VOL.28 CHEMOTHERAPY S-3 521 皮 膚 科 領 域 に お け るCefroxadine(CGP-9000) 山 本 康 生 ・秋 山 尚 範 ・柏 尚裕 洲 脇 正 雄 ・荒 田 次 郎 ・野 原 塑 下 岡山大学医学部皮膚科教室 (主任:野 原望教授) 三 好 薫 川崎医科大学附属川崎病院皮膚科 藤 田 慎 一 岡山赤十字病 院皮膚科 中 北 隆 高松赤十字病院皮膚科 徳 丸 伸 之 住友別子病院皮膚科 難 波 英 彦 岡山済生会病院皮膚科 萩 山 正 治 呉共済病院皮膚科 武 誠 国立福山病院皮膚科 多 田 宏 祠 国立岡山病院皮膚科 山 田 真 理 子 岡山市民病院皮膚科 1) 最 近,皮 びCephalexin(以 膚 病 巣 よ り採 取 した 黄 色 ブ菌32株 下CEX)のMICを に 対 す るCefroxadine(CGP-9000, CXD)お よ 間 後 の 血 清 内,皮 膚 内 測 定 し た 。CXDは1.6μg/mlに1株,3.2に7,6.3に 6,12.5に7,25に5,50に6で,CEXは3.2μg/mlに3株,6.3に13,12.5に9,25に2,50 に5で 2) あ った。 ラ ッ トにCXD50mg/kgを 内 服 さ せ た 場 合 の30分,1時 間,2時 濃 度 は 各6.0±3.94,20.5±9.62,21.0±4.14μg/ml,2.66±2.38,9.26±3.62,8.14±1.75μg/g (湿 重 量)(n=4)で あ った 。 3) 皮 膚 感 染 症27例 は,1例 に 本 剤 を 使 用 し た 。 著 効13例,有 に 手 が ガ サ ガ サ し た も の が あ っ た が,他 効11例,無 効3例 で あ った 。 副 作 用 と して に 副 作 用 と 思 わ れ る も の は 認 め ら れ な か った 。8 例 で 行 い 得 た 投 与 前 後 の 臨 床 検 査 で は 異 常 と思 わ れ る 変 動 は 認 め ら れ な か っ た 。 基 礎 的,臨 床 的 検 討 を行 う機 会 を得 た の で,そ の成 績 を 序 Cefroxadine(CGP-9000, 文 CXD)は 以 下 に報 告 す る。 新 し く合 成 さ れ た I. 経 口 セ フ ァ ロ ス ポ リ ン 系 抗 生 物 質 で,7β-〔D-2-Amino2-(1,4-cyclohexadie-nyl)-acetamido〕-3-methoxy-ceph -3-em-4-carboxylic acidで あ る 。 今 回,本 材 料 と 方 法 1) 最 近皮 膚 科 領 域 よ り採 取 し た黄 色 ブ菌 に対 す る 剤 に つ い て CXDお よ びCEXのMICの 分 布:岡 山 大 学 皮膚 科 外 CHEMOTHERAPY 522 Table 1 MIC of CXD and CEX isolated from skin AUG. against 32 strains 1980 of St. aureus infection (Igoculum size106/ml) 来入 院 患者 の皮 膚 感染 病 巣 よ り採 取 した黄 色 ブ園32株 を Fig. 1 使用 し,化 学 療 法 学会 標 準 法 に準 じて測 定 した 。 トリブ トソーヤ ブイ ョン(ニ ッス イ)に一 夜 培 養 した 菌 液 を ハ ー Correlation of antibiotic susceptibility between CXD and CEX St. aureus 32 strains (Inoculum size 103/ml) トイ ンフユ ー ジ ョ ン培 地(ニ ッス イ)に 画線 塗 抹 した。 2) ラ ッ トに お け るCXDの 較:Wistar系 mg/kgの 血 清 内,皮 膚 内濃 度 の 比 雄 ラ ッ ト(200g前 投 与 量 を50mg/mlの 後)を 使用 した。50 懸 濁 液 と して金 属 カ テ ーテ ルに て 空腹 時 に 胃 内に 投与 した 後,30分,1時 間, 2時 間 後 に4匹 ず つ を1群 と して 頸 動脈 切 断 採 血屠 殺 し た 。背 部 皮膚 を 剃 毛 した 後,背 部 皮膚 を採 取 した 。血 液 は 血清 分 離 採取 し試験 材 料 と した。 皮膚 は可 及的 に皮 下 組織 を除 去 し,鋏 で細 切 した後,2倍 M, pH7.0, Na-phosphate 量(v/w)の0.05 buffer中 で,polytm高 速 ホモ ジ エ ナ イザ ーで ホ モ ジエ ナ イ ズ し,30分 間放 置 した 後,4℃,10分 間,10,000rpmで 遠 沈 し,上 清 を試 験 材 料 と した。 皮膚 内 濃度 は,材 料 と した皮 膚 の 単位 湿 重 量 あ た りに 換 算 した 。検 定 菌 はMicrococcus luteus ATCC 9341を 用 い,薄 層 カ ップ法 に よ った 。標 準 線 作成 は上 記 Table 2 bufferを 用 い た 。 Serum and skin levels of CXD after oral administration in rats (50mg/kg) 3) 臨 床 試験:岡 山大 学 皮膚 科,川 崎 医 科大 学 附 属 川 崎病 院 皮 膚 科,岡 山赤 十 字病 院 皮 膚 科,高 松 赤十 字 病 院 皮膚 科,住 友別 子病 院 皮 膚 科,岡 山 済生 会 病 院皮 膚 科, 呉 共済 病 院 皮膚 科,国 立 福 山病 院 皮膚 科,国 立 岡 山病 院 皮膚 科,岡 山市 民病 院 皮 膚 科 にお い て皮 膚 感染 症,計27 例 に使 用 した 。全 例 に1日0。5gを 朝 夕食 後2分 服 で 投 与 した。 効果 判 定 は5日 目ま でに 著 明改 善 の み られ た も の を著 効,改 善 の み られ た ものを 有効,7日 目 まで に 改 善 のみ られ た もの を やや 有 効,み られ なか った もの を 無 効 と した 。 自 ・他覚 的 副 作 用 お よび 可能 な 症 例 につ い て は臨 床 検 査値 を 検 討 した 。 II. 結 果 Test organism 1) 黄 色 ブ 菌 に 対 す るCXDお の分 布(Table 1,Fig. 1): CXDのMICの 分布 は1.6 2) ラ ッ トに お け るCXDの μg/mlに1株,3.2に7,6.3に6,12.5に7,25に5, (Table 50に6で 値6.0±3.94,1時 あ り,明 らか な ピー ク はみ られ ない 。CEXの 2,Fig. それ は3.2μg/mlに3株,6.3に13,12.5に9,25に2, μg/mlで 50に5で 間 値9.26±3.62,2時 あ り,ピ ー クは6.3μg/mlに Micrococcus luteus ATCC-9341 よ びCEXのMIC あ る。 2):平 あ り,皮 血 清 内,皮 膚 内濃 度 均 値 で み る と 血 清 内 濃 度 は30分 間 値20.5±9.62,2時 膚 内 濃 度 は30分 間 値21.0±4.14 値2.66±2.38,1時 間 値8.14±1.75で あ る。 ピー タは VOL.28 CHEMOTHERAPY S-3 Fig. 2 Serum and skin levels of CXD after oral administration in rats (50mg/kg) Test organism Alicrococcus luteus ATCC-9341 523 血清 内,皮 膚 内 と もに1時 閥 ∼2時 間 に あ る。 3) 臨 床成 績(Table 8例,伝 3,Table 染 性 膿 痂 疹3例,リ 蜂 窩 織 炎1例,爪 4):〓8例,毛 ンパ管 炎3例,〓 囲 炎1例,癰1例,感 包炎 腫 症1例, 染 性 粉 瘤1例, 計27例 に本 剤 を 使用 した。 著効13例,有 効11例,無 効3 例 で あ った。 症例25に お い て,内 服 を は じめ て か ら手 が が さが さ しは じめ,1日1カ プ セル にす る とな お った と い う訴 え が あ った。 他 の26例 で は 副作 用 と思 わ れ る もの は 認 め られ な か った 。8例 で 行 った投 与 前後 の 臨 床 検 査 で は異 常 を 認 め なか った。 III. 考 察 黄 色 ブ菌 に 対 す るCemxadine(CXD)お のMIC(108/ml)の CXDは 明 らか な ピー クは み られ ず,12.5μg/ml以 に18株(56.3%)あ が あ り,12.5μg/ml以 ず れ も12.5μg/ml以 る。CXDの Table 3 Clinical use of CXD よ びCEX 分 布 は 結 果 に 示 す とお りで あ る。 った。CEXは6.3μg/mlに 上 に は16株(50%)あ った。 い 上 の株 の 比率 の高 い点 が 注 目 され 抗 菌 力 はCEXと in dermatology 上 ピー ク ほ ぼ同 等 と 考 え られ る。 CHEMO7HERAPY 524 Table * 4 Laboratory examination AUG. before and after 1980 CXD use n.d.: Not determined 全 国集 計 の デ ー タ9に おい て も,同 等 の分 布 を 示 し,い ずれ も ピー クは63μg/mlに あ る。 副 作用 と して は,薬 疹 をは じ め と す る ア レルギー症 状,消 化 器 症状 は認 め られ な か った。症 例25に おいて, ラ ッ トに お け る血 清 内,皮 膚 内濃 度 は結 果 に示 す とお 内服 を始 め て か ら手 が ガ サ ガサ しは じめ1日1カ プセル りで,ピ ー クはい ず れ も1時 間∼2時 間に あ る。血 清 内 に す る とな お った とい う訴 え が あ った 。8例 で行 った投 濃 度 に対 す る皮 膚 内濃 度 の 比 は,1時 与 前後 の 臨 床 検査 では 異常 を 認 め なか った。 間0.45,2時 間 0.39と 高 い 皮膚 内移行 を示 した。 ちな み に,以 前,わ れ わ れが 行 った ラッ トに お け るCEX2)(50mg/kg)の ー ク時(1時 間)の 比 は0 .21で あ った 。 臨 床成 績 は,投 与 した27例 中 著効13例,有 効3例 であ り,有 効以 上は88.9%で ピ 効11例,無 あ っ た 。MICの 分 布 か ら考 え て よ い成 績 といえ る。今 回 の成 績 で,通 常 の 皮 膚 感染 症 に 対 して は1回250mg1日2回 で ほ ぼ 目的 は達 せ られ た と考 え られ るが,な お今 後 の検 討 を 要 す る。 文 献 1) 第27回 日本 化学 療 法 学 会 総 会 新 薬 シ ンポジウム IV。CGP-9000, 1979 2) 山 本康 生, 洲 脇正 雄, 荒 田次 郎, 野 原 望: 皮膚 科 領域 にお け るCefaclorの 基 礎的, 臨 床 的 検討。 Chemothempy 27(S-7): 727∼731, 1979 VOL.28 CHEMOTHERAPY 5-3 CEFROXADINE(CGP-9000) IN 525 THE FIELD OF DERMATOLOGY YASUO YAMAMOTO, NAONORI AKIYAMA, NAOHIRO KASHIWA, MASAO SUWAKI, JIRO ARATA and NOZOMI NOHARA Department of Dermatology, Okayama University Medical School (Director: Prof. NOZOMI NOHARA) KAORU MIYOSHI Department of Dermatology, Kawasaki Medical Hospital SHINICHI FUJITA Department of Dermatology, Okayama Red Cross Hospital TAKASHI NAKAKITA Department of Dermatology, Takamatsu Red Cross Hospital SHINJO TOKUMARU Department of Dermatology, Sumitomo Besshi Hospital HTDEHIKO NANBA Department of Dermatology, Okayama Saiseikai Hospital MASAHARU HAGIYAMA Department of Dermatology, Kure Kyosai Hospital MAKOTO TAKE Department of Dermatology, National Fukuyama Hospital KOJI TADA Department of Dermatology, National Okayama Hospital MARIKO YAMADA Department 1) MICs isolated 7, 6.3 in 9, 2) of in 25 the 6, in 12.5 2 Serum 2 hours. hours. The 3) CXD in 11 and and 1 and good Cefroxadine from (CGP-9000, lesions in 7,25 50 skin in was poor in 5 CXD) infection and 50 in and were 6. cephalexin studied. MIC of against MIC of cephalexin 32 CXD was strains was of Staphylococcus 1.6ƒÊg/ml 3.2ƒÊg/ml in 3 in aureus 1 strain, strains, 6.3 3.2 in 13, in 12.5 5. Serum used skin levels of levels corresponding cases, of of Dermatology, OkayamaCity Hospital skin clinically in CXD were levels in 3 cases. after oral administration 6.0•}3.94, 27 were cases (50mg/kg) 20.5•}9.62, 2.66•}2.38, of skin were 21.0•}4.14ƒÊg/ml 9.26•}3.62, infection with determined 8.14•}1.75ƒÊg/g the following in respectively at (wet result: skin) excellent rats 0.5, at 0.5, 1 and (n=4). in 13 cases, 2
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