グランデータ・ドラゴン・ウォール工法

住宅等防災技術評価概要
平成 26 年 9 月 11 日
(一財)日本建築防災協会
1.評価番号
DPA-住技-62
2.評価取得日
平成 26 年 9 月 11 日(有効期限5年
平成 31 年 9 月 10 日まで)
3.評価技術名称
グランデータ・ドラゴン・ウォール工法
4.評価取得者名、所在地、連絡先
グランデータ株式会社
東京都立川市柴崎町 5-16-31
TEL:042-523-7800
5.技術の概要
「グランデータ・ドラゴン・ウォール工法」は面材として構造用合板厚さ 12 mm を、既存の住宅の内
壁(外壁の内側を含む)に留め付けて耐震補強する工法である。耐震補強計画は、日本建築防災協会発
行の「木造住宅の耐震診断と補強方法」に示される一般診断法および精密診断法1(保有耐力診断法)
を用いて行われ、その場合の「グランデータ・ドラゴン・ウォール工法」の壁基準耐力、壁基準剛性は、
各施工仕様に応じて適切に設定している。
柱上部ビス
柱上部ビス
柱上部ビス
柱上部ビス
設置位置
中通タイプ
図1
入隅タイプ
GDW
大壁 910 タイプ(合板縦張)姿図
-1-
柱上部ビス
柱上部ビス
柱上部ビス
柱上部ビス
設置位置
中通タイプ
図2
図3
入隅タイプ
GDW
GDW
大壁 1820 タイプ(合板横張)姿図
真壁 910 タイプ(合板縦張)姿図
6.適用範囲
適用対象建築物は表1に示す通りとしている。
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表1
項
建物の適用条件
目
適用条件
建物用途
住宅
構
法
適用対象
在来軸組構法、伝統的構法
立面的混構造の木造部分
階数
規
模
3 階建て以下
延床面積
500 ㎡以下
・風圧を受ける屋外に面する部分以外の部分に適用。
・壁の両面に本工法を使用することは不可。
・裏面に上下隙間仕様の耐力壁がある場合は不可。
7.施工仕様
「グランデータ・ドラゴン・ウォール工法」は柱の小径、大壁か真壁か、納まり(標準か入隅か)、
壁長さによって施工仕様が分けられ、表2のように示される。
表2
グランデータ・ドラゴン・ウォール工法における仕様一覧
No.
仕様名称
①
大壁(A)910 タイプ
②
大壁入隅(A)910 タイプ
③
大壁(A)1365 タイプ
④
大壁入隅(A)1365 タイプ
⑤
大壁(A)1820 タイプ
1,365 超え
標準(中通)
⑥
大壁入隅(A)1820 タイプ
2,000 以下
入隅
⑦
真壁(A)910 タイプ
⑧
大壁(B)910 タイプ
⑨
大壁入隅(B)910 タイプ
⑩
大壁(B)1365 タイプ
⑪
大壁入隅(B)1365 タイプ
⑫
大壁(B)1820 タイプ
⑬
大壁入隅(B)1820 タイプ
⑭
真壁(B)910 タイプ
柱サイズ
大壁・真壁
壁長さ(mm)
900 以上 1,000 以下
大壁
105mm
真壁
1,365
大壁
105mm 未満
真壁
標準(中通)
入隅
標準(中通)
入隅
900 以上 1,000 以下
900 以上 1,000 以下
90mm 以上
納まり
1,365
標準(中通)
入隅
標準(中通)
入隅
1,365 超え
標準(中通)
2,000 以下
入隅
900 以上 1,000 以下
さらに、各仕様において、面材留め付ビスの間隔、横受桟の寸法によって異なる性能が与えられてい
る。また、上部の開口の寸法の制限や、本工法を連続して採用することの制限等が設けられている。
なお、本工法においては共通の仕様があり、まずこの共通仕様について以下に示す。
各仕様において、まず、柱頭柱脚接合部に、GD コーナーと称する金物を取り付けることとしている。
この GD コーナーは、柱のせん断に対する金物であると同時に、引き抜き耐力 8.5kN の金物として採
用することができる。ただし、柱の引き抜き耐力が 8.5kN を超える場合には、平成 12 年建設省告示第
1460 号を満足する金物を設置することとしているが、この場合においても、せん断用の金物として GD
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コーナーを設置することとしている。なお、この GD コーナーは、本評価において個別に評価するもの
ではなく、あくまでも本工法において用いることを前提に妥当性を評価するものである。
また、各仕様において、左右の柱上部に、ジョイテクト L90 と称する接合具を 3 本ずつ留め付ける。
このジョイテクト L90 の留め付けは、柱の割裂を抑制するために設置することとしている。各仕様に
おいて共通であるが、受材を設ける仕様においては施工しないこととしている。
各仕様における性能値、上部の開口寸法に応じた連続配置の制限等について、柱サイズ 105mm 角の
仕様一覧を表3に、柱サイズ 90mm 以上 105mm 未満の仕様一覧を表4に示す。
表3
No.
GD ビス
ピッチ
柱サイズ 105mm 角における仕様一覧および連続配置の制限等
壁タイプ
納まり 壁長さ mm
壁基準耐力
kN/m
壁基準剛性
kN/rad./m
8.3
1,280
大壁
900 以上
②
7.3
1,160
1,000 以下
⑦
真壁
7.1
1,190
③ 100mm
7.3
1,140
1,365
④
6.4
1,030
大壁
⑤
1,365 超
2,000 以下
⑥
①
6.2
960
大壁
900 以上
②
5.4
870
1,000 以下
⑦
真壁
5.3
890
③ 150mm
5.4
850
1,365
④
4.8
770
大壁
⑤
5.4
850
1,365 超
2,000 以下
⑥
4.8
770
合板横受桟 30×90mm の場合、低減係数 0.79 を乗じた値
①
表4
上部開口寸法
310mm
250mm
○
○
連続
連続
不可
不可
○
○
※
※
○
○
○
○(×)
連続
連続
不可
不可
○(×)
○
×
×
×
×
○
○
連続可
連続可
○
○
○
○
○
○
連続
連続
○
○
不可
不可
○(×)
○
※※
※※
○(×)
○
(×):柱に貫穴、天井回縁欠き込み等
断面欠損がある場合には不可
※:大壁 1P+1P は可
※※:1P との連続は可
柱サイズ 90mm 角以上 105mm 角未満における仕様一覧および連続配置の制限等
-4-
No.
GD ビス
ピッチ
壁タイプ
納まり 壁長さ mm
壁基準耐力
kN/m
壁基準剛性
kN/rad./m
⑧
5.8
1,060
大壁
900 以上
⑨
5.1
950
1,000 以下
⑭
真壁
5.0
980
⑩ 100mm
5.1
950
1,365
⑪
4.5
850
大壁
⑫
1,365 超
2,000 以下
⑬
⑧
4.3
790
大壁
900 以上
⑨
3.8
710
1,000 以下
⑭
真壁
3.7
730
⑩ 150mm
3.8
700
1,365
⑪
3.3
630
大壁
⑫
3.8
700
1,365 超
2,000 以下
⑬
3.3
630
合板横受桟 30×90mm の場合、低減係数 0.79 を乗じた値
上部開口寸法
310mm
250mm
○(×)
○
連続
不可
○(×)
○
連続
※
不可
○(×)
○
※
×
○(×)
連続
不可
×
○(×)
×
×
×
×
○
○
連続可
連続可
○
○
○
○
○(×)
○
連続
連続
○(×)
○
不可
不可
○(×)
○(×)
※
※※
○(×)
○(×)
(×):柱に貫穴、天井回縁欠き込み等
断面欠損がある場合には不可
※:大壁 1P+1P は可
※※:1P との連続は可
8.製品規格
①
供給材
・合板留付用ビス
商品名:GD ビス
東日本パワーファスニング(株)製(呼び径φ4.0mm,呼び長さ 41mm)
・合板受桟端部固定用 J ビス、柱上部ビス
商品名:ジョイテクト L90mm
東日本パワーファスニング(株)製(呼び径φ4.0mm,呼び長さ 90mm)
・合板縦受材取付用 J ビス
商品名:ジョイテクト L130mm
東日本パワーファスニング(株)製(呼び径φ4.0mm,呼び長さ 130mm)
・柱頭柱脚補強金物
商品名:GD コーナー
GDHZ115
グランデータ(株)製(寸法
H115mm、D60mm、W38mm)
材質
:平鋼、SPHS(JIS-G3131、熱間圧延軟鋼板の規格による)
溶接棒
:スチール用ソリッドワイヤ
JM-SCM
表面処理:亜鉛メッキ(ユニクロ)
ビス:(株)カナイ製
②
YS-N90(φ6×90mm)柱側 4 本、横架材側 4 本
現地調達材
・構造用合板
厚 12mm(JAS
2 級以上、Ⅰ類又は特類)
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・合板受桟
45×90mm または 30×90mm
・合板縦受材
30×40mm 以上
米栂乾燥材
赤松野縁材
9.設計、施工方法
「グランデータ・ドラゴン・ウォール工法」の補強設計・施工は下記の条件を満たすものが行うこと
としている。
補強設計
日本建築防災協会が行う木造耐震診断資格者講習受講者で、かつグランデータ(株)が行う設計施
工技術講習会において技術指導を受けた者。
補強設計は日本建築防災協会発行の「木造住宅の耐震診断と補強方法」に従って行うが、さらに詳細
な設計マニュアルが整備されている。
施工
グランデータ(株)が開催する設計施工技術講習会において技術指導を受けた者。
なお、壁タイプごとの図解入り施工手順等、詳細な施工マニュアルが整備されている。
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