【材料技術】 中部センター 冷房負荷を低減する 調光ミラーガラスの開発 サステナブルマテリアル研究部門 環境応答機能薄膜研究グループ 吉村和記,田嶌一樹,山田保誠 連絡先:[email protected] 酸化タングステン薄膜を用いた従来の調光ガラス 自動車の燃費を向上させる上で、冷暖房負荷の軽減が 大きく求められている 冷房負荷を下げるには 赤外光の遮蔽だけでは不十分 可視光の方がエネルギーが高く、透過してから暖める作 用が強い 反射でコントロールする必要 自動車のガラスは単板で吸収でコントロールすると熱を 再放射する 吸収型 反射型 車内 太陽光 太陽光 車内 熱 透明な状態と鏡の状態をスイッチングできる 調光ミラーは、最も効果の大きい遮熱型窓材 として期待される。 従来の吸収型では、熱が車内に放射されてしまうが、反射型では 効率的に日射を遮ることができる 調光ミラーにおける2種類のスイッチング方式 エレクトロクロミック方式 室外側 室内側 0.8 m シール Pd ガラス (5 mm) ガラス (5 mm) Mg4Ni 1.2 m 排出口 8mm 60 In Ta2O5 HxWO 3 ITO Mg4Ni Pd 導入口 In 透過率 / % ガスクロミック方式 +5V -5V 50 40 30 20 10 4%H2 in Ar or 4%O2 in Ar Transparent Glass Film シール 0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 時間 / 秒 1200 全天日射量 透明二重ガラス 調光ミラーガラス(鏡状態) 800 800 600 600 400 400 2 全天日射量 (W/m ) 冷房負荷 (Wh) 1000 1000 200 200 0 0 6 8 10 12 時 刻 14 16 18 建物に実装できる実サイズ調光ミラーガラスを作製し、その 省エネルギー性能の実測を行った。 鏡状態の調光ミラーガラスを取り付けた部屋では、透明なペ アガラスを取り付けた部屋と比較して、冷房負荷が35%程 度低減できることを実証した。 電解質層を含む多層薄膜にすることで、電気的に鏡状態 と透明状態を切り替えることができる。 透明フィルム上に、ITO、酸化タングステン層、酸化タンタ ル層、パラジウム層、マグネシウム合金層を積層した、全 固体型調光ミラーフィルムを開発した。 現状における課題 ・スイッチングの繰り返しに対する耐久性がまだ十分でない現在2000回程度。1万回を目指して開発を行っている。 ・プロントガラスに用いるには可視光透過率70%以上が必要現在50%程度。70%を目指して開発を行っている。
© Copyright 2024 ExpyDoc