中国人が使う中国語 Ⅱ 就職、結婚、転職(1999 年 7 月∼2002 年 6 月) 四 行事 3 旧正月 chūnjié 中国におって、一年で一番盛大な行事といえば、やっぱり旧正月「 春 节 」やろう。日本は戦後、西暦の正月 元旦を祝うようになったけど、中国やその他多くのアジア諸国は今も旧暦の正月を祝う。 nóngmín gōng wàiláimèi 中国の旧正月は、地方から出稼ぎに来てた農民「 农 民 工 」とか女の子たち「 外 来 妹 」が一斉に帰郷す る。だから、電車とか長距離バスは超満員。切符は入手困難。旧正月前のこの民族大移動はほんまにすさまじい。 nóngmín gōng wàiláimèi 蘇州の旧正月はというと、 「 农 民 工 」や「 外 来 妹 」がいなくなって、街は閑散とする。蘇州は古都やけ xīnqū ど、今は二つの工業区(蘇州市の西に位置し、蘇州市政府管轄の「 新 区」と、蘇州市の東に位置し、シンガポー xīnjiāpō gōngyè yuánqū ルと中国の国家プロジェクトで作られた「 新 加 坡 工 业 园 区 」 )があって、何千という工場がある。それら 工場の作業員の多くが外地人やし、外地から蘇州に来てる商売人もたくさんおる。彼らがすっかり街から姿を消 すもんで、蘇州市内は急に静かになる。 guònián hèkǎ 新年を迎える「 过 年 」時は、そうやって帰郷する人が多いし、年賀状「贺卡」を送る習慣や、子供にはお年 yāsuìqián hèkǎ 玉「压 岁 钱 」を贈ったりする習慣もある。その辺りは日本とよく似てる。「贺卡」に書かれる言葉は、 xīnnián kuàilè 新 年 快 乐 gōngxǐ fācái 恭 喜发财 wànshì rú yì 万 事 如意 新年あけましておめでとう 財を作って金持ちになり、おめでとう(←拝金主義の中国人らしいお祝いの言葉) 何事もうまくいきますように chūnjié yúkuài 春 节 愉 快 楽しい春節をお過ごし下さい xīn de yìnián píng'ān xìngfú 新 的一 年 平 安 幸 福 新しい一年が平安で幸せでありますように などなど、色々ある。 duìlián jíxiáng duìlián 家の門には、 「 对 联 」と呼ばれる赤い紙を貼り付ける。赤色は縁起がいいこと「吉 祥 」の象徴で、 「对 联」 shànglián xià には春節を祝う言葉が書かれる。門の左右に一枚ずつ貼って一対とされ、右を「 上 联 」 (上の句)、左を「 下 lián 联 」 (下の句)と言う。ダイヤ型の赤い紙に「福」と書かれたものを、文字を逆さにして門に貼り付ける習慣も fú dǎole fú dào le ある。これは、「“福”倒 了 」(福が逆さになった)と同音で、「“福” 到 了」(福が来た)という意味になり、そ の願いが込められてる。「福が天から落ちてきますように」と願い、逆さに貼るという人もおる。 guònián biānpào また「 过 年 」のお決まりといえば、爆竹「 鞭 炮 」!夜中十二時になると、あちこちで爆竹が一斉に鳴って、 まず一時間くらいは鳴り止まへん。(但し、北京は上海などの大都市では爆竹禁止。)それにおもしろいと思った yānhuǒ のが、花火「 烟 火 」も上げられることや。日本人的感覚では、花火は夏の風物詩。でも、中国で花火は、一年 中イベントがあるといつでもするもので、特に、冬を思い浮かべるものらしい。 chūyī chūqī 日本では正月三が日って言われるけど、蘇州人は大体「初 一 」(旧暦正月一日目)から「初 七 」(旧暦正月七 chūyī chūèr 日目)までを祝う習慣がある。「初 一 」は家族団らんで過ごして、「初 二 」からは親族や友人などを訪問する。 関係が深い人ほど先に訪問していく。 jiǎozi dànjiǎo dànjiǎo 食べ物について言うと、北方地域では餃子「 饺 子」を食べるけど、蘇州では「 蛋 饺 」を食べる。 「蛋 饺」 は、形は餃子に似てるけど、皮は溶き卵を油で焼いたもの、具は何を入れてもいい。その卵の皮で巻いて餃子の dànjiǎo yuánbǎo ような形にするから、 「 蛋 饺 」と呼ばれる。色が黄金色やから、「 元 宝 」(馬蹄銀、つまり昔のお金)を象徴 yuánxiāojié tāngyuán tāngyuán してるとも言われる。旧暦一月十五日「 元 宵 节 」には、家族で「 汤 圆 」を食べる。 「 汤 圆 」は甘くて 丸いお団子の入ったスープで、家族団らんの象徴とされる。 guònián 「 过 年 」には先祖を奉る習慣もある。食事の前に、食卓の上に先祖の数だけ杯を出して、その杯に三度で杯 xībó いっぱいになるようお酒を注いでいく。ご先祖様にもお酒を飲んでもらおうという訳や。あと、「锡箔」という yuánbǎo 「 元 宝 」の形をした銀色の紙を燃やす習慣もある。これもお金の象徴で、それを燃やすことで、先祖が天国で もお金に困らないようにっていう意味がある。ほんまのお金を燃やすわけにはいかんから、その代わりとして xībó 「锡箔」を使うわけや(これを燃やしたらお金が天国まで届けよぉ∼って感じやろうか?) 。 旧正月の過ごし方は、中国各地域で異なるし、ここに紹介したのは蘇州市内のごく一部の風習。 夫の季が言うには、 yǐqián wǒ xiǎo de shíhòu guònián hěn rènao de xiànzài méi shénme rènào de 以 前 我 小 的 时 候 , 过 年 很 热 闹 的。 现 在 没 什 么 热 闹 的。 昔、俺が子供の頃は、年越しはにぎやかで楽しかった。今は何も楽しくない。 大人になったからつまらなく感じるのか、時代が変わったからか、それとも色んな風習が簡素化されてきてる guònián からか、理由は分からん。でも、今の中国の若者には、「 过 年 」もそんなにワクワクするものではなくなって きてるようや。
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