株式会社の病院経営参入推進の是非 2015 年 6 月 15 日 主張① [肯定派] 北原ゼミナール 海老沼 長田 花島 現状維持では日本の病院が危ない! 株式会社の病院経営参入により、現状の問題を解決します。 主張② 現状の問題を解決できる! 反対論者の主張、我々が覆します。 主張③ 米国の失敗は日本では起こり得ない! 以上3点より 株式会社の病院経営参入推進に賛成します! 開設者別日本の病院の分類(カッコ内は病院数。数値は平成 27 年 3 月末時点。厚生労働省より) 公立病院(1673) 国立病院(329) 公的医療機関(1286 ) 自治体病院(944) その他公的(284) 社会保険関係団体(58) 民間病院(6870) 公益法人(271) 個人(283) 医療法人(5717) その他(599) 公立病院が果たすべき役割 ①過疎地域への医療の提供 ②不採算・特殊部門の医療の提供 ③民間医療機関では限界のある高度医療の提供 ④研修等の実施による広域的な医師派遣の拠点 どんな議論なの? 現 状 ⇒ 医療は非営利原則(=配当の禁止≠利益をあげてはいけない) 株式会社(=営利組織)の病院経営への参入を認め、経営の効率化を推進していこう! アメリカ・ドイツなどでは株式会社による病院経営が認められており、その事例が議論の中心になる!? 1 主張① 現状維持では日本の病院が危ない! 日本の病院の現状は、、、? 図1 黒字病院、赤字病院の推移 左が黒字病院割合、右が赤字病院割合 (出所:全国公私病院連盟 日本病院会 病院運営実態分析調査) 全体の約 8 割の病院が赤字! しかも年々増加中!! 図2 開設者別 黒字・赤字病院割合(H26 年度) 民間病院でさえ半分以上が赤字 公立病院には果たすべき役割がある!(1 ページ) ⇒ 公立病院の赤字経営は言わば、仕方がないことである! ⇒ 公立病院には多額の補助金が支払われている!民間病院には、原則補助金なし! ⇒ 公立病院は補助金を投入してでも、潰してはならない存在である! 「民間病院の赤字」 これが日本の医療が抱える大きな問題である!! 公立病院の赤字が問題でないとは言っていない。 加 え て ! あくまで、仕方がないことである、だから補助金がある。 という考え。 日本の病院の問題点として、資金調達を銀行借入に依存しているというのがあげられる! 資金調達方法の多様化もみられるが、問題点が多く、機能していない! 資金調達手段の選択肢を増やすという面でも、株式会社化は有効! 赤字病院増加中! 銀行借入依存 日本の病院が抱えるこの深刻な問題は 株式会社の病院経営参入によって解決される!(主張2) 【参考文献】 ・アメリカ医療使節団(2002)『苦悩する市場原理のアメリカ医療』あけび書房 ・岡部陽二(2014)「医療改革を成長の柱に(上)」時事通信社 ・岡部陽二(2002) 「病院経営への株式会社参入の是非を問う」時事通信社 ・栗原美津枝(2013) 「増大する病院などの更新問題とファイナンス」日本政策投資銀行 ・厚生労働省(2014) 「全国公私病院連盟 日本病院会 病院運営実態分析調査」 ・厚生労働省医政局委託(2003) 「医療機関の経営評価方法に関する調査研究」 2 主張② 現状の問題を解決できる! 現状の日本の赤字経営を改善するためには営利病院に転換し 経営効率を改善する必要がある! 競争原理 合併・買収によるシナジー効果 経営のプロによる病院経営 営利病院転換後の経営効率の変化 実 際 2.9% から 4.9% の 経営効率の 改善により病院 の赤字経営も 改善できる! 営利病院転換後の利益率の変化 経営効率改善 を実現! 非営利病院 0.4%の改善 営利病院 2.4% の改善! (独「ヘルスケア・マネジメント誌」1 2 年 6 月号) (J oynt KE,et a l .J A M E.2 0 1 4 ;3 1 2 :1 6 4 4 -1 6 5 2 ) 年率 さ ら に ⇒ 資金調達手段が多様化する! 現状、日本の病院の多くは銀行借入に多くを依存しているが… 銀行融資が厳しくなったと感じる病院は 約18%! (厚生科学研究「医療機関設備資金の資金調達」のアンケート調査結果) 病院の着工予定時期は 加 え て 図3 病院の着工予定時期 今後 5 年間に集中している! ⇒ 莫大な資金需要 ⇒ 資金調達手段の多様化が必要! 株式会社に転換することで、資金調達手段の多様化が実現する! また!株式上場に伴う情報開示による経営健全化へのインセンティブが高まる! 営利病院に転換することで、赤字経営を改善できる! さらに!資金調達手段が多様化する!! 3 主張③ 米国の失敗は日本では起こり得ない! アメリカの失敗は 日本で本当に 起こるのか? 医療費の高騰 医療の質の低下 寡占化による弊害 ①医療費は高騰しない! アメリカでは自由診療や自由価格制度を設定しているため医療費が高騰している! 病 患 治療や処方など 院 者 ・ 薬 国が値段を決める! へ (筆者作成) 局 自由診療が少なく 薬や治療の値段を 自由に決めることが できない日本では 医療費は高騰しない! ②医療の質は低下しない! 2003~2010 年に営利に転換した病院の転換前 2 年と転換後 2 年の変化を非営利と比べると <患者の死亡率の増大割合> 非営利病院 営利病院 0.2% 0.1% (J oynt KE,et a l .J A M E.2 0 1 4 ;3 1 2 :1 6 4 4 -1 6 5 2 ) <医療の質> 6.0% の医療の質の 改善を実現! (J oynt KE,et al.JAME.2014;312:1644-1652) ③寡占化は生じない! 医療費高騰 寡占化 患者の選択肢の縮小 質の低下 想定され る流れ 1 病院当たりの面積 アメリカ 1病院/1,673 ㎢ 日本 1病院/44 ㎢ 寡占化は 日本で起こるのだろうか? 医療費の高騰、質の低下、寡占化は起こり得ない! アメリカの失敗は日本では生じないのである!! 4
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