数学・物理

平成27年度
民間航空操縦士訓練学校
一期生
入学試験問題(1)
(数学・物理)
60分
模範解答
2015-04-01
CAP-NEXT 03 (1)
模範解答
(問1)
解答:

(1)
11
72
(2)
0
(3)
1
(4)
1
(5)
11
5
(4)
1
(5)
1
(3)
1
(問2)
解答:
 1
(1)
(2)
1
(3)
1
(問3)
解答:
2
x y
(1) 
  2 
(4)
x
(5)
(2)
 2 x  y  又は  2 x  2 y xy  yz  zx  x 2  y 2  z 2  2 xy  2 yz  2 zx 又は x 2  y 2  z 2  2 (問4)
問4:1999 年 8 月 26 日、アメリカ合衆国のマイケル・ジョンソンが 400m 競争で 43 秒 18 の世界記録
をマークした。彼の 400m 競争における平均時速を小数点以下 3 桁まで求めなさい。
解答:息抜き問題である(距離÷時間=速度)
。回答が「時速」であること、秒以下の値は 100 分の 1 秒
である点に注意が必要。43 秒 18 とは 43.18 秒のことである。
43 秒 18 は 43.18s(
400m
0.4km
43.18

 33.349km / h
h )である。つまり
43.18s 43.18 h
3600
3600
答え:平均時速 33.349 km/h
(問5)
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CAP-NEXT 03 (1)
問5:下図のように直線部分の長さが l であるような楕円形の 3 つのトラックがある。一番外側のトラ
ックの曲線部分の半径は x であり、中間トラックの半径は y 、内側トラックの半径は z である。
また、各トラックのスタート地点に、それぞれ●(a)、▲(b)、■(c)の選手が横一列に並ん
でいる。このとき、以下の設問に答えなさい。なお、長さの単位は m とする。
a→
b→
c→
●
▲
■
z
y
x
l
設問 A:1 周回ったのちの元のスタート地点をゴールとして、競争開始 t 秒後に abc が横一列に同時に
ゴールインした。abc それぞれ、秒速何 m で走ったのか求めなさい。
解答:これも問 4 と同じく、簡単な問題である(距離÷時間=速度)
。横一列に同時にゴールしたので、
それぞれ、要した時間は t 秒である。各トラックの距離は簡単な中学数学レベルで求められ、そ
れぞれ
トラック距離 a: 2l  2x  2(l  x)
b: 2l  2y  2(l  y )
c: 2l  2z  2(l  z )
よって
答え:a の速度:
2(l  x)
m/s
t
答え:b の速度:
2(l  y )
m/s
t
答え:c の速度:
2(l  z )
m/ s
t
設問 B:abc は同じ速度で走ったものとする。この場合のゴールインの順番及び 1 位と 2 位、2 位と 3
位のゴールに要する時間の倍率(比率)をそれぞれ求めなさい。
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CAP-NEXT 03 (1)
解答:図から明らかなように 1 位は c で 2 位は b、3 位は a である。abc それぞれ同じ速度で走ってい
るためトラックを 1 周する時間は異なり、a が要した時間を ta 、b が要した時間を tb 、c が要した
時間を tc とすると、設問 A から
2(l  x) 2(l  y ) 2(l  z )


である。よって
ta
tb
tc
2(l  y ) 2(l  z )

tb
tc
つまり b は c に対し
tb 2(l  y ) l  y


倍の時間を必要とし
tc 2(l  z ) l  z
2(l  x) 2(l  y )

ta
tb
つまり a は b に対し
ta 2(l  x) l  x


倍の時間を必要とする。
tb 2(l  y ) l  y
設問 C:abc は同じ速度で走ったものとする。b は c に遅れること 10 秒でゴールインした。トラックの
半径 y が半径 z の 1.5 倍の時、トラックの直線部分の長さ l 、及び c と b の速度を求めなさい。
解答:b が要した時間を tb 、c が要した時間を tc とし、設問 B で求めた
tb l  y
t y  tb z

をトラックの直線部分の長さ l について解くと l  c
 となる。
tc l  z
tb  t c
この式に tb  tc  10 、 y  1.5 z を代入し l 
c 及び b の速度は
1.5tc  (tc  10)
z  0.05tc  1z (m)
tc  10  tc
2(l  z ) 20.05tc  1z  z  0.1tcz


 0.1z (m/s) となる。
tc
tc
tc
(参考)この式から、設問で与えられた条件なら、c 及び b の速度は z の半径のみに依存することが判る。
設問 D:設問 C において、トラックの半径 x が半径 z の  倍の時、a は b に何秒遅れてゴールインする
ことになるのか求めなさい。
解答:abc は同じ速度であるため a= 0.1z (m/s) である。また c が要した時間を tc とすると
トラックの直線部分は l  0.05tc  1z (m) でなければならない。
トラックの半径 x は半径 z の  倍であるから x  z つまり、トラックの距離 a は
2(l  x)  20.05tc  1z  z   0.1tcz  2  1z であり、a が要した時間を ta とすると
0.1tcz  2  1z
 tc  20  1 となり、a は c に 20  1 秒遅れてゴールインする。
0.1z
b は c に 10 秒遅れてゴールインするため、答えは 20  1  10  102  3 秒である。
ta 
(参考)結局、設問 C で与えられた条件なら、最小半径に対し 0.5 倍ずつ増える毎に 10 秒遅れることが判る。
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CAP-NEXT 03 (1)
(問6)
問6:下図のように、半径 r の円周上を、速度 v で等速円運動をしている円錐振り子がある。振り子の
錘を吊る糸が垂線となす角度を  、糸が錘を支える張力を L 、重力加速度を g および錘の質量を
m とするとき、以下の設問に答えなさい。なお、糸や錘に体積はなく、空気抵抗の影響もないも
のとする(有効数字は小数点以下 1 桁とする)。
r
向心力
遠心力
(真上から見た図) (真横から見た図)

v
L
r
向心力
遠心力
向心力
遠心力
g
m = 10.0 kg
v = 61.7 m/s
g = 9.8 m/s2 r = 1178.4 m
設問 A:振り子の錘が 1 周するのに必要な時間(秒)を求めなさい。
解答:とても簡単な問題である。距離は単純に 2r で求められるので、距離÷速度=時間の関係から
2r 2    1178.4

 120.0s
61.7
v
である。
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CAP-NEXT 03 (1)
設問 B:振り子の錘にかかる遠心力を求めなさい。
解答:振り子の錘は等速円運動をしているため、遠心力と向心力は釣り合っている(等しい)。向心力
61.7   32.3kg  m / s 2  32.3N
v2
v2
は F m
であるため、値を代入すると m
 10.0 
r
r
1178.4
2
よって遠心力も 32.3 N (ニュートン)である。
設問 C:糸が錘を支える張力を求めなさい。
解答:振り子の錘は等速円運動をしている。これは、真横から見た図において、錘にかかる重力 mg と
張力の鉛直成分( L cos )、および遠心力と向心力(つまり、張力の水平成分 L sin  )が釣り合っ
ている(等しい)ことを意味する。よって
v2
L cos  mg および L sin   m が成り立つ。一方、ピタゴラスの定理から
r
L2  L cos   L sin  
2
2
2
 v2 
L  mg    m  
 r 
2
2


61.7  
  103.2kg  m / s 2  103.2 N
10.0  9.8  10.0 

1178
.
4


2
2
よって張力は 103.2 N (ニュートン)である。
設問D:錘を吊る糸が垂線となす角度  を求めなさい。
解答:三角関数の定義から
tan  
sin 
v2
である。設問 C より L cos  mg および L sin   m であるから
cos 
r
v2
 61.7 2 
v2
1
Lr
  tan 1 0.329648814...  18.2
tan  

よって   tan 


g
rg
 1178.4  9.8 
m
L
m
(参考)途中の式で判る通り、  の値は錘の質量によって変わらない。円周の半径と速度のみで決定される。
(問7)
問7:前問の円錐振り子において、円周の半径を r (m)、速度を v (m/s)、錘を吊る糸が垂線となす
角度を  (°)、重力加速度を g (9.8 m/s2)とするとき、以下の設問に答えなさい(重力加速
度を除く前問で具体的に示した数値は使用しないこと)。なお、糸や錘に体積はなく、空気抵抗
の影響もないものとする。
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CAP-NEXT 03 (1)
設問A1:角度  を他の変数を用いた式で答えなさい。
解答:前問の設問 D より
v2
m
2
v2
1  v 

tan   Lr 
よって   tan 
g
rg
rg


m
L
設問A2:以下の表の空欄を埋めなさい(有効桁数は他のマスを参考にすること)
。
円周の半径( r )
角度  の値
速度( v )
783 m
974 m
1,184 m
41 m/s
12.4°
10.0°
8.2°
51 m/s
18.7°
15.2°
12.6°
62 m/s
26.6°
21.9°
18.3°
参考A2:振り子が1周するのに必要な時間(s)は以下の通りとなる。
1周に必要な秒数
速度( v )
円周の半径( r )
783 m
974 m
1,184 m
41 m/s
120 s
149 s
181 s
51 m/s
96 s
120 s
146 s
62 m/s
79 s
99 s
120 s
設問B1:半径 r を他の変数を用いた式で答えなさい。
解答:前問の設問 D より
v2
v2
v2
tan   Lr 
よって r 
g
rg
g tan 
m
L
m
設問B2:以下の表の空欄を埋めなさい(有効桁数は他のマスを参考にすること)
。
角度(  )
半径 r の値
速度( v )
12.4°
15.2°
18.3°
41 m/s
780 m
631 m
519 m
51 m/s
1,207 m
977 m
803 m
62 m/s
1,784 m
1,444 m
1,186 m
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CAP-NEXT 03 (1)
参考B2:振り子が1周するのに必要な時間(s)は以下の通りとなる。
1周に必要な秒数
速度( v )
角度(  )
12.4°
15.2°
18.3°
41 m/s
120 s
97 s
79 s
51 m/s
149 s
120 s
99 s
62 m/s
181 s
146 s
120 s
設問C1:速度 v を他の変数を用いた式で答えなさい。
解答:前問の設問 D より
v2
v2
Lr
tan  

よって v  rg tan 
g
rg
m
L
m
設問C2:以下の表の空欄を埋めなさい(有効桁数は他のマスを参考にすること)
。
角度(  )
速度 v の値
半径( r )
12.4°
15.2°
18.3°
780 m
41 m/s
46 m/s
50 m/s
977 m
46 m/s
51 m/s
56 m/s
1,186 m
51 m/s
56 m/s
62 m/s
参考C2:振り子が1周するのに必要な時間(s)は以下の通りとなる。
1周に必要な秒数
半径( r )
角度(  )
12.4°
15.2°
18.3°
780 m
120 s
108 s
97 s
977 m
134 s
120 s
109 s
1,186 m
147 s
133 s
120 s
(注意)関数電卓の使い方によっては最後の桁の値が異なる可能性がある。問6及び問7は、等速円運
動を行う円錐振り子を用いて「飛行機の旋回」を模した問題となっている。問6では、遠心力や張力そ
のもの(ニュートンの値)を計算させているが、これは遠心力の公式
F m
v2
r
を知らなければ解けない。ただし、航空力学を学ぶ上で、実際に力を求める必要性はほと
んどなく、問7で出題したような「速度」や「半径」との関係性を理解しておくことの方がより重要で
ある。いずれにしても、遠心力の公式は覚えておく必要がある。
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