全国シンポジウム「いま改めて考えよう地層処分」 ~高レベル放射性廃棄物の問題を将来に先送りしないよう、一緒に考えましょう~ 基調講演 エネルギー安全保障と地層処分 拓殖大学特任教授 森本 敏 日本のエネルギー安全保障 • 貿易・投資・エネルギーの海外依存度が高い 石炭100%、石油99.7%、天然ガス96% ホルムズ海峡を輸入エネルギーの8割が通過 • 国際社会の安定は、日本のような海外依存度の高 い国家の生存・繁栄・発展成長には、特に重要 • 厳しい資源・エネルギー争奪戦は、21世紀前半を通 じて更に顕著に 1 国際エネルギー秩序の変遷(石油を中心に) 19世紀後半〜 石炭から石油へ エネルギー問題が、国内から国際問題へ 米国が圧倒的な重要性、主要な産油国の台頭 1960年代〜 米国の石油純輸入国への転落 国際的な石油需給のタイト化、中東石油への依存の急激な上昇 OPECパワーの絶頂、IEAによる消費国の対抗 原子力発電の導入拡大 1990年代〜 原油価格の低位安定、市場主義 エネルギー安全保障への関心の薄れ 2000年代〜 新興国の台頭、シェール革命 中印の台頭と新たなエネルギー国際秩序の形成 米国の中東依存低下と自立 2 エネルギー安全保障をめぐる国際情勢の展望 1.米国の相対国力の低下と新興国の伸長 中国石油消費、米を抜き世界一に 中印の需要 日米合計の2倍に 2.エネルギー生産地域の政情不安、価格の不安定化 中東・湾岸・北アフリカの「アラブの春」 グローバルコモンズに対するリスク 新興国、ウクライナ、投機マネー・・・ 3.海洋の不安定や資源ナショナリズム アジア太平洋の海洋資源エネルギー 4.世界における原子力エネルギー 福島事故後、「現状維持」、「中止」、「新規導入」の三分化状態 国際社会が日本の行方を注視 東アジア等における導入拡大、 国際的にも技術・人材が必要 3 原子力エネルギーの課題 1.原発事故対応、放射能汚染対策と補償 2.エネルギー政策の見直しと代替エネルギー確保 3.原子力安全管理とテロ対策 4.技術・人材の確保(国際協力も) 5.核燃料サイクル、含む廃棄物処分対策 4 高レベル放射性廃棄物対策 • リスクを冷静に考える 東海村や六ヶ所村での安全保管実績 人為的冷却不要 核反応防止対策不要(直接処分との違い) • 原子力エネルギーの国内完結性 燃料調達から廃棄物処分まで • 世代間倫理の問題 公的債務 国債は将来世代からの徴税 人口減少 個人レベルの最適行動により将来世代が先細り 地層処分 負担を将来世代に残すのか 5
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