20150214建設業の安全管理 (配布資料)

今回の話の内容
建設業の安全管理
1. 日本の労働災害
2. 災害の具体例
3. 現場の安全管理
4. 安全に作業する基本
5. 災害防止のためには
2015年2月14日
2
1
1.日本の労働災害
死傷者及び死亡者数
平成21年
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
全産業
105,718
(114,152)
107,759
(116,733)
111,349
(117,958)
113,385
(119,576)
(118,157)
建設業
21,465
21,398
22,372
(16,773)
22,851
(17,073)
(17,189)
全産業
1,075
1,195
1,024
1,093
1,030
建設業
371
365
342
367
342
死傷者
死亡者
死傷者及び死亡者数の推移(平成21年~)
(注1:平成23年は、東日本大震災を直接の原因とする死傷者を除く
(注2:死傷者(休業4日以上)は労災給付金データによる)
( 注3:平成11年以降の死傷者の内( )は労働者私傷病報告による)
3
4
1
災害の種類別死亡災害(平成25年)
2.災害の具体例
墜落・転落災害、建設機械・クレーン災害の三大災害は、
234人で全体の68.4%(前年66.5%)を占める
1.
2.
3.
4.
5.
6.
爆発火災等, 4
取扱運搬等, 2 その他, 29
電気, 1
土砂崩壊等, 21
クレーン等, 9
墜落・転落, 160
倒壊, 13
死亡者数
354人
飛来落下, 28
墜落・転落
建設機械
飛来落下
倒壊
クレーン等
土砂崩壊
自動車等, 44
建設機械, 31
・墜落・転落災害160人(46.8%)
・建設機械・クレーン等災害40人(11.7%)
・倒壊・崩壊災害等34人(9.9%)
熱中症(注意しなければならない事)
6
1.墜落・転落
覆工板開口部から落下して死亡
歯止めが必要です!!!
墜落・転落
作業構台を撤去作業においてH鋼の上
を歩行中墜落
道路法(のり)面工事のアンカーを点検
中、足を滑らせ転落し死亡
施設で浴室のブロック積み作業中、足
場から転落
足を滑らせ転倒
墜落
足場から転落
設備の不備(手摺・昇降)
親綱・安全帯
開口部養生
親綱・安全帯
親綱・安全帯
中災防
労働安全衛生情報センターより
中災防
7
労働安全衛生情報センターより
8
2
2.建設機械
作業範囲内にいた作業者がパケットに
激突される
建設機械
坂道に止めてあった車が動き出し、止め
ようとして作業者が死亡
ドラグ・ショベルが転倒し、運転手がはさ
まれて死亡
旋回したドラグ・ショベルと地山との間に
はさまれ死亡
法面に
接近
立入
禁止
立入り禁止
表示
転倒
坂等だと下がる
作業範囲内に立入禁止
立入は重機が止まり確認後
車止め
重機作業範囲に立入禁止
走行・作業時の法面の確認
中災防
中災防
労働安全衛生情報センターより
労働安全衛生情報センターより
9
10
3.飛来落下
合図遂行等の義務
1. ドラグシャベルやブルドー
ザーなど建設機械を始め
移動式クレーンを用いて
混在作業を行う場合
2. ダンプトラックや大型トラ
ックが走行するとき
木造倉庫の解体作業中、梁が落下して
作業者が転倒し死亡
浮石の破砕作業中、飛来した岩石が頭
部を直撃
立入
禁止
落下
3. 合図者又は誘導員を選
任する
4. 合図者や誘導員、自ら安
全を確保する義務を負っ
ている
作業範囲の明示、立入禁止
立入禁止の表示・看視員の配置
中災防
労働安全衛生情報センターより
12
3
4.倒壊
コンクリートブロック壁の解体中に壁
が倒壊し死亡
倒壊
宅地造成地において法面を組み上げる
作業中、緑化ウォールブロックが崩壊し
下敷きになる
吊り足場用部材を作業構台上に仮置き
作業中、作業構台が倒壊して、構台上
の作業者2名が被災
作業構台に
水平・斜材
が必要
倒壊
倒壊防止、作業標準
倒壊防止、作業標準
倒壊防止、作業標準
中災防
労働安全衛生情報センターより
中災防
労働安全衛生情報センターより
14
13
5.クレーン等
小型移動式クレーンが転倒し、作業者
がジフに押されて転落
吊荷重、吊荷のバランス、
介錯ロープ
クレーン等
土止め支保工の近くに張り出したアウト
リガーが沈下し、移動式クレーンが転倒
建築用資材の積み込み中、車両積載形
トラッククレーンが横転
ホイールクレーンでつり上げた荷を下ろ
すため、ジブを倒したところ、クレーンが
転倒
地耐力不足
吊荷重、作業標準
中災防
倒壊防止、作業標準
労働安全衛生情報センターより
15
16
4
【クレーン転倒災害多発】
「緊急注意喚起」
(他社クレーン転倒災害)
クレーン転倒
11トン鉄管つり上げ中
最大荷重に近い重さ
作業員(30歳 設備工)が倒れたクレーンの
アームの下敷きになる。
(死亡)ほか作業員3名大怪我。
[被災状況・原因]
クレーンは、木製の型枠を撤去する作業
を行っていて、およそ800キロの重さを
つり上げていた。クレーンは、車体の後
ろの車輪が浮き上がり、前のめりになる
ような形で大きく傾いて伸びた状態のア
ームが建設中の建物の上のに倒れてい
た。
2.
死亡した設備工及び大怪我を負った作
業員は他の作業中に事故に巻きこまれ
た。
3.
「吊り上げられる限界を超えて揚重を行
っていたため、倒れた可能性がある。」と
コメントがあり モーメントリミッター(安全
装置)を解除して作業していた可能性が
ある。
1.
歩行者など6人が怪我をした事故
オペレーターは、鉄管を吊り上げようとしたら、バラ
ンスを崩して倒れた。
13トンを吊り上げる適正距離は、6.7m~9.4m
10.9mまでは、9.2トン
13.1mでは5.5トン

クレーン転倒災害が発生しており、クレー
ンの転倒防止について十分な注意が必要で
ある。 「クレーン転倒防止対策」(周知
文書)を現場で 確実に 実施する
17
クレーン車転倒、2人けが
アームが水路対岸に
水路脇歩道で、配管工事中のクレーン車が転
倒した。伸ばしていたアームが幅約11mの水
路の対岸に届き、運転していた男性と対岸で
作業していた男性の2人が軽傷を負った。
6.土砂崩壊
農業用水管の敷設替え作業中、掘削溝
の法(のり)面が崩壊した
床掘りした箇所にコンクリートを打設す
る作業中に法面が崩壊して被災
地下水
地下水、作業標準
地下水、作業標準
共同通信
19
20
5
1.墜落・転落
3.現場の安全管理状況
1.
2.
3.
4.
5.
6.
墜落・転落
建設機械
飛来落下
倒壊
クレーン等
土砂崩壊
熱中症(注意しなければならない事)
21
22
墜落による危険防止
墜落による危険の防止
1. 作業床の設置等(安衛則518)
建築物等の組立て、解体、変更の作業(安衛則529)
高さ2m以上で墜落の危険のあるときは作業床を設置する。
作業床の設置が困難なときは、防網を張り安全帯等を使用させる。
建築物、橋梁、足場等作業で作業主任者を選任しなければならない場
合を除く。
2. 作業床端部等の囲い等(安衛則519)
高さ2m以上の作業床の端、開口部等には、囲い、手摺、覆い(囲い等)を設ける。
囲い等を設けることが著しく困難な時などでは、防網を張り安全帯を使用させる。
3. 安全帯使用の義務(安衛則520)
指名
労働者は安全帯等の使用を命じられた時は、使用しなければならない。
作業指揮者
直接指示
4. 安全帯の取付設備等(安衛則521)
高さ2m以上では安全帯等の取付け設備を設置し、異常の有無を随時点検しなければならない。
5. 悪天候時の高さ2m以上での箇所での作業禁止(安衛則522)
6. 高さ2m以上の作業箇所に必要な照度(安衛則523)
7. スレート等屋根上の危険防止(安衛則524)
作業方法、順序を作業員に周知
させる
巾30cm以上の歩み板の設置、防網を張る等楷置を講ずる。
8. 不用のたて坑等における危険防止(安衛則525)
9. 昇降するための設備の設置等(安衛則526)
高さ又は深さが1.5mを超えるときは、昇降設備等を設ける。
10. 墜落のおそれのある箇所への立入禁止(安衛則530)
11. ホッパー等内部における作業制限(安衛則532の2)
12. 煮沸槽等への転落による危険の防止(安衛則533)
23
24
6
安全帯の使用例
作業主任者
(講習終了者)
名称
選任すべき作業
型枠支保工組立 型枠支保工の組み立て・解体
準拠条文
安衛則246
地山の掘削
掘削面の高さが2m以上になる
地山掘削
安衛則359
土止め支保工
土止め支保工の切梁、腹起し
取り付け、取り外し作業
安衛則374
コンクリート破砕
作業
コンクリート破砕機を用いて行
う破砕作業
安衛則321の3
コンクリート造の 5m以上コンクリート造の工作
工作物の解体等 物解体、又は破壊の作業
足場の組立て等
②
安衛則517の17
③
①
つり足場、張り出し足場、又は
高さが5m以上で構造物の足場 安衛則565
の組み立て、解体作業
④
①
②
③
④
傾斜面用ランヤード
胴ベルト
つりベルト
バックサイドベルト
26
25
安全用品・器具・機材等の使用義務
*安全帯のフックをかける位置は腰より上
*スレート屋根では歩み板(幅30cm)以上を設置
水平親綱
ランヤード
安全設備
水平親綱
•親綱の張り高さは腰(90c
m位)から肩のあたりまで
が良い
•親綱は緊張器を用い、支柱
の所定の位置にたるまない
程度に張る
手摺や養生ネットを取り外した
時は作業終了後すぐに復旧する
手摺(90cm以上)中
さんを取り付ける
ランヤード
•ロープ/ストラップ、安
全帯の部品
•ランドヤードの長さは原
則として1.7m以下
荷の取り込み時は
安全帯を使用
養生ネット
幅木(高さ10cm以上)
注意表示する
荷取り込みは介錯ロープを使用
7
安全設備
親綱
転落防止柵、防護
ネット
墜落防止
用スラブ
安全帯
墜落・転落用設備
30
路肩注意
2.建設機械
重機
走路
31
32
8
事業者が、行なわ
なければならない
建設機械等
移動式クレーンの安全作業
事業者
クレーン則70
1
.
傾斜角の制限
クレーン則70の2
定格荷重の表示
クレーン則70の3
軟弱地盤では使用禁止
2
.
立入禁止柵
3.
クレーン則70の4
クレーン則70の5
アウトリガー
の位置
アウトリガー
の張出し
クレーン則74
立入禁止
クレーン則71
運転の合図
クレーン則72
4.
搭乗の制限
人の吊下げ作業の禁止
クレーン則73
やもう得
ない場合
クレーン則74の3
5. 強風時(平均風速
10m/秒以上の風)の作業中止
クレーン則74の4
6. 強風時における転倒防止(ジブを固定)
クレーン則75
7. 荷をつったままでの、運転位置からの離脱
クレーン則75の2
33
機械運転者の事故安全義務
*アウトリガーは最大に張り出す
8. ジフの組み立て作業
クレーン則33
ジフの組み立て作業(選任)
34
3.飛来落下
作業範囲の立入禁止
運転者は会
図者に従う
移動式クレーンの運転
者は有資格者が行う
玉掛は有資格者が行う
国土交通省
近畿地方整備局
36
9
現場の安全設備
昇降設備
整理整頓
工事現場全景
38
安全対策
10
4.倒壊
1. 作業標準の確認
2. 作業範囲に入らない
41
42
5.クレーン等
1. クレーンの吊り上げ能力の確認
2. 支持地盤の耐力確認
3. 3.3.3.運動の実施
43
44
11
6.土砂崩壊
1.
2.
3.
4.
山止め壁の実施
法面勾配の確保
法面からの水が流れない無いように!!
法定点検
46
45
法面勾配
法面勾配の確保
土止め壁
47
48
12
法面からの水が流れ法面崩壊
熱中症
熱中症とは
• 高温高湿環境下で、体温調節や循環機能が障害を
受けたり、水分塩分代謝の平衡が著しい失調をきた
して、作業遂行が困難または不能に陥った以下の
ような状態を総称して熱中症といいます。
• 病態生理学的には、熱射病、熱けいれん、熱虚脱
および熱疲はいに分類されます。
• 日射病は直射日光下で生じた熱射病を意味します
直接法面に水が流れないように
50
49
健康管理
緊急処置
1. 労働者の睡眠時間、栄養指導等日常の健康管理について
指導を行うこと。必要に応じ健康相談を行うこと
1. 緊急連絡網をあらかじめ作成し、関係者に
周知すること。また、病院、診療所等の所在
地、連絡先を把握しておくこと。
2. 作業開始前に労働者の健康状態を確認すること。また、あ
らかじめ作業場所を確認しておき、作業中は巡視を頻繁に
行い、声をかけるなどして労働者の健康状態を確認するこ
と。複数作業においては、労働者にお互いの健康状態につ
いて留意するようにさせること
3. 労働者に対し、水分や塩分の補給等必要な指導を行うこと
4. 休憩場所に体温計を置き、休憩時間などに測定させること
が望ましいこと
51
2. 少しでも熱中症の症状が見られた場合は、
救急措置として涼しいところで身体を冷し、
水分および塩分の補給を行うこと。また、必
要に応じ医師の手当を受けさせること
52
13
4.安全に作業する基本
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
あいさつ(挨拶は現場の安全の基本)
一声かけ(おたがいに)
報・連・相を忘れるな
整理整頓
現地KY(危険予知活動)
指差喚呼
保護具の徹底
安全標語(作業員さんから)
意識向上・見えるか(埋設管表示)
一声かけ
お互いに
• 声をかけ合って明るい職
場づくり、現場において危
険行動を見たときは、お
互いに注意しあう雰囲気
作りをし、危険行動を見
逃さない職場風土を形成
する。
• 『顔色悪いよ、危ないよ、
つまづくなよ、注意して』
の一声が、安全管理の一
歩
あいさつ
挨拶は現場の安全の基本
• 挨拶が交わらない現場で
は、スムーズなコミニケー
ションは取れません、お互
いに声をかけあいましょう
。
• 自分から進んで挨拶をし
ましょう
• 相手の目を見て相手に届
く声で言葉をはっきりと。
報・連・相を忘れるな
• 「報告」、「連絡」、「相談」
=ホウ・レン・ソウをおろそ
かにすると、不安、イライラ
、誤解がうまれ、それが仕
事のミスを招くことがありま
す。
• 「ホウ・レン・ソウ」でムリ、
ムダ、ムラのない仕事を。
14
毎日整理整頓を
• 整理整頓や清掃
をおろそかにする
と、現場が乱雑に
なり、ミスや能率
の低下、さらに思
わぬ事故を招くこ
ともあります。
現地KY(危険予知活動)
• 現地KYとは、これまで
朝礼広場で行われてい
たKY活動を一歩進め、
作業を行う前に現地で
行う。
• 作業箇所や作業内容
か変わった場合、危険
要因も変化するので、
その都度行う。
• すっきりした現場
で安全に、気持ち
よく働きましょう。
指差喚呼
保護具の徹底
1.
1.ヘルメット
氏名、新規入場時教育
• 危険状態や危険作業時
に、注意の意識がとぎれ
て災害につながることが
多い。
• 指差喚呼により、このと
ぎれた意識を要所で確認
させるための手段として「
目で見」「指を差し」「大き
な声で呼称し」「耳で確認
する」という一連の動作
で、安全であるかどうか
自分自身で確認する。
2.
3保護メガネ
3.
4.
2.あごひも
4.耳栓
5.
6.
6.安全帯
8.安全靴
7.作業服
7.
8.
頭(ヘルメット)
① 氏名
② 新規入場時教育
あご
あごひも
目
保護メガネ
耳
耳栓
鼻・口
保護マスク
腰
① 安全帯
② 位置・緩み
作業服
清潔・破損なし
足まわり
① 安全靴
60
15
安全標語(作業員さんから)
埋設管の表示
61
62
ご安全に!!
5.災害防止のために
1. 他現場の災害事例も自分に置き換えて考
える。
2. 災害事例の反省を踏まえ二度と起こさない
対策の実践。
3. 「まさか、でなく、もしかしたら、」想定範囲を
広げ、考えられる要因の除去排除。
63
16