見込財務情報の調査 - 日本公認会計士協会

IFAC
International
Auditing
ISA810
1994年7月公表
日本公認会計士協会国際委員会訳
Practice
Committee
見込財務情報の調査
Issued by the
International
Federation of
Accountants
ISA810
見込財務情報の調査
IFAC COPYRIGHT AND ACKNOWLEDGEMENT FOR TRANSLATIONS:
Copyright © International Federation of Accountants
All standards, guidelines, discussion papers and other IFAC documents are the copyright of the International
Federation of Accountants (IFAC), 545 Fifth Avenue, 14th Floor, New York, New York, 10017, USA;
tel: 1-212/286-9344, fax: 1-212/286.9570, Internet http://www.ifac.org
All rights reserved. No part of this publication may be reproduced, stored in a retrieval system, or transmitted, in
any form or by any means, electronic, mechanical, photocopying, recording or otherwise, without the prior written
permission of IFAC.
The IFAC pronouncements in this volume have been translated into Japanese by/under the supervision of The
Japanese Institute of Certified Public Accountants and are reproduced with the permission of IFAC. The approved
text of all IFAC documents is that published by IFAC in the English language.
翻訳に関する国際会計士連盟(IFAC)のコピーライト及び承認について:
C International Federation of Accountants
Copyright ○
全ての基準、ガイドライン、ディスカッション・ペーパー及びその他の IFAC の文書に、IFAC はコ
ピーライトを持つ。
International Federation of Accountants (IFAC)
535 Fifth Avenue, 26th Floor, New York, New York 10017, USA;
tel: 1-212/286-9344, fax: 1-212/286-9570, website: http://www.ifac.org
全ての権利は IFAC が保有する。IFAC の書面による事前許可なしに、本出版物のいかなる部分も、電子的、機械的、写真複写、
録音、その他のいかなる形態又はいかなる方法によっても複製し、検索システムで保存し、又は転送することは認められない。
IFAC の本公表物は、日本公認会計士協会国際委員会により日本語に翻訳されたものであり、IFAC
の許可の下に複製される。承認された全ての IFAC の文書の正文は、IFAC により英文で公表されるも
のである。
ISA 8 1 0
ISA810
見込財務情報の調査
目
次
パラグラフ
1−7
8−9
10−12
13−15
16
17−25
26
27−33
序 説
見込財務情報に関する監査人の保証
契約の受諾
その事業に関する知識
網羅される期間
調査手続
表示と開示
見込財務情報の調査に関する報告書
国際監査基準は、財務諸表の監査に適用される。国際監査基準はまた、その他の情報の監査及び関
連業務にも必要な修正の上適用される。
国際監査基準には、基本原則及び必要不可欠な手続(太字で表記)が、説明やその他の資料といっ
た関連する指針とともに含まれている。基本原則及び必要不可欠な手続は、その適用のための指針を
提供する説明やその他の資料における文脈の中で解釈されるべきである。
基本原則及び必要不可欠な手続を関連する指針とともに理解し、適用するためには、太字で表記さ
れた文章だけでなく、国際監査基準に含まれている説明及びその他の資料を含んだ国際監査基準の文
章全体を考慮する必要がある。
例外的な状況においては、監査人は、監査の目的をより効果的に達成するために、国際監査基準か
らの乖離が必要と判断することがある。そのような状況が発生した場合、監査人は、当該乖離の正当
化を説明する用意をすべきである。
国際監査基準は、重要な事項にのみ適用する必要がある。
国際会計士連盟の公的部門委員会により公表される公的部門の考慮事項は、国際監査基準の末尾に
記載される。公的部門の考慮事項が追加されていない場合は、その国際監査基準は、すべての重要な
点において公的部門に適用される。
1
ISA 8 1 0
ISA810
見込財務情報の調査
序 説
1.本国際監査基準(ISA)の目的は、最善の見積り及び条件付き仮定に対する調査手続を含む、見
込財務情報の調査及び報告の契約に関する基準を確立し、指針を提供することにある。本 ISA
は、ここに概説された多数の手続が、かかる調査に適していたとしても、企業の年次報告書に
おける経営者の討議及び分析に見られるように、概略として述べられた、又は、語られた言葉
での見込財務情報の調査には適用しない。
2.見込財務情報の調査に際し、監査人は、以下の項目に合う、十分で適切な証拠を入手しなけれ
ばならない。
(a) 見込財務情報の基礎である、経営者の最善の見積による仮定が非合理的でなく、また、条件
付き仮定において、かかる仮定が当該情報の目的と一致するか
(b) 見込財務情報が、当該仮定に基づいて適切に作成されるか
(c) 見込財務情報が適切に作成され、また、すべての重要な仮定が十分に開示され、最善の見積
による仮定又は条件付き仮定かどうか、という点に関する明快な表示がなされているか
(d) 見込財務情報が、適切な会計原則を適用しつつ、過去の財務諸表を基礎として、それと矛盾
せずに作成されているか
3.「見込財務情報」とは、将来発生する可能性のある事象、及び企業が講ずる可能性のある処置に
関する仮定に基づく、財務情報を意味する。それは、十分に検討した上での判断を求められる
性質及びその作成において、極めて主観的なものである。見込財務情報は、例えば、1年の予
想プラス5年の予測というように、予想もしくは予測あるいはその双方の組合せの形式があり
うる。
4.「予想」とは、当該情報の作成日現在において、経営者が起こることを予期する将来の事象、及
び経営者が採ると予期する行動に関する仮定(最善の見積りの仮定)を基礎において作成される
見込財務情報を意味する。
5.「予測」とは、以下の項目を基礎として作成される見込財務情報を意味する。
(a)
ある企業で、操業開始の段階又は経営の体制の重要な変化の検討段階にあるといった場合
の、必ずしも起こるとは予想されない、将来の事象及び経営者の行動に関する条件付き
仮定
(b)
最善の見積りの仮定及び条件付き仮定を合わせた状況
もし、当該事象及び行動が起こった場合(「もし∼としたら、どうなるか」というシナリオ)、
かかる情報は、当該情報の作成日現在における起こりうる結果を説明するものになる。
2
ISA810
ISA810
見込財務情報の調査
6.見込財務情報は、複数の財務諸表、あるいは一つ又はそれ以上の財務諸表の要素を含むことがで
き、また、以下のような形で作成される。
(a) 例えば潜在的資本投下の評価を補助するような、経営者の内部的手段として
(b) 第三者への分配のための形で、例えば、
・ 将来的な予測に関する情報を潜在する投資家に提供するための目論見書
・ 株主、監督官庁及び他の当事者へ情報を提供するための年次報告書
・ 例えばキャッシュ・フロー予想を含む場合もある、貸し手の情報のための文書
7.経営者は、見込財務情報の作成と表示に対して責任を持つ。これには当該財務情報を基礎に置く
仮定の明確化と開示が含まれる。監査人は、見込財務情報について、第三者による使用を予定
するかどうか、又は、内部目的のために用いる予定かどうかの確実性を高めるために、調査し
報告することを求められる場合がある。
見込財務情報に関する監査人の保証
8.見込財務情報は、未だ起っていない、又は起らないかもしれない事象及び行動に関連する。証拠
は、見込財務情報の基礎に置かれた仮定を支持するのに有用であるが、かかる証拠は、それ自
身一般的に、将来に依存するがゆえに、過去の財務情報の監査において通常入手可能となるよ
うな証拠とは異なり、確実に投機的である。したがって、監査人は、見込財務情報に示された
結果が達成されるかどうか、という点に関する意見を述べる立場にはない。
9.さらに、見込財務情報の基礎に置かれた仮定の評価に際し、入手可能な証拠のタイプを考慮する
とすれば、監査人が、当該仮定に重大な虚偽の表示はないという、積極的な表現の意見を述べ
るのに十分な満足のレベルを獲得するのは困難であろう。したがって、本 ISA においては、経
営者の仮定の合理性に則った報告がなされる場合、監査人は中程度のレベルの保証のみを提供
する。しかしながら、監査人の判断において適切な満足のレベルが達成されていれば、監査人
は、当該仮定に関する積極的保証の表明を妨げられない。
契約の受諾
10.見込財務情報を調査する契約の受諾の前に、監査人は、特に以下の事項を検討しなければならな
い。
・ 情報の意図的利用
・ 情報が一般に対するものか、又は限定された公開であるか
3
ISA810
ISA810
見込財務情報の調査
・ 仮定の性質、すなわち、最善の見積りか、あるいは条件付き仮定か
・ 当該情報に含まれる諸要素
・ 情報に網羅される期間
11.仮定が明らかに非現実的であったり、あるいは、本来意図される使用法に対して見込財務情報
が非適切であると監査人が確信する場合は、監査人は契約を受諾してはならず、契約を取り消
さなければならない。
12.監査人とクライアントとは契約条件で相互に合意しなくてはならない。契約に関する誤解を防
ぐ助けとなる契約書を、監査人が送付することは、企業及び監査人双方のために行われる。契
約書は、第 10 項の当該事項を表記し、また、当該仮定に対する経営者の責任と、すべての関係
する情報及び当該仮定の展開上使用する出典データを監査人に提供する経営者の責任にも、言
及しなければならない。
その事業に関する知識
13.監査人は、見込財務情報作成のために要求される、すべての重要な仮定が明らかにされている
かどうかの評価を可能になるよう、当該事業の知識について満足に足るレベルに達しなければ
ならない。監査人はまた、例えば、以下の項目を検討することによって、企業の見込財務情報
作成過程に精通していなければならない。
・ 見込財務情報作成に採用されるシステム全般にわたる内部統制機構、及び見込財務情報作成
に従事する人々の専門的意見及び経験
・ 経営者の仮定を支持する企業によって作成される文書の性質
・ どの統計的、数学的及びコンピューター利用の技術が使用されるかという範囲
・ 仮定を展開し適用する方法
・ 前年度に作成された見込財務情報の精度及び重大な相違の理由
14.監査人は、企業の過去の財務情報の信頼性の程度を検討しなければならない。当該監査人は、
見込財務情報が過去の財務情報と首尾一貫する基礎に基づいて作成されているかを評価し、ま
た、経営者の仮定を検討する過去の基準を確立するために、企業の過去の財務情報に関する知
識を要求される。当該監査人は、例えば、適切な過去の財務情報が監査又はレビューを受けた
か、また、認められた会計基準がその作成段階で適用されたかといった点を検証しなければな
らない。
15.もし前年度の実績財務情報の監査又はレビュー報告が、修飾(modified)監査報告書であるか、あ
るいは、当該企業が操業開始の時期にあれば、監査人は、周辺の事実及び見込財務情報の調査
に対する影響を検討しなければならない。
4
ISA810
ISA810
見込財務情報の調査
網羅される期間
16.監査人は、見込財務情報が網羅する期間について検討しなければならない。網羅される期間の
長さが伸びるにつれ、仮定の投機性はより高まるため、その期間が延長されるにつれ、最善の
見積仮定に対する経営者の能力は減少する。当該年度は、経営者が仮定の合理的な根拠を置く
時期を越えて延長してはならない。以下の項目は、見込財務情報が網羅する期間について監査
人が検討すべき項目である。
・ 例えば、大規模な建設プロジェクトのケースで、当該プロジェクトの完成希望日時として期間
を切られている場合の営業サイクル
・ 例えば、仮に企業が新製品を導入中で、見込網羅期間が短く、しかも数週間又は数か月のよう
に短期間に分断されている場合の、当該仮定の信憑性の度合い。言い換えれば、もし、企業
の単独ビジネスが長期貸借契約のもとに所有権を保持していれば、相対的に長期の見込期間
も妥当なものとなるであろう。
・ 例えば、見込財務情報は、返済用に十分な資金を生み出すことを要求された期間に対応する、
借入れの申込みに関連して作成されなければならない、というユーザーの要求。あるいは、
当該情報は、その後の期間における収入の使用予定を説明するために、社債の発行に関係す
る投資家を対象にして作成される場合がある。
調査手続
17.調査手続の性格、時期、及び範囲の決定に際し、監査人の検討事項には以下の点を含まなけれ
ばならない。
(a) 重大な虚偽の表示の見込
(b) 以前の契約期間中に入手した知識
(c) 見込財務情報の作成に関する経営者の能力
(d) 経営者の判断によって影響される見込財務情報の範囲
(e) 基本的データの妥当性及び信憑性
18.監査人は、経営者の最善の見積りの仮定を支持する証拠の情報源と信憑性を評価しなければなら
ない。かかる仮定を支持する十分に適切な証拠は、過去の情報に照らした仮定の検討、及び、
企業の能力に見合った計画に基づいているかどうかの評価を含む、内部及び外部の情報源から
入手されなければならない。
19.条件付き仮定が利用される場合、監査人は、仮定に内在するすべての重大な要因が検討対象とな
5
ISA810
ISA810
見込財務情報の調査
っているかどうかを、検討しなければならない。例えば、もし、販売量が企業の現行設備能力
を超過して成長すると仮定した場合、見込財務情報には、追加設備能力への必要な投資、又は、
外注工場の確保のような、売上増加に見合った他の方法でのコストを含ませる必要がある。
20.条件付き仮定を支持する証拠を入手する必要がない場合でも、監査人は、その仮定が見込財務情
報の目的と一致していること、また、明らかに非現実的であると確信するに至る程の理由はな
いことに満足する必要があろう。
21.監査人は、当該見込財務情報が、例えば、内部の一貫性の再計算及びレビューのような事務的チ
ェックの実施、つまり、経営者が行おうと意図する行動はそれぞれ比較可能であり、また、利
率など一般変数に基づいた総額の決定計算において、何ら不一致は存在しないということによ
り、経営者の仮定から、適切に作成されていることに満足しなければならない。
22.監査人は、見込財務情報内に示された結果に基づく重大な影響をはらみ、変化に特に敏感なこれ
らの分野の範囲に焦点を合わせなければならない。これは、監査人が適切な証拠を探求する範
囲に影響するであろう。それはまた、監査人の評価の適切性及び開示の妥当性へも影響するで
あろう。
23.見込財務情報の一つ又はそれ以上の要素の調査にかかる場合、個別財務諸表のように、監査人が
財務諸表内の他の構成要素の相互関係を検討することは重要である。
24.監査人は、当期のいかなる経過部分も、見込財務情報に含まれている場合は、過去の情報に適用
される必要のある手続の範囲は検討しなければならない。例えば、すでにどれだけの期間が経
過しているかという点でも、手続は状況に応じて多様といえる。
25.監査人は、見込財務情報の意図的使途、経営者の重要な仮定の完全性及び見込財務情報に対す
る経営者の責任の受諾に関して、文書による経営者の陳述書を入手しなければならない。
表示と開示
26.見込財務情報の表示と開示の評価に際し、いくつかの関連する法規又は専門的基準の要求に追加
して、監査人は以下の項目の可否を検討しなければならない。
(a) 見込財務情報が有益で誤りのないことの記述
(b) 会計方針が見込財務情報の注記に明確に開示されていること
(c) 当該仮定が、見込財務情報の注記に妥当性を以て開示されていること。仮定が経営者の最善
の見積りを表現しているかどうか、又は仮定は条件付きかどうかが明らかにされることは
必要であり、また、仮定が重大でかつ不確実性の度合いが高いという条件のもとでなされ
た場合は、この不確実性とその結果としておこるズレの結果が、妥当な形で開示されるこ
とは必要である。
(d) 見込財務情報が作成され,開示される日付。経営者は、基礎となる情報が、この期日を越え
6
ISA810
ISA810
見込財務情報の調査
て累積する場合があったとしても、この日現在における当該仮定が適切であることを確認
する必要がある。
(e) ある範囲内における確立点の基礎が明確に表示され、見込財務情報内で示された結果がある
範囲で表示される時、その範囲は偏ったり、誤った方法で選択されたのではないというこ
と。
(f) 変化の理由及び見込財務情報への影響を伴う、最も直近の過去の財務情報が開示された時以
降の、会計方針の変更
見込財務情報の調査に関する報告書
27.見込財務情報の調査に基づく監査人による報告書は、以下の項目を含まなければならない。
(a) 表題
(b) 宛名
(c) 見込財務情報の特定
(d) 国際監査基準又は適切な国内基準への言及、又は見込財務情報の調査に適用し得る実務
(e) 経営者が当該仮定を基礎とした見込財務情報の責任をとるという記述
(f) 適用可能な場合、目的への言及及び、又は、見込財務情報の限定配付先
(g) 当該仮定が見込財務情報に合理的基礎を与えているかどうかに関する消極的な保証の記述
(h) 見込財務情報が当該仮定を基礎として適切に作成されているかどうか、また、関連する財務
報告の枠組みに準拠して表示されているかどうかという点に関する意見
(i) 見込財務情報によって表示された結果の達成に関する適切な警告
(j) 報告書の日付:手続が完了した日でなくてはならない
(K) 監査人の住所、及び
(I) 監査人の署名
28.かかる報告書は、
・ 当該仮定が見込財務情報に対して合理的な基礎を提供していないことを、監査人が確信する
原因となるような何かが、監査人の注意を喚起したかどうかを、当該仮定を立証する証拠
の調査に基づいて記述しなければならない。
7
ISA810
ISA810
見込財務情報の調査
・ 見込財務情報が仮定に基づいて適切に作成されているかどうか、また、関連する財務報告の
枠組みに準拠して表示されているかどうかという点に関する意見を表明しなければならな
い。
・ 以下の事項を述べなければならない。
− 予期された事象が予想通り頻繁には発生せず、実績が、見込財務情報とは異なっている
ことがありうること。また、この差が重要となりうること。同様に、見込財務情報が一
連の範囲で表わされる場合も、実績が、その範囲内に収まるという何の保証もあり得な
いということの記述。
− 予測のケースにおいては、見込財務情報が(目的の記述)のために、一連の仮定を使用
して作成されていること。一連の仮定には、必ずしも起こるとは限らない将来の事象に
関する条件付き仮定及び経営者の行動が含まれる。したがって、読者は、見込財務情報
は表示した目的以外の目的では使用されないという注意を与えられる。
29.以下は、予想についての非修飾(unmodified)報告書からの抜粋の一例である。
我々は、当該予想1を、見込財務情報の調査に適用する国際監査基準に準拠して調査した。経営
者は、注記Xに述べられた基礎となる仮定を含む当該予想に責任を持つ。
当該仮定を立証する証拠に関する我々の調査の結果、これらの仮定は、予想に対して合理的な
基礎を提供していないと信ずるに足る事実は発見されなかった。さらに我々の意見では、予想
は、仮定を基礎として適切に作成され、・・・2に準拠して表示されている。
予期された事象が予想通り頻繁には発生せず、実績が予想とは異なっていることがありえ、ま
た、この差が重要な場合がある。
30.以下は、予測についての非修飾(unmodified)報告書からの抜粋の一例である。
我々は、当該予測3を、見込財務情報の調査に適用する国際監査基準に準拠して調査した。経営
者は、注記Xに述べられた基礎となる仮定を含む当該予測に責任を持つ。
当該予測は(目的を記述)のために作成された。当該企業が操業開始の段階であるため、当該
予測は、必ずしも起こるとは予想されない将来の事象に関する条件付き仮定及び経営者の行動
に関する一連の仮定を使用して作成されている。したがって、読者には、当該予測が上記に記
された内容以外の目的には適さないことを警告する。
当該仮定を立証する証拠に関する我々の調査の結果、これらの仮定は、(条件付き仮定を記述
1
企業名、予想の網羅期間及び頁数への言及又は個々の記述の明確化などによる適切な提示。
2
.
適切な財務報告の枠組みを明示する。
3
企業名、予測の網羅期間及び頁数への言及又は個々の記述の明確化などによる適切な提示。
8
ISA810
ISA810
見込財務情報の調査
又は参照)仮定する予測に対して合理的な基礎を提供しない、と信ずるに足るような事実は発
見されなかった。さらに我々の意見では、当該予測は、仮定を基礎として適切に作成さ
れ、・・・4に準拠して表示されている。
たとえ上記で述べた条件付き仮定に基づいて予想された事象が起こるとしても、実績はその他
の予測された事象が予測されたようには頻繁に起こらないため、予測とは異なっていることが
ありえ、また、この差が重要な場合がある。
31.監査人が見込財務情報の表示及び開示は適切でないと確信する場合、当該監査人は、適切な形
で見込財務情報の報告書において限定意見又は不適正意見を表明するか、又は当該契約を解消
するかいずれかを行わなければならない。例えば、財務情報が極めて敏感な仮定の帰結を十分
に開示していない場合などである。
32.当該監査人が、一つ又はそれ以上の重要な仮定が、経営者の最善の見積りによる仮定を基礎と
して作成された見込財務情報への合理的基礎を提供しておらず、あるいは、1つ又はそれ以上
の重要な仮定が、条件付き仮定によって与えられた見込財務情報への合理的基礎を提供してい
ないと確信した場合、監査人は、見込財務情報の報告書において不適正意見を表明するか、又
は当該契約を解消するかいずれかを行わなければならない。
33.この環境では一つ又はそれ以上の手続の適用が必要であると判断され、それが妨げられる状況
によって調査に影響があった場合、当該監査人は当該契約を解消するか、又は意見の差控えを
行い見込財務情報の報告書に範囲の制限について記述するかのいずれかを行わなければならな
い。
4
.
前掲の注2を参照。
9
ISA810