決議 社会の期待に応える人権擁護委員活動を委員が一丸となって

決議 社会の期待に応える人権擁護委員活動を委員が一丸となって 啓発,相談,調査・救済が人権擁護委員の活動の柱とされています。いじめ問題等への
社会の関心が高まったことに伴い,調査・救済活動に対して,国,社会からより大きな期
待が寄せられているところです。啓発活動についても,調査救済との一層の連携を図り,
いわば「人権侵害抑止」型の啓発活動が求められるようになっています。これらの活動に
おいては,従前にも増して,組織体としての一体的な取組が必要不可欠となっています。
私たち,全国1万4千人の人権擁護委員は,このような認識の下に,人権が守られ十分に
尊重される「人権の世紀」が実現されるよう,委員一丸となって,次の人権課題に取り組
みます。 1 女性の人権を守ろう セクシュアル・ハラスメントや家庭や職場における男女差別,配偶者・パートナーか
らの暴力などの人権問題について社会の理解を深め,性的被害の救済などを通じて,男
女共同参画の実現を目指します。 2 子どもの人権を守ろう いじめや体罰,児童虐待,児童買春などの人権問題に対し,子どもたちがかけがえの
ない一人の人間として,その人権が最大限尊重されるよう,啓発,相談,救済活動を充
実させます。 平成25年6月に制定された「いじめ防止対策推進法」(平成25年法律第71号)
の趣旨等を踏まえ,法務省の人権擁護機関として,学校等関係機関との連携を一層強化
し,学校における「いじめ」問題等の解決に向けた取組の充実・強化を図ります。 3 高齢者を大切にする心を育てよう 高齢者に対する就職差別のほか,介護施設等における身体的・心理的虐待などの人権
問題に対し,高齢者が生き生きと暮らせる安心・安全な社会の実現を目指し,啓発,相
談,救済活動を充実させます。 4 障害のある人の自立と社会参加を進めよう 平成25年6月に制定された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(平
成25年法律第65号)の趣旨等を踏まえ,障害を理由とする差別の解消に向けた取組
を推進し,全ての国民が,障害の有無によって分け隔てられることなく,相互に人格と
個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指します。 5 あらゆる差別と偏見をなくそう 啓発,相談,救済活動の充実を通じて,人種・出身地による偏見や差別など,いわれ
のない差別をなくし,全ての人々が人間としての尊厳を保障された生活を送ることがで
きる社会の実現を目指します。また,HIV感染者,ハンセン病患者,刑を終え出所し
た人,ホームレス等に対する職場,社会生活での差別,住居確保困難などの人権問題に
ついて国民の関心と理解を深め,偏見をなくすよう努めます。文化等の多様性を認め,
言語,宗教,生活習慣等の違いを正しく理解し,これらを尊重することが重要であると
の認識を深める取組の充実強化を図ります。 6 北朝鮮当局による人権侵害問題に対する認識を深めよう 拉致問題の解決を始めとする北朝鮮当局による人権侵害問題への対処が,国際社会を
挙げて取り組むべき課題とされている中にあって,私たちは,この問題についての国民
の関心と認識を深めていくよう努めます。 7 東日本大震災に起因する人権問題に取り組もう 東日本大震災及びそれに起因する原子力発電所の事故で生活基盤を失うなど困難な生
活を強いられている被災者の方々は,プライバシーを侵害され,あるいは「放射能がう
つる」など根拠のない思い込みや偏見により差別を受けるなどしています。これらが,
人権侵害につながることを広く訴え,啓発,相談,救済活動の充実を通じて,被害の防
止に努めます。 以上,決議します。 平成27年7月24日 全国人権擁護委員連合会