松田 幸久 氏

Journal of The Sugiura Memorial Foundation
Vol.4 July 2015
認知症スクリーニング調査と
地域・医療・行政の
包括的クリティカルパスの構築
松田 幸久 氏
金沢医科大学総合医学研究所 プロジェクト研究センター・
精神神経科学 特定職員(ポスト・ドクター)
1.背景と目的
2.方法
我々は現在まで、富山県氷見市のへき地における認知
本調査の対象は氷見市のへき地に居住する65歳以上
症スクリーニング調査を実施してきた。当該地域では医
の高齢者である。金沢医科大学氷見市民病院の地域連携
療機関へのアクセスが非常に困難であり、地域の高齢化
室を介して、同院が定期的に訪問診療を行っているへき
が進んでいることから、認知症の発症を初期段階で検知
地医療対象地域にて調査する。調査で得られた結果か
することが困難であるためである。
本調査は、
厚生労働省
ら、福祉機関の介入や医療機関等での診療が必要と判断
が支援する
「認知症サポーターキャラバン」
にのっとった
された対象者には、本人、家族、医療機関、行政(福祉)
機関
ものであり、
医師、
看護師をふくむコメディカルなどの他
等の各分野で利用できるクリティカルパスを適用する。
職種のスタッフがボランティアとして参加している。
具体的には、金沢医科大学、氷見市民病院、氷見市健康
この取り組みは、スクリーニング調査という特色だけ
課、氷見市地域包括支援センターとの連絡会議を開催
でなく、医療機関に従事する多職種が連携した活動のモ
し、医療や福祉の関わりが必要な対象を抽出し、
認知症の
デルケースとして、
また、
超高齢社会における認知症発症
早期発見・早期治療を行う。調査で知り得た情報活用に
率の推定や地域包括ケアの取り組みの先鞭として価値が
はその可能性を事前に対象者に知らせ、同意を得た場合
高いと考えている。特に、へき地での高齢者の割合は、今
に行う。
後訪れるであろう超高齢社会での日本全体における高齢
者の割合に相当すると考えられるため、将来の日本社会
3.協働者の職種
で生じうる問題を現時点で明らかにし、対応策をシミュ
精神科医、産業医、看護師、臨床心理士、作業療法士、行
レーションできるという利益が期待されている。
政職員、大学特定職員。
本活動では、地域・医療・行政
(福祉)機関で共用でき
るクリティカルパスを構築することを第1の目的とす
4.本研究に関連するこれまでの活動
る。認知症の医療・福祉に関連する職種は医療機関のみ
論文:松田幸久,竹本早知子,橋本玲子,玉井顕,神田享
ならず、介護士、デイケアサービス、地域包括支援セン
勉,石崎昌夫,三輪高喜,森本茂人,北村修,川﨑康弘,
ターといった多くの職種が有機的に連携することで、質
2014.富山県氷見市のへき地居住者に対する認知症スク
の高い医療・福祉の実現が期待できる。
リーニング調査.金沢医科大学雑誌 39(3),67-74.
第2の目的として、へき地居住者における認知症の有
学会発表:松田幸久,石崎昌夫,橋本玲子,竹本早知子,
川
病率と生活様式との関連を明らかにする。これまでも認
﨑康弘,2015.富山県氷見市のへき地居住者に対する認
知症スクリーニング調査を行っているが、より広域で実
知症スクリーニング調査:2年間の活動をとおして.第
施することにより、得られた結果の確度・一般性を高め
34回日本社会精神医学会(於富山大学)
ることができる。
43