審査委員会は、業務提案書、設計図書及び応募者に対するヒアリングを踏まえ、提案内容
に関する定量化審査を行った。
この審査にあっては評価項目ごとに各委員が評価を行いその平均点を得点とした。
なお、得点は小数点第二位まで算定した。
これらの評価については応募者間の絶対評価の方法により行った。
評価項目
講評
1 設計・建設に関する提案(29 点)
(1)基本方針及び全体配置
いずれの提案も本事業の特性を捉えた明確な設計方針
が示され、施設についても合理的な配置となっているとと
もに、交通上の安全性が確保されていた。
とりわけ、Bグループの効率的な配置計画の提案が評価
された。
(2)衛生管理の徹底、調理機能の充実
いずれの提案も給食の安全性が確保され、衛生・作業面
が考慮された施設内配置であった。
とりわけ、Aグループの安全対応の考え方が評価され
た。
(3)立地条件を考慮した施設計画
いずれの提案も冬季の気象条件や敷地条件を十分に把
握したうえで従業員の駐車場確保等について考慮されて
いた。
とりわけ、Aグループの冬季の気象条件への対応に係る
提案が評価された。
(4)アレルギー対応食の提供
いずれの提案もアレルギー調理室が適切に配置されて
いた。
とりわけ、Aグループの要求水準を超えた対応に係る
提案が評価された。
(5)環境対策
いずれの提案も省エネ・クリーンエネの活用、生ごみ処
理、環境学習等の工夫について具体的な提案がなされてい
た。
とりわけ、Aグループの環境学習等への配慮についての
詳細な提案が評価された。
(6)防災対策
いずれも具体的な対応が示された提案であった。
とりわけ、Cグループの職員の採用条件等についての提
案が評価された。
(7)景観への配慮
いずれの提案も公園や周辺施設との調和を意識した提
案であった。
4
とりわけ、Aグループは市民参加による空間デザインに
関する提案が評価された。
(8)食育に関する支援
いずれの提案も、食育支援を図る工夫が示された提案で
あった。
(9)施工計画
いずれの提案も妥当な工程計画であるとともに、工事中
の安全確保にも留意した提案であった。
また、AグループとCグループの周辺地域等への配慮に
ついての提案が評価された。
2 維持管理業務に関する提案(8 点)
(1)各種維持管理業務
いずれも明確な維持管理業務について提案されていた。
また、AグループとBグループの建築物等の保守管理計
画の具体的な提案が評価された。
(2)修繕計画
いずれの提案も予防保全・計画修繕に基づいた提案であ
った。
また、AグループとBグループの事業終了後に関する提
案が評価された。
(3)メンテナンス性、材料等の選択
いずれもメンテナンス性等に配慮された具体的な提案で
あった。
また、Cグループのライフサイクルコストの低減に向け
た詳細な提案が評価された。
3 運営業務に関する提案(24 点)
(1)運営業務実施体制
いずれも運営業務実施方針が明確に示されていた。
とりわけ、Aグループの人員配置の考え方が評価され
た。
(2)衛生管理の徹底
いずれも食中毒・異物混入防止や衛生検査等に関して熟
慮された提案であった。
また、Aグループの安全性を高める工夫についての提案
が評価された。
(3)望ましい食環境の整備
いずれの提案も、食べ残しを少なくする工夫や地産地消
の推進及び献立作成支援について熟慮された提案であっ
た。
(4)配送・回収業務計画
いずれの提案も本市の状況を的確に把握したうえでの
具体的な提案であった。
とりわけ、AグループとCグループの地域の実情を踏ま
えた提案が評価された。
(5)自主事業①
AグループとCグループの総合体育館及び市民プール
5
と連携した食と運動プログラムに類する自主事業提案が
評価された。
また、Aグループの自主事業の実施体制等に関する提案
が評価された。
(6)自主事業②
いずれの提案も独自の提案がなされていた。
とりわけ、Aグループの独自の配送ルートを活用した提
案が評価された。
4 事業計画に関する提案(19 点)
(1)組織体制、事業実施体制
いずれの提案も各構成企業の適切な役割分担等につい
て熟慮された提案であった。
とりわけ、Aグループの運営業務における非常時対応に
関する提案が評価された。
(2)資金調達計画、長期収支計画
いずれも円滑な事業運営が可能となる提案がなされて
いた。
とりわけ、Aグループの資金調達の確実性等を明確に示
す提案が評価された。
(3)リスク管理
いずれの提案も潜在的なリスクの把握とその対応策等
及び追加的な保険付保等について具体的な提案がされて
いた。
とりわけ、Aグループのバックアップサービサー体制の
構築について評価された。
(4)業務の品質確保
いずれの提案も業務のマネジメントに有効な業務管理
システムについて提案されていた。
とりわけ、Aグループのセルフモニタリングの体制につ
いて評価された。
(5)光熱水費の削減
いずれの提案も具体的な根拠に基づく積算がされてお
り評価された。
(6)地域への貢献
いずれも地域社会・経済への貢献について考慮した提案
であった。
とりわけ、Cグループについては、全事業期間中をとお
して地域経済への貢献が顕著な提案であることが評価さ
れた。
6
⑤定量化審査における評価点
各応募者の提案内容に関する定量化審査における提案内容審査点は以下のとおり。
審査
項目
大項目
中項目
配点
B
C
29
27.89
26.32
27.16
(1)基本方針及び全体配置
3
2.83
2.91
2.83
(2)衛生管理の徹底、調理機能の充実
3
3.00
2.91
2.91
(3)立地条件を考慮した施設計画
3
2.83
2.75
2.75
(4)アレルギー対応食の提供
3
3.00
2.50
2.50
(5)環境対策
2
1.94
1.88
1.88
(6)防災対策
5
4.58
4.16
4.72
(7)景観への配慮
5
4.86
4.44
4.72
(8)食育に関する支援
2
1.94
1.94
1.94
(9)施工計画
3
2.91
2.83
2.91
8
7.70
7.65
7.35
(1)各種維持管理業務
3
2.91
2.91
2.83
(2)修繕計画
3
2.91
2.91
2.58
(3)メンテナンス性、材料等の選択
2
1.88
1.83
1.94
1 設計・建設に関する提案
2 維持管理業務に関する提案
提
案
内
容
審
査
A
24
23.40
18.92
20.61
(1)運営業務実施体制
3
3.00
2.91
2.91
(2)衛生管理の徹底
3
3.00
2.83
2.83
(3)望ましい食環境の整備
3
2.91
2.91
2.91
(4)配送・回収業務計画
3
2.91
2.75
2.83
(5)自主事業①
7
7.00
4.47
5.25
(6)自主事業②
5
4.58
3.05
3.88
19
17.90
15.88
17.83
(1)組織体制、事業実施体制
3
3.00
2.83
2.66
(2)資金調達計画、長期収支計画
2
2.00
1.94
1.88
(3)リスク管理
2
1.94
1.88
1.88
(4)業務の品質確保
2
1.94
1.88
1.83
(5)光熱水費の削減
5
4.72
4.72
4.72
(6)地域への貢献
5
4.30
2.63
4.86
80
76.89
68.77
72.95
価格審査部分( b )
2 0 .0 0
1 9 .9 2
2 0 .0 0
1 9 .9 4
合計 ( a 平均+ b )
2 0 .0 0
9 6 .8 1
8 8 .7 7
9 2 .8 9
3 運営業務に関する提案
4 事業計画に関する提案
定量化審査部分合計 ( a 平均 )
7
⑥提案価格審査
応募者中、最低価格を提案したBに対しては、提案価格審査点として満点の 20 点を付与した。
また、それ以外の応募者に対しては、以下の計算式に基づき得点化を行った。
提案価格審査点
=
配点
×
(最低提案価格/提案価格)
A
B
C
提案価格(税込)
4,762,407,443 円
4,743,259,188 円
4,758,038,358 円
提案価格審査点
19.92 点
20.00 点
19.94 点
⑦総合評価点の算定及び順位の決定
定量化審査における提案内容審査点と提案価格審査点を加算し総合評価を行った結果、各応
募者の総合評価点は以下のとおりであった。
A
B
C
提案内容審査点
76.89
68.77
72.95
提案価格審査点
19.92
20.00
19.94
総合評価点
96.81
88.77
92.89
⑧最優秀提案者の選定
総合評価点の最高得点は 96.81 点のA、次いで 92.89 点のCとなった。
これにより、審査委員会は、日総グループを最優秀提案者として選定した。
4.総 評
審査委員会は、優先交渉権者選定基準に基づいて厳正かつ公正に審査を行い、日総グループ
を最優秀提案者として選定した。
応募者の業務提案書及び設計図書はいずれも大変な力作であり、本事業に対する熱意や意
気込みを大いに感じるものであり、各提案内容の評価は極めて困難であった。審査委員会は、
業務提案書等の作成にあたっての、ご努力に対して高く評価しており、各応募者の構成企業及
び協力企業の皆様に重ねて感謝申し上げる次第である。
今後、最優秀提案者として選定された日総グループが伊達市と事業契約を締結し、本事業を
実施するに際して、審査委員会が評価した具体的な提案内容を確実に実施することはもちろ
んのこと、本事業をさらによりよいものとするため、市と具体的な協議を重ね、新たなパート
ナーシップのもと、安全・安心で質の高い学校給食の実現と、市民の健康増進と食材 PR に資
する自主事業の効果的な実施のため尽力されるよう期待するものである。
8