アンチエージングに関連した皮膚の栄養成分

トコトリエノールに関連した研究報告から:
№ 001
ビタミン E の全種類を含有するパーム・トコトリエノール複合体
アンチエージングに関連した皮膚の栄養成分
ビ
タミン E は化粧品・パーソナルケア製品業界で広く用いられています。ビタミン E はかつて、皮膚の瘢痕予防や老化防止へ
の取り組みから保湿効果に至るまで、私たちの皮膚に多くの利点をもたらしてくれる「奇跡」の化合物としてもてはやされたこ
とがありました。日常環境下で化学物質による傷害や紫外線曝露によって引き起されるフリーラジカルあるいは酸化ストレスの猛
襲から皮膚を守る抗酸化特性がビタミン E の主な役目とされてきました。化粧品に用いられるビタミン E のほとんどは、天然あるい
は合成のトコフェロールです。
化粧品への応用や女性の健康の分野においてトコトリエノールの有益性を報告している最近の数多くの発表に活気付けられて、
ビタミン E のより強力な形とされるトコトリエノールの利用が経口、局所両方の応用分野で化粧品・パーソナルケア業界から多大な
注目を集めています(トコトリエノールは従来のビタミン E のα-トコフェロールより 40~60 倍も強力であることが明らかにされていま
す)。皮膚の保護や老化防止においてトコフェロールよりも優れている可能性のあるトコトリエノールについて興味をそそられる調査
研究が現在進行中です。
トコトリエノールとトコフェロールは共にビタミン E ファミリーの構成メンバーです。
構造は極めて似通っていながらも、トコトリエノールには丌飽和の側鎖(尾部)が
あるのに対し、トコフェロールの側鎖は飽和である点が異なります。この丌飽和
側鎖がトコトリエノールにトコフェロールでは明らかにされていない数多くのユニ
ークで付加的な生物学的活性をもたらしています。トコトリエノールが 21 世紀の
ビタミン E と言われる所以もここにあります。
イェール大学医学部の皮膚科学者 Nicholas Perricone 博士は、自身のニュ
ーヨークタイムズ紙ベストセラー本”The Wrinkle Cure“の中で、トコトリエノール
を新たに「高力価のビタミン E(high-potency form of vitamin E)」と形容し、皮
膚の健康促進と老化防止を目的としたクリームにトコトリエノールを利用すること
を推奨しています。
皮膚の保護におけるトコトリエノール研究は割りと新しく、おおよそ 8 年程しか
たっていません。皮膚の保護と栄養状態に果たすトコトリエノールの役割を解明
し、その有効性を評価するためのさらなる研究が企業あるいは大学の研究機
関で実施されています。トコトリエノールは、とりわけ酸化ストレスの防止と皮膚
のアンチエージングの面で、皮膚の保護に重要な役割を果たしていると研究者
は考えています。
トコフェロール(従来のビタミン E)を上回る天然ビタミン E の全種類を含有す
るトコトリエノール複合体(スーパー・ビタミン E)が皮膚の栄養補給とその状態に
もたらす有益性についてこれまでに報告された主要な所見を以下にご紹介致
します。
トコトリエノールは天然ビタミン E の構成要素であり、またトコフェロールよりも強力な抗酸化剤でもある(生体系において
40~60 倍)。したがって、トコトリエノールは皮膚で発生するフリーラジカルの猛襲に対してより良好かつ有効な防御となり
得る 1。
トコトリエノールは、その不飽和側鎖に起因する流動特性よって、飽和化されているあらゆる種類のトコフェロールよりも効
率的な方法で細胞の(主に不飽和脂肪酸からなる)二重膜を速やかに通過することが可能である 2,3。
トコトリエノールは、経口摂取、局所塗布のいずれでも、角質層(皮膚最外層 5 μm の部分)に優先的に蓄積することが可能
である。ヒトの体はビタミン E のうちトコトリエノールの形を優先して皮膚に蓄積させる。トコトリエノールがトコフェロー
ルよりも強力な抗酸化剤であることを考慮すれば、トコトリエノールは UV 照射や他の環境汚染によって引き起される酸化ス
トレスに対して皮膚の第一線の防衛として働いていることがよく分かる 4,5。
強力な抗酸化剤としてトコトリエノールは酸化損傷に対して顕著な保護作用を及ぼすと同時に、UV が誘発する酸化損傷に対
しても皮膚の第一線の防衛として働いていることから、トコトリエノールは実質的に皮膚に存在するトコフェロールを保護し
ていると考えられる 6,7。
トコトリエノールは皮下に存在するコラーゲン基質の酸化を防止し、皮膚の老化予防に寄与していることが研究によって明ら
かにされている 8,9,10。
日 本の東海大学医学部の研究者は、パーム・トコトリエノール複合体の投不が酸化ストレスのリスク減少をもたらしたことから、
この化合物に老化を防止する可能性があることを見出しました。フリーラジカルや活性酸素種による酸化的損傷は老化の
過程と密接な関連があるとされ[老化に関するフリーラジカル説]、パーム・トコトリエノール複合体はタンパク質の酸化を著しく防止
し、タンパク質のカルボニル含量(老化過程の酸化ストレスの優れた指標)の蓄積を減少させることが結果から明らかになりました。
研究には C. elegans という線虫が用いられました。研究者の心を引きつけたこの細長い虫は、全ての遺伝子コレクションが専門
的に解読されており、おそらく最も完全に近い状態で理解された生命体として知られています。それ故に C. elegans は、老化、がん、
筋ジストロフィーなどの多くの疾患についてとりわけ重要なレッスンを受ける際に理想となるモデルを科学者に提供してくれます。
パーム・トコトリエノール複合体の投不によって平均寿命が非照射群と比較して UVB 照射群で回復したのに対し、α-トコフェロー
ルの投不では顕著な回復が認められませんでした。このことは、パーム・トコトリエノール複合体には、従来型ビタミン E のα-トコフェ
ロールよりも UVB 照射によって引き起される急性の酸化ストレスに対して強力な防御機能が備わっていることを示しています 11。
ト コトリエノールについてこれまで明らかにされている強力な抗酸化特性と独特の化学的性質が、皮膚の老化と栄養補給に取り
組むうえでトコトリエノールを優れた成分としています。トコトリエノールに存在する多価丌飽和イソプレノイド側鎖は、トコトリエノー
ルが丌飽和化された細胞の二重膜をトコフェロールよりも効率よく通過できるようにしています。この丌飽和側鎖はまた、トコトリエノ
ールを細胞膜中に均一に分布させることによって、細胞がトコトリエノールを取り込むことを容易にしています。
文 献
1. Serbinova E, Kagan V, Packer, L et al., “Free radical recycling and intramembrane mobility in the antioxidant properties of α-tocopherol and α-tocotrienol”,
Free Radical Biology & Medicine, 1991; 10 : pp : 263 – 275.
2. Suzuki YJ, Tsuchiya M, et al., “Structural and dynamic membrane properties of α-tocopherol and α-tocotrienol : Implications to the molecular mechanism of
their antioxidant potency”, Biochemistry, 1993; 32 : pp : 10692 –10699.
3. Serbinova EA, Tsuchiya M, Goth S, Packer L, et al., “Antioxidant action of α-tocopherol and α-tocotrienol in membranes. In : Packer L, Fuchs J, Eds.
Vitamin E in Health and Disease. Pp : 235 – 243. New York : Marcel Decker Inc 1993.
4. Ikeda S, Niwa T, Yamashita K, “Selective uptake of dietary tocotrienols in rat skin”, J. Nutr. Sci. Vitaminol., 2000; 46(3) : pp : 141-3.
5. Traber MG, et al., “Diet-derived and topically applied tocotrienols accumulates in the skin and protected the tissue against UV light-induced oxidative
stress”, Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition, 1997; 6(1) : pp : 63 – 67.
6. Packer L, et al., “Simultaneous determination of tissue tocopherols, tocotrienols, ubiquinol and ubiquinones”, Journal of Lipid Research, 1996; 37 : pp :893
– 901.
7. Traber MG, Packer L, et al., “Efficacy of topically applied tocopherols and tocotrienols in protection of murine skin from oxidative damage induced by
UV-irradiation”, Free Radical Biology and Medicine, 1997; 22(5) : pp : 761 – 769.
8. Thiele JJ, Traber MG, Packer L, et al., “Ozone depletes tocopherols and tocotrienols applied to murine skin”, FEBS Letter, 1997; 401 ; pp : 167 – 170.
9. Thiele JJ, Traber MG, Packer, L, et al., “In vivo exposure to ozone depletes vitamin C and E and induces lipid peroxidation in epidermal layers of murine
skin”, Free Radical Biology & Medicine, 1997; 23 : pp : 385 – 391.
10. Weber, S, Traber, MG, packer, L et al., “Tocotrienol acetate penetrates into murine skin and is hydrolyzed in vivo”, Presented at the OCC World Congress
1999, March 3 – 6th, Santa Barbara, CA.
11. Adachi H, Ishii N, “Effects of tocotrienols on life span and protein carbonylation in Caenorhabditis elegans”, J. Gerontol. A. Biol. Sci. Med. Sci., 2000; 55(6) :
pp : B280-285.
Tocomin®のような天然に存在するビタミンEの全種類を含有するパーム・トコトリエノール複合体は、皮膚への応用分野においても最も強力なビタミンE
となる可能性があります。Tocomin® 50%とTocomin® 50%Cは共に、Personal Care Products Council(旧CTFA: 米国化粧品工業会)により化粧品・
パーソナルケア製品への使用が承認され、INCI名(International Nomenclature of Cosmetic Ingredient)が割り当てられています。
これまで科学雑誌に発表された新たな所見によって、化粧品メーカーは自社で処方したトコフェロールを置き換えるためにトコトリエノールを評価し始
めています。トコトリエノールは基本的に大きく二つのタイプの製品に処方することが可能です。すなわち、局所用の製品(アンチエージング・クリーム
あるいはモイスチャライザー、ナイトクリーム、抗酸化クリームなど)と経口用の製品(主にソフトカプセルの形態)が考えられます。
局所用クリームで推奨される添加量はTocomin® 50%Cとして0.3%から1.0%までの範囲です。また、経口用の製品(「内面からの美しさ」のためのコス
メシューティカル製品)への応用には、パーム・トコトリエノール複合体とミックスカロテノイド(α-、β-カロテンと他のカロテノイド)を組み合わせたソフト
カプセルが、とりわけ皮膚の栄養、老化、フリーラジカルからの保護に取り組むうえで理想的でしょう。
化粧品業界は急激な成長を遂げており、トコトリエノールは皮膚の保護における最強の形のビタミンEとして期待されています。アンチエージ
ングに加え、皮膚の栄養と保護に特に取り組むために処方された局所・経口用の製品にこのような天然の植物栄養素を取り入れることは賢明
な選択と言えるのではないでしょうか。
出 典: Tocomin® – Full Spectrum Palm Tocotrienol Complex & Skin Nutrition vis-a-vis Anti-aging. Carotech Inc. 2008.
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