シンガポール経済・投資ニュース May 2015

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Singapore
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シンガポール EDB 経済・投資ニュース
May - July 2015
http://www.singaporeedb.jp
FEATURE ARTICLE 1
多国籍企業がシンガポールの
企業に配慮した政策を称賛
出典:The Straits Times (2015年3月28日)
本記事はEDBにより日本語に翻訳されたものです。
先見の明に優れた指導者、模範的な政治家、戦略的な
思想家として、数々の多国籍企業トップが故リー・クアン
ユー(Lee Kuan Yew)元首相に対する哀悼の意を示し
ています。都市工業化を通して国を現代化するという壮
大なビジョンを掲げそれを実現したことで、リー氏がシン
ガポールを希望にあふれる大都市へと変貌させたことに
対する称賛の声が後を絶ちません。
ロールスロイスの最高経営責任者ジョン・リシュトン
(John Rishton)氏は「シンガポール初代首相のリー氏
は、才能豊かで勤勉な人材を有し活気あふれる国際都市
となった今日のシンガポールの礎を築くビジョンを持ち、
ライフワークとして尽力された偉大な指導者でした」と
多くの企業がシンガポールに積極的に投資をしたの
リー氏は植民地独立後の1960年代、現地労働力の搾
に起因しているとも評価されています。プロクター・アン
語っています。
取に関する不安が蔓延する時代にあって外国企業にシン
ガポール経済を開放するという勇断を下しました。多国
籍企業による大規模投資により国民の雇用が創出される
と同時に企業も成功を収めていく中で、そのような不安
は見事に払しょくされたのです。
は、リー氏率いる政 府の実 施したビジネス優 先の政策
ド・ギャンブルの最高経営責任者A. G. ラフリー(A. G.
Lafley)氏は、民間企業と長期にわたる協力関係を築き
あげるというリー氏の姿勢を強調し「彼はシンガポール
を国際的な経済大国に成長させるだけでなく、国際企業
にとっての投資先およびビジネス展開の拠点として理想
01
May - July 2015
FEATURE ARTICLE
的な土地としたのです」と語ります。またIBMの最高経営
責任者ジニ・ロメッティ(Ginni Rometty)氏も、開かれ
た市場、自由取引の保証、およびクリーンで効率的な政
府などリー氏が築き上げた企業に配慮した政策について
「彼がこの遺産を見事に後継者に引き継いだおかげで、
建国50周年を迎え、今なお繁栄し続けているのです」と
述べています。
また、シンガポールとの関わりを再確認するとともに、
シンガポール経済に対する信頼感を表明する企業もあり
ます。弔問にも参列したドイツ銀行の共同最高経営責任
者アンシュー・ジェイン(Anshu Jain)氏は「リー氏は
先見の明に優れた国際的指導者で、シンガポールの経済
発展と国民の幸福に対して身をささげ、活気あふれる前
途有望な国家という遺産を残してくれました」と語って
います。MasterCardの最高経営責任者アジェイ・バン
リー氏は偉大な指導者であると同時に、国の利益拡
ネス環境は非常に優れており、当社はこれからもシンガ
官は「多くのEDB職員にとって、リー氏は情熱を持ってサ
ガ(Ajay Banga)氏は「シンガポールのインフラとビジ
ポールに多くの投資をし続けます」とコメントしました。
シンガポール経済開発庁(EDB)のベー・スワンジン
(Beh Swan Gin)長官は「多くの国際企業経営者の皆
様からの追悼メッセージをいただいたなかで、ビジネス
コミュニティにおけるリー氏の絶大な影響力、また彼が
多くの尊敬を受けていたことが伝わってきます」と語り
ます。またベー長官は、リー氏がトップビジネスリーダー
を集めて行った会合では金融や地域政治に関する彼の
見識を吸収したいという多くの人の熱意を感じたと述べ、
「出席したすべてのCEOが、毎回まるで学生のように真
剣に耳を傾けていました」と回想します。
大に尽くした優秀なセールスマンでもありました。ベー長
ポートしてくれる存在で、我々がシンガポールを売り込む
強力な支えとなってくれました。実際、国際企業のCEO
がリー氏と面会すると、シンガポールに投資すべきかどう
かの意思決定が即座に行われたように思います」と語り
ます。
リー氏はEDBに、さまざまな課題を処理する「現実主
義」という遺産を残してくれました。リー氏の姿勢を踏襲
し、EDBは国家レベルの大胆な経済的ビジョンを描く一
方で環境の変化に応じて微調整をする備えをしていま
す。ベー長官は「長期プロジェクトにおいて目的意識を
しっかりと持ちながらも変化に柔軟に対応することで最
適な成果が生み出されます。リー氏の姿勢そのものを受
け継いでいることで、経済開発当局としての責任を果た
せているものと確信しています」と述べています。
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May - July 2015
FEATURE ARTICLE 2
シンガポールにおける食品科学の展望
出典:The Straits Times (2015年4月13日)
本記事はEDBにより日本語に翻訳されたものです。
シンガポールは、昔から豪華な食卓が大切にされてい
る土地です。そして現在、かつてない急成長を遂げてい
るのが食品・栄養科学産業です。シンガポール経済開発
庁(EDB)は、この10年間、食品・栄養分野の発展に取
り組んできました。今、それが実を結び始めています。
食品素材メーカーであるフジオイルアジアの研究開発
センター、アボット・ニュートリションのパイロットプラン
ト、食品原料サプライヤーであるDSMニュートリショナ
ル・プロダクツのイノベーションセンター、この数か月間
で、この3つの新施設がシンガポールに開設されました。
EDBのバイオメディカルサイエンス・コンシューマービ
ジネス産業担当のケビン・ライ(Kevin Lai)局長は「製
品開発とイノベーションの基盤として、企業がますますシ
ンガポールを活用しようとしていることが分かります。シ
ンガポールに企業を誘致するときは、ここに拠点を構え
てもらうことを目指してきました。過去5年間で、この分
野に20億USD(2,400億円)以上が投資され、創出さ
れた職は2,000件を上回ります」と語りました。また、今
パイロットプラント設立前は、実験を行うにはメイン
べています。
ト的にも労力的にも困難でした。2,400万USD(28億
重点を置いているのは企業活動と雇用の質の向上だと述
2015年3月5日、食用油脂、製菓・製パン素材、大豆
たんぱく質を事業の中心とするフジオイルアジアは、同
社3番目で国外初となる研究開発センターをシンガポー
ルサイエンスパークIIに開設しました。フジオイルアジア
の広報担当者は、4 0 0万USD(4億8,0 0 0万円)を投
資した同施設について、フジオイルアジアの世界進出を
後押しするものだと言います。フジオイルアジアはセノコ
(Senoko)地区にアプリケーションセンターと工場を構
えています。オセアニアと中東地域を含むアジアにおけ
る総売上高が年平均成長率10%を達成したという実績
に基づいた自信がうかがえます。
乳児用調合粉ミルク、成人用栄養ドリンクなどの製品
を提供するアボット・ニュートリションは、2015年3月17
日、アジアで初めてとなるパイロットプラントを開設しま
した。科学・医療関連研究開発部門長のロバート・ミラー
(Robert Miller)博士は「この新施設の設立は、アジ
ア、とりわけシンガポールでのR&D展開の総仕上げとな
ります」と語ります。
の製造工場のスケジュールを中断する必要があり、コス
8,000万円)を投じたパイロットプラントは、オハイオ州
コロンバスに次ぐ同社2つ目のグローバル研究開発拠点
です。アボット・ニュートリションはシンガポールで合計3
億4,000万USD(408億円)を投資しました。
ミラー博士は「当社はシンガポールで飛躍的な成長を
遂げ、スタッフ数は研究開発部門だけで100名に上りま
す」と述べています。アボット・ニュートリションは他部門
にも800名以上のスタッフを有しています。これまで、バ
イオポリスの栄養素研究開発施設、チュアス(Tuas)の工
場などの投資を行ってきました。
DSMニュートリショナル・プロダクツは2015年3月26
日、500万USD(6億円)を投じてメープルビジネスシ
ティにアジア地域向けのニュートリション・イノベーショ
ン・センターを開設しました。オランダに本社を置く同
社は、アプリケーション開発、製品のプロトタイプ製造、
市場試験に重点的に取り組む予定です。新施設には、食
品、飲料、乳製品、栄養補助食品のアプリケーション機
器が装備されています。
03
May - July 2015
FEATURE ARTICLE
D S Mアジ ア太平洋 地 域ヒューマンニュートリショ
ン・ヘルス部門担当部長のピーター・ヌブール(Pieter
Nuboer)氏は「シンガポールは多文化・多民族の環境な
らではの利点があり、シンガポールのみならず、周辺地
域の顧客に適した栄養製品の開発にも最適です。この新
施設で新たな微量栄養素を生み出せると確信していま
す」と語りました。また、シンガポールの魅力について、ヌ
ブール氏は「イノベーションに対する取り組みは群を抜い
ています。優秀な人材や知的財産の保護などの包括的な
体制が確立されていることも魅力の一つです」と述べて
います。
DSMニュートリショナル・プロダクツはシンガポールに
EDBは、企業と連携してより多くのシンガポール人が
レン繊維「ダイニーマ」のテストセンターとプレミックス工
ポールにおけるプレゼンス向上を目指して、広告・広報・
250名のスタッフを置き、セノコ地区に超高分子ポリエチ
場も構えています。
シンガポールの優位性を高めているポイントについて、
ライ局長は「三位一体」の戦略を挙げています。まず一つ
目は、アジアの顧客に対する洞察力です。EDBは、ニー
ルセンやGfKといった世界トップの市場調査会社による
リサーチ・分析を導入、また「アジア・コンシューマー・
インサイト協会(Institu te on Asian Consumer
Insights)」を設立して洞察力の向上を促進しました。二
つ目は、科学的能力です。ライ局長は「これまでにバイオ
メディカル分野と公的研究機関に多大な投資を行いまし
た。それによって、顧客企業がまさに必要としている能力
を高めることができました」と言います。三つ目に欠かす
ことができないのが、コマーシャル・プレゼンスです。ライ
局長は「洞察、技術仕様の構築、そして製品の製造。この
一連の流れはブランディングとマーケティングによって
完全なものとなります」と述べました。
訓練を受けられるよう取り組んでいます。また、シンガ
クリエイティブ企業などの専門サービス企業と連携して
います。
シンガポール科学技術研究庁(A*Star)もシンガポー
ルが栄養分野の研究においてトップの地位を築けるよ
う、長年にわたって取り組んでいます。2010年にはその
一環として、ケーケー・ウーマンズ&チルドレンズ・ホスピ
タル(KK Women s and Children s Hospital)と連
携して神経認知発達センターを開設し、子どもの脳の発
達に関する研究機能を拡大させました。また2014年、
国立大学ヘルスシステムと共同で、クリニカル・ニュート
リション研究センターを開設しました。同センターでは、
細胞から全身まで全レベルにおける食物連鎖について研
究を行うことができます。
A*Starの広報担当者は、ネスレ、ダノン、アボットなど
数々の栄養分野のトップ企業がバイオポリスに新施設を
設立したり既存の施設を拡大し、A*Starと密に連携し
て研究を行っていると述べています。シンガポールの食
品関連企業に従事する科学者・研究者数は、2010年の
300名未満から今日では約700名に増加しました。また
「食品、栄養、その他の環境要因と健康との関連性に対
する関心が高まっています。シンガポールにおける優れ
た医療・研究機能はこの関連性を理解する上で大きな役
割を果たすことができ、特に、アジア地域の人々について
の研究において重要な役割を果たすことができます」と
語っています。
ライ局長は「食品・栄養、コンシューマー産業の展望は
明るい。その要因として、一つには、アジアにおける中級
階級の増加のような大きなトレンドの影響があります。こ
の分野はこれからも成長し続けます。シンガポールの展
望については、製品イノベーションを展開するうえで魅力
的な地として企業を誘致し続けられるかどうかにかかっ
ています」と述べました。
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May - July 2015
SINGAPORE BUSINESS NEWS
Business News 01
PCM部門のシンガポール企業、生産性委員会を設立
シ セス・建設・メンテナンス(PCM)部門は、業界を主導する
ンガポールのエネルギー・化学製品産業の中核を成すプロ
また、国務大臣はSRCが1,200万SGD(10億8,000万円)
を
新たな生産性委員会を設立し、生産性の向上を見込んでいます。
て年間およそ5万2,000時間の工数削減につながることを期待し
で構成され、生産性と安全のベストプラクティスについて取り組
ました。
委員会は工場所有者、請負業者、
プロセス産業協会(ASPRI)
みます。
また、PCM請負業者の保守管理プロセス向上を目指し、
投じた機械化プロジェクトを視察、SRCとパートナー企業におい
ています。SRCは、PCM企業と協力して本プロジェクトを開発し
PCM請負業者向けにトレーニングやコンサルティングを提供する
研究拠点を設立する予定です。
新委員会の発足は、2015年2月、
ジュロン島にあるシンガポー
ル精油(SRC)
の石油精製所を訪問中のリー・イーシャン
(Lee Yi
Shyan)貿易産業兼国家開発担当国務大臣によって発表されま
した。国務大臣は
「エネルギー・化学製品産業の発展に伴い、化学
工場ではさらに高効率、高収率、
かつ複雑な製品の製造が求めら
れており、製造プロセスもより複雑化しています。そのため、PCM
企業は顧客に最高のサービスを提供できるよう、常に性能を向上
させる必要があります」
と述べました。
Business News 02
SPとEDB、3億SGD規模のCoEを開設
シ 開発と試験運用のために初期投資3億SGD(270億円)に
「CoEを通して、
シンガポール・パワーがシンガポールの先進企業
設しました。
シンガポール経済開発庁(EDB)が支援するCoEは、
試験します。電力機器とエネルギー管理分野における高度な技術
ンガポール・パワー(SP)は、2015年4月2日、エネルギー
てシンガポール・パワー・センター・オブ・エクセレンス
(CoE)
を開
シンガポールにおけるインフラの信頼性と効率向上のため、次世
代エネルギーネットワーク技術の開発ならびに商業化を推進しま
す。例えば、遠隔センサーやインテリジェントドローンを使用して
監視を行うことにより、技能職のスタッフをより高度な業務に割り
当てることができるようになります。
CoEではこのような技術を試験運用し、技術的な可行性を検証
した上でSPのネットワークに組み込み、最終的な商業化を目指し
EDBのヨー・キートチュアン(Yeoh Keat Chuan)次官は
と手を取り合ってバリューチェーン全体のソリューションを開発・
的専門性に加え、多数の先進企業が所在するシンガポールは、
こ
のような共同プロジェクトを推進する理想的な場所だと言えるで
しょう。SPと業界パートナーが共同で革新的ソリューションを創
出することで、
シンガポールが最新の送電ネットワークの恩恵を得
られること、
またアジアでのスマートグリッド開発の貢献につなが
ることを楽しみにしています」
と述べています。
ます。
スマートで環境に優しい運用や再生可能エネルギーの採用
など世界的なトレンドに対応した上で、未来志向型ネットワーク
の構築を目指します。
同社のグループCEOであるウォン・キムイン
(Wong Kim Yin)
氏は「エネルギーネットワークは生活と経済のバックボーンです。
本CoEでは、革新的ソリューションの試験、開発、実装を行いま
す。
このメイド・イン・シンガポールのイノベーションは、
アジア初
のスマートエネルギーネットワークを構築する鍵となり、
より効率
的かつ信頼性の高いサービスを提供し続けることが可能になりま
す。CoEの開設により、EDBとの緊密で実りの多い協力関係を結
べること、
また業界パートナーと共に次世代エネルギーソリュー
ションを開発していけることを期待しています」
と語っています。
05
May - July 2015
SINGAPORE BUSINESS NEWS
Business News 03
NTU、
スマートカーと交通システムのテストベッドを開設
南 4月10日、NTUキャンパスに4年計画で2,200万SGD(19
洋理工大学(NTU)
とNXPセミコンダクターズは、2015年
テストベッドでは、2016年末までに100台のV2X対応車両と
億8,000万円)
を投じるスマートカーと交通システムのテストベッ
なキャンパスにおける学生と教職員合わせて36,000名の移動手
ドプロジェクトを発足させました。投資額のうち、
シンガポール経
済開発庁(EDB)
が60%、残りをNTUとNXPが出資します。
NTU-NXPスマート・モビリティ・テストベッドでは、V2X(車車
50基の路側ユニットを配備する予定です。200ヘクタールの広大
段として実地試験が行われます。
またシンガポールのみならず、世
界的な展開も有望視されています。
EDBは、同プロジェクトによりシンガポールが高度道路交通シ
間/路車間通信)技術を使用して、車両間、および車両と路側ユ
ステム(ITS)開発の先駆けとなることを確信しています。陸上交
す。V2X技術により、予期しない車両の接近や危険な道路状況な
ジョンのもと、
インテリジェントな交通管理を実現させるために全
ニットとの相互通信を可能とする新技術の試験と開発を行いま
どをドライバーが気づく前や車載センサーが感知する前に認識で
きるようになります。
NXPのグローバル・オートモーティブ・セールス&マーケティ
ング担当上席副社長、
ドルー・フリーマン
(Drue Freeman)氏は
「このプロジェクトは交通事故防止や交通の流れの改善を実現
する技術開発にとって画期的なものとなるでしょう」
と語ります。
通庁(LTA)
の
「Smart Mobility(スマート・モビリティ)2030」
ビ
国規模でより多くのITSソリューションを展開していく予定です。
EDBのリム・コックキァン
(Lim Kok Kiang)副次官は「国際
ITS市場は年平均成長率11%のペースで2020年までに340億
USD(4兆800億円)
となるでしょう。自動車半導体分野は現在
290億USD(3兆4,800億円)相当の高成長分野であり、
スマート
化のトレンドによりさらに成長が期待できます」
と述べています。
Business News 04
武田薬品、
シンガポールに新オフィスを開設
武 見込みアジア太平洋地域における成長を加速させるため、
田薬品は、将来的な人口増加による医薬品市場の拡大を
シンガポールのバイオポリスに新オフィスを開設しました。
新オフィスには、Emerging Markets Business Unitの拠点、
アジア武田開発センターPte. Ltd.、Vaccine Business Unitな
ど同社の主要な機能が集約されます。中枢神経系、循環代謝、
胃
腸炎、腫瘍学に関する研究を通して、生物を媒介して感染するデ
ング熱や急性胃腸炎のワクチン開発などを行います。
同社のEmerging Markets Business Unit代表ジャイルズ・
プラットフォード
(Giles Platford)氏は
「新オフィス開設により、
写真提供:武田薬品
Gin)長官は「武田薬品がこの度シンガポールを選ばれたことは、
研究拠点としてのシンガポールの強みを評価していただいた結
果だと思います。武田薬品のような企業が医療分野でのイノベー
アジアおよび世界の健康問題の解決に必要な医薬品の開発加速
ションを創出しやすくするような環境を整えていくことがシンガ
トしています。
ざまな規制環境を深く理解できるようなサポートをしていきます」
に寄与する重要な市場情報にアクセスしやすくなります」
とコメン
シンガポール経済開発庁(EDB)
ベー・スワンジン
(Beh Swan
ポールの大きな役割です。医薬品会社がアジア市場におけるさま
と述べています。
Business News 05
中外製薬、
シンガポールでの研究開発に追投
中 Pharmabody Research Pte., Ltd.(以下「CPR」)に
外 製 薬 は 、同 社 のシンガポール 研 究 子 会 社 C h u g a i
い抗体医薬品創出のための研究を推進できる素晴らしい環境を
対する4億7,600万SGD(428億4,000万円)の追加投資を今
後7年間で実施し、
シンガポールにおける研究開発能力を高めま
およびシンガポール経済開発庁(EDB)の後押しで、
シンガポー
ル業務を予定より早く構築することができ、
また日本、
シンガポー
す。追投によりCPRはシンガポールで最大規模の研究開発機関
提供してくれています。
シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)
ルをはじめとする世界各国からの科学者で構成される国際研究
となります。
チームも組織できました」
と述べています。
時、
中外製薬は5年間で2億SGD(180億円)
の投資を表明してお
の度の追投は、生医学研究の人材が集う研究ハブとしてのシンガ
CPRのシンガポール設立は2012年で、職員数は70名です。
当
り、今回の投資はこれに上乗せするものです。CPRでは従業員数
を2016年末までに100名規模に増やします。
また入居面積も広
げ、新薬開発能力を強化します。
同社研究本部長の岡部尚文氏は
「バイオポリスは、CPRが新し
06
A*STARのリム・チュアンポー(Lim Chuan Poh)長官は「こ
ポールの魅力が改めて強調された形となります。国として、世界レ
ベルの研究設備や環境を提供し、協力関係を通してイノベーショ
ンをサポートしていきます」
と語っています。
May - July 2015
SINGAPORE BUSINESS NEWS
Business News 06
不二製油、
アジア向け食品開発を行うシンガポール研究開発センターを開設
不 となるアジア研究開発センターの開設を発表しました。
ます。
しかしながら油脂や食品に関する基本的な技術は変わらず、
の要望を取り入れ共同開発を行うアプリケーション開発セン
開設のオープニングイベントに出席したEDBのティエン・クィー
二製油は2015年3月5日、海外で初めての研究開発拠点
550万SGD(4億9,500万円)
を投資してフジサニープラザ(顧客
ター)
に併設された同施設は、
アジア市場向けの安全で美味しく、
健康的な食品の開発に注力する予定です。
1,900平方メートルの研究開発センターには研究者14名を含
む20名のスタッフを置き、将来的には30名に増員する見込みで
す。製品開発、
アプリケーション開発、
マーケティングを集約した
同センターは、大阪の新たな研究開発施設と密に連携していきま
同じ技術を活用しつつお客様の需要に合わせた製品開発を行い
ます」
と述べました。
エン
(Thien Kwee Eng)副次官は研究開発センターについて、
「世界的ブランドの成長とアジア向け製品開発を促進するアジア
の先駆者としてのシンガポールの地位をさらに高めることができ、
急成長を遂げているシンガポールの栄養、食品科学・技術の研究
開発力を大いに活用されることを期待しています」
と述べました。
す。
また、同社の世界各国の研究開発チームと技術交換を行いま
す。
これにより、
アジアの食品メーカーの要望をいち早く把握し、
製品や技術をより素早く市場に届けることができます。
不二製油グループ代表取締役社長の清水洋史氏は「東南アジ
アや、
インド、中東をはじめとするより広域なアジア地域、
そしてア
フリカ市場へのビジネス展開を行ううえでの足掛かりとなる、
アジ
アのハブとしての理想的な位置づけを活用するために新施設をシ
ンガポールに設立することを決めました」
と述べています。
フジオ
イルアジア取締役専務執行役員の吉田友行氏は「味覚や気候も
異なるため、
ここで製造・開発する製品は他とは異なるものになり
写真提供:不二製油
Business News 07
ヤマトアジア、
シンガポールにアジア・ビジネスモデル・イノベーション・センター設立
ヤ グス」)傘 下で東 南アジア地 域 統 括 会 社のYA M AT O
マトホールディングス株式会社(以下「ヤマトホールディン
ASIA PTE. LTD.(以下「ヤマトアジア」)
は、東南アジア地域にお
いて産業別のビジネスモデルを創出することを目的とした研究開
が進み、流通ネットワークにおける顧客ニーズが多様化する中で、
専門的な業界知識や物流に関するノウハウが一層必要になって
きています。
そこで、同 社はA B I Cを設 立し、シンガポール経 済 開 発 庁
発機関として、
ヤマトアジア内にアジア・ビジネスモデル・イノベー
(EDB)の協力のもと、各業界の研究とビジネスモデルの開発を
ヤマトグループは2 0 1 4 年 4月から中期 経 営 計 画「 D A N -
とともに、
タイ、
マレーシア、
インドネシアなど東南アジア地域を中
ASEAN経済共同体の動向を見据え、
アジアでの事業基盤の強化
自動車パーツ業界、
メガネ・コンタクトレンズなどを取り扱うア
ション・センター(以下「ABIC」)
を設立しました。
TOTSU 3か年計画 STEP」
を開始し、同年12月に発足予定の
行い、
シンガポールにおける顧客企業のビジネス拡大に貢献する
心とした他国への水平展開を行います。
を図っています。
イケア業界などをターゲット市場と定め、産業別に現状の調査・
ガポールにおいて2010年に宅急便事業を開始し、通販や食品な
いる物流サービスとの乖離を明確にした上で、物流に関する新し
ています。一方、BtoBでは、市場環境や消費者の購買行動の変化
的なビジネスモデルを開発、展開します。
ヤマトアジアは東南アジア地域の物流、経済のハブであるシン
どBtoCを中心としたシンガポール国内の配送サービスを展開し
研究を進めるとともに、顧客のニーズや困りごと、現状提供されて
い情報システムや集配ネットワーク、管理方法などを考案し、実用
Business News 08
グラブタクシー、
シンガポールに1億3,600万SGDのR&Dセンターを開設
携 1億3,600万SGD(122億4,000万円)を投資し、シンガ
帯電話向け配車アプリ
「GrabTaxi(グラブタクシー)」は、
ポールに同社初のR&Dセンターを設立しました。
グラブタクシーグループCEOのアンソニー・タン(Anthony
Tan)氏は
「当社は引き続き東南アジアに重点を置きますが、世界
中から人材を呼び込みます。最近では、
フェイスブックやアマゾン
2015年4月8日にセントラル・ビジネス・ディストリクトのセシル
といった企業から優れた人材を採用しました」
と述べました。
データサイエンティストを置く予定で、
さまざまなソースからデー
として、
「強固なインフラと良好なビジネス環境はグローバルな人
コートに開所した同センターは、将来的に200名のエンジニアと
タ解析と動向の見極めを行います。
また、
シンガポールは新技術の拠点として理想的な場所である
材バンクを形成・発展させるのにうってつけです」
と語りました。
07
May - July 2015
SINGAPORE BUSINESS NEWS
Business News 09
パナホーム、ASEAN地域の統括会社をシンガポールに設立
パ 拡大のため、シンガポールに同社100%出資による新会社
ナホームは、
マレーシアを除くASEAN地域での住宅事業
ア)
から、ASEAN地域へも拡大し、
さらに事業を加速させます。
そ
「パナホーム アジアパシフィック」
( 以下、統括会社)
を2015年4
に、新しい統括会社を設立します。統括会社では、各対象地域に
月1日に設立しました。
パナソニックグループは、2018年度に売上高10兆円を掲げ、
そのうち住宅事業分野にて2兆円を目標としています。
さらに、そ
の2兆円のうちの5,000億円をパナホームが担っており、海外事
業にて500億円を目標として掲げています。
これらの目標を確実
に達成するため、海外の住宅事業を現在の2拠点(台湾、
マレーシ
のため、ASEAN各国から2時間程度で移動可能なシンガポール
おいて、情報収集や営業活動を行うとともに、地元ディベロッパー
とSPC(特別目的会社)
を設置し、案件毎に建設体制を組織する
等、地域主導型の受注・建設体制の構築を目指します。
現在、商談中のインドネシアやベトナム、
カンボジアでのスマー
トタウン開発案件を手始めに、海外における住宅事業の展開を加
速させ、統括会社では2018年度売上高100億円を目指します。
Business News 10
マクロミル、
シンガポールに新拠点を設立
東 ルは、東南アジア地域チーム担当責任者としてミルワード・
京に本社を置くインターネットリサーチ専門企業マクロミ
ブラウン元幹部のロブ・ヴァルスラー(Rob Valsler)氏を迎え、
シ
ンガポールに新拠点を開設しました。
2014年11月にオランダのリサーチ分析会社メトリックスラボ
を合併したマクロミルは、東京、
ロッテルダム、
サンフランシスコに
本社を置き、
アメリカ、
ヨーロッパ、
アジア27ヶ所に事務所を展開
しています。
ヴァルスラー氏はミルワード・ブラウンに6年間勤務し、東南ア
ジア地域のメディア部門長を経て、最近はシンガポールで地域担
当責任者を担っていました。
マクロミルのグローバル・コマーシャル・ディレクターのテイス・
エリアス
(Thijs Elias)氏は
「シンガポールは革新的な新しいマー
ケティング活動の中心地であり、当社はここでの活動に積極的に
投資しています。ロブ・ヴァルスラー氏の知識と専門性、それに当
社の重要な計画が融合することで、国内外のお客様がより迅速に
マーケティングの意思決定を行えるものと確信しています」
と述べ
ています。
1シンガポールドル(SGD)=90円、1米ドル(USD)=120円(5月20日現在)
sedb.com
Singapore Business News
シンガポール経済開発庁(EDB)
とは
経済開発庁(Singapore Economic Development Board : EDB)
は1961年に設立された貿易産業省傘下の政府機関で、
シンガポールの産業育成、投資誘致を担っています。
「外資系企業誘致のワンストップセンター」
として、海外20ヵ所以上に事務所
を持ち、外国企業に投資先としてのシンガポールの情報を提供するだけでなく、世界の経済、技術、市場動向を把握することで、
シ
ンガポールで競争力を持ちえる産業や分野を育成するための経済戦略を立案しています。
日本には、東京に事務所を構え、
日本企
業のシンガポール投資をサポートしています。
発行:シンガポール経済開発庁(EDB)
シンガポール EDB 経済・投資ニュース
May - July 2015
▼本レターに関するお問合せは、以下にお願いいたします。
シンガポール共和国大使館参事官(産業)事務所
Tel. 03(3501)6041
http://www.singaporeedb.jp E-mail [email protected]
This publication was funded by ASEAN-Japan Centre
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