静止電位 1) 細胞膜とイオンチャネル (1)細胞膜 細胞膜 = 細胞仕切りの薄い膜 基本構造: 厚さ数nmのリン脂質の二重層 所々にタンパク質が埋め込まれる リン脂質 グリセロールに二本の脂肪酸鎖が結合 残った水酸基にリン酸基 - 親水性小分子が結合 リン脂質 = 両親媒性 疎水性の尾部 親水性の頭部 水中 • 疎水性の尾部が互いに接触 親水性の頭部を水と接触させるよう集合 = 袋状に閉じた脂質二重層を形成 脂質二重層膜 単純な拡散 → 水分子や小型で非極性の分子は自由に通す 各種イオンや水溶性分子は通さない 細胞膜 必要な物質の細胞外への流出 → ブロック 有害物質の細胞内への流入 逆にいえば 特別な通路が必要 = 膜輸送タンパク 運搬体タンパク イオンチャネル (2)イオンチャネル 脂質二重層を貫通する水で満たされた通路(チャネル)を持ち、 この通路が開いている間に特定の無機イオンが通過 特定のイオンのみを通過させるためのフィルター 通路の開閉を制御するためのゲート 開状態と閉状態をとる イオンチャネル ion channel 漏洩チャネル 細胞内外の状態にかかわらず、ランダムに開閉を繰り返し、 開状態で特定のイオンが自由に移動 多くのチャネル = ゲートのあるチャネル 電位依存性チャネル 細胞膜をはさんでの内外にかかる電位の変化で チャネルが開閉 2)静止電位 全ての細胞 → 細胞膜を境に、細胞内部と細胞外液の間に電位差 = 膜電位 ニューロンが非興奮状態 細胞の外側に対し、細胞内の方が負 = 静止電位 ニューロンや骨格筋細胞 = -60から-90mV 平滑筋細胞や肝細胞 = -30から-55mV ニューロンの興奮時 興奮部分の膜電位 → 急激、かつ一過的にプラス方向に変化 = 脱分極 閾値を越えると、+30 から 55 mV に達する活動電位が発生 細胞内記録法 intracellular recording 微小ガラス管電極 microelectrode → 電解質溶液を詰め → 細胞内に刺入 → 細胞外に不関電極 → 二電極間の電位差を測定 2本の電極が細胞外 → その間に電位差なし → その電位をゼロと規定 微小電極の先端が細胞膜を通過 → マイナス方向への電位差 = 静止電位 静止電位 ゼロmV 約-70mV 静止電位 ニューロンの静止電位: - 60~90mV 細胞内外の各種有機・無機イオンの分布濃度 = 著しく不均衡 細胞内K+濃度 細胞外よりも20~100倍高い Na+濃度 細胞外が細胞内に比べ5 ~ 15倍高い 細胞内に存在するタンパク分子の多く イオンに解離しマイナスの電荷を持つ 細胞膜 Na+よりもK+に対しての透過性がはるかに高い (神経細胞では25倍以上) = 選択的透過性 K+漏洩チャネル >>> Na+漏洩チャネル (1) 細胞内のK+はその濃度勾配(化学的勾配)に従って、 細胞外に拡散しようとする (1) 化学的勾配 (2) (3) (4) 電気的勾配 (2) K+ → 細胞外 = プラスの荷電を細胞外にへ持ち去る 内部の陰イオンはK+と共に細胞外へ出ていけない → 細胞の内側は電気的によりマイナスになる (1) 化学的勾配 (2) (3) (4) 電気的勾配 (3) K+がさらに外へ向かって拡散を続ける → 内側のマイナスの極性の程度は一層増大する この電気的勾配 K+を細胞内に引き留めるように働く (1) 化学的勾配 (2) (3) (4) 電気的勾配 (4) これらの勾配(電気化学勾配)が釣り合い平衡状態をとる = 平衡電位 個々のK+は細胞内・外へ動いているかもしれないが、 総和としてのK+の動きは正確に釣り合っている (1) 化学的勾配 (2) (3) (4) 電気的勾配 実際のニューロンの静止電位 -60mV程度 K+の平衡電位 -75mV よりも少し脱分極側(=プラス側) ほんの少しだが、Na+チャネルの一部が開いている • Na+が細胞外からある程度流入している Na+-K+ポンプ 運搬体タンパクの一種 細胞内のNa+を細胞外へ排出し 同時に流出したK+を取り入れ ↓ 細胞内外のイオン濃度を一定に保つ ある分子の細胞外濃度が内部よりも高く 適当なチャネルか運搬体タンパクが細胞膜にあれば → その溶質は自然に膜を透過して細胞内に入り込む = 受動輸送 輸送タンパクによるエネルギーの消費は起こらない 溶質を濃度勾配に逆らって移動させるには 何らかの代謝エネルギーの供給を共役的に受けながら 坂を登る方向の輸送をしなければならない = 能動輸送 Na+ - K+ ポンプ 電気化学勾配に逆らい、Na+とK+を移動させる能動輸送 = ATPの加水分解のエネルギーを利用 (1) 細胞内のNa+ → ポンプの細胞内に露出している部分に結合 → ATPアーゼの活性化 (2) ATPが分解 → ADPが解離 → リン酸基は高エネルギー結合によりポンプに結合 = リン酸化 (3ー4) ポンプの構造が切り替わる → Na+が細胞外へ放出 → 同時にK+の結合部位が外表面に露出 → (5) 細胞外のK+が結合 → ポンプからリン酸基が取り除かれる = 脱リン酸化 (6) ポンプは初めの構造に戻る → K+は細胞内に放出される ポンプの1回転 実際には、3個のNa+が放出され、2個のK+を取り込み = 差し引き1個の陽イオンが細胞外に排出 = 膜電位はマイナス側に保たれる 動物細胞:全ATPの30%以上がこのポンプに使われている パスワード resting
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