卸研 研究委員会 報告 - 一般財団法人 流通システム開発センター

2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
卸研 研究委員会 報告
~情報志向型卸売業研究会・2014年度研究委員会~
2015年3月
卸研 研究委員会
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
目 次
*
情報志向型卸売業研究会(卸研)概要
・・・・・・・・
2
*
情報志向型卸売業研究会(卸研)会員企業一覧 ・・・・
3
*
2014年度
卸研
5
*
2014年度
研究委員会
*
2014年度
研究委員会開催スケジュール
*
2014年度
各グループの研究テーマ
*
2014年度
各グループ報告
研究委員会の参加企業
・・・・・
研究テーマ設定にあたり
・
6
・・・・・
7
・・・・・・・
8
-
Aグループ
報告
・・・・・・・・・・・・・
9
-
Bグループ
報告
・・・・・・・・・・・・・
39
-
Cグループ
報告
・・・・・・・・・・・・・
83
-
Dグループ
報告
・・・・・・・・・・・・・ 145
-
Eグループ
報告
・・・・・・・・・・・・・ 166
卸研 研究委員会
1
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
情報志向型卸売業研究会(卸研)概要
【目的】
“卸研”は、卸売業の情報化を促進することによって、
流通システムの効率化に寄与することを目的とした研究会です。
【経緯】
1985年に発表された「情報武装化卸売業ビジョン」を契機として、
同年8月、経済産業省の指導により設立されて以来、各卸売業に共通
する情報化の課題について、業種横断的に調査・研究を行っています。
2014年度は、第30期となります。
(卸研パンフレットより転載)
2
卸研 研究委員会
情報志向型卸売業研究会(卸研) 会員企業一覧
2014年度 卸研会員
正会員
旭食品(株)
(株)あらた
伊藤忠食品(株)
(株)大木
貝印(株)
花王カスタマーマーケティング(株)
加藤産業(株)
カナカン(株)
国分(株)
(株)シイエスシイ
(株)外林
タツミ産業(株)
準会員
亀井通産(株)
(株)ジャパン・インフォレックス
セイカ食品(株)
(株)ヘリオス
丸千千代田水産(株)
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2014年11月現在
賛助会員
(株)種清
(株)トーカン
(株)日本アクセス
日本酒類販売(株)
ピップ(株)
(株)マルイチ産商
三井食品(株)
三菱食品(株)
ヤマエ久野(株)
(株)山星屋
22社
5社
合計49社
卸研 研究委員会
アクセンチュア(株)
(株)アスコット
伊藤忠テクノソリューションズ(株)
NECソリューションイノベータ(株)
(株)岡村製作所
(株)サイバーリンクス
(株)シーネット
都築電気(株)
(株)テスク
東芝ソリューション(株)
東芝テック(株)
日本電気(株)
日本ユニシス(株)
(株)ネクスウェイ
(株)日立製作所
(株)ひむか流通ネットワーク
(株)ファイネット
富士通(株)
(株)富士通システムズ・イースト
(株)プラネット
ベンサムネットワーク(協)
ホンダロジコム(株)
22社
3
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
情報志向型卸売業研究会(卸研)体制図
(卸研パンフレットより転載)
会員による通常総会・臨時総会を開催。
事業内容、その他卸研の運営に関する
重要事項を決議する。(原則 1回/年)
総 会
政策懇談会
卸研事業報告・計画、予算・決算等の
運営委員会
審議を行う。 (原則 2回/年)
卸研事務局
企画委員会
(財)流通システム開発センター
セミナー・講座を開催。
会報の作成・発行を行う
卸研事業の企画全般を行う。
会員が自主的にテーマを設定。
研究委員会
意見交換、研究活動を行う。
4
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2014年度 卸研 研究委員会の参加企業
2015年2月現在ノミネーション企業
<卸売業:20社>
・旭食品 (3)
・伊藤忠食品(1)
・大木(2)
・貝印(1)
・花王カスタマー
マーケティング(1)
・加藤産業(2)
・カナカン(1)
・国分(3)
・外林(2)
・タツミ産業(1)
・種清(1)
(( )内参加人員)
< I T 関連:21社
・トーカン(1)
・日本アクセス(3)
・日本酒類販売(1)
・ピップ(3)
・マルイチ産商(2)
・三井食品(2)
・三菱食品(1)
・ヤマエ久野(2)
・山星屋(1)
計34名
計41社(71名)
・アクセンチュア(1)
・アスコット(2)
・伊藤忠テクノ
ソリューションズ(2)
・NECソリューション
イノベーター(2)
・サイバーリンクス(1)
・シーネット(2)
・シイエスシイ (2)
・都築電気(1)
・テスク(1)
・東芝ソリューション(2)
・東芝テック(2)
・日本電気(2)
・日本ユニシス(2)
・ネクスウェイ(2)
・日立製作所(2)
・ひむか流通
ネットワーク(2)
・ファイネット(2)
・富士通(2)
・富士通システムズ・
イースト(2)
・プラネット(1)
・ホンダロジコム(2)
計37名
委員会開催10回+個別会議
卸研 研究委員会
5
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2014年度 研究委員会 研究テーマ設定にあたり
•10年間の研究テーマの振り返り
期
20期
21期
年度
2004年度
2005年度
テーマ
22期
2006年度
「中間流通業における国際標準への対応 ~次世代EDI」
A:普及パンフレットの作成、B:卸売業としての活用ガイドラインの作成、C:物流関連項目の検討
23期
2007年度
「卸売業における流通情報システム標準化への対応」
A:物流標準化チーム、B:流通BMSガイドライン検討チーム、C:卸向け流通BMSファーストステップガイド検討チーム、D:中小企
業の流通BMS検討チーム
24期
2008年度
「中間流通業における鮮度管理への対応について」
A:発注チーム、B:入荷在庫管理チーム、C:出荷チーム
25期
2009年度
「中間流通における鮮度管理ガイドライン」
A:運用ガイドライン検討チーム、B:システムガイドライン検討チーム、C:ガイドライン実用化推進チーム
26期
2010年度
「卸売業の取り組むべき環境問題」
A:卸売業におけるグリーン物流への取り組みについて、B1:伝票・帳票類のペーパーレス化、電子化など、B2:照明、エアコンに
おける消費電力削減対策と省エネ効果の検証、C:卸研正会員企業の環境への取り組み
27期
2011年度
「卸売業の取り組むべき環境問題」
A:ペーパーレス、作業効率化を目的としたスマートデバイスの活用、B:卸売業の返品問題、C:共同輸配送による配送効率化や、
物流センターにおける省エネ、D:災害時等の卸のBCM(事業継続管理)/BCP(事業継続計画)
28期
2012年度
「社会インフラとしての卸機能の高度化を目指して」
A:卸売業の情報システム面でのBCP/BCM、B:卸売業の物流面でのBCP/BCM、C:新しいIT(スマートデバイス)の活用、
D:新しいIT(SNS)の活用、E:流通BMSの標準運用への提案と啓蒙
29期
2013年度
「社会インフラとしての卸機能の高度化を目指した協同への取り組み」
A:卸売業のBCP/BCM ~メーカーとの連携を中心に研究~、B:流通BMS 標準運用の普及 ~提案と啓蒙を中心に研究~、C:ス
マートデバイスの活用 ~業務活用、情報創造を視野に~、D:ビッグデータ/クラウドの活用、E:情報システムにおけるコスト削減
Web-EDIの研究
「卸売業としてのGTINへの対応」
2013年 卸研 事業計画より
会員による自主的な研究活動の場である研究委員会は、卸研の最大の機能であり活動の中心として位置付ける。
研究内容は卸売業の実務担当者が必要とする、実務の現場における課題とされるテーマを検討し、卸売業としての意見表明を
行う内容とする。
課題、テーマについて、単なる情報収集、課題の確認を行うのではなく、参加者(社)が課題、テーマに対するそれぞれの問題
意識に基づき、積極的に意見を表明し、それらを取りまとめ卸売業の総意として提言を行う組織とする。
6
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2014年度の研究委員会開催スケジュール
№
開催日
曜日
時間
会場
参加人数
第1回
6月25日
水
13時30分~17時
流開センター会議室
51名
議題 : 事務局挨拶、委員自己紹介、座長承認、今年度の研究委員会 検討内容、進め方、流開トピックスなど
第2回
7月18日
金
10時30分~17時
流開センター会議室
53名
木
10時30分~17時
流開センター会議室
54名
金
10時30分~17時
流開センター会議室
45名
現地集合/解散
外部視察(埼玉県)
41名
議題 : 勉強会(日本ユニシス)、グループ別検討
第3回
8月21日
議題 : 勉強会(富士通)、グループ別検討
第4回
9月26日
議題 : 勉強会(伊藤忠テクノソリューションズ)、グループ別検討
第5回
10月10日~11日
金土
議題 : 現場視察(ピップ 東関東物流センター、日本アクセス 八潮物流センター)、グループ別検討
第6回
11月13日
木
10時30分~17時
NECイノベーションワールド
47名
木
10時30分~17時
流開センター会議室
50名
金
10時30分~17時
流開センター会議室
41名
木
10時30分~17時
流開センター会議室
49名
13時30分~17時
日本青年館ホテル 中ホール
-
議題 : 勉強会(日本電気)、グループ別検討
2014年12月3日 卸研フォーラム(明治記念館)
第7回
12月18日
議題 : 勉強会(日立製作所)、グループ別検討
第8回
2015年1月16日
議題 : 勉強会(アクセンチュア)、グループ別検討
第9回
2月5日
議題 : 勉強会(シーネット)、グループ別検討
2015年3月5日 リテールテック「2014年度卸研研究委員会活動報告」
第10回
金
3月27日
議題 : 「2014年度卸研研究委員会グループ別活動報告会」
卸研 研究委員会
7
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
全体テーマ : 卸情報システムの将来像につなげる基盤整備
Aグループ検討テーマ : 流通BMSの標準運用
Bグループ検討テーマ : スマートデバイスの活用
Cグループ検討テーマ : クラウドの活用
Dグループ検討テーマ : 情報システムのコスト削減と人材育成
Eグループ検討テーマ : 卸物流システムの新技術
8
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2014年度 情報志向型卸売業研究会
Aグループ活動内容
流通BMS普及拡大に向けて
卸研 研究委員会
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2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
目次
1.はじめに
テーマ設定の背景と目的
2.アンケート実施概要
2-1.アンケート実施の背景と目的
2-2.アンケート内容
3.アンケート結果
3-1.卸売業の受注手段状況とEDI実施状況
3-2.流通BMSでの取引状況
3-3.業界団体別加盟企業の流通BMS普及状況
4.流通BMS標準運用普及拡大に向けて
4-1.流通BMS取引の拡大
4-2.採用メッセージの拡大
4-3.社名公開への協力要請
4-4.今後の課題
5.まとめ
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卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
1.テーマ設定の背景
卸研では流通BMS普及に向けて、さまざまな研究テーマを設定し取り組んできた。
2010年より本格的に流通BMSの普及が始まり着実に普及しているが、取引全体に占める割合はまだまだ低
く、レガシーEDIやWeb-EDIの取引もまだ現実として多数残っている。今後更に流通BMSの普及を加速させ
るために現状のデータ交換状況を把握して、課題を見つけ対策を研究することとした。
●卸研での流通BMSに関する研究テーマ
2014年度
2013年度
流通BMS普及拡大に向けて
2012年度
流通BMS標準運用の普及
~提案と啓蒙を中心に研究~
流通BMS標準運用
への提案と啓蒙

2007年度 卸売業における流通情報 
システム標準化への対応
中間流通業における
国際標準への対応
2006年度








流通BMS導入ガイドブック作成
(卸売業版)
オフライン発注の標準化
納品明細書の標準化
⇒チェンジリクエスト提案
物流標準化検討
流通BMSガイドライン検討
卸向け流通BMSファーストステップガイド検討
中小企業の流通BMS検討
普及パンフレットの作成
卸売業としての活用ガイドラインの作成
物流関連項目の検討
標準化・カイドライン検討
2010年より本格的に普及拡大
卸研 研究委員会
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2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
1.テーマ設定の目的
<研究テーマ>
流通BMS普及拡大に向けて
<活動内容>
正会員に対するアンケート調査を実施し現状のデータ交換状況を再確認する
普及拡大に向けた課題を見つけ対策を研究する
<目的>
 個別開発業務の削減
 事務作業の効率化
 個別対応業務の削減
 業務品質・精度向上
 流通BMS普及拡大に向
けた提言を行うことを目
指す
卸研 研究委員会
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2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2.アンケート実施概要
卸研 研究委員会
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2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2.アンケート実施概要
2-1.アンケート実施の背景と目的
背景
流通BMSの普及は、現状小売業からの要請が主となっているが、その小売業への
普及速度が鈍っているように見受けられる。レガシーEDIまたはWebEDIの得意先
(小売)も多数残っており、特に中小規模の小売業への普及が今後の課題だと考えら
れる。
また、既に導入済みの小売業でも、対応領域が「発注」のみで、流通BMSの導入効
果が十分に発揮できていないことが対応領域拡大を躊躇させる要因の一つと捉えて
いる。今回、卸売業から見た小売業の流通BMSの普及実態調査により、業態別、企
業別の傾向分析を実施することで、普及の糸口を見い出し、中小小売りに向けて流
通BMS導入促進の提言を行いたい。
①企業間取引における業態別受注手段状況の把握(可能な範囲で)流通
BMSの普及割合の現状把握。
目的
②企業別、業態別の流通BMS導入状況、使用メッセージの把握
※卸研としては、小売業(企業別・カテゴリ別)まで踏み込んだ導入状況をアンケート調査により
把握し、情報共有(名寄せ)し普及の拡大につなげる。
14
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2.アンケート実施概要
2-2.アンケート実施概要
■対象企業:卸研正会員20社
■実施期間:2014年10月10日~10月31日(金)
■アンケート質問内容
【質問1】 卸売業の受注手段現状調査
企業規模
受注⼿段
総企業数
流通BMS
レガシーEDI
Web
⾮EDI
年商500億円超
年商500億円以下
合計
【質問2】 流通BMSメッセージ採用パターン調査(取引先パターン毎)
利⽤メッセージ
企業名
業態
企業規模
パターン
(カテゴリ)
出
荷
梱
包
受
領
受
領
訂
正
返
品
請
求
⽀
払
(
No.
出
荷
伝
票
出
荷
︶
卸研ストア
SM
B
グロサリー
1
ex.2
卸研ストア
SM
B
チルド
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
卸研 研究委員会
1
︶
︶
ex.1
集
計
表
作
成
デ
タ
タ
発
注
予
定
在
庫
補
充
勧
告
⼊
庫
予
定
⼊
庫
確
定
在
庫
報
告
そ
の
他
メ
セ
ジ
受
領
︶
発
注
集
計
表
作
成
デ
︵
タ
出
荷
梱
包
紐
付
け
あ
り
︶
タ
︵
集
計
表
作
成
デ
︵
紐
付
け
あ
り
集
計
表
作
成
デ
︵
発
注
1
15
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2.アンケート対象企業一覧
●アンケート対象企業一覧 卸研正会員20社
 旭食品(株)
 (株)種清
 伊藤忠食品(株)
 (株)トーカン
 (株)大木
 (株)日本アクセス
 貝印(株)
 日本酒類販売(株)
 花王カスタマーマーケティング(株)
 ピップ(株)
 加藤産業(株)
 (株)マルイチ産商
 カナカン(株)
 三井食品(株)
 国分(株)
 三菱食品(株)
 (株)外林
 ヤマエ久野(株)
 タツミ産業(株)
 (株)山星屋
16
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2014年度
情報志向型卸売業研究会
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3.アンケート結果
今回のアンケート結果については、下記のような不確定要素があるため、推定値となります。
•
総取引企業数は正確な実数把握が困難である。
•
グループ企業との取引について、企業数の捉え方が卸売業により異なっている。
•
同一企業名の場合、小売業の規模を参考に名寄せしたため、必ずしも正確とはいえません。
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17
2014年度
情報志向型卸売業研究会
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3.アンケート結果
有効回答19社の延べ企業数
 総取引企業数
83,239社
 EDI実施企業数
14,171社
 流通BMS実施企業数
 名寄せ結果
(流通BMS導入済み小売業数)
919社
319社
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2014年度
情報志向型卸売業研究会
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3.アンケート結果
3-1.卸売業の受注手段とEDI通信手段 -①
卸売業の受注手段は全取引先を対象とすれば、EDIによる受注が17%、非オンラインが83%。
EDI実施企業との通信手段では流通BMSがまだ6.4%と低く、レガシーが85%以上となっている。
受注手段
流通BMS:1.1%
905社
EDI通信手段
Web-EDI1.4%
1,191社
流通BMS:6.4%
905社
Web-EDI:8.4%
1,191社
レガシーEDI:14.5%
12,075社
述べ取引企業数
述べ取引企業数
N:83239社
N:14171社
非EDI 83.0%
69,068社
レガシーEDI:85.2%
12,075社
※レガシーEDI:EOSのみを含む
卸研 研究委員会
19
2014年度
情報志向型卸売業研究会
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3.アンケート結果
3-1.卸売業の受注手段とEDI通信手段 -②
大手小売業ではEDI化が約85%と高いが、中小の小売業では非EDIがまだ約83%と高い。
流通BMSも大手小売業の24%に対し、中小小売業はまだ0.7%と低い。
●小売業の規模別受注手段
※有効回答13社計
年商500億以上
年商500億未満
流通BMS:0.7%
342社
非EDI:15.9%
155社
Web-EDI:1.6%
687社
流通BMS:24.0%
233社
レガシーEDI:14.6%
6,796社
N:972社
N:46,580社
Web-EDI:11.8%
115社
レガシーEDI:48.3%
469社
非EDI:83.2%
38,755社
※レガシーEDI:EOSのみを含む
20
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2014年度
情報志向型卸売業研究会
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3.アンケート結果
3-2.流通BMSでの取引状況 -①
流通BMSで取引している319社のうち、GMS,SMが241社と約75%を占める。
小売業の規模別では1000億以上が約25%だが、200億未満が52%を占めている。
●小売業の業態別規模別流通BMSでの取引企業数
業態
規模
1000億以上
N:319社
GMS
SM
HC/DS
DG
その他
合計
6社
48社
7社
14社
4社
80社
4社
1社
26社
500億以上
21社
200億以上
37社
3社
4社
2社
46社
200億未満
129社
6社
14社
18社
167社
235社
16社
36社
25社
319社
合計
6社
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21
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
3.アンケート結果
3-2.流通BMSでの取引状況 -②
約60%の企業が請求支払までデータ交換している。
企業規模が大きいほど、請求・支払までデータ交換している割合が高い。
●小売業の規模別流通BMS採用メッセージ状況
N:319社
流通BMS
導入社数計
発注のみ
出荷まで
受領まで
請求・支払
その他
1000億以上
80社
2社
2.5%
4社
5.0%
13社
16.3%
59社
73.8%
2社
2.5%
500億以上
26社
1社
3.8%
2社
7.7%
5社
19.2%
18社
69.2%
―
200億以上
46社
5社
10.9%
5社
10.9%
10社
21.7%
26社
56.6%
―
200億未満
126社
16社
9.6%
14社
8.4%
50社
29.9%
85社
50.9%
2社
1.2%
合計
319社
24社
7.5%
25社
7.8%
78社
24.5%
188社
58.9%
4社
1.3%
22
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2014年度
情報志向型卸売業研究会
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3.アンケート結果
3-2.流通BMSでの取引状況 -③
流通BMSによる取引は2倍以上に拡大。DC型センターとのデータ交換も取引数は少ないが
2倍以上伸長している。
●2012年との流通BMS導入企業数比較
350%
800
673
300%
2014
578
576
600
増加率
250%
500
200%
400
316
300
332
314
150%
264
236
176
200
100
350
増加率
延べ取引数(
企業数×カテゴリー)
687
700
2012
59
100%
162 158
178
79
6 15
0
卸研 研究委員会
13 27
14 27
14
29
50%
0%
23
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
3.アンケート結果
3-3.業界団体別加盟企業の流通BMS普及状況
日本チェーンストア協会,45%、日本スーパーマーケット協会43%と普及が進んでいる。
■流通BMS導入企業数
■流通BMS未導入
【日本チェーンストア協会】
加盟企業数
【日本スーパーマーケット協会】
27社
45.0%
60社
33社
55.0%
55社
56.7%
【日本チェーンドラッグストア協会】
加盟企業数
加盟企業数
157社
124社
79.0%
42社
43.3%
97社
加盟企業数
57社
89.1%
加盟企業数
38社
70.4%
9社
14.1%
64社
16社
29.6%
54社
【新日本スーパーマーケット協会】
【日本DIY協会】
33社
21.0%
【オール日本スーパーマーケット協会】
加盟企業数
93社
27.1%
343社
250社
72.9%
※加盟企業数は各協会のHPを参照、海外企業は除く
24
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
3.アンケート結果
アンケート調査結果のまとめ
【質問1】
卸売業の受注手段現状調査
 EDIによる受注比率は17.0%
 流通BMSは1.1%と全体に占める割合は
まだまだ低い
 年商500億以上の企業では、EDIによる受
注が84.1%、流通BMSも24.0%と普及
が進んでいる
 年商500億以下の小売業ではEDIによる受
注が16.8%とまだまだ低い
 レガシーEDIを実施している14.5%(述べ
企業数12,075社)が流通BMS普及の
ターゲットとなる
【質問2】
流通BMSメッセージ採用パターン調査
 流通BMS導入企業は述べ919社と2012
年の調査より2倍以上普及している
 名寄せにより流通BMS実施小売業数は31
9社と推測される
 流通BMS導入企業の中で、GMS・SMが
約75%を占める
 年商200億以下の企業でも167社導入され
ている
 請求、支払までデータ交換している割合は5
0%をすでに超えている
卸研 研究委員会
25
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.流通BMS普及拡大に向けて
26
卸研 研究委員会
4.流通BMS普及拡大に向けて
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
今回のアンケート結果より、卸売業として流通BMS普及拡大に向け、取り組むべき活動
流通BMS導入済
319社
レガシーEDI
●流通BMSによる取引の拡大
『幅』を広げ、『浸透』を深める
●業界団体と連携した啓発活動
卸売業の役割?
レガシーEDI
※EOSのみ
今後の研究課題
●新しいインフラの構築
非EDI
●小売業のデータ交換手段
卸研 研究委員会
27
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.流通BMS普及拡大に向けて
4-1.流通BMS取引の拡大 -①
『幅』を広げ、『浸透』を深める
(取引数の拡大) (採用メッセージの拡大)
■対象:流通BMS実施企業319社内、取引のある小売業に対し
1.流通BMS未対応の小売業にアプローチし、流通BMS化を進める
2.流通BMSの採用メッセージを拡大し、更なる業務効率化を進める
3.社名未公開企業へ社名公開を促し、業界内での共有をはかる
28
卸研 研究委員会
4.流通BMS普及拡大に向けて
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4-1.流通BMS取引の拡大 -②
流通BMS導入済小売319社のうち、100社以上と流通BMSで取引している卸売業は2社のみ。
取引のある小売業と流通BMS化を進めるチャンスは多い。
●卸売業の流通BMS対応企業数 ※アンケート結果より
卸・メーカー
流通BMS
流通BMS取引拡大
導入済み企業数
319社
卸研 研究委員会
29
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.流通BMS普及拡大に向けて
4-1.流通BMS取引の拡大 -③
流通BMS導入済小売319社のうち、137社が卸売業1社だけの流通BMS化となっている。
卸売業4社以上と流通BMS取引を実施している小売業は98社(約31%)と低い
●小売業と卸20社との流通BMSでの取引状況
<⼩売業数>
︿
69%
﹀
卸
売
業
数
卸売業も流通BMS取引を
積極的に受け入れる準備が必要
31%
30
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.流通BMS普及拡大に向けて
4-2.流通BMS採用メッセージの拡大
流通BMSによる全取引のうち、支払までデータ交換している割合は50%を超える。
業務効率化のために、採用メッセージ拡大を進めていく必要がある。
●流通BMSによる取引で使用されている基本メッセージ種の割合
メッセージ採用企業数
導入企業数に対する割合
導入企業数に対する割合
採用企業数
卸研 研究委員会
31
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.流通BMS普及拡大に向けて
4-3.社名公開への協力要請
卸売業も小売業に対し社名公開への協力要請を促し、流通BMS協議会と連携し企業数を拡大
させることが必要。
319社
流通BMS導入企業数
※アンケート調査より
172社
社名公開企業数
※2014年10月1日現在
社名公開企業が
増えるメリット
▲147社
 定期的に流通BMS協議会のHPより情報発信されるため、業界内
での認知度が高まる
 小売業が流通BMS導入に関して理解が深まる
 卸・メーカーが流通BMS導入企業を把握できる
32
卸研 研究委員会
4.流通BMS普及拡大に向けて
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
今回のアンケート結果より、卸売業として流通BMS普及拡大に向け、取り組むべき活動
流通BMS導入済
319社
レガシーEDI
●流通BMSによる取引の拡大
『幅』を広げ、『浸透』を深める
●業界団体と連携した啓発活動
卸売業の役割?
レガシーEDI
※EOSのみ
今後の研究課題
●新しいインフラの構築検討
非EDI
●小売業のデータ交換手段
卸研 研究委員会
33
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.流通BMS普及拡大に向けて
4-4.今後の課題 -①
流通BMS未導入企業に対し、卸売業が個別に提案活動を行うことには限界がある為
業界団体と協働して普及推進に取り組むことが必要となる。
卸売業の役割については、今後の研究テーマである。
流通BMS導入率
流通BMSの理解
比較的
比較的
高い
高い
比較的
比較的
低い
低い
業界団体
加盟企業内
未対応企業数
557社
取組内容(例)
 導入しない理由の調査から
対応策を検討
 小売業のメリットの明確化
 経営者の理解を深める
 流通BMSとは
 現状の導入状況
 導入の手順
34
など
34
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.流通BMS普及拡大に向けて
4-4.今後の課題 -②
中小規模の小売業へ流通BMS普及を進めるためには、導入しやすいインフラ構築を
検討する必要がある
イメージ図
小売業 A社
卸売業 D社
ASP/VAN
JCA
小売業 B社
サービス
小売業 C社
流
通
B
M
S
卸売業 E社
卸売業 F社
<小売業のメリット>
<卸売業のメリット>
 EDI化による業務効率化
 EDIによる業務効率化
 基幹システムの改修範囲が狭い
 個別交渉業務の削減
 投資コストの抑制
 個別開発・対応業務削減
35
卸研 研究委員会
35
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.流通BMS普及拡大に向けて
4-4.今後の課題 ‐③
流通業界全体で流通BMS標準運用を遵守することが必要!
•
標準外が疑われる場合には流通BMS協議会に確認
小売業
流通BMS
協議会
流通BMS標準運用推進
ITベンダー
卸売業
•
テストベンダー、パイロットベンダーが標準運用を遵守する
卸研 研究委員会
36
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
5.まとめ
卸研 研究委員会
37
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
5.まとめ
 本年度は正会員に対しアンケート調査を実施し、現状把握したうえで、流通BMSを
普及するための課題と対策を検討・研究することとした
<今回の活動を振り返って>
 流通BMSの普及は進んでいるが、今は過渡期で先はまだまだ長いと感じた。現在レ
ガシーEDIでデータ交換している小売業は2020年までの5年間でさらに普及は加速
されると予想される。そのために今後の普及活動が業界標準が進むか否かのポイン
トになる。
 流通BMS導入企業であっても、小売業、卸売業ともに全体の取引に占める割合は
低く、流通BMSによるEDI効果が十分に得られていない。流通BMS導入によるメ
リットについてもっと浸透させるために業界全体で啓発活動を推進する必要がある。
 流通BMSによるデータ交換が当たり前となる世の中をつくる必要がある。その為に
は卸売業も小売業からの要請を待つのではなく、積極的に流通BMS化を推進する
必要がある。今回実施したアンケート調査結果を活用して未対応企業に流通BMS化
を働きかけてほしい。
卸研 研究委員会
38
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
Bグループ活動報告
スマートデバイスの活用
~具体的活用方法と運用上の注意事項~
卸研 研究委員会
39
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
目次
1.はじめに
1-1.研究テーマ選定理由
1-2.スマートデバイス国内市場動向
1-3.スマートデバイス利用実態
1-4.スマートデバイスのメリット
1-5.卸売業のスタイル変革
2.活用方法
2-1.営業支援システム(SFA)
2-2.発注端末
3.電子カタログ実現に向けて
3-1.想定した今後の展開
3-2.プラネットの現状サービス
3-3.卸研アンケート結果から
4.スマートデバイスポリシー
4-1.会社支給スマートデバイスポリシー
4-2.個人所有スマートデバイス(BYOD)
5.まとめ
卸研 研究委員会
1-1.はじめに ~研究テーマの選定理由~
40
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイス、および通信インフラであるワイヤレス高速通信
は国内全域で急速に普及しており、社会インフラとしての役割はより重要さを増している。企業ではス
マートデバイスを業務活用するケースが増加傾向にあり、自社のビジネスに対して極めて大きなイン
パクトを与える重要なテーマであると、CIOの多くが重要視している。
◆
しかし卸売業での活用は、一部社員の個人的な利用に限定されたり、導入済みの企業においてもメ
ールやインターネットの閲覧程度(いわゆる初期段階)に留まっており、ワークスタイルを劇的に変える
ほどの活用ができていないのが現状である。
◆
今年度は、より具体的な活用アイデアを捻出して、個人レベルでの活用が進むなか企業ではどのよ
うに活用できるか研究する事とした。また昨年からの継続テーマとして「電子カタログ」のサービス実現
に向けて、さらに研究を重ねた。
◆
また今後のスマートデバイスの活用施策を実施するうえでは、端末管理/情報漏洩対策などのセ
キュリティ面の問題、今後さらなる端末の進化・多様化への対応も検討しておく必要がある。スマート
デバイス導入を進めるうえで、ポリシー策定に悩む企業が多いことから「スマートデバイスポリシー」を
策定する際に各企業で利用できる雛型としてのチェックリストを作成する事とした。
卸研 研究委員会
41
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
1-2.スマートデバイス国内市場動向
・ITコンシューマライゼーション(※)の波でビジネスが大きく進化
・ビジネスにおけるスマートデバイス活用が活性化
コンシューマにスマート
デバイスが普及
ビジネスでもスマート
デバイス活用が活発化
スマートデバイス
8,500万台
2,500万台
コンシューマ
ビジネス
※ITコンシューマライゼーション・・・IT関連製品や技術の進歩・革新を一般消費者向け分野が主導し、
企業向けIT分野がそれを後追いして取り込むようになる傾向のこと
卸研 研究委員会
42
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
1-2.スマートデバイス国内市場動向
・法人向けスマートデバイス市場は急成長 一人一台の時代に
・企業がスマートデバイスを本格的に業務に導入
スマートデバイス国内出荷台数予測
2016年度にタブレット端末
とノートPCの出荷台数が逆
転する見通し
法人比率は急増
スマートデバイス販売予測台数 【スマートフォン・タブレット内訳】
スマートデバイス販売予測台数 【個人向け・法人向け内訳】
出典:ICT総研2013年度 スマートデバイス需要動向調査
卸研 研究委員会
43
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
1-3.スマートデバイス利用実態
・営業マン向けのメール/グループウェア、営業支援系での活用
・荷物/在庫確認などの業務、教育分野での出席確認/試験などで活用
されはじめている
具体的な活用例(業態問わず)
営業支援、店舗販促(商品検索,プレゼン)
点検・入力
物流
セールスドライバー
集配業務,プリンタ
食品製造
バーコードリーダ使用
在庫管理業務
金融
営業店における
金融商品説明
生命保険
Exchange,営業支援
中古車販売
中古車の出張画像
販売(試験導入)
卸
バーコードリーダ使用
在庫管理業務
不動産管理
建物修繕報告業務
製薬
MR情報提供ツール
製薬
製品情報検索・
営業支援・メール
通販
デジタルカタログ
保守
CE用見積,報告,在庫
モバイルプリンタ利用
工事
位置検索利用し
工事状況を把握
アパレル
SHOP 原宿
カタログ情報
アパレル
商品検索,販促
教育,トレーニング
業務システム利用
金融
社内ポータル等
情報系システム利用
家電量販店
ペーパレス会議
大学
出席,テスト,
授業の動画配信
大学
出席・就職情報
授業の資料配布
旅行
GoogleApps,CRM
商社
メール,文書共有
大学
教育端末
専門学校
コミュニケーション
専門学校教育端末
顧客サービス
図書館
図書館サービス
外食チェーン
セルフオーダー
航空会社
機内エンター
テイメント
製薬
プロモーション
卸研 研究委員会
1-4.スマートデバイスのメリット
44
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
本研究会ではメリットを以下のようにピックアップした
スマートデバイスのメリット
✔ 携帯性の高さ
✔ 最新情報をいつでも・どこでも取得可能に
✔ あらゆる事が1つの端末で従来以上の価値を
✔ リアルタイム性
卸研 研究委員会
45
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
1-5.卸売業のスタイル変革
卸売業のワークスタイルを変えるパワーを持っている
業務
Before
スマートデバイス以前
After
スマートデバイス以降
スケジュール確認
手帳
スケジュールアプリ/SFA
タスクチェック
手帳
ToDoアプリ/SFA
移動
カーナビ/地図/路線図
地図アプリ/乗換アプリ
商談
PC/紙資料
電子カタログ/動画
受注
受注端末/TEL/FAX
発注アプリ
売り場チェック
紙資料/デジカメ
カメラアプリ
日報・報告書作成
紙/PC
SFAアプリ
次頁より、業務フローに即した新技術の活用案を報告
卸研 研究委員会
46
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2.活用方法
2-1.営業支援システム(Sales Force Automation)
卸研 研究委員会
47
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2-1.SFA活用案 ~店舗訪問管理~
スマートデバイスの活用でSFAがより効果的、かつ簡単に
指示/提供される情報
期待される効果
・販促企画
販促企画の内容
・販売計画
販売予算と訴求方法
・店舗訪問スケジュール
店舗の巡回日程
・業務報告
商談結果や陳列状況
・報告に基づく結果の分析
結果に対するチェック
・生産性/効率アップ
・業務品質の均質化/高度化
・知識の縦展開/横展開
・PDCAサイクルの見える化
・暗黙知の形式知化
卸研 研究委員会
48
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2-1.SFA活用案 ~店舗訪問管理~
本部担当営業と店舗フォロー担当がスケジュールや作業内容を共有する事で、
漏れ・遅れをなくす
本部担当営業
日程
指示
作業
指示
作業結果
確認
訪問進捗
確認
訪問店舗
A店舗
A店舗
訪問店舗
A店舗
商品X商談
商品X商談
A店舗
B店舗
棚割確認
棚割確認
B店舗
C店舗
エンド作成
エンド作成
C店舗
D店舗
D店舗
E店舗
E店舗
予定
確認
作業
確認
作業結果
入力
訪問結果
入力
店舗フォロー担当
卸研 研究委員会
49
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2-1.SFA活用案 ~店舗訪問管理~
スマートデバイスを活用する事でさらに省力化できる業務・・・
本部担当営業
日程
指示
作業
指示
作業結果
確認
訪問進捗
確認
訪問店舗
A店舗
A店舗
訪問店舗
A店舗
商品X商談
商品X商談
A店舗
B店舗
棚割確認
棚割確認
B店舗
C店舗
エンド作成
エンド作成
C店舗
D店舗
D店舗
E店舗
E店舗
予定
確認
作業
確認
作業結果
入力
訪問結果
入力
店舗フォロー担当
卸研 研究委員会
50
2-1.SFA活用案 ~店舗訪問管理/店内情報収集~
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
スマートデバイスを利用することで、撮影+送受信がその場で可能に!
画像から商品(商品名・配置・向き・個数・欠品状況)や価格情報を認識できる
陳列状況
カメラで撮影
価格
・小売本部は店舗における陳列状況までは認識できていない
(定番は電子棚札で認識できるが、特売/スポットは困難)
・売場をスマートデバイスで撮影、解析してデータ化する事で販促計画に対する
「配下率・陳列フェース」「価格」等の分析作業を軽減できる
卸研 研究委員会
51
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2-1.SFA活用案 まとめ
・小売業の広域化に伴い、店舗情報収集のコストが増大している
・情報が点在化しているため、業務の「漏れ」や「遅れ」が生じやすい
・携帯性の高いツールを使う事により、外出先で一定の情報を送受信することが
可能に(直行直帰の運用)
・簡便に業務が行える環境を作ることで、定型的な店舗作業は若手や引退後の
ベテラン/パート等に任せてコストの低減を図る
分析・企画業務にリソースを配分する
卸研 研究委員会
52
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2-2.発注端末(発注アプリ)
卸研 研究委員会
53
2014年度
情報志向型卸売業研究会
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2-2.発注端末として活用
従来型ハンディターミナルと比べスマートデバイスを利用
することによるメリットが大きい
メリット
デメリット
・最新情報をいつでもどこでも取得可能に
(マスタ更新・プラットフォーム更新・データ取得、販促情報)
・Push型での情報配信が可能
・端末価格・通信コストが安価
・得意先のスマートデバイスが活用できる
・省スペース
・情報の表示量が多く、表現も多彩
・場所を問わない発注が可能。
機会損失の防止・隙間時間の活用・業務効率化に。
・耐久性が低い
・紛失・盗難リスクの増大
・セキュリティ管理が必要(多目的利用の場合)
卸研 研究委員会
54
2014年度
情報志向型卸売業研究会
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2-2.発注端末として活用
スマートデバイスを発注端末として活用することで、
受注効率と正確性が向上
・発注アプリを作成し、保有する
スマートデバイスでの発注を
実現する。
【業務効率化】
①受注入力作業の軽減
②データ精度の向上
・ASPを利用し、ブラウザでの
発注を実現する。
【売上の拡大】
①顧客獲得
②機会損失の削減
・利用事業者は自前で発注
システムを持たない小規模
事業者を想定
※既存のFAXや電話発注の
置き換え
【サービス向上】
①発注作業負荷の軽減
卸研 研究委員会
55
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2-2.発注端末として活用 ~発注アプリイメージ~
マスタ更新
業界共通発注アプリ
バージョンアップ
商品情報
画像情報
品質系情報
発注
流通
BMS®
商品カタログ
画像認識機能
卸各社
バーコード
スキャン機能
カタログ発注機能
得意先
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2-2.発注端末として活用 ~発注アプリ/画像認識~
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
スマートデバイスを得意先の発注端末として利用。お客様毎の商品カタログ(紙面)を
スマートデバイスで『かざす』だけで注文サイトに遷移し注文入力してもらう。
紙カタログとも併用した運用を可能に。
カタログに
『かざす』
商品
認識
商品の詳細
情報へ
数量
入力
発注
カタログ
かつお缶詰3P
商品の詳細情報/
購入ページ
得意先
卸研 研究委員会
57
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2-2.発注端末としての活用例
活用事例:株式会社大木様 R2M(スマートフォン受注システム)
得意先
発注
【携帯端末での作業】
受注確認返信メール
①発注
②受注確認返信メール
情報検索
③新製品・企画拡売情報
④第1類添付文書検索
⑤返品申請
情報FAX返信
・バーコードスキャナ内臓
・業務用ハンディターミナル+
携帯電話のハイブリッド機
・OS:Windows Mobile® 6.5
Professional
(NTT docomo)
大木
受注
センター
第1類添付文書申請
第1類添付文書
FAX返信
卸研 研究委員会
58
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
3.電子カタログ実現にむけて
※継続テーマ
卸研 研究委員会
59
2014年度
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3-1.昨年度 想定した今後の展開
卸研 研究委員会
60
2014年度
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3-1.ファイネットによるアンケート結果
【株式会社ファイネットが昨年8月に出資会社を中心に実施したアンケートの回答内容】
現状レビュー
ニーズ
Q.卸店は、小売業との商談時にメーカーが
作成したカタログを活用しているか?
Q.卸店は、小売業との商談時に電子化さ
れたメーカーカタログを活用したいか?
A.家庭用卸店の62%は、小売業との商談
にメーカーカタログを活用している
A.卸店の70%は、今後、電子化された
メーカーカタログを考えている
Q.メーカーは、カタログを卸店に郵送して
いるか?
Q.メーカーは、カタログ情報の電子化の
ニーズはあるか?
卸店
メーカー
A.メーカーの30%が郵送しているが、ほと
んどは商談時に持参している
A.メーカーの70%は、カタログ情報の電子
化を受容している
(理由)郵送・印刷コストの物理的削減は、もちろ
んであるが、卸店のメリットにつながるとし
て、協力姿勢も示している
この結果より、卸店/メーカーともにニーズありとして研究を進めた
卸研 研究委員会
61
2014年度
情報志向型卸売業研究会
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3-1.今年度 想定した今後の展開・効果
◆電子カタログ普及後の商談(提案)・見積シーン◆
① 多彩な表現により訴求力が向上する。
【使用例】自由な画面遷移/画像の拡大縮小・3D/動画&音声/画像の変化・アクション
② 最新情報を取得することで、情報の正確性が向上する。
【使用例】うっかり、旧デザインのカタログを得意先に手渡す心配がなくなる。
【使用例】都度メーカーからカタログを取り寄せなくても提案できる。
③ 多くの情報が一つの端末で持ち運べるため利便性、情報の網羅性が高まる。
【使用例】得意先からの咄嗟の提案に素早く対応し機会損失を防ぐ。
④ 様々な条件で検索できるため効率的になる。
【使用例】原材料から商品検索、複数メーカー、複数商品から選択して提案できる。
⑤ 商品をピックアップしマイカタログを作成。わかりやすい資料の作成が簡単にできる。
【使用例】北海道物産展企画のため、北海道産の商品だけを集めマイカタログとして提案する。
⑥ 選択した商品から見積書、提案書を作成できる。
【使用例】展示会で得意先が気に入った商品をチェック、その場で簡易的な見積書を提出。
卸研 研究委員会
62
3-1.想定した「商品カタログ」のステップ
2014年度
情報志向型卸売業研究会
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最初に、新商品の小売商談時への利用(いわゆる「商品パンフレット」)は
現状のメーカー情報提供のタイミングから除外して考える必要がある
機能
課題
1st STEP
2nd STEP
メーカー毎の
現カタログPDF化
商品単位のPDF化
・横串検索
・マイカタログ作成
・企画書作成
・見積書作成
見積情報の付加
・どのプレーヤーが
電子化するか
・自社以外(クラウド等)
に見積情報を保持
(付加)することへの
受容度
・フォーマットの業界
統一
・どのプレーヤーが
電子化するか
・当面、卸店側が
満足できるか
3rd STEP
4th STEP
新商品商談時の利用
・メーカーの情報公開
ポリシーの変更
日用品・化粧品業界はプラネット
サービスにより、すでに到達
卸研 研究委員会
63
2014年度
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3-2.プラネットの現状サービス(概要)
メーカー
卸売業
①登録
②申請
③閲覧
商品
データベース
申請
公開
・Web
・冊子
・Web+冊子
郵送
複数メーカー分を
まとめて印刷
新商品カタログ
(冊子)
卸研 研究委員会
3-3.卸研正会員向け電子カタログアンケート
64
2014年度
情報志向型卸売業研究会
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質問事項
【問1】
現在、カタログ/フライヤーを利用しているシーンをお教え下さい。
【問2】
電子カタログのサービスが開始された場合、どのタイミング/シーンで
利用できると想定できますか?
【問3】
Bチームでは実現までに下記の様な4ステップを想定しております。
どのステップであれば利用したいと思いますか?
【問4】
既存のカタログ/フライヤーの問題点、課題等ありましたらお教え下さい。
【問5】
その他、ご意見ご要望等ございましたらお教え下さい。
卸研 研究委員会
65
3-3.電子カタログアンケート回答(サマリー)
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
【問1】 現在、カタログ/フライヤーを利用しているシーンをお教え下さい。
現状では、圧倒的に「商談(提案)・⾒積」の際に利⽤しているとの回答である
卸研 研究委員会
3-3.電子カタログアンケート回答(サマリー)
66
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
【問2】 電子カタログのサービスが開始された場合、どのタイミング/シーンで
利用できると想定できますか?
・現状カタログ利⽤シーンにおいても最上位である「商談(提案)/⾒積」業務の利⽤に期待あり
・必要な機能は、検索・参照といった基本機能に加え画像ダウンロードを多く求めている
・情報項⽬は、JANコード/サイズといった基本スペックに加え、商品画像がほぼ必須と⾔える
卸研 研究委員会
67
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
3-3.電子カタログアンケート回答(サマリー)
【問3】 Bチームでは実現までに下記の様な4ステップを想定しております。
どのステップであれば利用したいと思いますか?
《縦軸》
《横軸》
⼤⼿・中⼩、すべてが揃うことが理想であることは間違いないが、半数以上の卸店が⼤⼿のみでも利⽤意思ありとの回答
STEP1 既存の紙ベースのカタログをPDF化するだけでもメリットありか
STEP3 ⾃社システムとの関係や書式の統⼀など、別次元の課題がある
STEP4 最も関⼼が⾼い。新商品の商談は、メーカーの情報公開⽇以前の商談と想定して最終ステップとしたが、
以後であっても許容できるのであれば、STEP2おいて実現可能である。
利用意志
想定STEP
実現する機能
大手メーカーのみ
大手+中小メーカー
○
△
×
○
△
×
STEP1
商談・提案・情
報収集
・既存のカタログ、パンフレットがPDF化された
データを閲覧
・メーカー検索
10
1
7
15
1
2
STEP2
商談・提案・情
報収集
・メーカー提供データから商品単位でPDF化した
一覧を閲覧
・メーカーを横断しての商品検索
(カテゴリ/原料などの詳細検索)
・選択した商品のみを表示する(マイカタログ作成)
11
0
7
16
0
2
STEP3
見積書・提案
書作成
・自社独自の見積情報の付加
・選択した商品から見積書/提案書の自動作成
11
2
5
13
2
3
新商品の商談
・新商品情報の取得
※新商品商談前に新商品すべての情報を
メーカーが揃えることが難しいため、
最終ステップにしております
13
1
4
15
1
2
STEP4
卸研 研究委員会
3-3.電子カタログアンケート回答(サマリー)
68
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
【問4】 既存のカタログ・フライヤーの問題・課題等ありましたらお教え下さい(自由記入)
各社記⼊内容 #1
現在は紙ベースのため、
・パンフレットが机の上や⾜元に散乱している。
・なかなか捨てられずに収納スペースを要する。
・必要な情報がすぐに取り出せない
・商談時に⼤量のパンフレットを持ち込む必要がある。
・得意先から求められたときにすぐに取り出せない。
帳合メーカー以外のパンフレットの⼊⼿がしにくい。
基本的にはメーカーから紙での提供であるため、営業への共有する場合に、コピーし共有している。
⼀部電⼦データによる提供もあるが、ファイルサイズが⼤きいため共有エリアが不⾜している。
資料が煩雑になっていること。
メーカーから頂いた後、整理するのが⼤変。
ダウンロードした際メーカー別のエクセルにならないので1社ずつダウンロードする⼿間がかかる。
画像・商品特徴が必ずしも揃ってなく、⽚⽅もしくは両⽅無い場合がある。
発売⽇がカタログ項⽬に無いので⼿⼊⼒している。
⽂字情報が先に登録され画像が後⽇になる商品が有るので画像無しでの提供で完結してしまう。
現状のカタログ、フライヤーは「不⾜している情報を確認する・補⾜する」(例えば棚割作成の際にJANを調べる、商品の特徴や売りのポイントなど細
かいことを確認する)ために使⽤されることが多い。
商談では商品サンプル、⾒積書を中⼼に⾏い、必要に応じて上記を使⽤する場合が多く、メインのツールにはなっていない。こうした実態があるにもかかわ
らず、メーカーが多⼤なコストを投じているのは問題。
①メーカーのカタログ情報が更新されるのが年2回の為、カタログ内の情報が使いたい時に情報が古くなっている。
②過去のカタログ、フライヤーが溜まる為、整理するにも⼿間がかかり、商談・棚割選定会の時に慌てて集めている。
③⼤⼿メーカーは、フライヤーを作成されており、随時事前商談の際に頂きますが、すべてをカタログと⼀緒にして保管をしていません。
棚割りの確認を⾏う時は、保存していないと掲載されていない情報が多くあり、特にM社は、毎⽉Informationを発⾏されており、帳合を持つまでは
保存する習慣がないため捨てていました。
④現状のカタログは、棚割り作成、選定会の時しかほぼ使⽤しません。フライヤーは商談の際に使⽤して、あとは廃棄する事が多いのでどちらも有効に活
⽤できているかといえば、使えていないのが現状です。
卸研 研究委員会
69
3-3.電子カタログアンケート回答(サマリー)
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
【問4】 既存のカタログ・フライヤーの問題・課題等ありましたらお教え下さい(自由記入)
各社記⼊内容 #2
事前収集に⼿間と時間がかかる。机に⼊りきらず、整理が⼤変。探す作業やメンテナンスも⼤変。
フォーマット、記載事項が各社バラバラなのと、終売・リニューアルメンテナンスが更新されない。
JAN、栄養成分、⼀括表⽰の掲載のないカタログがほとんどで、今⼀つ不便を感じる。
結局のところ価格情報がないために、ほとんど利⽤することはない。⾃社のイントラネット内における商品情報をよく利⽤する。
基本的には統⼀のフォーマットで商品の案内シートを作成している状況。メーカーのカタログのフォームはそれぞれ異なるため、使⽤しずらい。
メーカーカタログがない場合取り寄せないといけないので時間がかかる。
何社もメーカーがある中で、メーカー毎のパンフレットを持ち歩いて商談を⾏っていられない。メーカー営業が同⾏している場合は、メーカーがパンフレットを
持ち、利⽤をしているが、それ以外は滅多にない。
商品検索をする場合は、ネット上のメーカーHPの商品リスト、社内商品DBを利⽤している。
カタログは⼀部の⼤⼿メーカーしかなく、デリカ関連の⼩さなメーカーについては情報が得られないし、メーカーごとにしか⾒ることが出来ないため不便。
メーカーもカタログの改廃は完全に出来ていないのが現状。
⼤⼿メーカーのカタログは記載情報が統⼀されているが、中⼩メーカーは各メーカーによって記載情報(発売⽇、受注締⽇、売価等)が異なる為、全
メーカーで統⼀して欲しい
商品のリニューアルの場合、JAN変更有か無しかが分かりづらい
■対メーカー
カラー印刷のコストをメーカー・卸双⽅とも削減できればメリットを感じる。
メーカーの負担が増さないように⼯夫出来ると良い。ファイネットやジャパンインフォレックス(JII)のデータベースへ⼊⼒して頂くときカタログ添付が可能
な仕組みが提供されて、メーカー担当者がリンク先をメールするだけで卸担当者が利⽤出来ると印刷コスト削減・提供リードタイム短縮に繋がるだろう。
メーカーにのみ⼈的⼯数がかかる依頼は避けるよう配慮した⽅が良い。
■対得意先
バイヤーに情報を提供する⽅法がPDFのメール添付だった場合は現状との差異がなく新鮮味が無い。
ペットフードのカタログ、フライヤー提供があると、⽀社営業での利⽤が⼤いに進む。
情報の更新が遅いカタログに頼ることは、現状では難しいと感じます(特に⼤⼿メーカー様)。
エクセルでの⾒積もり提出が多い為、得意先のフォーマットに新製品の⼀覧も全て記載して頂いています。また、規格変更があった際もそのフォーマットで
連絡を頂くため、現⾏のカタログを使⽤する機会がほとんどありません。
殆どのカタログは年2回の発⾏の為、毎⽉の様に有る新規商品の記載が無い事が多い。ですので、カタログは年2回しか⾒る事がない。 また、原材料
表記やGTINCD、荷姿等、カタログには記載されていないが
保存場所に困る。また、探すのが⼤変。PDFにするにしても作業が⼤変
検索ができない。持ち歩かない(⾒たいとき⾒れない)。
情報が更新されていない
卸研 研究委員会
3-3.電子カタログアンケート回答(サマリー)
70
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
【問5】 その他ご意見、ご要望等ございましたらお教え下さい。(自由記入)
各社記入内容 #1
現状の紙でのカタログが無くなると困るという意⾒が多い(現状と併⽤出来れば良い)
電⼦化のそれぞれのステップはあると便利という意⾒と、そうでないという意⾒の両⽅がありました(総意ではない)
情報の鮮度が重要で、常に最新の情報が集まり、検索できる仕組みであればニーズは⾼いと思われます。
社内でパンフレットをPDF化し、WEB上で共有しようという意⾒もあったが、紙→PDFへの変換の負荷が⾼くあきらめた経緯あり。
カタログデータの共通フォーマット統⼀やデータ共有場所(インフラ)も合わせて検討して頂きたいと思います。
棚割りは画像が必須です。バイヤーズネットなどに各社のカタログ・フライヤーにアクセスでき、その画像がダウンロードできれば棚割り時にタイムロス・導⼊ロ
スすることを防⽌できると思います。
卸向けの機能だけでなく、得意先バイヤーも検索・ブックマークができると簡易電⼦商談として使えると思います。
モバイル端末やタブレットの利⽤を想定した、画⾯構成、システムにする必要がある。
既に⾃社構築のシステムがあるため、コスト⾯について⼗分な検討が必要。
当社は、単⼀メーカーしか取り扱っていないため、商品情報はHPで全商品閲覧可能となっています。
⼩売業視点では、新製品紹介等は社内の電⼦カタログ的なシステムを使⽤して提案書等を作成しているため、特に要望等はありません。
共通の使⽤のルールのようなものを考える必要があるかと思います。帳合の偏りにより情報量もかわってきますし、カタログ、フライヤーの使⽤の⽅法も違うと
思います。
⼿間いらずで多くのメーカーをその場で紹介できることには興味がある。先⽅よりざっくりとした商品提案の課題を出された際にその場で迅速に対応すること
も可能になる気がするため。
業界のメーカーが商品カタログ、商品情報、CM、売れ筋情報など、商談、雑談に役⽴つ情報がアップしてもらうプラットホームがあったら利⽤したい。カタ
ログだけでなく、プラスの情報があれば、もっと関⼼は⾼くなると思う。
カタログの電⼦化は是⾮ともお願いしたいです。運⽤について決めてもらえればメーカーにもここに送るようにといつでもいいます。
地⽅のメーカーはなかなか会う機会もなくカタログも⼿に⼊らないので社内データベースに登録のない商品は問い合わせるしかなく、また視認できず商品特
徴が⾒えないのであったことのないメーカーのカタログを⾒れるのはすごく助かります。
メーカー数、情報が膨⼤すぎて 更新がちゃんとされるか不安。 更新されないカタログでは、利⽤意味がない。 メーカー(問屋担当者)が都度更新を
してくれるような仕組みがあれば安⼼。
新商品・終売商品・リニューアル商品で検索出来ると使いやすい
卸研 研究委員会
71
3-3.電子カタログアンケート回答(サマリー)
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
【問5】 その他ご意見、ご要望等ございましたらお教え下さい。(自由記入)
各社記入内容 #2
スマートデバイス上でカタログをタッチすると関連商品へのリンクへ⾶ぶか聞いてくる等、⾒せ⽅にいろいろ⼯夫が要ると考える。
紙の代わりではなく、紙に出来ない芸当が何かを研究発表して頂けると参考になる。
商品データベースとカタログがリンクするようになると、次にバイヤーからその商品データベースを⼩売業に開放するようにという要求があがるのではないかと推
測する。
そのとき卸売業が介在する意義をちゃんと説明できるか、ツールを作る以外に商売⼈としての矜持も問われると思った。
サービスを実現するには、簡単に使えること以上に、いかに利⽤料を抑えるか(無料にできるか?)にかかっていると思います。
卸からすれば、現在(⽬に⾒える形で)費⽤の掛かっていない部分での⽀出が発⽣することになる為、抵抗が⼤きいのではないかと思います。また、サー
ビスのインフラ・維持管理についても検討が必要です。
⼤⼿メーカーは様々な形でご案内を頂くことがありますので、中⼩メーカーにあまり負担のない形で積極的に参加して頂ける形にして頂きたいです。
現場が情報として特に必要としているのは、その部分だと思います。
電⼦カタログを閲覧出来る様になる事は有難いが、その電⼦カタログにこちらが必要とする情報が全て記載されているか、電⼦カタログから⾃社商品マス
ターとデータが共有されていて、カタログからEベースへの移動・⾒積書の⾃動作成が実施出来ると尚、有難い。
カタログからEベースへの移動・⾒積書の⾃動作成が実施出来ると尚、有難い。
利⽤シーン分けがあまり明確に区別しづらいので利⽤シーンとしては商品企画提案時としていますが季節提案、新商品案内、相⾒積もり提出時など
得意先に商談資料を提出するすべてのケースに利⽤されるケースがあると思われます
できればPDFと合わせて、エクセルバージョンもほしい。エクセルだとそのまま⾒積もり等に使⽤できる。また、画像も利⽤できる。
規格・原材料等は情報が更新されていないと⼤きな問題になるため、スピーディーな更新を徹底してほしい。また、更新時期もわかるようにしてほしい。
⾃分が取り扱っている商品にチェックができる機能があるといい。
卸研 研究委員会
3-3.電子カタログアンケート回答(サマリー)
72
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
◆アンケート結果まとめ◆
【既存のカタログ、フライヤーに対して】
『①保管・整理、②情報更新(即時性)、③検索性』に問題ありとして
紙媒体ゆえの問題点を多くの卸売業が挙げている。
また、メーカー各社の記載内容の粒度/フォーマットが異なるなどの理由から、
そもそも利⽤頻度が⾼くないとの回答もあった。
【電⼦カタログに対して】
条件付きながら、半数以上の卸売業が期待している。
今回の結果を株式会社ファイネット様、株式会社プラネット様 等の
業界インフラ企業に業界ニーズとしてご理解いただき、
今後のサービス強化の参考にして頂く
卸研 研究委員会
73
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.スマートデバイスポリシー
卸研 研究委員会
4-1.会社支給スマートデバイスポリシー
74
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
スマートデバイス特有の性質がもたらす脅威に着目しそのリスクを
低減させる為、卸が応用できる雛形を提供する
・次ページより紹介するチェックシートはスマートデバイスに特化した
ものであり、既にPC等に関するセキュリティポリシーを施行している
加盟社では併用して頂く
・規定する項目や管理レベルに関しては、加盟各社が個々の状況に
応じて選択/修正して採用頂きたい
卸研 研究委員会
75
4-1.会社支給スマートデバイスポリシー
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
ポリシー策定チェックシート
卸研 研究委員会
4-1.会社支給スマートデバイスポリシー
76
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
ポリシー策定チェックシート
卸研 研究委員会
77
4-1.会社支給スマートデバイスポリシー
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
ポリシー策定チェックシート
卸研 研究委員会
4-2.個人所有スマートデバイスの利用(BYOD)
78
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
1.BYOD(BringYourOwnDevice)のあるべき姿
個人所有スマートデバイスにおいて所有者からの申請に基づく業務利用を
許可するとともに、予め利用目的と業務範囲(使用範囲)を明確にする。
2.運用ルールにおける会社支給端末との違い
会社支給端末は会社指示で支給されるため、ポリシーによる統制を義務
付ける。これに対し私有端末の業務利用は個人による希望のため、
ルールの遵守を申請書によって約束させる手法を取る。
卸研 研究委員会
79
4-2.個人所有スマートデバイス利用申請書(案)
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
個人所有スマートデバイスの業務利用
(BYOD)を許可する企業は、右図のような
申請書にて使用者に発生する責任・義務を
明確化する。
またBYOD端末で参照できる情報資産の
範囲については、各社の状況に応じて
赤枠部分を修正して下さい。
卸研 研究委員会
80
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
5.まとめ
卸研 研究委員会
81
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
5.まとめ
本年度の研究の特色
「スマートデバイス自体の新技術活用ではない」
スマートデバイスは業務改善を実現する為の媒体にすぎない。しかし、
それらを実現するための最適なデバイスであり、業務の流れを一台で
完結できる可能性があることが最大のメリットである。
本年度の研究を通して
・スマートデバイスに関しては一般的な利用シーンや事例に留まらず、より
卸の業務に即した具体的な活用案を示すことが出来た。今後は各企業様にて
具現化し、より自社のニーズに即した仕組みを実現して頂きたい。
・電子カタログに関しては今回のアンケート結果、研究成果を踏まえて
ファイネット様、プラネット様にてサービス化を検討して頂く。
・ポリシーに関しては、技術や脅威の進化により動的にポリシーを変える
必要があり、今後も継続的な研究が求められる。
あとがき
今後さらに普及が進むにつれ、スマートデバイスは特別な端末ではなく
既存PCと同様に利用する前提で仕組みが構築されるものと想定される。
変化が著しい時代に備え、今後も積極的に利活用すべきだと考える。
卸研 研究委員会
82
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
全体テーマ : 卸情報システムの将来像につなげる基盤整備
Cグループ活動報告
クラウドの活用
情報指向型卸売業研究会
研究委員会Cグループ
卸研 研究委員会
83
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
◆クラウドの活用◆ 目次
1.はじめに
(1) 研究テーマ選定理由
(2) 検討の方向性・目的
2.クラウドの定義
(1) クラウドサービスとは?
(2) クラウドサービスの3つのモデル
(3) プライベートクラウドとパブリッククラウドの違い
(4) 物理サーバ(オンプレミス) 、ホスティングとクラウドの位置づけ
(5) 物理サーバ(オンプレミス)とクラウドの比較
(6) クラウドサービスの種類
3.各社の利用意識調査・活用状況(アンケート結果)
(1) 貴社ではどのようなクラウド・サービスを利用しているか?
(2) クラウドにどのような効果を求めて導入(予定)したか?
(4) 将来クラウド化出来そうな業務システムはあるか?
(3) クラウド導入にあたって問題・課題となったことは何か?
(5) クラウドについて聞いてみたいことはあるか?
4.クラウド導入事例
(1) 事例紹介
(2) 導入モデル紹介
5.クラウド導入方法
(1) 企画提案の流れ
(2) 企画提案手順
(4) クラウド利用における導入効果(例)
(3) クラウド活用における稟議書のポイント
(5) クラウド利用における注意点(例)
6.まとめ
※補足資料
(1) 用語集
(2) FAQ(よくある質問と説明)
(3)米国標準技術研究所(NIST)のクラウドの定義
(4) 技術紹介
84
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
1.はじめに
(1) 研究テーマ選定理由
クラウドコンピューティング(cloud computing)とは、ネットワーク、
特にインターネットをベースとしたコンピュータ資源の利用形態で
あり2006年から2008年にかけて普及した。
しかし、ネットワーク経由でハード・OSを利用するという形態自体
はクラウド登場以前のデータセンター利用及び、VAN、ASP利用
の延長線上にあったと言える。
近年、基幹システムにクラウドを活用する企業が現れるに及び
我々卸売業にとって有用なサービス提供の可能性が出てきた。
Cグループでは事例研究を通じて各社の状況確認を行い、この
利用推進を図るためには、導入方法の検討が必要と考えた。
(2) 検討の方向性・目的
① 企業利用を意識したクラウドの定義を行い事例を収集し、理解を深める。
② 各企業から利用状況を収集し情報を共有する。
③ 卸売業としての具体的活用シーンを考え、適用手順についてまとめる。
卸研 研究委員会
85
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2.クラウドの定義
2-1.クラウドサービスとは?
※専門用語が出てくるため
補足資料に【用語集】を添付した。
“あらかじめ用意されたITリソース”をネットワークを
介して共同で利用することを目的としたサービス
3種類の
クラウド環境
標準化されたIT
A社
クラウドサービス
1
2
3
アプリケーション
共通機能/ミドルウェア
B社
ハードウェア/OS
IaaS
PaaS
SaaS
C社
86
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2.クラウドの定義
AP :アプリケーション
PKG:パッケージ
2-2.クラウドサービスの3つのモデル
アプリケーション
ミドルウェア
ユーザが個別に準備した
開発APやPKG
ユーザが個別に準備した
開発APやPKG
OS
ハードウェア
(サーバ、
ストレージ、
NW)
サービス
モデル
IaaS
PaaS
SaaS
(Infrastructure
as a Service)
(Platform
as a Service)
(Software
as a Service)
ハードウェアやOS、DB、
開発ツール等の開発・実
行環境を利用できる
ハードウェアからアプリ
ケーションまでの全てを利
用できる(※ASPも含め
る)
ハードウェアとOS、その
稼動に必要なファシリティ
等を利用できる(※ホス
ティングも含める)
卸研 研究委員会
87
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2.クラウドの定義
2-3.プライベートクラウドとパブリッククラウドの違い
(1)プライベートクラウドとは、企業が自社内でクラウドコンピューティング
のシステムを構築し、企業内の部門やグループ会社などの特定の利用者を
対象にクラウドサービスが提供される形態のこと。
(2) パブリッククラウドとは、クラウドコンピューティングによって運用され
るサービスのうち、不特定の利用者を対象にクラウドサービスが提供され
る形態のこと。
(3)クラウドコンピューティングやクラウドサービスが登場した当初は、単に
「クラウドサービス」と言えばパブリッククラウドを指す場合が一般的で
あったが、プライベートクラウドの提供形態も一般的なものとなり、両者
を区別する意味で「パブリッククラウド」の表現が用いられる機会が増え
た。
(4)パブリッククラウドとして提供されているサービスの例としては、
Amazon.comの「Amazon EC2」、Microsoftの「Windows Azure」、
Salesforce.comの「Force.com」などを挙げることができる。
出典:ウェブリオ株式会社「IT用語辞典バイナリ」
88
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2.クラウドの定義
2-4.物理サーバ(オンプレミス)、ホスティングとクラウドの位置づけ
技術制約あり
業務
サービス
基盤
例) 制約系
・汎⽤機
・⾼スペック
・MW制約
・塩漬け
ハウジング
ハウジング
環境
資産
オンプレ環境
⾃社所有
セキュリティ・信頼性・運⽤の可視化を重視
(運⽤のWhiteBox化が必要)
例)基幹連携
・EDI
・帳票
・I/F
・コンプライアンス
・NW系
例) 基幹系
・会計
・⼈事給与
・⽣産販売
・物流
・品質管理
・R&D
例) BigData系
・MDM
・データ収集蓄積
俯瞰分析活⽤
クラウドベンダー
持込OS/STD/HA *1
スピード・コスト・機能の最新利⽤を重視
(運⽤のBlackBox化を許容)
例) Front系
・EC系
・⼤量画像系
・WEB系
物理サーバ
AWS
(アマゾン)
例) SFA系
・顧客管理
・CRM
・ソーシャルリスニング
・マーケティングオートメーション
例)GW系
メール,⽂書共有
Web会議等
SFDC
(セールスフォー
ス・ドットコム)
MS
(マイクロソ
フト)
パブリック
プライベート
クラウド環境
( プライベート利⽤/パブリック利⽤ × IaaS/PaaS/SaaS )
サービス利⽤
制約有
技術的な制約
制約無
対象
システム連携
対象外
制約有
固有のセキュリティ
制約無
*1・・・高いコストパフォーマンスの「スタンダード(STD)」と、高性能・高信頼の「ハイアベイラビリティ(HA)」サービス
卸研 研究委員会
出典:NEC
89
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2.クラウドの定義
2-5.-1 物理サーバ(オンプレミス)とクラウドの比較
比較
物理サーバ(オンプレミス)
クラウド
1.コスト
・大規模なものや性能が求められるシステ
ムの場合は、長期的に見て物理サーバの
方がコストパフォーマンスが良くなる事もあ
る。
・固定費向きである。
・将来を見据えた機器選定の必要性あり。
・使用時間、データ量等、従量制による課金の
為、小規模システムの場合、コストパフォーマ
ンスが高い。
・従量制による課金の為、変動費向きである。
・メンテナンスする人件費を抑制できる。
・IaaSの場合サーバスペックのスモールスター
トが可能なためTCO削減が可能である。
2.柔軟性
・最短でも償却期間の使用が前提である。
・追加リソースが必要となった際には追加
投資が必要である。
・自社のみの判断で機能追加等が可能で
ある。
・導入までのスピードが速く、やめる事も簡単で
ある。
・IaaSの場合必要スペックに応じてカスタマイ
ズ可能である。
・SaaSの場合機能修正追加等は良くも悪くも
サービス提供会社に委ねられる(個別の要望
は受け入れられない傾向)。
3.パフォーマンス
多数の企業(ユーザ)でシェアする事が無い
ため、安定性は高い。
1つのサーバーで多数の企業(ユーザ)をシェ
アする為、サーバー、ネットワーク共に安定性
の確認が必要(リソース保障型契約など)
4.セキュリティ
自社のセキュリティポリシーを適用すること
海外を含む自社以外の場所にサーバー設置
が可能なので、しっかりとした設計を行えば、 する。クラウドサービスのセキュリティポリシー
クラウドよりセキュリティは優れている。
の範疇となる為、企業もしくはシステムの質に
よっては、向かない場合もある。
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卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
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2.クラウドの定義
2-5.-2 物理サーバ(オンプレミス)とクラウドの比較
比較
物理サーバ(オンプレミス)
クラウド
5.可用性
・冗長性をもたせるなど求めるレベルでの
可用性設計が可能である。
・障害発生に備え監視体制や保守契約等
自社で管理する必要あり。
・サービスとして冗長性を持っているが、障害
があった場合、復旧までの時間が不明である。
・障害に備え自社での人員配置、発生時の対
応が不要である。
6.その他
・機器更新や保守サポート切れなどのタイミ
ングでシステム自体の有効性の判断や機
能改修の話がしやすい。
・機器更新等システムの見直しタイミングがなく、
使用継続判断、システムのバージョンアップ等
システムライフサイクルの停滞が懸念される。
・オンプレからクラウドへの移行に関しては提
供ベンダーは手厚くサポートを行うが、サービ
ス変更の際はデータ移行など障壁となる可能
性もある(サービス選定が重要)。
卸研 研究委員会
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2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2.クラウドの定義
2-6.クラウドサービスの種類
SaaS商品(以下は富士通の例)。このように広い範囲にサービスが浸透している。
92
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3.各社の利用意識調査・活用状況(アンケート結果)
2014年度
情報志向型卸売業研究会
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3-1.Cグループは正会員企業20社へクラウドに関するアンケートを実施した
<設問内容>
設問1:貴社ではどのようなクラウド・サービスを利用しているか?
設問2:クラウドにどのような効果を求めて導入(または導入予定)したか?
設問3:クラウド導入にあたって問題・課題となったことは何か?
設問4:将来クラウド化出来そうな業務システムはあるか?
設問5:クラウドについて聞いてみたいことはあるか?
※アンケートにおけるクラウドサービスの定義
・クラウドサービスは、提供者側ではなく利用者側の立場を対象とした。
・データセンター利用形態の「ハウジング」は、自社のサーバを預けているため対象外とした。
・データセンター利用形態の「ホスティング」はクラウドサービスの対象とした。
卸研 研究委員会
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2014年度
情報志向型卸売業研究会
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3.各社の利用意識調査・活用状況(アンケート結果)
設問1:貴社ではどのようなクラウド・サービスを利用しているか?
クラウドサービス利用率は94%と殆どの企業で利用している。『EDI通信』の導入企業は20社中15社で全てパ
ブリッククラウドという認識であった。『グループウェア』は20社中14社と、上位2サービスは共に導入実績は全体
の約4分の3と多く、製品サービスの充実によりオンプレミスよりクラウドサービスを利用する体系が確立されつつ
ある。
パブリッククラウド活用は、卸売業にとって特殊な事例ではなくなっており、既に通信サービスは差別優位性を
求める対象ではない。オンプレミスでも運用はできるが、ASPサービス≒クラウドの方が自社要員を置かずに流通
BMS対応が可能、更にJCA手順・全銀手順のレガシー環境はモデム供給先の減少という課題もあり、クラウドに任
せることで卸売業の人的リソースは本業に振り向けられるというメリットがあるため、利用企業が多い。
また、その他のサービス利用の回答は32件あり、利用形態がさまざまでニッチな小規模システムに向いている。
代表的なサービスはプロジェクト管理や文書管理があった。
16
14
12
10
8
6
4
2
0
パブリック
プライベート
その他
導入数
4
15
3
2
6
6
10
1
1
3
3
2
ー
グ
ル
ー
メ
F
A
X
代
行
プ
ウ
ェ
ア
営
業
支
援
1
2
1
2
2
1
3
2
2
1
1
2
2
1
1
商
品
デ
安
否
確
認
販
売
管
理
ス
ト
レ
営
業
管
理
基
幹
シ
ス
テ
ム
ウ
ィ
ル
ス
対
策
配
車
配
送
管
理
棚
割
D
W
H
フ
ァ
イ
ル
共
有
勤
怠
管
理
ジ
タ
ベ
ー
マ
ス
タ
登
録
・
管
理
4
ー
ル
給
与
3
1
ー
E
D
I
通
信
1
3
1
1
会
計
該
当
無
し
ス
94
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
3.各社の利用意識調査・活用状況(アンケート結果)
設問2:クラウドにどのようか効果を求めて導入(または導入予定)したか?
『TCO』や『BCP対策』としての利用目的が多く、費用低減の為のリソース有効活用や、
拠点被災時の対策として導入していると考察される。
20
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
19
9
導
入
期
間
短
縮
最
新
技
術
利
用
自
社
構
築
困
難
対ド
策老
朽
化
ハ
1
1
1
2
業
務
効
率
化
セ
キ
リ
ュ
ス
リ
ク
テ
ィ
マ
ダル
利
未
用
回い
し
答企
て
含業
い
む
な
(
2
対チ
応ベ
ン
)
3
ー
4
ー
B
C
P
対
策
T
C
O
5
設問3:クラウド導入にあたって問題・課題となったことは何か?
ホスティングやSaaSが含まれる為、あまり大きな問題は出ていないが、
7 一部企業で『ネットワーク』や『セキュリティ』を重要視している。
6
5
6
5
4
4
3
3
2
1
2
2
2
適
正
な
課
金
体
系
サ
サ
ビ
ス
レ
ベ
ル
保
障
ビ
ス
停
止
1
1
1
1
1
1
1
1
1
E
D
I
切
替
時
間
長
期
利
用
ト
に
増
よ
る
コ
ス
教
育
・
啓
蒙
業
務
変
更
個
別
開
発
の
発
生
利
用
場
所
限
定
拡
張
性
イ
ン
タ
ポ
リ
シ
0
利
用
し
て
い
な
い
企
業
(
未
回
答
含
む
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ス
ー
フ
ェ
ー
卸研 研究委員会
ー
ジ
ョ
ン
ア
ッ
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ー
バ
ー
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荷
セ
キ
ュ
リ
テ
ィ
ー
ー
ネ
ッ
ト
ワ
95
3.各社の利用意識調査・活用状況(アンケート結果)
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
設問4:将来クラウド化出来そうな業務システムはあるか?
7
6
5
4
3
2
1
0
6
5
3
ー
メ
ー
グ
ル
プ
ウ
ェ
ア
ス
ト
レ
2
1
1
物
流
E
D
I
販
売
分
析
請
求
・
支
払
ー
ル
3
2
ジ
そ
の
他
設問5:クラウドについて聞いてみたいことはあるか?
導入事例
コスト
•
他社のクラウド導入事例
•
課金体系
•
自社サーバとクラウド間のデータ転送
•
コストの算出規準
•
失敗事例
•
サービス毎の単価比較表
•
サービス利用の規定有無
設問4については回答数が少なく、『グループウェア』や『メール』に関心が高まってはいるが、
設問5の回答では『他社導入事例』の関心が高かったことから、各社とも何がクラウド化出来るかが
分かっていないことが想定できる。
そこでCグループでは、導入・未導入企業に限らず、事例についてまとめることとした。
96
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.クラウド導入事例
4-1.小売業様の基幹業務をアマゾン (AWS)で構築した事例
取り組みの背景
中規模のスーパーマーケットで共同利用できる基盤を作ろうという試みからスタート
本部基幹システム老朽化にともなう刷新(開発期間:2年間、600人月弱)
業務生産性の向上(オペレーション水準・より詳細な利益管理)を実現
⇒このために個別原価法に移行に決定
個別原価法に移行するにあたり、データ処理の負荷が高いため、分散処理基盤として
Hadoopを採用
従来のオンプレミスの環境ではコストパフォーマンスとシステムの可用性に課題
⇒開発環境として利用していたAWSを、本番環境で使うことに決定
稼動している業務(開発環境・本番環境)








売上締め処理
債権計上・回収処理
仕入・費用計上締め処理
買掛未払計上・支払処理
テナント管理
リベート管理
売価還元法管理会計
個別原価法管理会計
効果・状況




従来のコストで2倍のパフォーマンスを得た
システムのハードウェアに対する依存をなくした
機器の調達から構築の短期化が可能となった
短期間での移行・運用開始が可能だった(約1か月)
⇒もともと開発環境としてAWSを使用していた。また取引ベンダー担当者
のAWSチューニングスキルが高く、短期間で対応できた
 今後継続して見込まれる処理負荷の増大に対応可能となった
ポイント
本部基幹システムを全面的にAWS上に移行した事例
売価還元法から個別原価法への移行を実現するために必要な処理能力を
獲得し、業務生産性の向上につなげる取り組み
AWS上に移行するために十分なスキルを持ったシステム提供者のサポー
トが不可欠
出典:プレスリリース http://www.nautilus-technologies.com/topics/20130409.html
AWS Summit Tokyo 2014記事 http://www.sbbit.jp/article/cont1/28480
卸研 研究委員会
97
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.クラウド導入事例
4-2.卸売業向け販売管理システムをアマゾン (AWS)で構築した事例
「卸売業向け販売管理システム」を、アマゾン ウェブ サービス(AWS)のクラウド環境を
基盤として構築した⽇⽴システムズの事例(製品名 FutureStage )
98
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.クラウド導入事例
4-3.WEB発注(受注)業務の事例
概要:共有サーバー上に、サービスとして提供されたミドルウェア(言語ソフト、
DBMS)を利用し、WEBアプリケーションを開発してインストールする。
クラウド(PaaS)
OS
プログラム言語
DBMS
自社開発アプリケーション(WEB)
得意先からIEを使ってアクセスし、
発注伝票を入力する。
締め時間に、自社・基幹システム
にて発注データを取込む。
受注データ
自社・基幹システム
A社発注入力
B社発注入力
C社発注入力
卸研 研究委員会
99
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.クラウド導入事例
4-4.某飲料メーカー様におけるDRサイト構築事例
東日本大震災を受け、システム重要度の高い基幹系ステムを対象にDRサイトを構築す
ることが、急務になる。⇒クラウドサービスを活用することで早期構築(3か月)を実現。
顧客の課題
導⼊のポイント
クラウドサービスを利⽤し、ハイブリッド環境にて、早期構
築を可能にし、サービス型でコストも抑制した。
 データ同期を⾏うストレージレイヤに関してもサービス型で
提供した。
 データセンター間のN/Wもサービス型で提供した。




DRサイトのため投資額(コスト)を抑えたい。
早期構築を実現したい。
メインサイトとの接続も低コストで実現したい。
システム概要図
DR発令時は、
DRサイトへアクセス
通常時
DR発令時
クラウド環境はIaas
でサービス提供
DRアウトソーシング
設備、物理機器、全て
をサービス型で提供
データ同期
ストレージ
マルチテナント
ストレージサービス
DC間
ネットワーク
本番サイト(関東)
<システム規模>
仮想サーバ 約30台
物理サーバ 約20台
ストレージ 容量 約80TB
DRサイト(関⻄)
100
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.クラウド導入事例
4-5.某化粧品メーカー様のアマゾン (AWS)での海外ブランド展開事例
AWS採用の背景





閲覧者からのレイテンシーを考慮したサイト配置が可能(本件ではシンガポールリージョンを採用)
価格が安く、TCO削減効果が魅力的
※レイテンシー:データの転送要求などのリクエスト
を発してから、リクエストの結果が
システムの海外展開を日本からコントロールが可能
返ってくるまでにかかる遅延時間
以後の海外システム展開の横展開が容易
ネームバリューがあり、社内稟議を通しやすい
某化粧品メーカー様
日本本社
海外現地法人
シンガポール・リージョン
FTPによる
コンテンツアップロード
Web閲覧
LB
User/PW管理
現地開発ベンダー
場合に応じて連携
Web
Server
サービス窓口・営業
Web閲覧者
(主に自国の一般の方)
AWS環境下のWEBシステム
維持・監視
システム管理
卸研 研究委員会
101
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.クラウド導入事例
4-6.企業間情報・共有クラウドサービスの事例
「C2PF(Communication&Collaboration Platform)」サービスイメージ
自社内・取引先との情報共有を行うためのアプリケーションをクラウド基盤上に
構築する。
ユーザー
基幹システム
ユーザー 営業部門
C2PF ユーザー専用サイト
商品マスタ情報
ユーザーアプリケーション
連携ページ
ユーザー
情報系システム
販促関係
連携ページ
共通ポータル
単位でアクセス制御
ID
物流情報
連携ページ
ユーザー 物流部門
取引先
物流委託先
製-配-販の効率的な連携のために、データや情報を共同利用型クラウド
基盤を介して共有する。
102
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.クラウド導入事例
4-7.企業間・通信クラウドサービスの事例
取引先との企業間通信(受発注・EDI)をクラウドサービスで構築した。ハード・アプリ
等はクラウド上に設置。データ変換、マッピング、コード変換もサポートしている。
「クラウドEDI Platform」サービスイメージ
卸研 研究委員会
103
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.クラウド導入事例
4-8.卸売業と取引先間の情報共有事例
(1) 得意先・メーカーなどから商品情報をインターネット経由で入手するシステムをクラウドに導入
(2) インターネットに接続する環境を早く簡単にクラウドを利用して構築
(3) システム拡大の話があり、増強などを想定したこともクラウド利用の要因
FGCP/S5環境(館林) ※1
構築ベンダー
インターネット
仮想F/W
DMZ ※2
SSL-VPN
パッケージ
商品情報サーバ
内部LAN
得意先・取引先様
接続されたグローバルIPで
接続先DBを振り分ける
クライアント
製品
DBサーバ#1
DBサーバ #2
LAN
某⾷品卸
※1 IaaS型のパブリッククラウドサービスとして提供される館林データセンター内の仮想サーバ
※2 インターネットから直接内部LANに接続できないよう切り分けるためのセグメント
DeMilitarized Zone
104
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.クラウド導入事例
4-9.セールスフォースを利用した営業支援システムグローバル展開事例
利用状況に応じ使用リソースの最適化を行い、基盤管理を軽減したシステムを
Force.com(セールスフォースサービス名)上に構築した。 (富士通の事例)
■特徴:ミドルウェアの選択を行うことはできないが、あらかじめアプリ実行環境が構築されている。
メリット
 利用状況に応じ、自動でリソースを最適化し、かつリソー
スの利用変動によるコスト増減が少ない。
 ハードの手配・調達、インフラ構築が不要となり、初期構築
期間が短縮され、システム移行期間を短縮し費用を削減。
 クリックベース開発の利用による開発工数の削減。
適用したイメージ
本社
利用者
利用者
他社
Force.com
・
・
・
営業所A、B
インターネット
・
・
・
管理者
管理
工数
削減
状況に応じリソース利用
Force.com
Web/ AP / DB
サーバ資源共同利用
同クラウド環境での構築事例
事例1)営業支援システムグローバル展開事例
営業支援システム固有の業務機能のみ開発し、管理機能は
実装済アプリ機能を利用し、開発工数を削減
「グローバル設定機能」を利用し、個別開発することなく、
ログイン者ごとに全画面の表示言語を自動変更
事例2)全社情報管理システム事例
プロジェクト管理システム、予算管理システムなど、全社員が
利用する複数の情報管理システムを構築
ユーザー管理などの社内管理情報は、共通情報として
各情報管理システムで共通利用
事例3)料理教室申込みサイト事例
認証機能を利用しない社外向けWebサイトをForce.com上に
構築。お申込みフォームに入力された情報を同一アプリケー
ション上の申込み管理システムに自動的に登録
事例4)研修受講管理システム構築事例
連携インターフェースおよびデータ連携ツールを利用し、
基幹システムと連携。セキュリティ設定機能を利用し、機能
利用制限、情報閲覧制限を設定
卸研 研究委員会
105
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.クラウド導入事例
4-10.物流センタでの導入事例
倉庫業務の効率化と基幹業務の一元化を実現した。
顧客
某社様
日立物流ソフトウェア(物流センタ:日立物流)
本社
物流センター管理システム
ERP
顧客
在庫管理
入出荷管理
ロケーション管理
棚卸管理
顧客
インターネット
顧客
顧客
名古屋
大阪
顧客
SaaS
福岡
●業務フロー全体の見直し
●検品の効率化
●在庫精度の向上
●コストの削減(棚卸)
→55%の人件費削減
106
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.クラウド導入事例
4-11.-1 マイナンバー対応におけるアマゾン (AWS)利用事例
社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)施行にあたり個人番号管理システムを
アマゾンのクラウド上で提供するサービスを準備中である。(ワークス社の事例)
マイナンバー法により国民に提供される個人番号は「特定個人情報」に位置づけられ、個人番号を用いる
事務実施者には、特定個人情報の漏えい・滅失などを防止するために安全管理措置を講じることが義務付
けられている。
その管理負荷を軽減するため人事給与や財務会計システム等、基幹業務パッケージを提供している「ワー
クスアプリケーションズ社」はAmazon社が提供する「Amazon Web Service」上で、マイナンバー対応のための
「個人番号管理システム」の提供を予定している。
同社のパッケージシステム(COMPANY)ユーザは、パッケージ保守料内(通信費は別途必要)でシステムを
利用できるようにする他、非ユーザであってもこのシステムが利用できるよう、外部連携用のAPI公開を予定
している。
【ユーザ企業】
×
(人給・会計)
その他
システム
ユーザ企業側は必要なタイミングで
個人番号管理システムにアクセスし、
個人番号を取得
個人番号
管理システム
※個人番号は暗号化してDBに格納
※IP‐VPNや
専用線での接続
卸研 研究委員会
DATA
%&‘()=
)&>?_{
??%&
$#“??
【セキュリティ対策】
・マイナンバー法に関する政府発表の
ガイドラインに基き、「暗号化(DB、
通信)」や「ID/PASSによるアクセス
制御」に対応。
・更に、Amazon社のEC運営ノウハウ
を利用し、 悪意を持った外部からの
侵入に備えて高度なセキュリティ対策
を実現。
107
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.クラウド導入事例
4-11.-2 マイナンバー対応におけるアマゾン (AWS)利用事例
社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)とは・・・
・行政手続きにおいて特定の個人を識別する番号を用いて、複数の機関に存在する同一人物の個人情報を
確認・連携させるための基盤である。
行政運営の効率化、行政分野における公正な給付と負担の確保・国民負担の軽減・本人確認の利便性の
向上を目的としている。
2015年10月から個人番号(マイナンバー)・法人番号の付与と、2016年1月からの個人番号(マイナンバー)、
法人番号の利用が予定されている。
▼この制度が企業に与えるインパクトは・・・
①罰則規定の存在: マイナンバー法 第九章 にて罰則が定められており、個人が違法行為をした場合、
その個人の所属する法人も同様の刑罰が科せられる。
(4年以下の懲役 or 200万円以下の罰金)
②対応領域の広さ : 社会保険、企業年金等の給与周辺業務は勿論のこと、会計業務(報酬等に関わる
源泉徴収、不動産売買に関わる法定調書)、株式事務(株式配当に関わる法定調書)等に影響。
③短い対応期間 : 番号通知は2015年10月から、番号利用は2016年1月からの開始が予定されており、
対応期間が非常に短期間になる。
※本資料の内容は2014年11月末現在の構想である。
マイナンバー制度に関する政府発表等により内容が変更になる可能性がある。
108
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.クラウド導入事例
4-12.導入モデル紹介:食品情報システムを活用した食品の高付加価値化及び食品購買の変革
・消費者が真に求める農林水産物・食品の情報について、ビックデータの取り扱いに適したクラウド上に翻訳し、
統一した情報として広く利活用出来る仕組み
食品購買の変革
製造・加工業者情報
加工者のこだわり
製造・加工業
者
加工技術
流通業者
情報の
利活用
賞味期限
クラウド
生産者
小売業者
(情報を蓄積)
冷蔵庫が賞味期限情報
を認識、お知らせ
生産者情報
消費者
生産地情報
生産者のこだわり
農薬、施肥状況
買い物履歴や他店の商品情報を比較
情報を各工程で付加
・生産者、加工者等が情報を付加
出典:農林水産省 「クラウド活用型食品トレーサビリティ・
システム確立委託事業仕様」一部改編
食品の様々な情報を
抽出・翻訳
・消費者に有益な情報を抽出・翻訳・蓄積
・蓄積した情報の利活用による農林水産物、
食品の高付加価値化
卸研 研究委員会
情報を利活用
・消費者の利便性向上
・消費者情報を生産者、食品事業者
へフィードバック
109
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.クラウド導入事例
4-13.導入モデル紹介:食品トレーサビリティ運用モデル
情報の付加による食品価値の向上
食品トレーサビリティ
情報
クラウド
農産物の
食べ頃情報
生産者の
こだわり
消費者
食べ方提案
活用
データアクセス
(各社の既存システムからクラウドへ情報を抽出・翻訳する仕組)
A社の
システム
冷蔵庫が食べ頃情報を
認識、お知らせ
C社の
システム
B社の
システム
トレーサビリティ情報
生産
・出荷記録
・出産記録 等
(肥料・農薬使用等)
生産者
生産情報
糖度
食べ
頃
製造・加工
・出荷記録、賞味期限
・製造・加工記録
・原料入荷記録 等
小売
・販売価格
・店頭展示
・仕入記録 等
その他、十分に活用されず眠っている情報
製造・加工情報
・製造技術
・加工技術 等
調理
方法
物流
・出荷記録
・入荷記録 等
流通情報
・温度管理
・物流状況 等
小売情報
・旬情報
・おすすめレシピ
・売れ筋 等
情報を
フィードバック
出典:農林水産省 「クラウド活用型食品トレーサビリティ・システム確立委託事業仕様」一部改編
110
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
5.クラウド導入方法
5-1.企画提案の流れ
クラウドは課題を解決するための道具であり、課
題を直接解決してくれるものではない。先ず何が
課題でどうしたいのかを明確にする必要がある。
ステップ1
課題の明確化
ステップ2
要求事項の確認
システム化を検討する業務に課せられた条件
(開発コスト、運用コスト、稼働率、データのセ
キュリティなど)を明確にする。
ステップ3
活用形態の検討
対象業務がクラウド化の対象となる場合、その
提供モデルを検討する。(オンプレミス、IaaS 、
PaaS、SaaS などを多角的に検討)
ステップ4
ベンダーの選定
選択したクラウド活用形態に準ずるサービスを
提供するベンダー群からクラウド活用の価値が
最大となるベンダーを選択する。
卸研 研究委員会
111
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
5.クラウド導入方法
5-2.企画提案手順
導入ステップ
ポイント
1.課題の明確化
① 何が経営課題なのかを明確にする。(運用コストなのか、BCP対策なのか、
新規事業の立ち上げなのか、機器更新のタイミングなのか)
② その課題はクラウドサービスの利用で解決出来うるのかを検討する。
③ クラウドサービスの利用に際しての問題点やデメリットも検討する。
④ 対象業務あるいはシステムで達成すべきビジネスゴール(状態と数値目標)を設定する。
2.要求事項の確認
①
②
③
④
⑤
想定するコスト(開発コスト及び運用コスト)の上限はどのくらいか?
稼働率やワークロードをどの辺りに設定するか?
他システムとの連携はないのか?
帯域やネットワークの信頼性の保証をどこまでやるか?
データの機密性は自社のセキュリティポリシーの内容と合致しているか? など
3.活用形態の検討
①
②
③
④
SaaSの利用は可能か?
PaaSやIaaSの利用になるのか?
DBはオンプレに置いた方が良いのか?
負荷予測が困難な場合はどうするのか? など
4.ベンダーの選定
① 必要要件を満たすことは重要であるが高品質はコストとして跳ね返る為、
要件面で妥協する等の総合的な判断も必要になる。
② 可用性等のSLA (Service Level Agreement)で保証されるサービス品質は?
③ SLA で保証された品質が未達の場合の補償は?
④ 稼動状況、障害情報などの情報公開の度合いは?
⑤ サービス提供の将来性に不安はないか?
⑥ ベンダーの財務状況の健全性は? など
卸研 研究委員会
112
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
5.クラウド導入方法
5-3.-1 クラウド活用における稟議書のポイント
(1) クラウド選択の理由
当社にとっての必要なメリットを列挙する。
投資コストの抑制、運用コスト削減、資産削減
導入スピード・・・ 5-4に例示
(2) クラウド導入後の効果
コスト推移、人員配置、向上するサービスなど
・・・5-4に例示
(3) 課題と対策
当社にとっての注意点になる内容を列挙する。
・・・5-5に例示
(4) クラウド導入イメージ
本書の導入事例を参照する。
卸研 研究委員会
113
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
5.クラウド導入方法
5-3.-2 クラウド活用における稟議書のポイント
(5) 一般的な内容(補足)を述べる。
・ クラウドが導入されている背景
「世界のデータ量は今後10年間で44倍になり、2020年には全情報の3分
の1がクラウドに置かれるか、クラウドを通過する。データの増加に伴い、
新しいデータ・アクセス・ツールが必要になる。」
情報爆発がクラウドビジネスというイノベーションを引き起こした。
クラウドは産業・社会の共有プラットフォームである。
・ 守りのITではなく、攻めのIT、ビジネスイノベーション
企業の機動力を向上させる。
コア業務へリソースを集中できる。
新たなビジネスチャンスを生み出す。
利用者主導型(自社の持つ価値ある情報を提供する)に変わる。
データ・アプリ連携で付加価値を生み出す。
114
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
5.クラウド導入方法
5-4.クラウド利用における導入効果(例)
№
分類
期待効果(メリット)
1
コスト
・固定費から変動費に変化、初期投資が抑えられる。
・ハードコストが不要(資産として所有しない)
・運用コストが安い(利用料払い、経費扱い節税対策になる)
・導入・運用の負荷コストが下がる。
・DR環境を自前で持つ必要がない。
・IT資産が有効活用できる。(サーバー台数削減)
2
サービス
・複数企業で共有するため省エネである。
・データがたくさん保存できる
・まとめたデータが共有できる
・スマートフォンで利用できる
・無料(スモール)でもスタートできる
・専用ソフトがなくても使用できる
・サービスジャンルが豊富
3
信頼性(品質)
・障害・災害対策の復旧が容易である。
4
スケール
・リソースを柔軟・迅速に拡張できる。
(ピーク時に合わせた準備が不要)
・バージョンアップなどの管理業務も軽減される。
5
スピード
・システム稼動までの時間が短縮され、撤退も早くできる
卸研 研究委員会
32
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情報志向型卸売業研究会
研究委員会
5.クラウド導入方法
5-5.クラウド利用における注意点(例)
№
分類
注意点
1
コスト
・従量課金のため、不用意な連続稼動でコスト増になる可能性もある。
・5年サイクルでの投資判断が遅れる。
・長期間使用すれば利用型より所有型のほうが安くなる場合もある。
2
サービス
・24時間、365日のミッションクリティカルなシステムには不向きである。
・システム仕様が公表されないケースがある。
3
信頼性
(セキュリティー)
・提供者側で責任を持つ場合と利用者側で追わなければならない。
・外資系クラウドサービス利用において、サーバーが海外に設置されて
いる場合には、海外の法律適用を受ける。(法的なリスク)
例.米国愛国者法、EUのデータ保護指令、外為法など
・海外にクラウド・サーバーを設置する場合に、オペレータが日本語対応
してくれない。
4
ネットワーク
・業務処理のデータサイズに応じたネットワーク環境を再構築し、管理す
る必要がある。(ネットワークトラフィック変更リスク、ネットワーク管理(輻
輳/誤接続/不適切利用)のリスク)
5
利用(運用)
・パブリッククラウド、プライベートクラウド、ハイブリットクラウドなど利用
形態における初期・運用保守コスト含めた最適案を検討する。
・プロバイダロックインになる可能性がある。
・提供者側と利用者側の責任範囲を明確にしておく必要がある。
33
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6.まとめ
(1) 卸売業のクラウド利用傾向
自社マシン室等にオンプレミスで設備投資するよりも、ベンダーが構築
するデータセンターの利用が増えている状況にある。
但し、クラウドの定義や提供されるサービス理解が充分でないためか
進んで導入するという行動を起こしている企業は少ないようである。
うた
従来ASPと謳っていたサービスも、SaaSとしてクラウドに分類すると、
意識せぬ間にクラウドを利用している状況も発生している。
このようにクラウド利用が伸びてきている現状において、クラウドの
メリットは以下の通り、アンケート回答・事例収集を通じて見えてきた。
① TCOの削減(人的リソースを社外サービスに求めた結果)
② BCP対策
③ 柔軟性(導入スピードの速さ、最新機能の利用、導入規模の選択)
④ 企業間通信環境(流通BMSを含む)構築の容易さ ※卸売業の特色
⑤ 自社保有資産(物理リソース)の削減によるROAの改善
※ROA:事業に投下されている資産(総資本)が当期純利益をどれだけ獲得したか(効率性)を示す指標
卸研 研究委員会
117
2014年度
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6.まとめ
(2) 市場の動向
今回、導入事例を調査した結果、アマゾンが提供するクラウドサービス
(AWS)がとても多く利用されている状況が分かった。
AWSは、パブリック・クラウドとしてデファクト・スタンダード(事実上の
「業界標準」)としての地位を築きつつあると思われる。
他のベンダーも、AWSを利用したサービス提供を用意している企業が
多数出ている。今回の事例報告を参照され度。
そのような中、日本企業の中にAWSに対抗したコストでサービス提供
を準備しているところも見受けられた。
寡占市場は将来的に適正な費用・サービスレベルを維持するためには
障壁となることが考えられるため、AWSに対抗できるベンダーが現れる
ことは歓迎したい。
頑張れ日本のベンダー!
118
卸研 研究委員会
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6.まとめ
(3) 卸売業における導入契機:企業間EDI通信とグループウェア
研究活動の結果をもとに、当グループでは企業間EDI通信やグループ
ウェア(GW)のクラウド・サービス導入推進を提案したい。
① 企業間EDI通信の導入容易性は、流通BMS等、業界標準の適用拡大
を促すことが考えられ、標準化へ向けた流通業界全体のコスト削減に
も寄与する。
② GWの導入は比較的導入がしやすく、社内での導入促進の意識醸成を
促すと考えられる。
差別優位性を求める必要の無い業務分野については、クラウド提供
ベンダーに任せて、コスト削減メリットを業界全体で享受できるよう同業
他社の活用状況を各社は共有すべきである。卸研の活動を通じてコスト
メリットを訴求できると思われる。
クラウドは選択肢のひとつとして自然に拡大していくと想定される。
クラウドの得意分野をよく理解し、TCOの削減、BCP対策の導入を推進
していくことを提言するとともに、卸売業とITベンダーが共に研究活動
する卸研だからこそ、新たなクラウドサービスの企画に繋がることが期待
できる。
卸研 研究委員会
119
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補足資料
(1) 用語集
クラウド
▽出典:財団法人流通システム開発センター「 2011年度 流通情報システム化先進事例調査報告書」
インターネットの普及に伴いネットワークの高速化・低廉化が実現した。これによりコンピュータリソースをネットワーク越しに使うことが容易となり、特定の直
接操作できるコンピュータを使うだけでなく、ネットワーク経由で他のコンピュータリソースを使うこと、遠隔地のコンピュータリソースを管理し使うことができる
ようになった。さらに、Web ブラウザとその利用環境の整備により、ネットワーク越しに他のコンピュータで動作するアプリケーションプログラムを使うこともで
きるようになった。こういったアプリケーションプログラムは、従来直接操作できるコンピュータ上で動作しているものと同レベル以上のグラフィカルで使い勝手
の良いものになってきている。
このような変化に伴い実現できるようになった情報処理環境を「クラウド」と呼び、「クラウド」を活用することを「クラウドコンピューティング」と呼ぶ。多くのクラ
ウドコンピューティングの事例はアウトソーシング事例となることから「所有から使用へ」というトレンドの変化として説明されることがある。
SaaS(Software as a Service) サース/サーズ
▽出典:財団法人流通システム開発センター「 2011年度 流通情報システム化先進事例調査報告書」
インターネット経由で提供されるアプリケーションソフトウェアを利用できるもの。Web ブラウザを使い当該サービスにアクセスすることでアプリケーションソフ
トウェアが利用できるものは個人ベースでの利用も進み良く知られている。Google 社の提供する電子メールサービス「Gmail」、「Google Docs」などが挙げら
れる。Web ブラウザで当該アプリケーションを提供しているサーバに接続することにより、従来操作する人の手元になるPC 上で動いていたアプリケーション
ソフトウェアのような機能が提供される。結果として、操作者の手元にあるPC 上にデータを保管することなく、インターネット上につながるWeb ブラウザをイン
ストール済みのPC 全てから同じ環境が利用できる。
PaaS(Platform as a Service) パース/パーズ
▽出典:財団法人流通システム開発センター「 2011年度 流通情報システム化先進事例調査報告書」
アプリケーションを実行する環境をインターネット経由で提供するもの。仮想化されたアプリケーションサーバやデータベースを提供するもので、マイクロソフ
ト社のWindows Azure や、Salesforce.com 社のForce.com、Google 社のGoogle App Engineが有名である。ハードウェア・ネットワーク・ミドルウェア等の環境
が提供されるので、利用者は自分の使うアプリケーションソフトウェアを提供される環境上に導入し、利用する。
IaaS(Infrastructure as a Service) イアース
▽出典:財団法人流通システム開発センター「 2011年度 流通情報システム化先進事例調査報告書」
仮想化されたコンピュータ基盤をインターネット経由で提供するもの。利用者はサーバハードウェアやネットワーク環境、データセンターのスペースなどを
サービスとして購入することになる。利用者自身で購入し構築する場合に比べ、より多くのリソースを専門家が管理することになり、機器障害時などの対応や
運用面において優位性が出る場合が多い。
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補足資料
(1) 用語集
DaaS(Desktop as a Service) ダース
▽出典:株式会社インセプト「IT用語辞典 e-Words」
端末のデスクトップ環境をネットワーク越しに提供するサービス。クラウドコンピューティングの形態の一つで、企業内で個人が利用するパソコンなどのクラ
イアント環境をサーバ群に集約し、必要に応じて端末から呼び出して利用する方式である。端末には画面表示や操作・入力が行えるだけの最低限のハード
ウェアがあればよく、OSやアプリケーションソフトなどはすべてサーバ上で動作する。
デスクトップ仮想化やリモートデスクトップなどは従来から存在するが、DaaSといった場合には基本的にサーバの設置や管理は自社で行わず、専門の事
業者からインターネットなどを通じてサービスとして購入するものを意味する。
▽出典:富士通株式会社 「クラウド用語集」
クライアント環境にOSやアプリケーションを搭載せず、ネットワーク経由でクラウド基盤上の仮想デスクトップ環境を利用する形態。
XaaS(X as a Service) ザース
▽出典:株式会社インセプト「IT用語辞典 e-Words」
情報システムの構築・運用に必要な何らかの資源(ハードウェア、回線、ソフトウェア実行環境、アプリケーションソフト、開発環境など)をインターネットを通じ
てサービスとして遠隔から利用できるようにしたもの。また、そのようなサービスや事業モデル。
従来は購入したり固定的・長期的な利用契約を結んで利用してた様々な資源を、サービスとしてネットワーク越しに必要なときに必要なだけ利用し、実績に
応じて代金を支払う形態を意味する。「サービスとしてのソフトウェア」(SaaS:Software as a Service)の概念を広げ、様々な要素に適用できるようにした用語
である。
XaaSに含まれる概念には、SaaSのほかに、ソフトウェア実行環境を提供するPaaS(Platform as a Service)や、仮想化されたサーバや回線などのハードウェ
ア環境を提供するIaaS(Infrastructure as a Service)またはHaaS(Hardware as a Service)などがある。
ASP(Application Service Provider) エーエスピー
▽出典:株式会社インセプト「IT用語辞典 e-Words」
ソフトウェアをインターネットなどを通じて利用者に遠隔から利用させる事業者のこと。また、そのようなサービス(ASPサービス、SaaS:Software as a
Service)。
ASPは利用者に提供するソフトウェアを、インターネットなどのネットワークに接続されたサーバコンピュータに展開する。利用者はWebブラウザや専用の
クライアントソフトなどを通じてサーバにアクセスし、これを利用する。利用には事業者との契約や登録が必要な場合が多く、有料のものと無料のものがあ
る。無料のものは広告が表示され広告料などで運営されることが多い。有料の場合、利用期間や回数などに応じて一定の料率で課金される場合と、基本
機能が無料で便利な機能や追加のデータ保管容量などに課金される場合がある。
利用者にとっては、手元のコンピュータにソフトウェアを導入したり、最新版に更新したりする手間が省け、また、自分のコンピュータを持ち歩かなくても、
インターネットに接続された別のコンピュータから自分のソフトウェアやデータにアクセスすることができるメリットがある。また、課金方式によってはこれま
で購入してきたパッケージソフトよりも廉価に、あるいは無料で同じ機能のソフトウェアを利用できる場合もある。
企業が業務で利用するビジネス向けソフトウェアを中心に広まったが、インターネット回線の高速化やWebブラウザの発展などにより、一般向けのアプリ
ケーションソフトなどでもASP型の事業が増えている。
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補足資料
(1) 用語集
パブリック・クラウド
▽出典:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 「ICT用語辞典」
一般に解放され、サービス提供されているクラウドサービス。自社利用特化型はプライベートクラウド。
▽出典:富士通株式会社 「クラウド用語集」
サービス提供者が提供するサーバやストレージ、OSなどのICTリソースを、ネットワーク経由で利用する形態。企業や個人など、不特定多数を対象に、
ネットワーク経由で提供されている。自社内でシステムを構築する必要がなく、資産の所有や運用の必要がない。
プライベート・クラウド
▽出典:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 「ICT用語辞典」
企業などが自社でのクラウド利用に専用化したクラウドサービス。一般に開放されているのはパブリッククラウド。
▽出典:富士通株式会社 「クラウド用語集」
不特定多数が共同利用できるパブリック・クラウドに対し、専用のクラウド環境を構築し、利用する形態。パブリック・クラウド上では管理できないシステム
があるなど、自社内でシステムを保有・運用したい場合に、仮想化や標準化、自動化などのクラウド技術を使用して、サーバやストレージ、OSなどのICTリ
ソースを効率的に割り当てたり、共有したりできるのがプライベートクラウドである。
ハイブリッド・クラウド
▽出典:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 「ICT用語辞典」
パブリッククラウドとプライベートクラウドを融合し、業務やそれぞれの機能、サービスによって使い分ける手法。
▽出典:富士通株式会社 「クラウド用語集」
共有環境でサービスを利用するパブリック・クラウドと従来システム、あるいは専用環境でシステムを構築・運用するプライベートクラウドを組合せ、シーム
レスに連携させる利用形態。
コミュニティ・クラウド
▽出典:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 「ICT用語辞典」
同様のミッションを持つ特定企業群によって形成する「コミュニティ」で共同運用されるデータセンターの共同利用などのクラウドの形態。パブリッククラ
ウドのようなセキュリティに対する懸念を解消しつつ、プライベートクラウドのようなある程度の柔軟性とコスト削減効果が期待できる。
データセンター
▽出典:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 「ICT用語辞典」
多数のサーバーを備えハウジングやホスティングなどのアウトソーシングなどを行う施設。自家発電設備を設置するとともに耐震性を強化するなど災害時
でも運用が可能な体制を整えている。クラウドコンピューティングが本格展開されている状況で、データセンターのロケーションは世界に広がり、また規模も拡
大している。近年ではデータセンターを一つのコンピュータと見なし、コストすなわち提供価格とのバランスの観点から集積度と電力効率を最適化しようとする
のがトレンドとなっている。
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補足資料
(1) 用語集
ハウジングングサービス
▽出典:株式会社インセプト「IT用語辞典 e-Words」
顧客の通信機器や情報発信用のコンピュータ(サーバ)などを、自社の回線設備の整った施設に設置するサービス。
通信事業者やインターネットサービスプロバイダ(ISP)、ハウジングサービス専業の事業者などが行っているサービスで、高速な回線や耐震設備、安定し
た電源設備などを自前ですべて揃えるよりも安価に提供する。事業者によっては、機器の保守や監視、データのバックアップなどの付加サービスを請け負
うところもある。機器の設置される施設をデータセンター(Data Center)あるいはインターネットデータセンター(IDC:Internet Data Center)という。
類似のサービスに「レンタルサーバ」(rental server)あるいは「ホスティングサービス」(hosting service)があるが、これは、事業者が自社設備内に自らコン
ピュータなどを用意して、その機能などを顧客が遠隔から利用できるように提供するサービスである。ハウジングサービスでは、サーバなどの機器は原則
として顧客が持ち込んだものを使い、事業者は場所と回線、電源などを提供する。
ホスティングサービス
▽出典:株式会社インセプト「IT用語辞典 e-Words」
自社施設に設置しインターネットに接続された情報発信用のコンピュータ(サーバ)の機能を、遠隔から顧客に利用させるサービス。顧客が自前の設備など
を持たずにインターネット上で情報やサービスを配信するのをサポートするサービスである。
通信事業者やインターネットサービスプロバイダ(ISP)、ホスティングサービス専業の事業者などが行っているサービスで、高速な回線などを備えた施設に
サーバコンピュータを大量に設置し、コンピュータを操作する権利を月額制などで顧客に貸し出す。1台の高性能なコンピュータを複数の顧客で共有し、予め
決められたソフトウェアなどを利用する方式が一般的だが、1台丸ごと専有して管理者権限で自由に操作できるようなサービスもある。コンピュータの設置さ
れる施設をデータセンター(Data Center)あるいはインターネットデータセンター(IDC:Internet Data Center)という。
類似のサービスに「ハウジングサービス」(housing service)あるいは「コロケーションサービス」(collocation service)があるが、これは、事業者が施設のス
ペースを貸し出して顧客が通信機器やコンピュータなどを持ち込んで運用するサービスである。
オンラインストレージ
▽出典:株式会社インセプト「IT用語辞典 e-Words」
インターネット上でファイル保管用のディスクスペースを貸し出すサービス。有料のものと無料のものがあり、無料の場合は使用時に広告が表示される。
職場と自宅、あるいはノートパソコンなどとの間でのデータのやりとりや、複数人でのデータの共有などが行える。利用できる容量は数MB~100MB程度の
サービスが多い。WebブラウザやFTPクライアントから利用できるものが多いが、専用のソフトをパソコンに組み込んで、Windowsのエクスプローラから他の
ディスクと同じような操作感で利用できるようにしたものもある。
オンプレミス
▽出典:株式会社インセプト「IT用語辞典 e-Words」
企業の業務システムなどで、自社で用意した設備でソフトウェアなどを導入・利用すること。自社運用。
もともとこのような形態が一般的だったため特に名称は無かったが、近年、インターネットなどを通じてメーカーなどが用意した環境を遠隔利用するクラウド
コンピューティングやSaaS/PaaSなどが普及してきたため、これらと対比する文脈で従来の方式を意味する用語として広まった。
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補足資料
(1) 用語集
ミドルウェア
▽出典:株式会社インセプト「IT用語辞典 e-Words」
ソフトウェアの種類の一つで、オペレーティングシステム(OS)とアプリケーションソフトの中間に位置し、様々なソフトウェアから共通して利用される機能を提
供するもの。OSが提供する機能よりも分野や用途が限定された、具体的・個別的な機能を提供する場合が多い。
多くのアプリケーションで共通して利用される機能やハードウェアの基本的な制御機能などは、個別に開発するのは非効率であるため、通常はOSの機能と
して提供され、アプリケーションはOSの機能を利用するだけで済むようになっている。
ただ、そのようなOSの機能はほとんどのアプリケーションが必要とするような極めて基本的・汎用的なものに限られるため、特定の分野でしか使われない
が、その分野では必ず必要とされるような機能がミドルウェアとして提供されることが多い。
また、ミドルウェアの中には複数のOSやハードウェアに対応し、アプリケーションがOSの違いなどを気にしなくてもいいように設計されているものもあり、
様々なプラットフォームで動作するソフトウェアの開発を容易にするというメリットがある。
どのようなソフトウェアがミドルウェアとして提供されるかは分野によって大きく異なり、ネットワークサーバなどではデータベース管理システム(DBMS)や、
TPモニタ(トランザクションモニタ)、アプリケーションサーバなどがミドルウェアとなることが多いが、組み込みシステムではOSの機能が大きく限定されている
ため、ファイルシステムやGUI(Graphical User Interface)などパソコンならOSが提供するような機能がミドルウェアとなることもある。
▽出典:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 「ICT用語辞典」
OSとアプリケーションの中間に入るソフトウェア。データベース管理システム、ネットワークの通信制御を行うトランザクションモニター、アプリケーション管
理ツールなどはミドルウェアにあたる。
仮想化
▽出典:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 「ICT用語辞典」
サーバーやストレージ、ネットワーク機器、ネットワークなど現実に存在する物理的な機器に対して、仮想的に構築するシステム。利用頻度の少ないア
プリケーションなどは仮想サーバーに格納し、必要な時にだけ使用すれば無駄にサーバーを設置しなくてもすむ。複数のストレージを持つネットワークで
は必要なデータを検索し、どのストレージにあるかで業務効率が低下する可能性があるが、仮想的に1台のストレージに見せることでそうした問題は軽減
される。仮想化はクラウドコンピューティングには不可欠の技術であり、大規模なデータセンターを必要とするクラウド事業者にとってサーバーやストレー
ジを仮想化することでシステム投資を最適化できる。
▽出典:富士通株式会社 「クラウド用語集」
サーバやストレージ、OSなどのICTリソースを物理的な構成に捉われず、論理的に構成する技術。例えば、サーバ仮想化の場合は、サーバハードウェ
ア上に論理的な仮想化レイヤーを作成し、複数のOSを同時に実行させることができる。CPUやメモリなどのハードウェアリソースを共有して利用できるた
め、効率的なシステム環境を構成できる。また、複数の物理サーバを集約することで、サーバ台数を減らすことができ、運用コストや環境コストの抑制や
削減につなげることが可能。
仮想化サーバー
▽出典:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 「ICT用語辞典」
仮想化技術を導入し、物理層とは別に1台のサーバーの中に仮想的に複数台構築したサーバーのこと。物理サーバーと仮想化サーバーでは、異なる
OSやアプリケーションを稼働させることができる。
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補足資料
(1) 用語集
分散コンピューティング
▽出典:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 「ICT用語辞典」
1台のハードウェアで処理を行うのではなく、ネットワーク上の複数のコンピュータで分散処理する技術。コンピュータリソースを有効に活用することで、
処理の高速化が図れる。
ICTリソース(アイシーティーリソース)
▽出典:富士通株式会社 「クラウド用語集」
サーバ、ストレージ、ネットワーク、OS、ソフトウェアなど、コンピュータを十分に動作させるために必要な環境を作る資源のこと。
リソース
▽出典:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 「ICT用語辞典」
リソースとは資源のこと。コンピュータシステムにおいてはリソースとはCPUパワーやメモリ容量、ディスク容量などであり、これらを豊富に装備し、コン
ピュータの性能が高まれば、それだけパフォーマンスと生産性が向上する。逆にリソースが不足していればボトルネックが発生することにつながる。そうし
たIT上の資源を有効活用することが生産性アップにつながる。
プロビジョニング
▽出典:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 「ICT用語辞典」
ITリソースを必要になった時に、すぐに利用できるように準備しておくこと、およびその準備手順。クラウドサービス提供者などは、サービス提供にあたり
正確な需要を予測することは困難である。そのため仮想化技術を導入し、設定を変更すればコンピュータリソースを仮想的に増強することができるように
するプロビジョニングの簡素化、自動化が進んでいる。
▽出典:富士通株式会社 「クラウド用語集」
利用者から要求があった場合や障害時などに、必要な分だけのICTリソースを動的に割り当てる技術。あらかじめ、複数のサーバやストレージ、ネット
ワークのリソースを論理的にプール化しておき、必要に応じてリソースを抽出し、OSの展開やミドルウェアの設定等を動的に行う。これによって、ICTイン
フラ基盤を効率よく運用することが可能。
オンデマンド
▽出典:富士通株式会社 「クラウド用語集」
オンデマンドとは、要求に対して必要なだけのICTリソースを素早く提供する手法のこと。ICTリソースを所有せず、業務量の増減に合わせてサーバリ
ソースの払い出しや返却を行うことができ、全体として最適なインフラ資源の活用が可能。オンデマンドは仮想化とプロビジョニングの技術によって実現
されている。
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補足資料
(1) 用語集
スケーラビリティ
▽出典:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 「ICT用語辞典」
拡張性のこと。コンピュータシステムは業務の拡大、負荷の増大、ユーザー数の増加に応じて処理能力もアップしなければ業務が継続できない事が多
い。最初から将来の業務拡大を予想して過大にシステム投資することは困難であることから、段階的にシステムの能力を拡大できるシステムが望ましい。
スケーラビリティが高いシステムは、そうしたシステムの拡大に対応している。
スケールアウト
▽出典:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 「ICT用語辞典」
サーバーの数を増大させることで、サーバーの処理能力を向上させること。規模の拡大。それに対してサーバーの能力を増大させる事をスケールアッ
プという。スケールアップではサーバー1台の処理能力にボトルネックが生まれるが、スケールアウトでは理論上サーバー数の増大により無限大に処理
能力を向上させる事が出来る。
SLA(Service Level Agreement ) エスエルエー
▽出典:株式会社インセプト「IT用語辞典 e-Words」
サービスを提供する事業者が契約者に対し、どの程度の品質を保証するかを明示したもの。通信サービスやホスティングサービス(レンタルサーバ)な
どでよく用いられる。
混雑時の通信速度や処理性能の最低限度や、障害やメンテナンス等による利用不能時間の年間上限など、サービス品質の保証項目を定め、それらを
実現できなかった場合の料金の減額などの補償規定を利用契約に含める。規定される項目は原則として定量的に計測可能なもので、上限や下限、平均
などを数値で表し、測定方法なども同時に定める。
サービスレベル管理
▽出典:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 「ICT用語辞典」
最適な運用形態によるサービス提供とそれに見合った最適なコストを管理する手法。コンピュータシステムはトラブルを起こさず24時間365日のサービ
スを提供することが望ましい。しかし稼働時間が長く負荷も高ければ、それなりのシステム投資が必要になる。サービスを継続するためにコストと故障率
を勘案して、一定の割合でサーバーやディスクの故障が起き交換の必要性を想定しておくこと。
従量制課金
▽出典:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 「ICT用語辞典」
通信回線やコンピュータリソースなど使った分だけ課金される仕組み。ブロードバンド回線の定額制とは対義語になる。クラウドサービスではサーバー
を必要な分だけ活用することで、システムコスト低減を図るが、その際に使った分だけを従量制で課金されることになる。
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補足資料
(1) 用語集
DRサイト(Disaster Recovery site ) ディーアールサイト
▽出典:株式会社インセプト「IT用語辞典 e-Words」
災害などで主要なITシステム拠点での業務の続行が不可能になった際に、緊急の代替拠点として使用する施設や設備のこと。
業務システムが稼働しているデータセンターや情報システム拠点の機能の一部または全部を肩代わりする能力を持った施設で、普段から緊急時に備
えてデータのバックアップなどを行なう。自然災害などの際に主要拠点と同時に被災しないよう、物理的に遠方にある必要がある。
グリーンIT
▽出典:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 「ICT用語辞典」
環境に配慮したIT。地球温暖化防止のために省エネが求められている中で、IT機器および利用環境にも省エネが求められる。サーバーの発熱量を抑
えることで本体の消費電力を抑え、同時に空調機器のエネルギー消費を抑えるなどITに関わる省エネを指す。また、自然エネルギーや温室効果ガス排
出を抑制できる未利用エネルギーに由来する電力を使用することも重要である。
プロバイダー
▽出典:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 「ICT用語辞典」
インターネット接続業者(ISP)の通称。家庭や企業から通信回線を通じてインターネットに接続するサービスを提供する。接続以外にも電子メールアカ
ウントの発行やブログ、SNSなどのサービス、ポータルサイトを使った情報発信、ディスクスペースのレンタルなども行っている。
AWS (Amazon Web Services) アマゾンウェブサービス
▽出典:株式会社インセプト「IT用語辞典 e-Words」
Amazon.com社が主にWeb事業者・開発者向けに提供しているオンラインサービス群の総称。同社のショッピングサイトのインフラや商品データなどを外
部に開放したもので、主にWebサイトやWebサービスの運営者や開発者が必要とするインフラ系のクラウドサービス(IaaS/PaaS/SaaS)を提供している。
最も有名なのは仮想サーバのレンタルサービスである「Amazon Elastic Computing Cloud」(Amazon EC2)で、これを指してAWSと呼ぶことも多い。同社の
管理するデータセンター上に仮想化されたWebサーバを構築し、自らの開発したソフトウェアを自由に実行することができるサービスで、使用時間や外部
へ送信されたデータ量に応じて課金される。
Office 365 (オフィス365 / マイクロソフトオフィス365)
▽出典:株式会社インセプト「IT用語辞典 e-Words」
Microsoft社のクラウド型グループウェア。オフィスソフトのMicrosoft Officeと、メッセージや情報共有、スケジュール管理などのためのオンラインサー
ビスを組み合わせた製品で、サービス部分はMicrosoft社が運用するサーバをインターネットを通じて利用するクラウドサービスとなっている。
Microsoft OfficeのOffice 365向けバージョンである「Office Professional Plus」と、メールやスケジュール管理を行なう「Exchange Online」、文書共有や
共同作業ができる「SharePoint Online」、オンライン会議やデスクトップ共有ができる「Lync Online」などで構成される。
利用者一人あたりの月額課金制で提供され、組織の規模に応じて25人まで(推奨は10人以下)の「Small Business」、300人まで(推奨は250人以下)の「
Midsize Business」、それ以上の「Enterprise」の各利用プランに分かれている。また、利用する機能の違いなどにより、これらの中にさらに詳細な利用プ
ランが設定されている。
卸研 研究委員会
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補足資料
(1) 用語集
Google Apps(グーグルアップス)
▽出典:株式会社インセプト「IT用語辞典 e-Words」
Google社が提供しているWebアプリケーションサービスのパッケージ。ビジネスやグループ活動に必要なアプリケーションをまとめて提供している。
企業や部門、グループ単位で申し込むことができ、利用者一人ずつにアカウントが発行される。基本的なサービスは、Webメールサービスの「Gmail」、
オンラインカレンダーの「Googleカレンダー」、ワープロソフトや表計算ソフトを含むオフィススイートの「Googleドキュメント」、Webサイトを作成・共有できる「
Googleサイト」、メーリングリストや情報共有機能の「Googleグループ」などで、すべてWebブラウザから利用することができる。基本はGoogle社のドメイン
での運用だが、自分のドメインを持っている場合はそのドメイン名での運用も可能となっている。
「Standard Edition」は無償で利用でき、小規模なグループ活動などでの利用を想定している。「Premier Edition」は企業向けの有償バージョンで、メール
容量の拡大やセキュリティ機能、サービスレベルの保証、24時間サポートなどが受けられる。他にも教育機関や政府機関は専用にカスタマイズされたバ
ージョンを利用することができる。
Salesforce.com (セールスフォース・ドットコム)
▽出典:株式会社インセプト「IT用語辞典 e-Words」
営業支援システム(SFA)や顧客管理システム(CRM)をオンラインサービスとして提供する世界的なソフトウェア企業。また、同社のサービス製品のブラ
ンド名。1999年に設立され、2000年に日本での事業を開始した。
同社の顧客管理・営業支援統合システム「Salesforce CRM」はWebアプリケーションとして実装されており、ユーザ企業はインターネットを通じてこれを
サービスとして購入する。利用する機能や社員数に応じた月額料金を支払うSaaS型の業務システムとなっている。
Hadoop ( Apache Hadoop )ハデュープ / ハドゥープ
▽出典:株式会社インセプト「IT用語辞典 e-Words」
Apache Software Foundation(ASF)が開発・公開している、大規模データを効率的に分散処理・管理するためのソフトウェア基盤(ミドルウェア)。オープ
ンソースソフトウェアとして公開されており、誰でも自由に入手・利用することができる。
Google社が自社システムの基盤として利用している分散ファイルシステムのGFS(Google File System)に似たファイルシステムと、分散データベースの
BigTableに似たデータベースシステム、MapReduceによる分散処理システムなどをJavaで実装したものである。
▽出典:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 「ICT用語辞典」
Apache Software Foundationが開発し、OSSとして公開している大規模なデータを分散処理およびファイル管理するための基盤ツール。クラウド環境下
で分散ファイルの検索、分散データベースの運用管理などを効率的に行うのに向いている。
Xen (ゼン)
▽出典:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 「ICT用語辞典」
一つのハードウェア上に複数のOSを稼働させるためのソフトウェア。ケンブリッジ大学で開発され、XenSourceに引き継がれたがCitrix Systemsが買収
し製品化を行っている。ほとんどのLinuxが標準でXenをサポートする。
128
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2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
補足資料
(1) 用語集
VMware (ヴイエムウェア)
▽出典:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 「ICT用語辞典」
デスクトップ仮想化技術、サーバー仮想化技術などを提供する米企業およびその製品のブランド。仮想化システムとしてメジャーな存在であり、世界で
15万社以上が導入している。(2010年1月末時点)TCO削減やグリーンITの実現、クラウドコンピューティングに仮想化技術は不可欠の要素となっている
。
Microsoft Azure (マイクロソフトアジュール)
▽出典:株式会社インセプト「IT用語辞典 e-Words」
Microsoft社によるクラウドサービス。「Windows Azure」はこのサービスのために用意された、Windows Serverのカスタムバージョンである。
ソフトウェアが稼働するプラットフォームをサービスとして必要なときに必要なだけ提供するPaaS(Platform as a Service)サービスの一種で、同社の運
用するデータセンターで稼働するWindowsサーバで利用者が開発したアプリケーションソフトを実行・運用することができる。利用料金はソフトウェアの
CPU実行時間と占有しているストレージの記憶容量に応じた従量課金で、使用実績に基づいて請求される。
Microsoft Hyper-V (マイクロソフトハイパーブイ)
▽出典:株式会社インセプト「IT用語辞典 e-Words」
Microsoft社の仮想化ソフト(ハイパーバイザー)製品。コンピュータを仮想化し、一台の物理的なコンピュータ上で複数の仮想的なコンピュータを稼働さ
せ、それぞれにOSを動作させることができる。
Windows Serverの64ビット版の機能の一つとして、例えばWindows Server 2008 x64などに組み込まれて提供されているほか、同社Webサイトで「
Hyper-V Server」として単体で無償提供されている。仮想マシン上で動作させられるゲストOSとしては、Windows Serverシリーズのほかにクライアント向
けWindows(Windows 7/Vista/XP)や一部の商用Linuxディストリビューションなどがサポートされている。
※用語集 参考文献※
・株式会社インセプト 「IT用語辞典 e-Words」 http://e-words.jp/ (参照2015/1/14)
・エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 「ICT用語辞典」
http://www.ntt.com/business/techsupport/dictionary/index/cate6.html (参照2015/1/14)
・富士通株式会社 「クラウド用語集」 http://jp.fujitsu.com/solutions/cloud/glossary/ (参照2015/1/14)
・財団法人流通システム開発センター 「2011年度 流通情報システム化先進事例調査報告書」
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129
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
補足資料
(2) FAQ
Q1.クラウドはどこにあるのか?
A1.クラウドサービスで提供されるハード、ミドルウェア、アプリケーション、
データは、クラウドサービスを提供している事業者が保有している。
Q2.ハウジングはクラウド利用と言えるか?
A2.機器もソフトウェアも自社資産の為、クラウドとは言えない。
Q3.EDIは、クラウド利用と言えるか?
A3.データ交換をおこなうアプリケーションによる。
自社資産のハード、アプリケーションでデータ交換する場合は、Q2より
クラウドとは言えない。
SaaSやPaaS、IaaSを利用したハード、アプリケーションでデータ交換
する場合は、クラウド利用と言える。
130
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2014年度
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補足資料
(2) FAQ
Q4.個人で画像をインターネットにアップロードしている場合、クラウドを利用して
いると言えるか?
A4.画像データの保存先が、アップロード先事業者所有サーバーとなり、
クラウドを利用していると言える。
Q5.クラウドにはどんな種類があるか?
A5.利用するリソース(資源)により種類分けされる。
・IaaS(Infrastructure as a Service)
⇒社外とつながっているネットワーク経由で機器や回線などのインフラを提供
・PaaS(Platform as a Service )
⇒社外とつながっているネットワーク経由で プラットフォーム を提供
(ミドルウェア・OS実行環境)
・SaaS(Software as a Service)
⇒社外とつながっているネットワーク経由で アプリケーション を提供
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131
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情報志向型卸売業研究会
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補足資料
(2) FAQ
Q6.ASPとSaaSは違うのか?
A6.従来ASP(Application Service Provider)と分類されているものの多くは、SaaSに
該当すると考えられる。
SaaSがサービスそのものを指しているのに対して、ASPはサービス事業者を指す
事がある。
Q7.クラウドサービスは24時間365日止まらないのか?
A7.サービスにもよるが、基本的には止まらないサービスが多い。
ネットワーク障害やメンテナンス等で、使用できない期間が発生する可能性はある。
Q8.データの流出やハッキングの心配はないのか。
A8.可能性が無いとは言えない。データを預けるクラウドサービス業者のセキュリティ
対策について、事前に調査しておく事が必要。
132
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補足資料
(2) FAQ
Q9.クラウド利用時、データのバックアップは考えなくてもいいのか?
A9.ほとんどの場合はサーバーが仮想化されており、多くは考える必要無いが、
サービスの事前確認は必要。
Q10.クラウドの事業者が倒産することはあるか?
A10.倒産する可能性はある。長期利用の場合は考慮が必要。
Q11.レスポンスは大丈夫か?
A11.自社だけでなく、利用するネットワークや、クラウド事業者側の環境変化といった、
レスポンスが悪くなる要因が多くある。
レスポンスが重要なシステムをクラウド化する場合は特に、クラウド事業者と導入
前に検討が必要。
Q12.クラウドサービスの料金体系はどのように設定されているか?
A12.初期導入費用と、月々の費用が必要。
月々の費用については、月額固定や、利用量による課金などの料金体系がある。
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133
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補足資料
(2) FAQ
Q13.クラウド利用の運用におけるメリットは何か?
A13.運用におけるメリット例
・アクセス集中やバッチによるトラフィックの変動に対応可能。
・SaaSやPaaSではパッチ適用などのシステム保守作業が必要ない。
・遠隔地での冗長化により、天災や災害時の事業継続にも利用可能。
メリットの利用例
テスト環境に利用
通常は使用しない待機サーバーを有効に活用
アクセス数に変動の多いアプリケーションに利用
変動要素が複数存在しても、安定した運用を行う事が可能
全従業員が一斉に使用するデータエントリーに利用
時間帯にて使用頻度が異なるアプリケーションも均一に使用可能
締め日のみ大量データを処理する業務に利用
月間、年間での処理変動を平準化
134
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補足資料
(2) FAQ
Q14.クラウドにおけるコストメリットは何か?
A14.ハードウェアやOSの導入、インフラ構築費用が不要な事。
月額費用として支払うため、資産計上しなくて済む事。
オンプレミス
通常オンプレミスは、リプレースが前提となる
。
コスト
サーバーの買い替えが必要。
初年度
3年目
6年目
7年目
時間軸
6年目
7年目
時間軸
サーバーを購入する必要がないため、
スモールスタートが可能。
クラウド
利用に応じて利用料を支払うため、
サーバーを買い換える必要がない。
コスト
初年度
3年目
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135
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補足資料
(2) FAQ
Q15.クラウドにおける調達メリットとは何か?
A15.サーバー立ち上げまでに要する時間を大幅に削減できる事。
オンプレミス
クラウド
サーバ設置
要件定義~実装
テスト
テスト
要件定義~実装
環境準備にかかる時間を大幅に短縮し、
本来の導入業務に注力した上で短期間での導入が可能
136
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補足資料
(2) FAQ
Q16.プライベートクラウドとパブリッククラウドはどう違うか?
A16.現在提供されているクラウドサービスの主な特徴
プライベート
(クローズド)
クラウド
パブリック
(オープン)
クラウド
メリット
デメリット
・セキュリティが確保されている。
・小規模のアプリケーションでは
コストが下がる可能性がある。
・大規模な業務アプリケーション
ではオンプレミスよりもコストが
上がりやすい。
・構築、拡張に数日~数週間の
期間が必要。
・スケールの変更には申請が必要。
・オートスケーリングは不可。
・コスト削減効果が大きい。
・構築スピードが早い。
・数時間単位での
オートスケーリングが可能。
・大規模処理に対して、
瞬間的に拡張することが可能。
提供者
H/Wベンダー
ネットワーク
事業者
SIer
等
・利用量、時間が多い場合は、
コストがかかる事がある。
・レスポンスに関して、
ネットワークに影響される。
・セキュリティに対する懸念がある。
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137
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補足資料
(2) FAQ
Q17.パブリッククラウドに適したシステム、適さないシステムにはどんなものがあるか?
A17. ①適したシステム例
・必要とするITリソース量が予測できないシステム
・必要とするITリソース量の変動が大きいシステム
・利用時間、利用期間が限定されるシステム
・年々、利用者数の増加が予測されるシステム
・一時的に膨大な計算能力が必要なシステム
・開発や保守など、一時的に必要なときだけの利用
・インターネット用のシステム
・自社にフィットしたアプリケーション(SaaS)の利用
②適さないシステム例
・必要とするITリソース量の変動が少なく長期に利用するシステム
・特殊な機器や端末を制御して利用するシステム
・個人情報など、機密性の高いデータを扱うシステム
・高信頼性、高性能が要求されるシステム
138
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補足資料
(3) 米国標準技術研究所(NIST)のクラウドの定義
Cloud computing is a model for enabling convenient, on-demand network access to a shared pool of
configurable computing resources (e.g., networks, servers, storage, applications, and services) that can be
rapidly provisioned and released with minimal management effort or service provider interaction. This cloud
model promotes availability and is composed of five essential characteristics, three service models, and four
deployment models.
by NIST(National Institute of Standards and Technology)
すなわち、クラウドコンピューティングとは、単にインターネットの向こう側
(クラウド=雲)に実行環境(データセンター)があるだけでなく、実行環境において、
利用の状況に応じ、柔軟に弾力的に最適な資源の調整がなされ、そして
これらをお客様は、サービスとして利用できることに特徴がある
5つの特徴
On Demand and Self Services
オンデマンド・サービスである
Resource Pooling
資源がプール化され
場所を意識しない
Broad Network Access
ブロードバンドで
どこからでもアクセスできる
Rapid Elasticity
迅速かつ
柔軟性を有している
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Measured Services
利用料払い
のサービスである
139
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補足資料
(4) 技術紹介
① クラウドコンピューティングを実現する技術的な特徴
スケールアップから、スケールアウトへ
必要な処理能力を獲得するために
複数のコンピュータを1つのコンピュータのように仮想化
高性能・高機能なコンピュータを導入する
(スケールアップ)
↓
コンピュータの性能と価格は比例して伸び
るものではなく、一般に性能の伸びに対し
て価格の上昇はそれ以上の倍率となる。
また、処理能力を向上させるために、ハー
ドウェアの入れ替えが必要となる。
コンピュータの数を増やす
(スケールアウト)
↓
ハイエンドのコンピュータ1式相当の処理
能力を、コモディティ化した廉価なコンピュ
ータを多数用意して確保することで価格を
抑えられる。また、コンピュータの追加で、
処理能力を向上させることができる。
【仮想化】と【分散処理】で、スケールアウトを実現
140
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2014年度
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補足資料
(4) 技術紹介
② クラウドコンピューティングを実現する技術的な特徴
仮想化によるリソース確保の改善
ハードウェアの利用効率を高めるため、また調達時間を短縮するために
複数のコンピュータを1つのコンピュータ上に仮想化
利用効率の向上
↓
1つのコンピュータ上に複数の論理的なコ
ンピュータを用意することで、1つのコンピ
ュータのもつ処理能力を最大限に活用す
る。
調達時間の短縮
↓
既に準備できているコンピュータ上に、論
理的なコンピュータを用意できるようになり
、ハードウェアの調達や設定にかかる時間
がなくなり、必要な時に短期間で準備しや
すくなる。
【仮想化】で、リソース確保の問題改善を実現
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141
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補足資料
(4) 技術紹介
③ クラウドコンピューティングを実現する技術的な特徴
分散処理によるリソース利用効率の改善
CPUの利用効率を高めるために
ボトルネックを分散処理
I/Oボトルネックを排除し、CPUを使い切る
↓
コンピュータの処理能力は向上を続けてきているが、飛躍
的に伸びてきたCPUの処理能力に対して、ストレージシス
テムのI/O性能はあまり伸びていない。このため、多くの処
理ではストレージシステムへのI/O性能がボトルネックとな
り、CPUが使い切れていないのが現状である。一般的なリ
レーショナルデータベース(RDBMS)等が該当する。これ
に対し分散処理を利用する場合、複数並行して読み書き
することになり、I/O性能がボトルネックとならず、読み書き
の高速化が実現できるだけでなく、CPU性能を使い切るこ
とも可能となる。結果的にシステム全体の性能を向上させ
ることが可能となる。
【分散処理】で、リソース利用効率改善を実現
142
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
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補足資料
(4) 技術紹介
④ クラウドは、仮想化技術を使って資源を共有化し、複数のユーザで
利用することによりコストメリットを引き出しサービス化している。
卸研 研究委員会
143
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
補足資料
(4) 技術紹介
⑤ 製品・サービスを実現するためのパーツとなる基盤製品の例
技術要素
実現内容
適用先
基盤製品例
分散処理
大容量データを多数のサーバーに分散し、並
列処理させることで高速なデータ処理を実現
ビッグデータ分析
Apache Hadoop
基幹バッチ処理の処理
時間短縮
Asakusa Framework
物理的なコンピューター
の集約によるリソース有
効活用
コンピューター調達所要
時間の削減
VMware
仮想化
コンピュータを仮想化し、一台の物理的なコン
ピュータ上で複数の仮想的なコンピュータを稼
働させ、それぞれにOSを動作させることができ
る。
Hadoop上で大規模な基幹バッ
チ処理を行うためのフレーム
ワーク
Kernel-based Virtual
Machine (KVM)
Microsoft Hyper-V
Oracle VM VirtualBox
144
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
Dグループ活動報告
情報システムのコスト削減(と人材育成)
卸研 研究委員会
145
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
 目次
1.はじめに
1-1.研究テーマ選定理由
1-2.アンケート調査
2.情報システム部門の役割
2-1.情報システム部門の業務範囲
2-2.業務別人員配置の状況
3.業務別注力分野の動向
3-1.業務別注力・非注力分野
3-2.アウトソーシングの現状
3-3.非注力分野における更なるアウトソーシング化
3-4.コスト削減の可能性
4.注力分野における教育実態
4-1.情報システム部門のスキル
4-2.情報システム部門の社員に必要なスキル・能力
4-3.自社の情報システム部門の社員に不足していると思われるスキル・能力
4-4.不足スキル習得の教育方針
5.情報システム部門の今後のあり方
5-1.情報システム部門の実態と理想像
6.まとめ
146
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2014年度
情報志向型卸売業研究会
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1.はじめに
1-1.研究テーマ選定理由
近年の流通業界を取り巻く環境が厳しさが増し、IT部門に対するコスト削減を
求める声が大きくなっていることから、昨年は『情報システム部のコスト削減』の
テーマで研究を行いました。
ハードウェアやソフトウェア等、主にモノに関するコストについては、多くの企業の
IT部門で、コスト削減の取り組みを行っていることがわかりました。
一方で、昨今の情報システムを取り巻く環境の変化によって、役割の変化や
期待値が変わっていると感じています。しかし、現状では目の前の対応に従事
しており、期待値や将来を見据えた人材育成が上手に出来ておらず、新技術
への取組みやノウハウ継承といった課題も感じています。
上記のことからDグループは、昨年からの継続テーマである『情報システムのコスト
削減』に、「人材育成」を加え、『情報システム部のコスト削減(と人材育成)』をテーマ
として研究を行いました。
卸研 研究委員会
147
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
1.はじめに
1-2.アンケート調査
注力分野(業務・システム)、人員配置、求める能力や人材教育について、各社での
状況や考え等をアンケート調査を実施し、コスト削減の可能性や今後の人材育成に
ついて検討を行いました。
アンケート対象企業一覧(全20社)、順不同)
企業名
旭食品
加藤産業
種清
マルイチ産商
伊藤忠食品
カナカン
トーカン
三井食品
大木
国分
日本アクセス
三菱食品
貝印
外林
日本酒類販売
ヤマエ久野
花王カスタマー
マーケティング
タツミ産業
ピップ
山星屋
今回のアンケート調査にご協力いただきました会員企業の皆様には、この場を
お借りして心より御礼申し上げます。
148
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2.情報システム部門の役割
2-1.情報システム部門の業務範囲
業
多
少
多
務
①企画立案
②設計
③開発・変更
④マスターメンテナンス
⑤データ登録
⑥オペレーション
⑦ヘルプデスク
⑧インフラ
⑨庶務
⑩その他
担当範囲とした企業の割合
2013年度
2014年度
95.5%
94.7%
95.5%
100.0%
86.4%
89.5%
63.6%
68.4%
27.3%
31.6%
68.2%
63.2%
100.0%
94.7%
100.0%
89.5%
77.3%
78.9%
63.6%
63.2%
昨年度と同じような傾向であった。
●(システムの)「企画立案」・「設計」・「開発」・「インフラ」等、情報システム部門
固有の業務を担当範囲とした企業の割合が多い。
●「マスターメンテナンス」(商品・得意先・ユーザマスタ等のメンテナンス)は、少
し割合が少なくなり、メンテナンス内容により担当を分担していると考えられる。
●「データ登録」は、多くの企業において、現場部門(システムの利用部門)で実
施されていると考えられる。
卸研 研究委員会
149
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2.情報システム部門の役割
2-1.情報システム部門の業務範囲
業
多
少
多
務
①企画立案
②設計
③開発・変更
④マスターメンテナンス
⑤データ登録
⑥オペレーション
⑦ヘルプデスク
⑧インフラ
⑨庶務
⑩その他
担当範囲とした企業の割合
2013年度
2014年度
95.5%
94.7%
95.5%
100.0%
86.4%
89.5%
63.6%
68.4%
27.3%
31.6%
68.2%
63.2%
100.0%
94.7%
100.0%
89.5%
77.3%
78.9%
63.6%
63.2%
昨年度と同じような傾向であった。
●「オペレーション」は、企業により結果が分かれたが、担当していない企業の
場合、自社内他部門ではなく、社外へのアウトソーシングが多いようである。
●「ヘルプデスク」は、他部門では対応が難しい為か、ほとんどの企業で情報シ
ステム部門の担当業務となっており、社外へのアウトソーシングも少ないよう
である。
150
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2.情報システム部門の役割
2-2.業務別人員配置の状況(昨年比較)
業
務
①企画立案
②設計
③開発・変更
④マスターメンテナンス
⑤データ登録
⑥オペレーション
⑦ヘルプデスク
⑧インフラ
⑨庶務
⑩その他
合 計 人 数
人員構成比
2013年度
2014年度
7.1%
7.5%
56.6%
46.8%
11.0%
19.9%
10.4%
8.3%
3.1%
3.5%
1,189名
6.5%
8.1%
3.4%
7.8%
1,186名
デコボコはあるものの、全体では、昨年度同様に「設計」「開発・変更」に多くの
人員を投入していることが見て取れる構成である。
卸研 研究委員会
151
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2.情報システム部門の役割
2-2.業務別人員配置の状況
人員構成比(社員) 人員構成比(社外)
業
務
①企画立案
②設計
③開発・変更
④マスターメンテナンス
⑤データ登録
⑥オペレーション
⑦ヘルプデスク
⑧インフラ
⑨庶務
⑩その他
合 計 人 数
社外人員比率
2013年度 2014年度 2013年度 2014年度 2013年度 2014年度
7.1%
12.1%
2.1%
0.0%
9.6%
0.0%
少
56.6%
38.6%
58.7%
60.3%
33.2%
48.5%
多
11.0%
17.0%
21.9%
24.8%
65.6%
46.7%
10.4%
8.3%
3.1%
3.5%
806名
7.6%
9.9%
4.3%
10.4%
740名
11.5%
3.7%
1.6%
0.5%
383名
4.5%
5.2%
1.9%
3.4%
446名
36.4%
14.0%
16.2%
4.7%
32.2%
26.1%
23.8%
21.0%
16.3%
37.6%
昨年度の確認結果から増減はあるものの、自社の業務に精通している必要が
あると考えられる「企画立案」は社外人員比率が少なく(今年度の結果では0%)、
「設計」「開発・変更」、「マスターメンテナンス」「データ登録」「オペレーション」の
社外人員比率は高めとなっている。
全体では3~4割の業務を社外人員で賄っている。
152
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
3.業務別注力分野の動向
3-1.業務別注力・非注力分野
≪ システムの定義 ≫
 A.基幹システム
≪ プロセスの定義 ≫
 ①企画立案
企業がビジネスを遂行するために不可欠な
主要業務を処理するために用いられているシステム
 B.会計システム
 ②設計
財務会計システム、管理会計システム
システムの目的や仕様を決める工程
 C.物流センターシステム
 ③開発・変更
自社の倉庫や物流拠点などの在庫やその出入りを
管理するシステム
 D.専用センターシステム
 E.人事関連
 G.通信
VANなどで行う企業間取引のための通信
 ④マスターメンテナンス
 ⑤データ登録
システム運用のためのデータ登録
 ⑥オペレーション
人事、給与、福利厚生を管理するシステム
専用線やVPNなどの企業ネットワーク網
自社システムのソフトウエア開発
システム利用するためのマスタ登録・変更
得意先専用センターシステム
DC・TCセンターなど一括受託したセンターのシステム
 F.ネットワーク
経営戦略との整合性、課題解決の実現、費用対効果、
などの総合的視点からのシステム提案
ハードやミドルウエアなどの保守
 ⑦ヘルプデスク
システムの利用における問合せや障害対応
 ⑧インフラ
ITインフラの運用・管理
卸研 研究委員会
153
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
3.業務別注力分野の動向
3-1.業務別注力・非注力分野
A.基幹
B.会計
C.物流
D.専用
センタ
E.人事
F.NW
G.通信
合計
①企画立案
77
9
30
7
4
17
9
153
②設計
45
6
22
13
0
7
4
97
③開発・変更
27
0
6
1
0
0
0
34
④マスターメンテナンス
4
0
0
0
0
0
0
4
⑤データ登録
0
0
0
0
0
0
0
0
⑥オペレーション
1
0
0
0
0
0
0
1
⑦ヘルプデスク
5
0
4
0
0
0
0
9
⑧インフラ
5
0
0
0
0
7
4
16
164
15
62
21
4
31
17
システム
プロセス
合計
情報システム部門の社員にて注力したい業務について、各社毎の優先順位をアンケートし、
順位毎に点数※をつけ集計した。( 1位~5位まで)
※1位:5点、2位:4点、3位:3点、4位:2点、5位:1点
● プロセス別でみると、企画立案、設計を注力分野としており、 ④~⑧が非注力分
野となっている
● システム別でみると、基幹システムと物流システムが注力分野。人事システムが
非注力分野となった。
154
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
3.業務別注力分野の動向
3-1.業務別注力・非注力分野
企画、設計、開発に注力したい主な理由(アンケートのコメントより抜粋)
プロセス
理 由
企画立案
・業務効率化、営業戦略に関するIT戦略の企画立案能力を高め、会社業績の貢献できるIT戦略を実現したい
・経営に貢献できる戦略的な部門への変革のため
・経営からの要望にこたえる力、次世代に繋げるどのようなシステムを構築するか企画する力がないと存在理由を失う
・全社員が使用するものであり、現行の課題など業務視点、システム視点での提案が必要なため
・基幹システムに連携して営業支援となるものを提案したい
・新技術対応やコスト削減の要として活動を推進したい
・ベンダー活用時の自社の主導性向上のため
・現行システム開発に携わったメンバーが異動等で少なくなっているため、また次期システムへの移行が近いため
・他部門のシステムでも基幹システムとの連携が必須となり、業務視点での企画立案できるようにする必要がある
設計
・経営層、現場のニーズを的確にシステムに反映できるようにするため
・開発能力UP、社内システムの把握ができれば、他の部署との打合せを任せることができる
・ベンダー開発システムのメンテナンスも自社対応を推進するために、導入システムを理解し変更等の設計力を伸ばしたい
・社内に基幹システムの内部ロジックに対する知識とその改修ノウハウを蓄積したい
・コストダウンや業務の効率化につながる仕組みを構築したいため、基幹システムを設計できる部員の育成が必要なため
・IT戦略に向けての、設計を即座に効率的に実施できる人材を育成したい
・基幹システムの設計できる後継者の育成
・取引先からのリードタイムの短い要請や社会的ニーズに迅速に対応するため
開発・変更
・システム開発要員の開発力に差があるため、全員が同等レベルの開発力にレベルアップすることで、
仕事の割り振りが可能となる
・内製の開発体制強化し、外注コスト削減と、戦略的なIT対応に即応できる開発体制を構築したい
・プログラム製造を除き、自社対応を推進したい
・社内に基幹システムの内部ロジックに対する知識とその改修ノウハウを蓄積したい
・基幹に手を入れるまでもない外付け機能に関しては、内製の必要があるため
・現在外注しているもの(特にオープン系)を内製出来るようにしてコストを抑えたい
卸研 研究委員会
155
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
3.業務別注力分野の動向
3-2.アウトソーシングの現状
A.基幹
B.会計
C.物流
D.専用
センタ
E.人事
F.NW
G.通信
合計
①企画立案
0
1
0
0
2
2
0
5
②設計
4
4
3
3
3
6
1
24
③開発・変更
12
6
8
7
4
5
2
44
④マスターメンテナンス
2
1
1
0
2
2
3
11
⑤データ登録
1
1
0
0
2
3
2
9
⑥オペレーション
8
3
5
0
2
5
3
26
⑦ヘルプデスク
3
1
0
0
2
4
2
12
⑧インフラ
5
4
3
3
2
5
2
24
35
21
20
13
19
32
15
システム
プロセス
合計
現在アウトソーシングしているものについてアンケートした。
● プロセス別でみると、『開発・変更』のアウトソースが特に多く、注力分野から
も分かるように、上流工程は社員が行い、開発はアウトソーシングしている
傾向が分かる。
● システム別のアウトソースについては、『基幹システム』と『NW』が多い。
● 『企画立案』『データ登録』にかかわる領域のアウトソースは少ない。
156
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
3.業務別注力分野の動向
3-3.非注力分野における更なるアウトソーシング化
A.基幹
B.会計
C.物流
D.専用
センタ
E.人事
F.NW
G.通信
合計
①企画立案
0
0
0
0
0
0
0
0
②設計
5
0
5
5
0
0
0
15
③開発・変更
27
4
12
5
0
0
5
53
④マスターメンテナンス
4
0
0
0
0
0
5
9
⑤データ登録
3
0
0
0
0
0
5
8
⑥オペレーション
17
1
15
8
2
0
14
57
⑦ヘルプデスク
10
2
5
4
0
5
5
31
⑧インフラ
6
0
3
0
0
4
3
16
72
7
40
22
2
9
37
システム
プロセス
合計
今後アウトソースしたいものについてアンケートした。
● 現在アウトソーシングしているもので、上位であった『開発・変更』『オペレーショ
ン』が依然多く、まだまだアウトソーシングが可能と考えられているようだ。
● ネットワークについては、アウトソーシングが進んでおり、今後のアウトソーシン
グとしては低い値となった。
卸研 研究委員会
157
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
3.業務別注力分野の動向
3-3.非注力分野における更なるアウトソーシング化
アウトソースしている、していきたい主な理由(アンケートのコメントより抜粋)
順位
システム/プロセス
1
理由
A.基幹/③開発・変更
・社員の負担を軽減し、企画・立案の業務にシフトするため
・企画・立案・設計は自社でしたい
A.基幹/⑥オペレーション
・オペレーション・監視だけではなく、障害対応をある程度できるレベルに上げられるアウトソースにしたい
・コア業務以外の集約化・アウトソーシング化し、効率化したい
C.物流/⑥オペレーション
・オペレーション・監視だけではなく、障害対応をある程度できるレベルに上げられるアウトソースにしたい
・障害対応も含めてオペレーション業務をアウトソースしたい(が難しい)
G.通信/⑥オペレーション
・通信機器のコストや通信に関する作業工数を削減したい
・EDI、ネットワークに類するものはアウトソースしたい
・ASPサービスを利用している(したい)
C.物流/③開発・変更
・社員数が少ないので、負担を軽減したい
・企画・立案・設計は自社でしたい
2
3
4
5
オペレーション業務や通信については、24時間・365日対応する必要があるた
め、なるべくアウトソースしたいとのコメントが多い。
ただし専門知識や判断が必要であるため、完全には出せないのが実情である。
158
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
3.業務別注力分野の動向
3-4.コスト削減の可能性
コスト削減については、すでに各社で様々な対応を行っており、自社だけでの削減に
は限界があります。
そこで、各社の注力非注力分野やアウトソーシングの動向から、下記の観点で
更なるコスト削減の可能性について検討してきました。
 非注力・非競争分野の共同利用によるコスト削減
 アウトソーシングによるコスト削減
アンケートの結果より、非注力分野やアウトソーシングの動向は、ある程度把握でき
ましたが、アンケートの質問が曖昧であった事や、システムやプロセスの定義が各社
で異なっていた事により、共同利用できる分野の絞り込みが出来ませんでした。
また、アウトソーシングによる効果やコストの算出、比較が非常に困難である事から、
今回の研究ではコスト削減の可能性を見出すまでには至りませんでした。
卸研 研究委員会
159
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.注力分野における教育実態
4-1.情報システム部門のスキル
3章までを見てもわかるように、情報システム部門の社員の役割が、
企画や設計など、上流工程へ集中してきている。
4章以降では、今後の情報システム部門の社員に求められるスキルと、
その教育の実態について纏めてみました。
情報システム部門のスキルを4カテゴリに分類
#
カテゴリ名称
ビジネススキル
A
ヒューマンスキル
B
ITスキル
C
プロジェクトマネジメントスキル
D
E
定 義
・業界知識
・業務知識
・会計・法務等の知識
・新業務/システム企画力
・コミュニケーション力(ヒアリング力、プレゼン力、交渉力等の総合力)
・論理的思考力
・問題解決力
・IT戦略/動向の知識
・IT専門知識(アプリケーション、M/W、H/W、N/W等)
・システム開発力
・プロジェクト統合管理
・プロジェクト計画力
・プロジェクト推進力
・品質、予算、リスク管理
その他
160
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.注力分野における教育実態
4-2.情報システム部門の社員に必要なスキル・能力
#
5
カテゴリ名称
10
A ビジネススキル
17
B ヒューマンスキル
9
C ITスキル
15
D プロジェクトマネジメントスキル
E その他
15
6
2
アンケート結果を、4-1で定義したスキルに当て嵌めた時、
『ビジネススキル』『ITスキル』を必要としている事が見て取れる。
●ビジネススキルの多くの意見として、経営課題の解決や、現場業務の効率化など
改善に向けた企画・提案力が求められており、現場業務に精通した人材が必要
とされている。
●ITスキルでは、新技術への対応や設計力など、上流工程のニーズが高い。
アウトソーシングの増加とともに、自社の人材力の低下を招き、
ベンダーの言いなりになるのではとの懸念がある。
卸研 研究委員会
161
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4.注力分野における教育実態
4-3.自社の情報システム部門の社員に不足していると思われるスキル・能力
#
5
カテゴリ名称
10
ビジネススキル
15
17
A
15
ヒューマンスキル
9
B
9
ITスキル
15
C
14
プロジェクトマネジメントスキル
6
D
5
その他
E
情報システム部員に必要なスキル
2
自社の社員に不足しているスキル
1
必要なスキルに対して、不足しているスキルが、ほぼイコールとなった。
多くのシステム部門が、既存システムの運用や管理が主となっており、企画や
イノベーション創出といった、情報システム部門に求められている役割に、
変化・対応できていない事が分かる。
162
卸研 研究委員会
4.注力分野における教育実態
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
4-4.不足スキル習得の教育方針
不足部分への教育方針としては、大多数が下記回答となった。
 社外研修(教育講座、セミナー、eラーニング)
 社内研修(勉強会、情報共有)
 OJT
 自己啓発
これらは、ITスキルやヒューマンスキルの向上には、一定の効果が出るが、
もっとも必要とされている、ビジネススキル(現場業務の理解)には効果が
期待できない。
一部の会社では、現場の業務担当者と情報システム部員の、人事ローテーションを
検討、実施しているが、大多数は解決策を見いだせていないように見える。
卸研 研究委員会
163
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
5.情報システム部の今後のあり方
5-1.情報システム部門の実態と理想像
③将来像
①現状
・企画できていない
・現場業務がわからない
・変化についていけない
⑤解決策
・企画提案が主業務
・現場業務に精通した情報
システム部門
・変化に迅速に対応
・人材育成・調達
・現場との深いコミュニケーション
・戦略的なアウトソーシング
②課題
④期待効果
・人手不足
・ノウハウが継承されない
・現場を知る機会が少ない
・業務効率化や改善につながる
企画・提案が数多く出てくる
・コスト削減
・情報システム部の地位向上
・利益UP
164
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
6.まとめ
 アンケートの結果から、各社が『企画立案』に注力している・注力したい事が分かった。
 情報システム部門の役割が、『要求に対応する部署』から『自主的に効率化を進める部署』に、
さらには『よりよいソリューションを提案する部署』へと変化が求められている。
 しかし現実は、『現場業務に精通した人材』『企画提案できる人材』が不足しており、
現状業務の継続で手一杯である。
 開発変更のアウトソーシングが増加しているのは、情報システム部員を企画業務にシフトさせよう
(時間を空けよう)とする表れの一つかもしれない。
 アンケートに盛り込む事が出来ず、これはあくまでも推測ではあるが、意見として多かった
『現場業務に精通した人材』が不足している背景は、十数年前に基幹システムの構築が完了し、
その後大きな改修がなく言わば“お守”をしてきた状態が続いる。
基幹システム構築以降にシステム部門に配属になった社員は、全ての業務システムに触れる
機会が減り、現場に足を入れる事も減ってきているからではないか。
『卸売業界を取り巻く環境の変化』、『情報システム部門に求められる事の変化』、
『ITの急速な変化(進歩)』、『システムの老朽化による次期システムへの変化(移行)』 など
様々な変化に直面している
変化に対応出来ていない事が情報システム部門の大きな課題であり、早急に環境を整える必要
がある
・変化に適応するための人材の育成、調達
・情報システム部門の組織改革
・現場と深くコミュニケーションが図れる仕組みの構築
卸研 研究委員会
165
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
Eグループ活動報告
「卸物流システムの新技術」
卸研 研究委員会
166
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
目次
1.はじめに
1-1.研究テーマ選定理由
1-2.検討の方向性・目的
1-3.検討の経過
2.卸物流機能の現状と課題・方向性 -アンケート結果より-
2-1.発注業務
2-2.入荷業務
2-3.格納業務
2-4.在庫管理業務
2-5.出荷・検品業務
2-6.積込業務
2-7.配送業務
3.まとめ
卸研 研究委員会
167
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
1.はじめに
1ー1.研究テーマ選定理由
卸売業は中間流通業として、多くのメーカー・仕入先から商品を仕入れ、
小売業に対して商品供給を行っております。卸売業のロジスティクスに
おいては多品種/高頻度/少量出荷/日付管理対応が重要なポイント
となり、その物流品質を保つためには、有効な卸物流システムの活用が
必須となっております。
そこでEグループでは、昨今発表された新技術を適用することにより、
卸物流システムをより有効に活用できないか、検討することとしました。
卸研 研究委員会
168
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
1.はじめに
1-2.検討の方向性・目的
1.卸売業の現状の物流機能の洗い出し(各社の現状把握)
2.現状の物流機能の課題項目の抽出
3.課題項目に対応できる新技術の方向性の提示
1-3.検討の経過
1. 方向性の検討
2. 新技術検討の為の現状把握・アンケート項目の検討
3. Eグループ各社の物流機能の洗い出し、アンケート作成
4. 会員メンバーへの物流機能のアンケート依頼
賛助会員への新技術・新しいソリューションの提案依頼
5. Eグループ各社アンケート結果の確認
6. 研究会全体アンケート結果の確認・新技術の方向性検討
卸研 研究委員会
169
2.卸物流機能の現状と課題・方向性
-アンケート結果より-
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2-1.発注業務
2-2.入荷業務
2-3.格納業務
2-4.在庫管理業務
2-5.出荷・検品業務
2-6.積込業務
2-7.配送業務
170
卸研 研究委員会
2-1.発注業務
- アンケート結果より -
1.発注量を決定する為に、需要予測を行っていますか
<食品>
いいえ
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
(回答19社)
<非食品>
いいえ
2
はい
いいえ
12
2
はい
3
はい
1-①.何の情報を元に予測をたてていますか
いいえ
はい
(回答17社)
・出荷実績による需要予測
→ 期間: 1週間(2社)/2週間(4社)/3週間(1社)/4週間(3社)/5週間(2社)
8週間(2社)/12週間(2社)/52週間(1社)
・出荷実績+曜日波動による需要予測 (2社)
・販売計画(特売情報)や受注情報をもとにした事前発注
卸研 研究委員会
171
2-1.発注業務
- アンケート結果より -
1-②.どんな情報があれば理想の予測に近づくとお考えですか
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
(回答18社)
<直接影響する情報>
・顧客の販売実績(POSデータ)の取得
・顧客の販売予定計画の取得
・顧客の商品改廃情報(新規アイテム、カットアイテム)
<間接的に影響する情報>
・天気/気温情報
・地域の祭事/イベント情報
2.運用上の課題はありますか?
(回答17社)
・電話/FAXによる発注が残っている
・システム導入による発注業務の自動化を行っているが、自動発注率が向上しない
(発注担当者が数値を信頼していない/定番と特売の取り扱いが明確でない/
システム設定値の不備)
・顧客からの受注がメーカー発注ロットに満たない場合の商品手配 (ロット調整)
・新規商品/季節商品の発注負荷が大きい
・需要予測に合わないカテゴリーの商品がある (例:冷凍食品…特売受注が大半)
・正確な特売受注情報が取得できない (定番/特売の振り分け)
・発注担当者と物流担当および営業担当の連携が少ない (コミュニケーション不足)
卸研 研究委員会
2-1.発注業務
172
- アンケート結果より -
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
3.最近導入した新しい取り組み・効果・効率上がった物がありますか (回答19社)
<食品>
4
<非食品>
はい
いいえ
いいえ
<導入事例>
・発注勧告システムの導入
(3社)
・WEBによる発注システムへ切替 (1社)
卸研 研究委員会
173
2-1.発注業務 課題と方向性(活用事例・新技術)
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
<課題>
・得意先情報の不足 (特売/催事情報、改廃情報など)
・発注担当者と物流担当および営業担当のコミュニケーション不足
・発注担当者の経験・勘による発注 (自動発注システムの未活用)
・メーカーロットに満たない商品の対応 (少量発注不可、運賃負担の発生)
・新製品/季節品の発注業務負荷が大きい
・天気/気温情報の収集と活用
・地域の祭事/イベント情報の収集と活用
卸研 研究委員会
2-1.発注業務 課題と方向性(活用事例・新技術)
174
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
<方向性>
・各種情報をリアルタイムに収集する
・収集した情報をシステムで有効活用する
<活用事例・新技術>
・アンケートを実施した卸売業は発注システムを導入しているが、すべての課題を
解決できるような活用事例は見つけ出すことはできなかった
・また、課題を満たす新技術についても現段階では見つけ出せなかった
卸研 研究委員会
175
2-2.入荷業務
- アンケート結果より -
1.入荷検品時に機械(ハンディ等)で検品を行っていますか
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
(回答19社)
<非食品>
<食品>
いいえ
はい
はい
<使用機械>
・HHT(ハンディターミナル) (16社)
・入荷検品機(カート)
(1社)
・固定式スキャナ
(1社)
176
卸研 研究委員会
2-2.入荷業務
- アンケート結果より -
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
リスト
2.どのような手順で検品を行っていますか
(回答19社)
HHT
① HHTによる検品 (18社)
入荷⇒ 商品スキャン⇒ 発注番号の確認⇒ 賞味期限入力⇒ 数量検品(入力)⇒ 格納ラベル発行(貼付)⇒ 搬送⇒ 格納
入庫予定検索画面を用意している。入庫条件マスタにより、曜日別入庫予定時間順に検索でき、メーカーの入庫予定時間を把握し
受付準備を行う。メーカー納品車輌単位(路線便等の混載車輌も含む)での処理による」入庫検品予定・入庫検品シール
号車札の発行、入庫バース(着庫番口)の割り当て変更、号車単位入庫予定データのハンディへのデータダウンロードを行う
② リストによる目視検品 (1社)
伝票・入荷指示書による目視検品後、納入ドライバー様に1アイテム1枚のシールを貼って頂く
シールに出力されている什器へ荷卸後、一時仮置場まで商品を移動して頂く
卸研 研究委員会
177
2-2.入荷業務
- アンケート結果より -
3.日付チェックを実施の場合、日付情報をどのように利用していますか
① 入荷~在庫管理で利用 (12社)
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
(回答16社)
入荷~出荷
・入荷検品時の日付情報を基に、在庫データを世代化し
出荷データを引き当てている
・出荷期限切れ(1/3もしくは各社基準)については
警告リストにより在庫から除外する
入荷~在庫
② 入荷~在庫管理~出荷で利用 (4社)
・入荷時の日付情報を出荷まで利用している
(例1) 格納⇒在庫管理⇒出荷にて運用している
(例2) 出荷、積込、納品
(例3) 入力した製造年月日または賞味期限を出庫時のチェックに使用している
(例4) 入荷期限との照合・出荷期限との照合
178
卸研 研究委員会
2-2.入荷業務
- アンケート結果より -
4.運用上の課題はありますか
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
(回答16社 ※複数回答含む)
・出荷時に日付のチェックを行っていない為、理論値通りの日付の商品が出荷されているか不明
・入荷商品の賞味期限(製造年月日)の入力が手入力の為、煩雑であり入力間違いが発生している
・仕入先様から日付データを頂けないので、手書き記入及び手入力が発生している
また、上記の運用の為、入荷賞味期限オーバー商品の処理が入庫後になってしまう
・日付入力のシステム化(バーコード化・ASN等)
日付入力間違いが発生した場合、発見する事が困難。現状の入荷検品は熟練者をあてている
・日付をチェックする際の、商品日付の位置・大きさ
・ソースマーキングが進めば、システム並びに業務処理を変更し入荷業務の効率は上がる
・入庫業務を行うにあたり、メーカー納品書と自社が発行している入庫検品伝票の帳票イメージや
表現方法が大きく異なる場合は照合に手間が掛かるので、可能な限り同一の表示になるように
調整する必要がある
・路線便(メーカー混載)の入荷業務。1商品日付混在入荷の際の日付チェック
メーカーと協議の上、計画入庫が出来るような路線便の取り決めの協議が必要
・システム的な鮮度チェックが徹底できず、目視での鮮度チェックを定期的に行う必要がある
・入荷量(物流波動)に対する人員配置
卸研 研究委員会
179
2-2.入荷業務
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
- アンケート結果より -
5.最近導入した新しい取り組み・効果・効率上がった物がありますか
(回答19社)
<非食品>
<食品>
0
はい
はい
いいえ
いいえ
5
いいえ
<導入事例>
・音声システムの導入
(1社)
・入荷HHTシステム
(1社)
・入荷検品システム(パッケージソフト)
(1社)
※現行システム老朽化に伴う対応
180
卸研 研究委員会
2-2.入荷業務 課題と方向性(活用事例・新技術)
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
<課題>
・商品の賞味期限(製造年月日)の入力が手入力の為煩雑であり、入力間違いが発生している
・仕入先様から日付データが受信できない
・ソースマーキングの進展が遅れている (標準化・日付位置・大きさ)
・仕入先帳票(送り状)の表示方法の統一化がされていない
(オーダーNO・単位・伝票行表示順位 等)
<方向性>
・仕入先様からの入荷予定データの取得(日付データ含む)
・仕入先様によるソースマーキング、送り状の統一
<活用事例・新技術>
・文字認識対応ハンディターミナルの導入
※ソースマーキングの統一及び仕入先帳票の統一については今後、卸・メーカーとの調整が必要
卸研 研究委員会
181
2-3.格納業務
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
- アンケート結果より -
1.格納時に機械(ハンディー等)を使用してチェックをしていますか
(回答19社)
<非食品>
<食品>
いいえ
いいえ
1
5
9
はい
はい
いいえ
いいえ
はい
はい
4
【はい】
・入荷時に出力された格納ラベルと、格納棚ラベルをSCAN
・Aランク商品のみ棚ラベルをSCANして格納
・格納先ロケーションが不明な場合、ロケーション検索を行うためにハンディを使用
【いいえ】
・入荷検品時に発行された格納ラベルを基に格納
・入荷待ち一覧表の棚番で格納
182
卸研 研究委員会
2-3.格納業務
- アンケート結果より -
2.ピック棚からあふれた商品の管理方法はどのように行っていますか
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
(回答16社)
<格納棚からあふれた商品の管理方法>
1
横に置く
1
①リザーブ棚管理(手書き帳票管理)
2
②格納棚の横や上に置く
③リザーブ棚と通常棚を分けて在庫管理
12
④リザーブ棚管理(リザーブ棚をハンディへ入力)
リザーブ棚管理(手書き)
・ リザーブ棚にて管理(××に格納)と手書きした帳票を貼付 (12社)
・ 棚の上や、横に置く。わかり難ければ手書きした帳票を貼付 (2社)
・ リザーブ棚へ格納し、通常格納棚とは分けて在庫管理
(1社)
・ リザーブ棚に管理し、リザーブ棚番をハンディへ入力
(1社)
多くの企業があふれた在庫の管理をシステム管理しておらず、
現場の運用で管理している
卸研 研究委員会
183
2-3.格納業務
- アンケート結果より -
3.格納時運用上の課題はありますか
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
(回答14社)
①リザーブ棚管理 (8社)
・繁忙期の棚管理
・通常ロケ以外で格納した商品を忘れてしまう
・全拠点を対象にリザーブ棚管理をしたい。仕組みの統一
・リザーブ棚に保管が多ければ多いほど、先入れ、先出しの管理業務に時間がかかる
・スペースには限りがあるので、その処分、保管運用に課題がある
・(ピック棚溢れ時対応)の格納時の記入漏れ、出荷時・補充時の消し忘れ
・格納後、ピック棚の中で日付の逆転が起こる可能性がある
・リザーブ棚へ溢れた在庫の置き場が複数個所に分かれた場合に、日付の管理が難しい
・リザーブ棚在庫自体の置き場の管理が運用上できておらずシステム化もできていない
②システム上の制約による課題 (2社)
・実際の格納タイミングと在庫計上タイミングが異なる事があるため、出荷時の商品探しが
発生する事がある
・事前にロケーションコードのマスタ登録が必要な仕組みである。マスタメンテが遅延する
と仮ロケーション使用となる
184
卸研 研究委員会
2-3.格納業務
- アンケート結果より -
4.最近導入した新しい取り組み・効果・効率上がった物がありますか
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
(回答19社)
<非食品>
<食品>
はい
いいえ
いいえ
<導入事例>
・入荷検品システム(パッケージソフト) (1社)
※現行システム老朽化に伴う対応
卸研 研究委員会
185
2-3.格納業務 課題と方向性(活用事例・新技術)
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
<課題>
・格納作業をシステム化していないことにより、現場での在庫管理が煩雑になっている
⇒リザーブ棚との先入先出間違えが発生する恐れがある
⇒リザーブ棚で管理している商品の探索ができない
・賞味期限毎にロケーションを分けることによる、保管スペースの増大
卸研 研究委員会
2-3.格納業務 課題と方向性(活用事例・新技術)
186
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
<方向性>
・格納業務(リザーブ棚含む)を正確、かつ効率的に行えるシステムを導入することが必要
<活用事例・新技術>
・ハンディ端末導入による格納システム
・音声認識システム導入による格納システム
卸研 研究委員会
187
2-4.在庫業務
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
- アンケート結果より -
1.最近導入した新しい取り組み・効果・効率上がった物がありますか
<食品>
3
(回答21社)
<非食品>
はい
いいえ
いいえ
<導入事例>
・廃棄対象・廃棄予定商品の管理帳票を作成し、賞味期限切れ・切れ予定の
商品の管理を強化した (1社)
・特定得意先向けの在庫管理を強化 (1社)
・特定業態向けの倉庫システムをオープン環境に移行しコストを削減 (1社)
188
卸研 研究委員会
2-4.在庫業務
- アンケート結果より -
2.鮮度日別もしくはロット管理を行っていますか
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
(回答21社)
<食品>
<非食品>
いいえ
はい
2
いいえ
14
はい
特に食品では、商品日付・ロット管理を行うことが重視されている
卸研 研究委員会
189
2-4.在庫業務
- アンケート結果より -
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
3.営業支援としてWeb等で出先から拠点在庫が見られる仕組みはありますか
(回答13社)
<食品・非食品>
33
Webで公開
Webで在庫公開している
していない
未対応
10
全体的にニーズはあるが、現実的に「Web」にて参照できる
仕組みを導入している企業は少ない
卸研 研究委員会
2-4.在庫業務
190
- アンケート結果より -
4.運用上の課題はありますか?
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
(回答14社)
①在庫公開に関して
・在庫が出先から確認できない。営業からリアルタイムの在庫が見たいとの要望がある
・セキュリティが不安
②在庫情報の更新タイミングについて
・リアルタイムな在庫が出ない・・・1日数回の更新
・一部倉庫(相手先からデータをもらう一括センター等)のリアルデータが把握できない
・バッチ処理前の在庫のためリアル在庫の把握は不可能
③倉庫内業務(入出荷・棚卸など)について
・不動在庫の発生防止。得意先からの返品管理。出荷先毎に出荷許容が異なる場合に業務が煩雑に
なる
・棚卸業務にて、1品1品在庫を数えるが、カウントミスが起こりうる
・日付管理について、拠点によって運用が統一されていない (仕組みも統一されていない)
・アイテムカットの基準が曖昧な為在庫アイテムが増える傾向にある。また、得意先の要望に答える為
ロットで商品を手配した後の残在庫管理が出来ていない
・倉庫管理側の立場で課題提起すれば、発注仕入在庫管理する側のスタッフが、商品荷姿、パレット
荷姿などの物流上の実荷姿と格納可能な在庫数を安易に算数方式で発注行為を行うことで倉庫側
への運用負担が理解しにくい部分があります。これは商物分離による遠隔在庫管理と物流経験の無
い商品発注管理担当者が増えている傾向が見えます
・入荷時、メーカー様が伝票、入庫予定データに賞味期限日を入れてもらえないので、手入力で日付
入力をしている
・鮮度管理の為、日付入力作業に労力がかかっている。メーカーからデータを提供されるとよい
卸研 研究委員会
191
2-4.在庫業務 課題と方向性(活用事例・新技術)
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
<課題>
・リアルタイムな在庫を確認できないシステムで運用している
・「不稼働在庫」や「得意先要望で仕入れた商品の残在庫」の発生防止・管理が
徹底されていない
・Webなど出先からの在庫照会ができない
卸研 研究委員会
2-4.在庫業務 課題と方向性(活用事例・新技術)
192
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
<方向性>
・リアルタイム在庫の把握
・Web等での在庫情報公開による営業サポート
<活用事例・新技術>
・検討した結果、リアルタイム在庫の把握とWeb在庫情報公開については、
アンケートを実施した卸売業のなかでは実施済み企業と未実施企業とが分かれた
今後は未実施企業含めた卸売業全体への普及がポイントとなる
・課題を満たす新技術については、スマートデバイスから基幹システム(SAPなど)に
連携し、在庫確認・発注を行うシステムが提供され始めており、在庫情報公開の
普及に向けて活用が期待できる
卸研 研究委員会
193
2-5.出荷・検品業務
- アンケート結果より -
1-①.最近導入した取り組みで効果・効率の上がったものはありますか
はい
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
(回答19社)
はい
5
2
いいえ
いいえ
1-②.どのような取り組みですか
(回答7社)
・音声システムによる仕分け、ピッキング作業 (4社)
・重量検品付きカートの利用
(3社)
194
卸研 研究委員会
2-5.出荷・検品業務
- アンケート結果より -
2.どのような出荷手順/検品手順を行っていますか
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
(回答18社)
・リスト、シールによるピッキング⇒HHT・固定スキャナーによる検品
・音声システムにおる商品/得意先/日付チェック
・ピッキングカートによる重量検品
3.出荷時に日付の検品まで行っていますか
(回答19社)
1
5
はい
いいえ
・目視によるチェック
はい
いいえ
(4社)
・ハンディでのチェック (1社)
・音声システムでのチェック(日付の逆転、出荷期限切れチェック) (1社)
卸研 研究委員会
195
2-5.出荷・検品業務
- アンケート結果より -
4.運用上の課題はありますか
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
(回答13社)
・日付の逆転や出荷期限切れが発生する
・先入れ/先出しが正しく行われないと、理論値の在庫と違う日付の商品が出荷
される可能性がある
・外装に商品名が無い場合の、商品知識の覚え込み
・ハンディによる作業は片手がふさがる為、生産性を低下させてしまう
・目視による検品ミス
・出荷許容日数が物流センタ単位の設定になっており、各センタの最も厳しい得
意先の基準に合わせて運用しなければならない
・入数割れ等で残ったバラ端数在庫で、先入れ先出しが崩れる
・庫内作業者の人員不足と人件費単価向上
196
卸研 研究委員会
2-5.出荷・検品業務 課題と方向性(活用事例・新技術)
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
<課題>
・日付の逆転や出荷期限切れの発生、目視による検品ミス (日付チェックの不備)
・日付入力、運用(先入れ先出し)のミスが発生した場合、
日付の逆転、出荷基準を超えた商品が出荷されてしまう可能性がある
・バラ端数在庫の運用管理(先入れ先出し)が困難
・商品外装に品名が書かれていないなど、商品知識が求められる (作業の属人化)
・ハンディによる作業は片手がふさがる為、生産性を低下させてしまう (作業効率)
卸研 研究委員会
197
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
2-5.出荷・検品業務 課題と方向性(活用事例・新技術)
<方向性>
・正確なロケーション管理と日付情報の事前取得を前提のもと
作業者に判断をさせない、作業効率を低下させない仕組みの導入
※日付情報の事前取得については、メーカー・仕入先からの日付データの提供、または
商品外箱への日付バーコードの印字を卸売業として要請していく
<活用事例・新技術>
・音声認識システム
活用を始めた会社も徐々に増えてきた。手がふさがっている、あるいは手袋をしての
作業シーンにおいて作業効率を極力低下させずに業務を可能にする
・文字認識対応ハンディターミナル導入による日付の読み取りをする
・映像検品、画像検品、グローブスキャナなど、今後の活躍が期待できる技術が
登場してきた
198
卸研 研究委員会
2-6.積込業務
- アンケート結果より -
1.出荷後検品を行っていますか
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
(回答19社)
<食品>
<非食品>
はい
6
22
はい
いいえ
いいえ
88
はい
いいえ
3
はい
いいえ
2.どの単位、どの方法で検品を行っていますか
①納品先単位-個口数検品
(回答10社 ※複数回答あり)
(8社)
・配送コース毎の個口数チェック
・カゴ車との紐付け検品
・積込検品リストの出力
②納品先単位-商品単位
JANコードによる紐付け
(2社)
得意先毎、商品単位のラベルを発行し検品
③納品先単位-カゴ本数検品 (2社)
・目視によるカゴ車、カートの本数チェック
・車両との紐付け
卸研 研究委員会
199
2-6.積込業務
- アンケート結果より -
3.運用上の課題はありますか
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
(回答6社)
・得意先個別対応の出力帳票が増加している (汎用対応が困難)
・積み間違いや積み残しが発生する
・作業生産性上の課題がある
・配送車への積込時の検品はシステム上行っていない (マニュアル運用)
・得意先への納品時にシステム検品を行っていない為、カゴ車やカート単位で誤納品が発生する
・スキャンした個口とトラックを紐付けていない為、積み間違いが発生する可能性がある
200
卸研 研究委員会
2-6.積込業務
- アンケート結果より -
4.最近導入した新しい取り組み・効果・効率上がった物がありますか
<食品>
(回答19社)
<非食品>
0
いいえ
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
0
はい
はい
いいえ
いいえ
14
いいえ
5
積込業務については新しい取り組みが少ない
卸研 研究委員会
201
2-6.積込業務 課題と方向性(活用事例・新技術)
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
<課題>
・得意先個別対応による出力帳票の増加 (汎用対応が困難)
・積込検品を行っていないため、積み間違いや積み残しが発生
・積込検品の生産性が低い
202
卸研 研究委員会
2-6.積込業務 課題と方向性(活用事例・新技術)
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
<方向性>
・作業生産性を低下させない積込検品を行い、積み間違い・積み残しの削減を目指す
<活用事例・新技術>
・積み間違い・積み残しが課題であるが、出荷検品後の積込検品はアンケート対象の
約半数が未実施であった
・積込検品を実施している卸売業においても、システム化されていないところが多い
・アンケートを実施した卸売業のなかで積込検品システムを有効に活用している企業が
無いなか、参考となる活用事例は見つけ出すことはできなかった
・また、課題を満たす新技術についても現段階では見つけ出すことはできなかった
卸研 研究委員会
203
2-7.配送業務
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
- アンケート結果より -
1.効率的なダイヤを組むための配車計画や過積載対策で重量管理をする仕組みを導入
されていますか
(回答20社)
<食品>
<非食品>
はい
1
いいえ
6
9
4
いいえ
はい
【配車計画】
【重量管理】 4社導入
8社導入
・配車シミュレーションシステム
(配送コース・配車計画システム) (5社)
・配送コース、車両毎の重量、
カゴ車数計算
(1社)
・配送実績管理 (2社)
・注文結果での重量計算 (1社)
・方法不明
・マスタで重量・容積計算 (1社)
(1社)
・方法不明
(1社)
204
卸研 研究委員会
2-7.配送業務
- アンケート結果より -
2.配送管理の仕組みを導入されていますか
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
(回答9社)
9社導入
・デジタルタコグラフ
(2社)
・GPS運行管理システム
(2社)
・ドライブレコーダー
(1社)
・具体的な記載なし
(4社)
3.物流什器(オリコン、カート、クレート等)の回収管理をどのようにされていますか
(回答14社)
14社とも「何らかの管理」をしている
・リスト、紙による管理(手作業)
・簡易的なシステムで管理(エクセル等)
・バーコード管理
・配送システムで管理
・具体的な記載なし
(6社)
(2社)
(2社)
(1社)
(3社)
卸研 研究委員会
205
2-7.配送業務
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
- アンケート結果より -
4.運用上の課題はありますか
(回答12社)
・最適な配送コースを組めていない (システム化が遅れている)
・構築してから20年経過する仕組みを利用している (システム化が遅れている)
・ドライバー納品時の店舗降ろし間違い
・配送状況を電話確認しており、得意先からの問合せ等への対応が遅れる
・燃料費の高騰
・配送ドライバー不足
・配送コストを下げれない
・カゴ車、什器の回収に間違いが多い、回収率が悪い
206
卸研 研究委員会
2-7.配送業務
- アンケート結果より -
5.最近導入した新しい取り組み・効果・効率上がった物がありますか
<食品>
(回答20社)
<非食品>
はい
はい
2
いいえ
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
1
6
11
いいえ
<導入事例>
・ドライブレコーダーの導入
・配車支援システムの導入
(1社)
(1社)
・具体的な記載なし
(1社)
→17社が「いいえ」と回答
最近ではほとんどの会社が新規システム導入をしていない
卸研 研究委員会
207
2-7.配送業務 課題と方向性(活用事例・新技術)
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
<課題>
・納品時のカゴ車やカート単位で誤納品の発生 (システムでの検品未実施)
・最適な配送コースを組むためのシステム化の遅れ(配送シミュレーション)
・取引先からの納品条件が厳しい (リードタイム、当日配送)
・増車や積載率の低下
・燃料費の高騰
・配送委託先の管理ができていない
・配送ドライバー不足 (配送業者だけでなく卸でも検討が必要)
卸研 研究委員会
2-7.配送業務 課題と方向性(活用事例・新技術)
208
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
<方向性>
・配送シミュレーションを活用することで、最適な配送コースを組むだけでなく、
配送業務の効率化や得意先要望への対応などにも応用していく
・納品条件の交渉により、配送コストを削減する
・共同配送などにより、配送コストおよび配送車輌を削減する
<活用事例・新技術>
・配車計画ソリューション
→最適な配車・配送オペレーションだけでなく、位置情報、配送進捗、配送状態、
走行距離、速度計測、ナビ連動、統計情報、作業日報管理などの機能を保有
・新ソリューションの導入により、一定の業務効率化を見込むことはできるが、
さらなる効率化を図るためには納品条件の交渉が必要となる
卸研 研究委員会
209
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
3.まとめ
Eグループでは7種の業務についてアンケート結果から抽出した
課題と方向性および活用事例を共有し、新技術を検討しました。
卸売業の企業規模、取引先、取扱いカテゴリーの違いにより、
それぞれの業務に対して統一的な仕組みの方向性を見出すことは
できませんでしたが、卸売業全体の共通する課題として、昨今の
消費者のニーズでもある日付管理に非常に労力がかかっている
ことがわかりました。
日付管理については、メーカー・仕入先から日付データを取得
すること、または商品外箱に日付バーコードを印字することで
効率化が図れるため、引き続き次年度の検討テーマとして関係
各位との調整を図っていくことが必要と考えました。
今回は各社活用事例や新技術の紹介に留めましたが、今後、
各社で物流システムを導入する際に参考にしていただければ幸い
です。
210
卸研 研究委員会
2014年度
情報志向型卸売業研究会
研究委員会
【参考資料】
アンケート対象企業一覧 (全35社 順不同)
卸売業 19社
旭食品(株)
伊藤忠食品(株)
(株)大木
貝印(株)
花王カスタマーマーケティング(株)
加藤産業(株)
カナカン(株)
国分(株)
(株)外林
タツミ産業(株)
(株)種清
(株)トーカン
(株)日本アクセス
日本酒類販売(株)
ピップ(株)
(株)マルイチ産商
三井食品(株)
三菱食品(株)
ヤマエ久野(株)
賛助会員 16社
アクセンチュア(株)
(株)アスコット
伊藤忠テクノソリューションズ(株)
(株)サイバーリンクス
(株)シイエスシイ
(株)シーネット
都築電気(株)
東芝テック(株)
日本電気(株)
日本ユニシス(株)
(株)ネクスウェイ
(株)ひむか流通ネットワーク
富士通(株)
(株)富士通システムズ・イースト
(株)プラネット
ホンダロジコム(株)
卸研 研究委員会
211