JUDI 公募型プロジェクト・歩行者空間による中心市街地の構成-イタリア、ドイツの事例を参考に日本の可能性を探る JUDI 公募型プロジェクト・歩行者空間による中心市街地の構成 【インタビューの要点】 皆様の経験を振り返って、現実を踏まえた今後の可能性を語ってください。 1. 歩行者優先事業の都市計画における位置づけについて。 ① 歩行者優先まちづくりの目的は? ・商店街振興による経済効果。 ・観光客誘致による経済効果。 ・歩いて楽しい街づくり。中心市街地のまとまりを強くする。 ・中心市街地のアイデンティティを守る。 ・自動車の抑制による省資源、省エネルギー、CO2 対策。 ② 歩行者優先まちづくりはあなた自身の中で、あるいは役所で、総合的な都市計画として位置 づけられていましたか? 面的な都市計画事業でしたか、線的な街路事業でしたか? 今後 はどうすべきでしょうか? ・街路事業の枠内にあったと言うべきだろう ⇒なぜ面的なまちづくりにならなかったのですか? しなかったのですか? ・駐車場整備、公共交通整備、景観整備などを含む総合的な中心市街地の課題として実施 した。 ⇒なぜそうなったのですか? その結果をどう評価しますか? ③ 車を全く通さない歩行者専用ゾーン(面的な整備)が実現しましたか? 今後はどうすべきで しょうか? ・車線を減少し(車道は残して)、歩道を拡幅する事業であった。 ・歩行者専用道路、又は自動車進入禁止の道路として整備した(線的な街路事業であった)。 ・歩行者専用道路、又は自動車進入禁止の道路として複数の道路を対象に面的に整備した。 2. 道路の構造、デザインについて。 ① 歩道と車道の段差(境界石)、安全柵、植栽帯、ボラードの在り方など、歩道と車道の一体化 についてどのような議論があり、どのように実現しましたか? 今後はどうすべきでしょう か? ② 道路とその付帯施設をシンプルに整理するデザイン的課題(いわゆる引き算のデザイン)にど う応えましたか? 今後はどうすべきでしょうか? 3. 道路占用の可能性について(アーケードの通り,公開空地を含む)。 ① 道路占用(道路の使い方)についてどのような議論があり、どのように実現しましたか? 今 後はどうすべきでしょうか? カフェテラス、路上のベンチ、椅子、テント、商品のはみ出し、市場、屋台の営業、イベントの 開催など。 ② 路上駐車、駐輪にもっと寛容になってもいいのではないでしょうか? 4. 都市のオープンスペース(屋外空間)と日本人の生活習慣の関係について。 ① 我々日本人は街の屋外空間を楽しむ習慣があるでしょうか? アーケードやアトリウム、ガレ リアなどの屋根のある屋内空間の方を好むのではないでしょうか? ② 日本に路上の(屋外の)カフェテラス、レストラン、ビアテラスなどは根付くでしょうか?路上 の屋台や市場を街なかに広げることはもっと積極的にやってもいいのではないでしょうか? その可能性、妥当性はあるでしょうか? 5. 中心市街地再生の可能性について。 ① 日本の本来の中心市街地はどこでしょうか? 商店街などの商業の中心地区? 夜の繁華街? 駅前? 官庁街? 銀行などの事務所 街? 神社、仏閣、城などの歴史遺産? 市民会館、図書館などのある文化センター? ② ロードサイドや新市街地などに、旧来に代わる新しい中心市街地が生まれつつあると考える べきでしょうか? インタビューには 5 人程度の若いメンバーが参加します。説明に必要な図面や写真などの資料があ れば、テーブルを囲む形で、あるいは PC、PP で示して頂きますようお願いします。 日程、場所、メンバー、資料の準備については後日連絡して相談します。 尚、皆様には主として以下の視点でインタビューに応えて頂くように依頼しています、 高橋志保彦さん: ①横浜アーバンデザインの様々な経験とその後の経緯を踏まえて。 梅本正紀さん: ①福岡天神モール、福岡都心軸モール形成の経験とその後の経緯を踏まえて。 鳴海邦碩先生: ①旭川買物公園の経験とその後の経緯をふまえて。 ②専門の『都市の自遊空間』の視点から。 中野恒明さん: ①門司港レトロの経験とその後の経緯を踏まえて。 ② 新宿 BID の経験を踏まえて。 ③ ヨーロッパ、アメリカの都市の歩行者空間整備の視点から。 南條洋雄さん: ①幕張ベイタウン、ウエルシティ横須賀の経験を踏まえて。 ②クリチバ、サンパウロ、ブラジリアなどブラジルのライフスタイルの視点から。 栗原 裕さん: ①最近の道路整備の実務経験をふまえて。 ② 最近の歩行者空間に関する法律の運用はどうなっているか。 服部圭朗さん: ①都市の交通政策の視点から。 ②ヨーロッパ、アメリカの都市の歩行者空間整備の視点から。 蓑原 敬さん: ①日本における公共空間の在り方を問う視点から。 ②中心市街地の将来性、可能性を問う視点から。 JUDI 公募型プロジェクト・歩行者空間による中心市街地の構成-イタリア、ドイツの事例を参考に日本の可能性を探る JUDI 公募型プロジェクト 2015 「歩行者空間による中心市街地の構成」 インタビュー予定の皆様、関係者の皆様 インタビュー予定の蓑原敬様からいくつかのご意見、アドバイスを頂いております。今回、関係者で共 有しておくべき、きわめて有意義な指摘を頂きましたので、そのやりとりの全文をお届けします。お目通 しください。 2015.11.13 井口勝文 11 月 9 日 ■井口勝文さま 井口さんの立場がよくわかりました。 西欧近代都市デザイン理論のうえで、とても正統的な見方だと思います。 しかし僕の立場は少し違います。 一神教を背景に、秩序を大事にして、天からの視覚で都市環境を見る視点、市民国家の歴史を踏まえ た市民がいる都市だけを見ていては決して解けない問題が日本を始め、非西欧圏の国では多々ある こと、そのことをすでに西欧の哲学者、文化人類学者なども気がついて日本の混沌とした風景に一定 の評価を与え始めただけでなく、オランダなど西欧圏の urbanism の論理にもそれが現れ始めたいる と考えているからです。 また、311以後の日本の言説にも鮮明に出てきています。(ex.伊東豊雄・中沢新一「建築の大転換」) もちろん、近代化が遅れたうえに、知性や文化性が低い日本の政治行政風土の中で、西欧的な秩序 を遅ればせながら導入するという観点が一方では欠かせませんが、他方、もはや、正統的な urbanism 論では解けない課題が噴出しており、僕らはそれに答える義務があると思うからです。 一昨日、北京の映像を材料に、東大で北京を研究している中国の学生の原風景論を聞きました。 昨日は、槇さんが司会で西沢、塚本といった若手の建築家によるシンポがあり、表題は「建築家とは何 者なのか」というものでした。ここでも、現代世界の都市デザイン問題の核心が語られています。 お会いして議論するのが楽しみです。 蓑原敬 11 月 12 日 ■蓑原敬様 アドバイス、ご意見ありがとうございます。毎回大いに励まされています。 前回のメールで、「井口さんの立場がよくわかりました。、、、」とありました。 私のレポートが誤解を与えているように感じましたので、追加させてください。 インタビューを効率良く進めるために論点を出来るだけ絞っておきたいと考えるからです。 私の立場が、「西欧近代都市デザイン理論のうえで、とても正統的な見方だと思います。、、、、」につい てです。 今回の歩行者空間を問う私の立場は「西欧近代、、、」の立場ではありません。むしろその逆だと思っ ています。 JUDI 公募型プロジェクト・歩行者空間による中心市街地の構成-イタリア、ドイツの事例を参考に日本の可能性を探る 私の 1965 年以来 2000 年ころまでの実務(再開発、新開発、歩行者空間整備、景観整備)では確かに 「西欧近代都市デザインの理論」を信じてやって来ました。 しかしその結果を見てみると、西欧の都市とはまるで別の都市空間をつくってしまったと言わざるを得 ません。 日本人には日本型の都市空間しかつくれないのではないか。それが今回のインタビューの出発点で す。 このまま西欧型の都市空間を目指すことが果たして妥当なのか? そうでないとしたら、日本型の都市空間とは具体的にどんな空間なのか? 私なりに今の日本の街にその萌芽を見ているように思っていますが、そこを中心にお話をお聞きしたい と考えています。 *************** 以下は蛇足です。読み流してください。 具体的にそこに出来ている都市の空間が日本型であるかどうかということと、都市デザイン理論に対 する認識が西欧的か日本的かという問題は、分けて考えた方が良いと思います。 事実、私たちは今まで西欧近代の都市デザイン理論をベースにやってきたと思いますが、出来たもの は別物です。 「西欧の一神教、、、」の話しは私もかって槇さんに説かれた記憶があります。 私は全面的に同感は出来ませんでした。 西欧のキリスト教は一神教か?教義はそうに違いありませんが、実社会はとても一神教とは思えない からです。 カソリック信仰のいい加減さ。1300 年代に始まるルネッサンスは神の眼から人間の眼への転換であっ たこと、デカルトの「われ思うゆえに、、、」、ニーチェの「神は死んだ」。サルトルの「存在」そのものへの 問いかけは殆んど仏陀の「無常」に通じます。そもそも西欧のキリスト教はギリシャ、ローマ、古代ゲル マンの多神教への接ぎ木です。 「西欧の一神教、、、」が妥当だとしても、都市デザインの理論に対する認識の違いをもたらすそれ以上 に決定的な差は別にあると思います。 日本と西欧の都市計画(都市デザイン理論)に対する認識の差は、成り行きに従う「村文化」と市壁で 囲む「都市文化」の差と言った方が的確ではないでしょうか。 そのことは市民国家の歴史の差にも通じます。 宗教や風土の差であればその差を埋めるのは難しく、埋める必要もないでしょう。 しかし文化の差であれば、交流は可能だし、それなりの前向きの効果も期待できます。 世界に通じる一流の交響楽を演奏するレベルに日本はあるし、それを支える聴衆も居ます。 都市計画もそのように考えられないでしょうか。 福岡市や松山市、盛岡市などの中小都市を見ていると、「都市を計画的にコントロールする」という、本 来の(西欧型の?)都市計画がここでは生きているように思えるのですが。 JUDI 公募型プロジェクト・歩行者空間による中心市街地の構成-イタリア、ドイツの事例を参考に日本の可能性を探る そしてそこに出来る都市空間は、やはり日本型の都市空間になる。そのことを自覚してデザインするこ とが大事だと思います。 ****** 今回の往復メールをインタビュー関係者に公開したと思いますがご承諾いただけます でしょうか。とても貴重なご指摘であり、今回のインタビュープロジェクトの基本的な問題点だと気づきま した。 11 月 12 日 ■井口勝文さま あなたのお考えを浅はかに誤解していたのをお詫びします。 お会いしてお話しするのがとても楽しみです。 僕が1970年代の初めに、藤本晶也、関根伸夫らと日本土人会というのを作って勉強し始めたのも、 あなたと同じような意識を持っていたからだと思います。また、大高正人に私淑し彼の仕事を記録した 本を書いたのも、そういう意識からでした。ぜひ、その本にも目を通しておいてください。エクスナレッジ 社から出ている「大高正人の仕事」で松隈さん、中島さんと一緒に書きました。 蓑原敬 井口勝文様 Cc.関係者の皆様 メール拝受し、蓑原さんとの往復書簡しっかり読ませて頂きました。 いろいろ参考になります。私は日本の気候風土、日本人の幼児期のすり込み(すり込まれ)現象 による価値観と習慣、これまでの都市生活における歴史的経験も大きく影響していると思ってい ます。 また、J.アプルトンは「我々の美意識は太古の祖先の行動に起因している」と言っています。生 まれ持った何かもあるのでしょうか。 有り難うございました。 高橋志保彦 JUDI 公募型プロジェクト・歩行者空間による中心市街地の構成-イタリア、ドイツの事例を参考に日本の可能性を探る JUDI 公募型プロジェクト2015 「歩行者空間による中心市街地の構成」 第 1 回インタビュー/鳴海先生 日時 :2015年11月19日 18:30~20:30 場所 :関西大学千里山キャンパス 先端科学技術推進機構 2 階 F21 会議室 インタビュアー: <主催者> 井口勝文 千葉桂司 山名清郷(調整中) <参加者> ・森山秀二(1962 年生まれ)一級建築士事務所 BA ・武田重昭(1975 年生まれ)大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科緑地環境 科学専攻 緑地計画学研究室 助教 ・江口久美(1983 年生まれ)京都大学 大学院人間・環境学研究科共生文明学専 攻文化・地域環境論講座 日本学術振興会特別研究員 ・松本邦彦 大阪大学大学院工学研究科環境・エネルギー工学専攻 生環境デザイン学講座・都市環境デザイン学領域) ・山本尚生 有限会社ハートビートプラン 助教(共
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