ア ドホ ッ ク ・メ ッシ ュネ ッ トワー クに よ る災 害 時通 信 シ ス

福 井 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 研 究 報 告 第63巻2015年3月
Mem.
Grad.
Enc.
Unix. Fukui.
Vol. 63
( March
201
ア ドホ ッ ク ・メ ッ シ ュ ネ ッ ト ワ ー ク に よ る 災 害 時 通 信 シ ス テ ム
木下
A Disaster
Masaaki
昌昭*白
井
治彦**黒
Communication
KINOSHITA*
岩
System
, Haruhiko
and
丈介***小
using
Ad-hoc
SHIRAI**
Tomohiro
高
知宏*
Mesh
, Jousuke
Network
KUROIWA***
ODAKA*
(Received February 6, 2015)
In this article,
we propose
a disaster
communication
work. In this system, we use the Etherphone
data link layer and the physical
of a message
layer. The Etherphone
of data. We produced
We built an alternative
which using wireless
nication
terminal
equipment
multi-hop
network
terminal
equipment
We demonstrated
communication
in alternative
and mesh netusing only the
for the transmission
by using Etherphone.
at the time of disaster by constructing
communication.
can take ad-hoc
network
technology
network uses a broadcast
mobile communication
communication
network
system using ad-hoc
which is new communication
mobile ad-hoc
that the mobile commucommunication
network
at the time of disaster.
Key words : Etherphone,
1.は
Disaster
Communication,
じめ に
Mobile Ad-hoc
Network,Routing
Protocol
災 害 時 に お け る通 信 ネ ッ トワ ー ク の 問 題 は,今 まで 以
上 に致 命 的 に な り う る.被 災 状 況 の確 認 や 適 切 な救 助 活
近 年 のIT技
術 の 発 達 に伴 い,医 療 や 災 害 救 助 に お い
動 な ど に必 要 な 情 報 は,そ の被 害 が 大 き くな れ ば な る ほ
て も,積 極 的 にIT技 術 が 利 用 さ れ て い る.現 在 利 用 さ れ
ど得 難 くな る.こ れ ら の 通 信 網 の 復 旧 は,破 損 箇 所 の 明
て い る通 信 ネ ッ トワ ー ク は,一 般 的 に ユ ー ザ の 端 末 と最
確 な 特 定 が 困 難 で あ る こ とや 災 害 に よ る地 形 の 変 動 に
寄 りの 電 話 局 あ る い は 基 地 局 な ど の 問 を 接 続 す る ア ク
よ り,破 損 箇 所 に 人 が 足 を踏 み 入 れ られ な くな っ て し ま
セ ス ネ ッ トワ ー ク と,電 話 局 また は 基 地 局 な ど を相 互 に
う な ど非 常 に 時 間 と手 間 が か か る.被 災 時 で の 救 助 活 動
接 続 す る基 幹 ネ ッ トワ ー ク に よ り構 成 され る.こ の よ う
は,迅 速 な 対 応 が 求 め られ る こ とが 多 く,既 存 の シ ス テ
な 通 信 ネ ッ トワ ー ク は 通 常 時 に は 安 定 し た 高 速 な移 動
ム の復 旧 を 待 た ず,代 替 的 な通 信 シ ス テ ム を 敷 設 し利 用
通 信 サ ー ビス を提 供 可 能 で あ るが,地 震 等 の 災 害 が 発 生
し よ う と す る研 究 が 多 くな さ れ て い る ∫1]・[2]
した 場 合,ア クセ ス ネ ッ トワ ー ク は 通 信 可 能 で あ っ た と
本 研 究 で は,イ ー サ フ ォ ン[3]と い う通 信 技 術 を用 い
して も,基 幹 ネ ッ トワ ー クが 物 理 的 な 損 壊 や 停 電 等 に よ
た 無 線 通 信 端 末 を製 作 し,そ の 端 末 を用 い て 無 線 マ ル チ
り,通 信 不 能 に な る こ とが あ る.
ホ ッ プ通 信 に よ る モ バ イ ル ア ドホ ッ ク ネ ッ トワ ー ク[4]
を構 成 す る こ とで,災 害 時 に お け る代 替 的 な 通 信 ネ ッ ト
・大 学 院 工 学 研 究 科 原 子 力 ・エ ネ ル ギ ー 安 全 工 学 専 攻
モ バ イ ル ア ドホ ッ クネ ッ トワ ー ク は ユ ー ザ 端 末 間 の
**技 術 部
***大 学 院 工 学 研 究 科 知 能 シ ス テ ム 工 学 専 攻
*Nuclear Power and Energy Safety Engineering
Graduate School of Engineering
**Dept . of Technology
***Human
and Artificial
Intelligent
Graduate
School of Engineering
ワ ー ク を 構 築 す る.
無 線 通 信 を 基 本 とす る 自律 分 散 ネ ッ トワ ー クで あ り,直
Course ,
接 無 線 通 信 を行 う こ との で き な い 端 末 との 通 信 は,無 線
通 信 が 可 能 な 他 の ユ ー ザ 端 末 が 中 継 を行 う こ とで 実 現
す る こ とが で き る.基 地 局 を 必 要 とせ ず,通 信 経 路 は 中
Systems
Course
,
継端 末 の負 荷 の状 態や 端 末 自体 の通 信範 囲外へ の移動
に応 じ て 他 の 通 信 可 能 な 端 末 を用 い る よ う 自動 的 に再
64
構 成 され る た め,大 規 模 災 害 発 生 時 の 既 存 移 動 通 信 ネ ッ
トワ ー ク の代 替 手 段 と し て 有 効 で あ る と考 え られ る.
本 稿 で は,シ ン グ ル ボ ー ドコ ン ピ ュ ー タ を用 い て イ ー
サ フ ォ ン無 線 通 信 端 末 を実 装 し,そ の 無 線 通 信 端 末 を用
い て ア ドホ ッ ク な通 信 が 行 え る こ とを 実 証 した.
2.災
2.1災
害 時通信 シス テム の構 成
害 時通信 シス テム の概 要
本 研 究 に お け る 災 害 時 通 信 シ ス テ ム と は地 震,津 波,
洪 水,台 風 な ど の 広 域 に わ た る 大 規 模 災 害 の 影 響 に よ
図1モ
バ イ ル ア ドホ ッ ク ネ ッ ト ワ ー ク
り,敷 設 され て い るネ ッ トワ ー ク イ ン フ ラ に 障 害 が 発 生
した 際 に,そ れ に代 替 す る応 急 的 通 信 イ ン フ ラの こ とで
MANETは
無 線 ア ドホ ッ ク ネ ッ トワ ー ク の 一 種 で あ
あ る∫5]そして,災 害 時 通 信 シ ス テ ム に お い て,破 壊 さ れ
り,一 般 に ア ドホ ッ ク ネ ッ トワ ー クの 上 に ル ー テ ィ ン グ
た 通 信 ネ ッ トワ ー ク に 対 して,代 替 的 に 構 築 した ネ ッ ト
を行 うネ ッ トワ ー ク環 境 が あ る とい う構 成 で あ る.ま た,
ワ ー ク の こ とを 災 害 時 通 信 ネ ッ トワ ー ク と呼 ぶ こ とに
メ ッシ ュ ネ ッ トワ ー ク の 一 種 で も あ るが,メ ッ シ ュネ ッ
す る.こ の 通 信 イ ン フ ラ は被 災 地 で 破 壊 され 利 用 で き な
トワ ー ク は 一 般 に移 動 体 や 無 線 に 限 定 さ れ な い.
くな っ た 通 信 イ ン フ ラの 修 復 で は な く,通 常 の イ ン フ ラ
無 線 マ ル チ ホ ッ プ 通 信 を利 用 す るMANETで
重要 と
修 復 まで の 一 時 的 通 信 イ ン フ ラで あ る た め,ネ ッ トワ ー
な るの が ル ー テ ィ ン グ で あ る.通 常,無 線 端 末 を 用 い て
ク構 築 に か か る コ ス トが 安 価 で あ る こ と,ネ ッ トワー ク
ネ ッ トワ ー ク の 構 築 を行 う場 合 に は,OLSRやAODVな
構 築 や 通 信 に手 間 が か か ら な い な どの 即 応 性,二 次 災 害
どの ル ー テ ィ ン グ プ ロ トコル を用 い て,無 線 マ ル テ ィホ ッ
に よ る被 害 を 受 け に くい と い う耐 障 害 性 が 求 め られ る.
プ に 最 適 化 した ル ー テ ィ ン グ プ ロ トコ ル を 考 案 す る必
そ の よ う な 問 題 か ら,こ うい っ た研 究 で は,主 に メ ッ
要 が あ る.し か し,本 研 究 で は 通 信 技 術 に イ ー サ フ ォ ン
シ ュネ ッ トワ ー ク や ア ドホ ッ ク ネ ッ トワ ー ク と い っ た
を用 い て い る.イ ー サ フ ォ ン の 詳 細 につ い て は 次 章 で 説
技 術 が 用 い られ て い る.ア ドホ ッ ク ネ ッ トワ ー ク で は,
明 す る が,通 信 に お け るル ー テ ィ ン グ は,細 か くル ー ト
マ ル チ ホ ッ プ通 信 とい う広 くコ ン ピ ュ ー タ 等 の 無 線 接
を設 定 して 通 信 す るの で は な く,周 囲 に あ る全 て の 端 末
続 に用 い られ て い るIEEE802.llx,Bluetooth等
の技術 を
に ブ ロー ドキ ャ ス トを 行 う こ とで 通 信 を行 う の で,ル ー
用 い な が ら多 数 の 端 末 を ア クセ ス ポ イ ン トの 介 在 な し
テ ィ ン グ プ ロ トコ ル の 最 適 化 設 定 に伴 う手 間 を 削 減 す
に相 互 に 接 続 す る形 態 を とっ て い る.し か し,そ れ ら の
る こ とが で き る.
無 線 マ ル チ ホ ッ プ通 信 は,最 適 化 され た ル ー テ ィ ン グ プ
ロ トコ ル を 考 案 す る必 要 が あ り手 間 が か か る.ま た,情
報 の伝 達 内 容 や 伝 達 頻 度,利 用 目的 や 利 用 規 模 に よ っ て
2.2災
害 時 通 信 ネ ッ トワ ー ク の 構 築
災 害 時 通 信 ネ ッ トワ ー ク の ネ ッ トワ ー ク形 態 と して
ネ ッ トワ ー ク の 構 成 方 法 は 様 々 で あ る.そ こ で,設 定 不
は,モ バ イ ル ア ドホ ッ ク ネ ッ トワ ー ク を利 用 す る.モ バ
要 で簡 単 に通信 可 能 な イー サ フ ォン通信 技術 を用 い て
イ ル ア ドホ ッ ク ネ ッ トワ ー クで は,多 数 の 端 末 を ア ク セ
無 線 通 信 端 末 を 製 作 し,災 害 時 に お け る代 替 的 な ネ ッ ト
ス ポ イ ン トの 介 在 な し に 相 互 に接 続 す る形 態 で あ る マ
ワ ー ク と して モ バ イ ル ア ドホ ッ ク ネ ッ トワ ー ク を構 築
ル チ ホ ッ プ 通 信 を行 う.
本 研 究 に お け る 無 線 通 信 の 規 格 と し てIEEE802.ll
す る.
モ バ イ ル ア ドホ ッ クネ ッ トワ ー ク(mobileadhocnetwork,MANET)は,携
帯 機 器 を無 線 通 信 で リ ン ク す る 自
己 形 成 型 ネ ッ トワ ー ク の 一 種 で あ る.図1に
に,MANET内
示す よう
の 各 機 器 は任 意 の 方 向 に 自 由 に 動 か す こ
を使 用 す る.IEEE802.11はIEEE(米
でLAN技
年7月
国 電 気 電 子 学 会)
術 の 標 準 を策 定 し て い る802委
員 会 が1998
に定 め た 無 線LANの
標 準 規 格 で あ る.ク ラ イ ア
ン ト側 か ら見 た 無 線LANの
接 続 形 態 は,ア ク セ ス ポ イ
とが で き,そ の 際 に 他 の機 器 との リ ン ク を頻 繁 に変 化 さ
ン トの 使 用 の 有 無 で2つ
の モ ー ドに 大 別 で き る.イ ン
せ る.各 機 器 は 自 ら とは 無 関 係 の トラ フ ィッ ク を転 送 で
フ ラス トラ クチ ャー モ ー ド とア ドホ ッ クモ ー ドで あ る.
き,従 っ て ル ー タ ー と して の機 能 も持 っ て い る.MANET
イ ン フ ラ ス ト ラ ク チ ャ ー モ ー ドで は,無 線LANク
構 築 に お い て 最 も重 要 な の は,各 機 器 が トラ フ ィッ ク を
ア ン トは ア ク セ ス ポ イ ン トを介 し て 通 信 を 行 う.ア ク セ
正 し く転 送 す る の に必 要 な 情 報 を 継 続 的 に 維 持 す る機
ス ポ イ ン トが,イ ー サ ネ ッ トで 言 う と,ハ ブ に相 当 す る
能 を 持 つ こ とで あ る.
働 き を す る.ア ドホ ッ ク モ ー ドは ピ ア ・ツ ー ・ピ ア モ ー
ライ
65
ドま た は イ ン デ ィ ペ ン デ ン トモ ー ド と も言 う.ア ドホ ッ
ク モ ー ドで は,無 線LANク
3.イ
ラ イ ア ン ト同 士 が,ア ク セ
ー サ フ ォン に よる 災害 時通 信 シス テ ムの 設 計 と
構築
ス ポ イ ン トを介 さず,直 接 通 信 を 行 う.こ の た め,無 線
LANク
ラ イ ア ン ト同 士 が 通 信 す る場 合,イ ン フ ラ ス ト
ラ クチ ャ ー モ ー ドに 比 べ て 電 波 使 用 効 率 が 良 い.
2つ の 無 線LANア
ダ プ タ を ア ドホ ッ ク モ ー ドで 通
3.1イ
ーサ フォ ン通信 技術
イ ー サ フ ォ ン と は福 井 大 学 が 特 許 を有 す る通 信 技 術
(特 許 第4110251号)の
こ とで あ る.[6]イー サ フ ォ ン開
信 させ る に は,ア ダ プ タ に 設 定 す るESSID(Extended
発 に お け る 基 本 コ ンセ プ ト と し て2点
SeviceSetIdenti且er)を
は従 来 の ア ナ ロ グ デ ー タ 通 信 基 盤 に 代 わ る 通 信 基 盤 を
一 致 させ て お く必 要 が あ る.一
般 的 な利 用 方 法 は,無 線LANイ
ン ター フ ェース を もつ
開 発 す る こ とで あ る.も う1点
挙 げ られ る.1点
は,昨 今 の イ ン タ ー ネ ッ
を 通 信 可 能 な 近 さ に設 置 し,互 い に フ ァイ ル の や
ト通 信 環 境 が 複 雑 に な っ て お り,近 距 離 ・閉 鎖 的 な 通 信
り と りな ど を行 う もの で あ る.ア ドホ ッ ク モ ー ドで の 通
網 に は 短 所 が 多 い と考 え るか らで あ る.イ ー サ フ ォ ン の
PC2台
信 を,バ ケ ッ リ レー 方 式 で つ な い で い く と,複 数 の端 末
特 徴 を表1に
挙 げ る.
を介 して 無 線 の 到 達 範 囲 を 超 え た 通 信 が で き るの で,こ
れ を 応 用 した ア ドホ ッ ク ネ ッ トワ ー ク シ ス テ ム と し て
表1イ
説 明 ・特 徴
の 利 用 が 研 究 され て い る.以 上 の 理 由 か ら,本 研 究 に お
イ ー サ ネ ッ トの 機 能 の み を用 い る
・OSI参 照 モ デ ルLl ,L2を 使 用
(1)
い て も ア ドホ ッ ク モ ー ドを 利 用 す る.
災 害 時 通 信 ネ ッ トワ ー ク は,デ ー タ の送 受 信 と中 継 の
・イ ー サ ネ ッ ト機 器 を 使 用 で き る
両 方 の機 能 を 持 つ イ ー サ フ ォ ン無 線 端 末 で 構 成 さ れ る
MANETで
あ る.MANETで
・L3以 上 は 利 用 不 可
は,ネ ッ トワ ー ク を構 成 す
る端 末 の移 動 が 想 定 され て お り,端 末 が 破 損 も し くは移
(2)
長 距離 で もノイ ズの影 響 を受 けに くい
・信号 増 幅装 置 は必要 な し
(3)
通 信 設 定 は必 要 な し
・TCPIIPな どの プ ロ トコ ル を使 用 し な い
動 した 場 合 に も,物 理 的 に通 信 路 が 確 保 され て い れ ば通
信 が 可 能 で,二 次 災 害 の 発 生 に も 対 応 で き る 耐 障 害 性 に
優 れ て い る.災 害 時 通 信 ネ ッ トワ ー ク で の 通 信 は 図2の
・電 源 とLANイ
よ う に な る.端 末 同 士 の 通 信 に は,ブ ロ ー ドキ ャス ト通
信 に よ り,通 信 可 能 範 囲 内 の す べ て の端 末 に対 して,ピ
(4)
ア ・ッ ー ・ピ ァ通 信 を 行 う.発 信 端 末 か ら 目 的 端 末 ま で
ち ら に も対 応
・無 線 で も通 信 設 定 は不 要
ア ナ ロ グ/デ ィ ジ タ ル デ ー タ を 伝 送 可 能
・通 信 時 は デ ィ ジ タ ル 形 式
(5)
い くマ ル チ ホ ッ プ 通 信 を利 用 す る.ま た,端 末 間 の 無 線
通 信 に はIEEE802.11で
ン フ ラ が あ れ ば使 用 可 能
無 線 通 信 も可 能
・有 線LAN1無
線LANど
の デ ー タ の 送 信 に は,各 端 末 で ブ ロ ー ドキ ャ ス ト通 信 を
行 う こ とに よ り,バ ケ ッ リ レー 方 式 で デ ー タ を 転 送 して
ーサ フォ ンの特徴
・ア ナ ロ グ デ ー タ はAID変
取 り決 め られ て い る無 線LAN
換 に よ り対 応
規 格 を用 い る.
イ ー サ フ ォ ン通 信 はOSI参
50ur亡
白
(物 理 層)と
第2層(デ
照 モ デ ル に お け る第1層
ー タ リ ン ク層)の
イーサ ネ ッ ト
の 機 能 を 用 い て 行 わ れ る.OSI参 照 モ デ ル とは 国 際 標 準
ム
化 機 構 で あ るISOに
よ り制 定 され た,異 機 種 間 の デ ー
タ通 信 を実 現 す る た め の ネ ッ ト ワ ー ク構 造 の 設 計 方 針
「OSI」(OpenSystemsInterconnection)に
,一\ ノ
\_ノ
ピ ュ ー タ な どの 通 信 機 器 の 持 つ べ き機 能 を 階 層 構 造 に
[){∋皐tin{ヨtio「1
1、
,、
基 づ き,コ ン
分 割 した モ デ ル で あ る.OSI参 照 モ デ ル を 表2に
挙 げ る.
イ ー サ フ ォ ン の 様 々 な 特 徴 の 中 で 一・
番 の利 点 は通信 設
も
Commu紺
図2ネ
胆tion旧ng6
ッ トワ ー ク の 概 要
定 な し にネ ッ トワー ク を 構 成 し,接 続 で き る こ とで あ る.
3.2イ
ー サ フ ォ ン 無 線 通 信 で 用 い る フ レー ム フ ォ ー マ
ツ ト
イ ー サ ネ ッ トで の 通 信 単 位 は イ ー サ ネ ッ トフ レ ー ム で
あ る.イ ー サ ネ ッ ト フ レ ー ム の デ ー タ 形 式 と して 代 表 的 な
フ レ ー ム が2種
類 あ る.そ の 内 の1つ
で あ るEthernetIIフ
66
物 理ヘ ッダ
表20SI参
(■
照 モ デル
階層
OSI参
7
ア プ リ ケ ー シ ョ ン層
WWW
6
プ レゼ ン テ ー シ ョン層
SSL,TLS
5
セ シ ョン層
Socktes
4
ト ラ ン ス ポ ー ト層
TCP,UDP
3
ネ ッ トワ ー ク 層
IP
2
デー タ リンク層
CSMAICD
1
物 理層
100BASE-
照 モ デル
プ ロ トコ ル 例
ヘ ツダ 部
レ (■
プ リア ンブ ル
殊 腰1幣
レ
デ ータ 部
・(レ
FCSL
・(一
融clタ イプ
FCS
/
イ ーサ フォ ン
プ ロ トコル ヘ ッダ
7レ
イ諸 亨 ン1サ ・ズ
/
イー サ フ ォ ンア ドホ ック
ネ ッ トワ ー ク プロ トコル ヘ ッ ダ
㌻7レ
宛先固有IDデ ー鱗
信元 デ ー タ消 去要 求
データ
TX
レ ー ム は,IEEEで
規 格 化 さ れ る 前 に,DECとIntel,Xerox
送信 元 固有IDIデ
が 策 定 し た た め,3社
の 頭 文 字 を 取 っ て 通 称DIX規
と 呼 ば れ る こ とが 多 い.EthernetIIフ
フ ォ ー マ ッ トを 図3に
端 末 固有IDIデ
ータID
レ ー ム の フ レー ム
示 す.通 常,無 線 通 信 で や り取 り さ
れ る デ ー タ の フ レ ー ム フ オ ー マ ッ ト はIEEE802.11無
LAN規
ー タID
格
線
図4イ
ー サ フ ォ ン ア ドホ ッ クネ ッ トワ ー ク プ ロ トコ ル
の フレー ム フォー マ ッ ト
格 の フ レ ー ム フ ォ ー マ ッ ト を 使 用 し て い る.し
か し,イ ー サ フ ォ ン 無 線 通 信 で は,IEEE802.11無
MACア
線LAN
ドレ ス に は ブ ロ ー ドキ ャス トア ド レス が 挿 入 さ
規 格 の フ レ ー ム フ ォ ー マ ッ ト は 用 い な い.IEEE802.llフ
れ る.送 信 元MACア
レー ム の 中 の
を挿 入 す る.そ して デ ー タ タ イ プ フ ィ ー ル ドに は,イ ー
「IEEE802.llヘ
ル ドが あ る.そ
ッ ダ 」 に は7項
目の フ ィー
し て,そ の 中 のAddressl/2/3/4の
フィー
ル ドの ア ド レ ス 情 報 に つ い て は,ネ
よ り変 化 す る.さ ら に,TCPIIPで
IPパ
の 理 由 か
は,IEEE802.11無
し て,そ
サ フ ォ ン プ ロ トコ ル を 示 す 値 を 設 定 す る.
イ ー サ フォ ン プ ロ トコル ヘ ッダ 部 に お け る イ ー サ フォ
の 通 信 で は,デ ー タ 部 に
ン タ イ プ フ ィ ー ル ドの 値 は イ ー サ フ ォ ン を 使 用 した ア
プ リケ ー シ ョン の 性 質 ご と に割 り振 られ る値 で あ る.こ
で
の 値 を 参 照 す る こ とに よ っ て どの よ うな 系 統 の ア プ リ
格 の フ レ ー ム フ ォー
ケ ー シ ョン か を判 別 し,ア プ リ ケ ー シ ョ ン は 自分 で 受 信
の代 わ りに イ ー サ フ ォ ン
し た デ ー タ を 扱 う べ き か を 判 断 す る こ とが で き る.サ
ら イ ー サ
線LAN規
マ ッ トは 用 い な い.そ
ドレ ス
ッ トワ ー クの 構 成 に
ケ ッ ト を 用 い る.そ の た め,設 定 が 複 雑 に な る.
以 上
ド レ ス に は 自 身 のMACア
フ ォン 無 線 通 信
通 信 技 術 の フ レ ー ム フ ォ ー マ ッ ト を 使 用 す る.ア
ドホ ッ
イ ズ フ ィ ー ル ドに は フ レ ー ム サ イ ズ が 挿 入 され る.イ ー
ク通 信 な どの イ ー サ フ ォ ン無 線 通 信 で 用 い る フ レ ー ム
サ フ ォ ン プ ロ トコ ル ヘ ッ ダ の フ ィー ル ド情 報 を 表3に
フ ォ ー マ ッ ト は,EthernetIIフ
示 す.
い る.図4に
レ ー ム を元 に構 成 さ れ て
示 す よ う な,EthernetIIフ
レー ムの デ ー タ
部 の 先 頭 か らイ ー サ フ ォ ン プ ロ ト コル ヘ ッ ダ とイ ー サ
フ ォ ン ア ドホ ッ ク ネ ッ ト ワ ー ク プ ロ ト コ ル ヘ ッ ダ を追
加 し た フ レ ー ム フ ォ ー マ ッ ト を 用 い る ∫7]
表3イ
ー サ フ ォ ン プ ロ ト コ ル ヘ ッ ダ の フ ィ ー ル ド情 報
バ イ ト数
ブ イー ル ド
内容
名
イーサ フオ
2
ン タイ プ
Ethernetフ
プ リア ンブ ル
辣徴
幣 融cタ イプ
サイ ズ
レーム
デー タ
2
フレー ムサ イ ズ
FCS
イ ー サ フ ォ ン ア ドホ ッ クネ ッ トワー ク プ ロ トコル ヘ ッ
8byte
ダ部 は 大 き く分 け て3つ
物 理ヘ ッダ
他 の イーサ フォンシス テム と
の 区別
ヘツダ
データ
FCS
IDフ
の領 域 に分 け ら れ る.宛 先 固 有
ィ ー ル ド とデ ー タ 送 信 元 情 報 フ ィ ー ル ド,デ ー タ
消 去 要 求 フ ィ ー ル ドで あ る.
図3EthernetlIフ
レ ー ム の フ レー ム フ ォ ー マ ッ ト
ま ず,宛 先 固 有IDフ
ィ ー ル ドは 宛 先 で あ る端 末 に付
け られ て い る 固 有IDが
入 る.こ の プ ロ ト コル を 用 い て
通 信 を 行 う全 て の 端 末 に は あ らか じめMACア
フ レー ム フ ォー マ ッ トの各 内 容 につ い て説 明 す る.イ ー
サ フ ォ ン は ブ ロ ー ドキ ャ ス ト通 信 を用 い る の で,宛 先
ドレス と
は別 に 固 有 のIDが 設 定 され て い る.固 有IDは 端 末 一一
つ
一 つ を識 別 す る固 有 のIDで あ る た め
,フ ィ ー ル ドの 大
67
き さ はMACア
ドレ ス と 同 等 の6byteに
設 定 し た.ネ ッ
は で き な い.そ の た め,前 述 した 限 界 個 数 で あ る65536
ト ワ ー ク イ ン タ ー フ ェ ー ス ご とに 一 意 に 設 定 さ れ て い
個 以 上 の 通 信 は 不 可 能 に な っ て し ま う.そ こ で,目 標 端
るMACア
末 に 対 し て 確 実 に 情 報 が 伝 わ っ た 後 に各 端 末 の 再 送 防
ド レス も6byteで
ア ドレ ス を そ の ま ま 固 有IDと
表 現 され て い るた め,MAC
して 使 用 す る こ と も可 能
で あ る.し か し,同 一一ネ ッ トワ ー ク 内 でMACア
を そ の ま ま使 用 した 固 有IDと
な い 一・
意 な 固 有IDを
止 用 デ ー タ ベ ー ス の 情 報 を ク リ ア す る 必 要 が あ る.
ドレス
デ ー タ消 去 要 求 フ ィ ー ル ドに は 通 常 何 も デ ー タ が 入
ユ ー ザ が 設 定 す る重 複 し
力 さ れ て い な い が,各 端 末 の再 送 防 止 用 デ ー タベ ー ス の
混 在 させ る と,万 が 一・
重 複 した 際
情 報 を ク リア す る 際 に,端 末 固 有IDと
デ ー タIDが
入
に正 し く通 信 が 行 わ れ な い 可 能 性 が あ る た め,ど ち らか
力 さ れ 送 信 さ れ る.こ の フ ィ ー ル ドの 情 報 を元 に各 端 末
に使 用 を 限 定 しな け れ ば な らな い.本 研 究 で行 う よ うな
は再 送 防 止 用 デ ー タ ベ ー ス か ら適 切 に送 信 済 み 情 報 を
非 常 に 小 規 模 な 実 験 の よ う な 環 境 で な け れ ば,MACア
削 除 し,再 び そ のIDを
ド レス を 固 有IDと
よ う に な る.
して そ の ま ま使 用 す る ほ うが 簡 単 で
あ る.
用 い て 通 信 を 行 う こ とが で き る
イ ー サ フ ォ ン ア ドホ ッ クネ ッ トワー ク プ ロ トコル ヘ ッ
デ ー タ 送 信 元 情 報 フ ィ ー ル ドは,最 初 に通 信 を 開 始 す
ダ の フ ィ ー ル ド情 報 を 表4に
示 し,デ ー タ送 信 元 情 報 の
る端 末 に よって 設 定 さ れ る フ ィー ル ドで あ る.こ の フ ィー
フ ィ ー ル ド情 報 を 表5に
ル ドは送 信 元 固 有IDフ
ル ド情 報 に 関 し て は デ ー タ送 信 元 情 報 を ほ ぼ 同 じ で あ
ィ ー ル ド とデ ー タIDフ
ィー ル
ドに分 け られ る.端 末 が 最 終 的 な 宛 先 まで 通 信 を行 う際
示 す.デ ー タ 消 去 要 求 の フ ィ ー
る た め省 略 す る.
送 信 元 か ら宛 先 端 末 まで 複 数 の 端 末 を 中継 す るが,イ ー
サ フ ォ ン ア ドホ ッ ク ネ ッ トワ ー ク プ ロ トコ ル の フ レ ー
表4イ
ム 内 の 送 信 元MACア
ヘ ッ ダ の フ ィ ー ル ド情 報
ドレ ス を 含 む 送 信 元 の 情 報 は保
存 され な い か 書 き換 え られ て し ま う.こ の ま まで は,さ
ら に そ の デ ー タ を 受 け取 っ た 端 末 が 同様 に デ ー タ を リ
ー サ フ ォ ン ア ドホ ッ クネ ッ トワ ー ク プ ロ トコ ル
ブ イー ル ド
バ イ ト数
宛先 固有ID
6
デ ー タ送 信
元 情報
データ消去
要求
8
レ ー し,デ ー タが 永 遠 に ネ ッ トワ ー ク 内 を循 環 し続 け る
事 態 が 起 きて し ま う.こ れ を 防 ぐた め に送 信 元 情 報 を元
に送 信 済 み デ ー タ の 情 報 を 保 存 す るデ ー タ ベ ー ス を作
成 し不 要 な 再 送 を 防 止 す る.こ れ を こ こで は再 送 防 止 用
内容
名
8
デー タを送 信す る宛先 の固有
ID
デー タを一番最初 に送信 す る
送信 元 の情 報
再 送 防止用 記憶IDの 削除 要
請
デ ー タ ベ ー ス と呼 ぶ こ と とす る.
送 信 元 固 有IDフ
ィ ー ル ドは 宛 先 固 有IDフ
と同 様 に6byteに
ィール ド
設 定 し た.こ の 送 信 元 固 有IDフ
ィー
表5デ
ル ドは デ ー タ を 作 成 し,送 信 を開 始 した 送 信 元 端 末 の 固
ブ イー ル ド
有IDが
名
設 定 さ れ て い る.デ ー タIDフ
タ の 固 有IDが
入 る.デ ー タIDは
ィー ル ドに は デ ー
デ ー タ を送 信 す る端
末 が 情 報 を 連 続 して 送 信 す る際 に 何 番 目 の デ ー タ で あ
る か を 示 す よ う な デ ー タ の 固 有IDの
ー タ送 信 元 情 報 の フ ィ ー ル ド情 報
バ イ ト数
内容
送信元 固有
ID
6
デー タを送 信 した送 信元 の固
有ID
デ ー タID
2
送 信 し た デ ー タ の 固 有ID
こ とで あ る.こ れ
は後 述 に示 す 受 信 処 理 の 中 の 応 答 メ ッ セ ー ジ に よ る処
理 に よ っ て 先 に 送 信 した デ ー タ が 削 除 され な い よ う に
す るた め の も の で あ る.デ ー タIDフ
は1日
に情 報 を送 信 す る 回 数 等 を考 慮 し,大 き め に 設 定
し,2byteと した.
デ ー タベ ー ス に 対 す る消 去 要 求 フ ィ ー ル ドで あ る.デ ー
タ送 信 元 情 報 と同 様 に8byteで,端
末 の 固 有IDと
デー
入 力 す る.一 つ の 端 末 が 送 信 可 能 な デ ー タ の 個
数 は,デ ー タ送 信 元 情 報 フ ィ ー ル ドの デ ー タIDで
され て い る2byte分
害 時通信 シス テム にお ける通信 の概 要
シ ス テ ム を初 め て 動 作 す る際 は デ ー タIDを
全 て利用
可 能 状 態 に して ス タ ー トさせ る.こ こ で 前 提 条 件 は 以 下
デ ー タ 消 去 要 求 フ ィ ー ル ドは,各 端 末 の 再 送 防 止 用
タIDを
4.災
ィ ー ル ドの 大 き さ
で あ る65536個
ス に 登 録 さ れ た端 末 固 有IDと
設定
で あ る.デ ー タ ベ ー
デ ー タIDか
らな る送 信
済 み情報 を元 に受信 したデ ー タを転 送 す るか しない か
を判 断 す るた め,送 信 済 み 情 報 は 重 複 して 使 用 す る こ と
の よ うに ま とめ ら れ る.
・各 ノ ー ドの 無 線 通 信 端 末 は 固 有 のIDを
・全 て の ノー ドは お 互 い のMACア
持つ
ドレ ス と固 有IDを
把 握 して い る
・ デ ー タIDは
デ ー タ に付 け られ た 固 有ID
・ デ ー タIDを
全 て 利 用 可 能 状 態 に して シ ス テ ム を ス
タ ー ト させ る
68
また,通 信 方 式 及 び 通 信 に お け る フ レー ム フ ォ ー マ ッ
デ ー タ に 災 害 情 報 や 避 難 情 報 の よ うな伝 えた い情 報(伝
トは イ ー サ フ ォ ン プ ロ トコル を ベ ー ス に 設 計 さ れ た イ ー
達 事 項)を 入 力 して 送 信 す る.こ こで 送 信 処 理 は 図5の
サ フ ォ ン ア ドホ ッ ク ネ ッ トワ ー ク プ ロ ト コル を用 い る.
よ う に ま とめ られ る.
まず,通 信 の 全 体 的 な 流 れ に つ い て 説 明 す る.あ る端
応 答 メ ッセ ー ジ は受 信 し た デ ー タ に対 す る返 事 で は
末 が デ ー タ を送 信 す る と,そ の 他 の 端 末 は ネ ッ トワー ク
な く,デ ー タ の 送 信 側 が,指 定 した 宛 先 に デ ー タ が 届 い
を 常 に 監 視 して い て,受 信 した デ ー タ が 自 分 宛 の デ ー
た の か を確 認 す る もの で あ る.応 答 メ ッセ ー ジ に は デ ー
タ で は な く,一・
度 も転 送 した こ とが な い 場 合,ブ ロ ー ド
タ消 去 要 求 の フ ィ ー ル ド に受 信 し た デ ー タ の デ ー タ送
キ ャス トに よ っ て 周 囲 の 全 て の 端 末 に 対 して 受 信 し た
信 元 情 報 の 内容 を挿 入 して お く.こ れ は 中 継 処 理 の 初 期
デ ー タ を 転 送 す る.ま た,受 信 した デ ー タが 自分 宛 で は
化 処 理 や デー タの送信 に よって利 用 不可 状 態 に なっ て
な い が,転 送 し た こ とが あ る場 合 は そ れ 以 上 転 送 せ ず,
い る デ ー タIDを
受 信 した デ ー タ を破 棄 す る.そ して,受 信 した デ ー タ が
る.応 答 メ ッセ ー ジ送 信 時 に も送 信 処 理 を 行 うが,デ ー
自分 宛 で あ っ た な ら ば,受 信 した デ ー タ を 受 け取 り,そ
タ に は 受 理 成 功 を示 す メ ッセ ー ジ だ け で,返 事 や 新 た な
こで 通 信 を 終 了 し,受 信 した デ ー タ に基 づ い た 動 作 を行
情 報 は入 力 で き な い.
う.通 信 に お け る各 行 程 の 詳 細 に つ い て は以 下 の 節 で 述
べ る.
4.1デ
利 用 可 能 状 態 に す る た め な ど に用 い
ま た,応 答 メ ッ セ ー ジ は 自分 で 作 成 して 返 す も の で は
な く,自 動 で 送 信 す る よ う に 設 定 さ れ て い る.
ー タの送 信
4.2デ
まず,デ ー タ を 送 信 す る 際 の 処 理 に つ い て 説 明 す る.
ー タの 中継
次 に,デ ー タ を 中 継 す る 際 の 処 理 に つ い て 説 明 す る.
送 信 側 は,デ ー タ を伝 え る宛 先 で あ る端 末 の 固 有IDを,
全 て の 端 末 は デ ー タ を 受 信 す る と,ま ず デ ー タ 消 去 要
送 信 す る デ ー タ の 宛 先 固 有IDフ
求 フ ィー ル ドの 中 身 を 確 認 す る.デ ー タ 消 去 要 求 フ ィ ー
ィ ー ル ドに 挿 入 す る.
デ ー タ送 信 元 情 報 の フ ィー ル ドに 自身 の 固 有IDと
タIDを
挿 入 す る.使 用 した デ ー タIDを
に す る.具 体 的 に は,デ ー タIDは1か
デー
利用 不可能 状態
ら開 始 し て,デ ー
ル ドに 情 報 が 入 っ て い る場 合 に は,そ の デ ー タ消 去 要 求
フ ィ ー ル ドの 中 の 固 有IDと
デ ー タIDが
自身 の 再 送 防
止 用 デ ー タベ ー ス に 記 憶 され て い る か 照 合 し,記 憶 され
タ を 送 信 す る た め に イ ー サ フ ォ ン フ レ ー ム を作 成 す る
て い る場 合,そ の 情 報 に対 応 した 固 有IDと
た び に1ず
つ 加 算 して い く.そ の た め,通 信 を行 う際 に
消 去 す る.そ れ か ら,受 信 し た デ ー タ の 宛 先 固 有IDと
デ ー タIDが
重 複 す る こ と は な い.初 め て デ ー タ を 送 信
自身 の 固 有IDを
比 較 す る.そ の 際
デ ー タIDを
自 身 の 固 有IDと
一
す る際 は デ ー タ消 去 要 求 フ ィー ル ドに は 何 も挿 入 し な
致 しな け れ ば,そ の デ ー タ を 自分 宛 で は な い デ ー タ で あ
い.受 信 して い る応 答 メ ッセ ー ジ が あ る際 は,そ の応 答
る と判 断 す る.そ して,そ の デ ー タ の 送 信 元 情 報 フ ィ ー
メ ッセ ー ジ の デ ー タ送 信 元 情 報 の 内 容 を 送 信 す る デ ー
ル ドの 送 信 元 固 有IDと
タ の デ ー タ 消 去 要 求 の フ ィ ー ル ドに 挿 入 す る.そ して,
用 デ ー タ ベ ー ス と照 合 して 転 送 す べ き か そ う で な い か
デ ー タIDを,自
身 の再 送 防止
を判 断 す る.照 合 した 結 果,再 送 防 止 用 デ ー タ ベ ー ス 内
(送
に す で に保 存 さ れ て い る と判 断 され た 場 合 は,受 信 した
信処理開始)
デ ー タの ブ ロ ー ドキ ャス トを行 わ ず,受 信 した 情 報 を破
応答
No
メ ッセ ー ジ が あ る か?
棄 して 処 理 を終 了 し,そ うで な い 場 合 に は,デ ー タ 送 信
Yes
デ ー・消 去要求 ・ ・一ル ドに送信元 醐
車入1
1
宛 先固有ID・・宛先 ・な・端 末の固有ID}甫入1
1
デ ー タ 送 信 元 情 報 フ ィ ー ル ドに
自 身 の 固 有IDと デ ー タIDを 挿 入
1
使用 ・たデ ータIDを 利用 不可 にす ・1
1
デ ー ・に伝 えたい 内容を入 力1
1
(デ
ー・送信)
図5送
信 処理 の デ ー タ フロー図
図6中
継 処理 の デー タフ ロー図
69
元 情 報 を 自身 の再 送 防 止 用 デ ー タベ ー ス に 登 録 し,送 ら
れ て き た デ ー タ を 周 囲 の 端 末 に ブ ロ ー ドキ ャ ス トし て
送 信 す る.こ こで 中 継 処 理 は 図6の
5.災
害 時通 信 ネ ッ トワー クを構 成 す る 無線 通 信 端末
の実装
よ う に ま とめ られ る.
5.1無
4.3デ
ー タの 受信
線通 信端 末 の構 成
イ ー サ フ ォ ン は ア ナ ロ グ デ ー タ の 通 信 基 盤 と して 提
最 後 に,デ ー タ を受 信 し た 際 の 処 理 につ い て 説 明 す る.
案 さ れ た 通 信 モ デ ル で あ り,特 に音 声 通 信 を 対 象 に 考 え
まず,受 信 した デ ー タ の デ ー タ送 信 元 情 報 の 固 有IDと
られ た.そ こで 本 研 究 で 製 作 す るイ ー サ フ ォ ン無 線 通 信
自 身 の 固 有IDと
端 末 で は,主 な処 理 をBeagleBoneBlackで
を 照 合 し,一 致 した 場 合 は,そ の デ ー
行 う.端 末 問
タ を破 棄 す る.一 致 しな か っ た 場 合 は次 の ス テ ッ プ に進
の 通 信 に は,イ ン タ ー フ ェー ス 変 換 ドン グル で あ るUSB
む.受 信 した デ ー タ の 宛 先 固 有IDと
無 線LANア
自 身 の 固 有IDと
ダ プ タ を用 い た 通 信 を利 用 す る.そ して,マ
を照 合 す る.一 致 しな か っ た 場 合 は,受 信 した デ ー タ が
イ ク な ど の 音 声 入 力 用 デ バ イ ス と ス ピ ー カ ー な どの 音
自分 宛 で な い とい う こ とな の で デ ー タ の 中 継 処 理 を行
声 出 力 用 の デ バ イ ス,デ ー タ送 受 信 用 の デ バ イ ス で 構 成
う.一 致 した 場 合 は,再 送 防 止 用 デ ー タ ベ ー ス を チ ェッ ク
され て い る.イ ー サ フ ォ ン無 線 通 信 端 末 を ブ ロ ッ ク図 で
し,そ の デ ー タ を受 け取 った こ とが あ るか 否 か を判 断 す
表 す と図8の
よ う に表 せ る.
る.受 け 取 っ た こ とが あ れ ば デ ー タ を破 棄 し,受 け 取 っ
た こ とが な けれ ば,再 送 防 止 用 デ ー タ ベ ー ス に 登 録 して
残 りの 処 理 を 開始 す る.こ こで の再 送 防 止 用 デ ー タベ ー
ス の役 割 は,デ ー タ の宛 先 端 末 が 別 々 の 経 路 を 経 由 して
き た 同 一 デ ー タ を複 数 回 受 信 し,同 じ処 理 を複 数 回 実 行
しな い よ う に す る こ とで あ る.そ して,受 信 端 末 は デ ー
タ を 受 信 した 後 に 応 答 メ ッセ ー ジ を 送 信 元 端 末 に 対 し
て 送 信 す る.デ ー タ消 去 要 求 フ ィ ー ル ドの 固 有IDが
身 の 固 有IDと
一 致 した 場 合 は,自 身 の 利 用 不 可 能 状 態
に あ る デ ー タIDと
IDと
自
デ ー タ 消 去 要 求 フ ィー ル ドの デ ー タ
を照 合 し,一一
致 した 場 合 は そ の デ ー タIDを
能 状 態 に す る.こ こで 受 信 処 理 は 図7の
利用 可
よ うに ま と め ら
れ る.
図8イ
ー サ フ ォ ン無 線 通 信 端 末 の ブ ロ ッ ク 図
BeagleBoneBlackは,5000円
以下 で購 入 で き る名刺
サ イ ズ の シ ン グ ル ボ ー ド コ ン ピ ュ ー タ で あ る.beagleboad.orgに
よって,オ ー プ ン ソー ス ハ ー ドウェ ア と して開
発 され て お り,日 本 で も簡 単 に入 手 で き る.SoC(Systemon-a-chip)にARMCortex-A81GHzのTIAM335xを
採 用 して い て,DRAMも512MB搭
SoCと
載 さ れ て い る.
い うの は,あ る装 置 や シ ス テ ム の 動 作 に必 要 な
機 能 の 全 て を,ひ とつ の 半 導 体 チ ッ プ に 実 装 す る方 式 で
あ る.タ ー ゲ ッ ト とな る装 置 に よ り構 成 は 異 な る が,マ
イ ク ロ プ ロ セ ッサ を核 に 各 種 の コ ン ト ロ ー ラ 回 路 や メ
モ リ な ど を 統 合 した チ ッ プが 多 い.一 般 的 に は,半 導 体
チ ッ プ は機 能 ご とに提 供 され るた め,プ ラ ス チ ッ ク基 板
上 に 複 数 の チ ッ プ を実 装 し て 相 互 に 接 続 す る必 要 が あ
図7受
信 処理 の デ ー タ フロー図
るが,SoCで
は複 数 の チ ッ プ に分 か れ て い た 機 能 を 統 合
し,ひ とつ の チ ッ プ と して 提 供 す る.こ れ に よ り,装 置 の
小 型 化 や 製 造 コ ス トの 低 減,配 線 の 省 略 に よ る高 速 化,
70
部 品 点 数 の 削 減 に よ る消 費 電 力 の 節 減 な どの メ リ ッ ト
表7WLI-UC-GNMの
が 期 待 で き る.
機能
準拠規格
IEEE802.llb/g/n,ARIBSTD-T66
(2.4GHz)
伝送方式
DS-SS方
デ ー タ
転送 速度
式,OFDM方
大150Mbps
IEEE802.llg:最
大54Mbps
IEEE802.llb:最
大llMbps
ア クセ ス
方式
イ ン フ ラ ス ト ラ ク チ ャ ー モ ー ド,ア
動作電圧
消費電力
動作環境
5.OV
croSDへ
示 し て い るBeagleBoneBlackは,手
の ひ らに
乗 る よ う な,と て も 小 さ な ボ ー ド で あ る が,Androidだ
ど のLinux環
る こ と も で き るBeagleBoneBlackの
る と 表6の
二 重)
ドホ ッ
クモ ー ド
最 大2.5W
温 度0∼40QC,湿
度20∼80%
イー サ フ ォン無線 通信 端 末 とし
て 利 用 す る た め に し な け れ ば な ら な い 設 定 と し て は,mi-
図9BeagleBoneBlack
で な く,UbuntuやDebianな
式,単 信(半
IEEE802.lln:最
BeagleBoneBlackを
図9に
仕 様
内容
け
境 も動 作 させ
主 な機 能 を ま とめ
よ う に な る.
のOSの
のESSIDの
イ ン ス ト ー ル,無
線LANア
ダ プ タ
変 更 と 通 信 モ ー ド の 変 更 が あ る.本 研 究 で
は,microSDにUbuntuを
イ ン ス ト ー ル し た が,そ
の方
法 に つ い て は 本 稿 で は 省 く こ と に す る.無 線LANア
ダ
プ タ のESSIDの
変 更 と通 信 モ ー ド の 変 更 に つ い て は,
変 更 方 法 と し て は,コ マ ン ド を 入 力 し て 変 更 す る 一・
時
的 に 設 定 が 反 映 さ れ る 方 法 と,設 定 フ ァ イ ル を 編 集 し
表6BeagleBoneBlackの
主 な機 能
て 変 更 す る 永 続 的 に 設 定 が 反 映 さ れ る 方 法 が あ る が,
機能
内容
CPU
TISitaraAM3359AZCZ1001GHzARM
本 研 究 で は 後 者 を 実 行 し た.今 回,ESSIDはethelphone-
Cortex-A8
network,通
主記憶
補助記憶
512MBDDR3L800MHz
4GBeMMC(オ
定 を 行 う に は,/etc/netwOrk/土nterfaceを
ン
ボ
ー
ネ ット
をstat⊥cに
ー サxl
lport+OTGport
USB
画像出力
音声
書 き換
ド
え る.16行
Flush),microSD,USB
100Mイ
信 モ ー ド は ア ドホ ッ ク モ ー ド に 設 定 し た.設
目 の 土facew⊥anOinetdhcpのdhcp
書 き 換 え る.そ し て,そ の 下 の 行 に 以 下 の
内 容 を を 挿 入 す る.
microHDMIport
HDMI出
コ ンソー ル
netmask255.255.255.O
力
ピ ン ヘ ッ ダ ー3.3V経
電源
5V電
消 費 電力
サ イズ
wireless-ess土detherphOne-netwOrk
由接 続
源 ア ダ プ タ,ま た はUSB給
電
wireless-channel5
210∼460mA
wireless-mOdead-hOc
86.36x53.34[mm]
wireless-POwerOn
以 上 の 編 集 が 終 わ っ た らBeagleBoneBlackを
本 研 究 で は,無 線LANア
(BUFFALO社
を 図10に
製)を
ダ プ タ と し て,WLI-UC-GNM
再 起 動 す
る こ と で 設 定 が 反 映 さ れ る.
用 い る こ と と し た.WLI-UC-GNM
示 す.
6.実
6.1パ
●
験
ケ ッ トキ ャ プ チ ャ リ ン グ
パ ケ ッ トキ ャ プチ ャ とは ,通 信 回 線 を流 れ るパ ケ ッ ト
を捕 獲(キ
ャ プ チ ャ)し
て 中 身 を表 示 した り,解 析 ・集
計 な ど を行 う こ と を い う.主 に,ネ ッ ト ワ ー ク を 流 れ る
デ ー タ の 通 信 量(ト
ラ フ ィッ ク)や
その変 化 を調 べ た
り,障 害 発 生 時 に 原 因 を 調 査 す るの に 使 わ れ る.例 え ば,
図10WLI-UC-GNM
WLI-UC-GNMの
仕 様 を 表7に
サ ー バ とク ラ イ ア ン トが ど の よ う な パ ケ ッ トを や り取
示 す.
り して い るか,機 器 の 故 障 な どで 異 常 な パ ケ ッ トが 大 量
71
に送 出 さ れ て い な い か な ど を 調 べ られ る.そ の た め の
線 通 信 の 動 作 モ ー ドが
ハ ー ドウ ェ アや ソ フ トウ ェ ア をパ ケ ッ トキ ャ プチ ャ ッ ー
い て,ESSIDが
ル あ る い はネ ッ トワ ー ク プ ロ ト コル ア ナ ライ ザ,パ ケ ッ
が わ か る.
トア ナ ラ イ ザ,LANア
「ア ド ホ ッ ク モ ー ド」 に な っ て
「etherphone-network」
になってい る こと
ナ ラ イ ザ,ス ニ ッ フ ァ な ど と呼 ぶ.
ネ ッ トワ ー クカ ー ドは通 常,パ ケ ッ トの 宛 先 な ど を読
ん で 自分 に 関 係 が な けれ ば これ を破 棄 す るが,「 プ ロ ミ
ス キ ャ ス モ ー ド」 と呼 ば れ る特 殊 な 設 定 に す る こ とで,
自分 の属 す る セ グ メ ン トを流 れ る全 て の パ ケ ッ トを受
信 す る こ とが で き る.パ ケ ッ トキ ャ プ チ ャで は これ を取
得 して,パ ケ ッ トの 中 身 を 表 示 し た り各 種 の統 計 を 取 っ
た りす る.通 信 量 を 記 録 して 時 間 帯 や 曜 日 に よ る変 化 を
表 示 した り,パ ケ ッ トの 送 信 元 や 宛 先,プ ロ トコル の 種
類 な どに よ る統 計 を 表 示 す る こ とが で き る.
離 凱
ロ
専 用 の ハ ー ドウ ェ ア を ネ ッ トワ ー ク に 接 続 して 解 析
す る タ イ プの 製 品 もあ るが,多 くの 製 品 は ソ フ トウ ェ ア
パ ケ ッ ト キ ャ プ チ ャ 用PC
で 提 供 さ れ て お り,コ ン ピ ュ ー タ の ネ ッ トワ ー ク カ ー ド
ESSID:etherphone-netowork
が 受 信 した パ ケ ッ トを 解 析 す る.
今 回 の 実 験 で は,イ ー サ フ ォ ン無 線 通 信 端 末 か らパ
図llパ
ケ ッ トが 発 信 さ れ,そ の パ ケ ッ トが イ ー サ フ ォ ン ア ド
ケ ッ トキ ャ プチ ャ
ホ ッ ク ネ ッ トワ ー ク プ ロ トコ ル の フ レ ー ム フ オ ー マ ッ
トに な っ て い る こ とを ま ず 確 認 す る.そ して,送 信 さ れ
た パ ケ ッ トが 他 の イ ー サ フ ォ ン無 線 通 信 端 末 で 受 信 で
き る こ とを確 認 す る.こ の 実 験 に お い て,発 信 され た パ
ケ ッ トが イ ー サ フ ォ ン ア ドホ ッ クネ ッ トワ ー ク プ ロ トコ
ル の フ レ ー ム フ ォ ー マ ッ トに な っ て い るか ど うか を確
認 す る た め にパ ケ ッ トキ ャ プ チ ャ ツ ー ル を用 い る.本 研
表8各
イ ー サ フ ォ ン無 線 通 信 端 末 の 無 線LANア
タ のMACア
ダプ
ド レス
端末
端末A
MACア
BO:C7:45:A9:44:1E
BO:C7:45:A9:44:IE
端 末B
端 末C
BO:C7:45:A9:18:D9
BO:C7:45:A9:18:D9
BO:C7:45:AA:2F:32
BO:C7:45:AA:2F:32
ドレ ス
端 末 固有ID
究 で は,パ ケ ッ トキ ャ プ チ ャ ツー ル と して,「Wireshark」
を用 い る.そ して,イ ー サ フ ォ ン無 線 通 信 端 末 が パ ケ ッ
トを 受 信 した か ど うか は,そ の 端 末 で 直 に確 認 す る.
6.2前
6.3パ
準備
イ ー サ フ ォ ン無 線 通 信 端 末 を3台
チ ャ用 のPCを1台
とパ ケ ッ トキ ャ プ
用 意 す る.イ ー サ フ ォ ン無 線 通 信 端
末 の うち,デ ー タ 送 信 用 の 端 末 を端 末A,デ
の 端 末 を 端 末B,そ
の 他 の 端 末 を 端 末Cと
ケ ッ トキ ャ プ チ ャ
日菖
晦
劇 ↓∴回
∵
ー タ受信 用
す る.イ ー サ
フ ォ ン無 線 通 信 端 末 とパ ケ ッ トキ ャ プ チ ャ用 のPCの
ロ
無
線 通 信 の 方 式 を 「ア ドホ ッ クモ ー ド」 に設 定 す る.次 に,
ア ドホ ッ ク モ ー ドに設 定 し た 端 末 間 で 通 信 を行 うた め
パ ケ ッ ト キ ャ プ チ ャ 用PC
に,無 線LANア
ESSlD:etherphone-netowork
ダ プ タ に 設 定 す るESSIDを
お く.そ して,端 末Aか
ら端 末Bへ
ケ ッ トキ ャ プ チ ャ用 のPCで
一一
致 させ て
の デ ー タ の 送 信 をパ
パ ケ ッ トキ ャ プ チ ャす る.以
上 の パ ケ ッ トキ ャ プ チ ャの 概 要 を 図 示 す る と図11の
う に な る.こ こで,各 端 末 の 無 線LANア
ア ドレ ス は 表8に
ダ プ タ のMAC
示 した 通 りで あ る.今 回 は このMAC
ア ドレ ス を各 イ ー サ フ ォ ン 無 線 通 信 端 末 の 端 末 固 有ID
と して 用 い る.図12は
端 末Aで
無 線LANア
設 定 を確 認 した 際 の もの で あ る.図12を
図13端
末Aか
ら端 末B宛
に デ ー タ を送 信
よ
ダ プ タの
確 認 す る と,無
ま ず は,図13の
よ う な端 末Aと
トキ ャ プ チ ャ用 のPCが
端 末Aか
ら端 末B宛
端 末B,そ
して パ ケ ッ
あ る 状 態 を 用 意 す る.そ して,
に イ ー サ フ ォ ン ア ドホ ッ ク ネ ッ ト
ワ ー ク プ ロ ト コ ル の フ レー ム フ ォ ー マ ッ トで デ ー タ を
送 信 す る.送 信 す るパ ケ ッ トの概 要 は表9の
よ う に な る.
72
ubuntu@BeagleBoneBlack:∼$ifconfigwlan②
wlan②
Linkencap:EthernetHWaddrb②:c7:45:a9:44:1e
inetaddr:1②.②.0.1Bcast:10.②.②.255Nask:255.255.255.②
inet6addr:fe8②::b2c7:45ff:fea9:441e/64Scope:Link
UPBROADCASTRUNNING卜1ULT工CAST卜1TU:15②
②
卜1etric:1
RXpackets②errors:②droPPed:②overruns:②frame:②
TXpackets19errors:②dropped:②overruns:②carrier:O
collisions②txqueuelen:1②
②(う
RXbytes:②(②.②B)TXbytes:2871(2.8KB)
ubuntu@BeagleBoneBlack:∼$iwconfigwlan②
wlan②
ESSID:"etherphone-network"
Cell:5E:96:BF:F1:C2:8D
工EEE8②2.11bgn
Mode:Ad-Hoc
Frequency:2.432GHz
Tx-Powerニ2②dBm
Fragmentthr:off
Retrylonglimit:7RTSthr:off
Power卜1anagement:on
図12ESSIDと
表9送
内容
名称
通 信 モ ー ドの 確 認
信 す るパ ケ ッ トの 概 要
説明
FF:FF:FF:FF:FF:FF
ブ ロ ー ドキ ャ ス トア ドレ ス
BO:C7:45:A9:44:1E
端 末AのMACア
タイ プ
1234
イ ー サ フ ォ ン の プ ロ トコ ル タ イ プ
イー サ フ ォ ンタイ プ
1011
本研 究 のイー サ フォン アプ リケー シ ョ
ンの タイ プ
宛 先MACア
送 信 元MACア
ドレ ス
ドレス
サイ ズ
宛 先 固有ID
デー タ送信 元 情報
送 信元 固有ID
デ ー タID
デ ー タ消去 要求
ドレ ス
ll6
フ レーム サ イズ
BO:C7:45:A9:18:D9
端 末Bの
端 末Aの
BO:C7:45:A9:44:IE
端末 固 有ID
端 末 固有ID
1
端 末 固 有ID
デ ー タID
デー タ
0
今 回 はデ ー タ消去 要 求 は出 さない
今 回 はデ ー タ消去 要 求 は出 さない
announce:thispacketsaretestdataby
文字列
00:00:00:00:00:00
runningtheprogramofetherphone.exe
イ ー サ フ ォ ン無 線 通 信 で は 通 信 方 式 と して ブ ロ ー ド
キ ャス ト通 信 を用 い る の で 宛 先MACア
ドレス は ブ ロ ー
ドキ ャ ス トア ドレ ス を 指 定 す る.送 信 元MACア
は今 回 送 信 元 で あ る端 末AのMACア
ドレ ス
ド レス を 指 定 す
る.タ イ プ とい うの は上 位 層 の プ ロ ト コル を 識 別 す る た
回 目の 送 信 な の で デ ー タIDに1を
指 定 す る.デ ー タ消
去 要 求 は受 信 処 理 で 挿 入 さ れ る フ ィ ー ル ドで あ る の で
今 回 は何 も指 定 しな い.そ して,最 後 に送 信 した い デ ー
タ を 指 定 す る.今 回 は 文 字 列 を指 定 した.
実 際 に 端 末Aか
ら端 末B宛
に イ ー サ フ ォ ン ア ドホ ッ
め の 番 号 の こ とで あ り,16進 数 で 表 示 さ れ る.本 研 究 で
ク ネ ッ トワ ー ク プ ロ トコ ル の フ レ ー ム フ ォ ー マ ッ トで
はイ ー サ フ ォ ン の プ ロ トコル タ イ プ番 号 を1234と
デ ー タ を送 信 す る.送 信 した パ ケ ッ トをWiresharkで
した.
イ ーサ フォ ン タイ プは イーサ フ ォン通信 技術 を用 い た
プ チ ャす る と図14の
ア プ リ ケ ー シ ョ ン を識 別 す る た め の番 号 で あ り,本 研 究
進 数(Hex)で
で は,イ ー サ フ ォ ン タ イ プ 番 号 を1011と
今 回 宛 先 と し て い る端 末Bの
表 記 され る,
した.サ イ ズ は
送 信 す るパ ケ ッ トの フ レ ー ムサ イ ズ を 表 して い る.宛 先
固 有IDは
キャ
よ う な る.送 信 した フ レー ム は16
端 末 固 有IDを
6.4実
験結 果
今 回,端 末Aか
ら端 末Bに
向 けて イ ー サ フォ ン無 線 通
指 定 す る.デ ー タ送 信 元 情 報 は一 番 最 初 に デ ー タ を 送 信
信 で デ ー タ を送 信 した.イ ー サ フ ォ ン無 線 通 信 で は イ ー
した 端 末 の 端 末 固 有IDと
そ の デ ー タ のIDを
管理 す る
サ フ ォ ン ア ドホ ッ ク ネ ッ トワ ー ク プ ロ トコ ル の フ レ ー
た め の 情 報 で あ る.そ の た め,送 信 元 固 有IDは
今 回送信
ム フ ォー マ ッ トを 利 用 し,送 信 した パ ケ ッ トの 内容 は表
元 で あ る端 末Aの
端 末 固 有IDを
指 定 す る.そ して,一
9の
とお りで あ る.こ の パ ケ ッ トの 内 容 とWiresharkで
73
Hex
Text
E.D..4..
ffffffffffffbOc745a9441e12341②11
②②74b②c745a918d9b②c745a9441e②
.t..E.....E.D...
② ②1
②② ②② ②② ②② ②② ②② ②② ②②616e6e6f756e6365
3a746869732②7②61636b6574732②6172
:thispacketsar
652②746573742②646174612②62792②72
etestdatabyr
756e6e696e672②2②746865207②726f67
unningtheprog
72616d2②6f662065746865727②686f6e
ramofetherphon
65②0②
e....
②0②
②②
図14Wiresharkで
キ ャ プ チ ャ した パ ケ ッ ト
キ ャ プチ ャ した パ ケ ッ トを 比 較 し,送 信 した パ ケ ッ トが
信 端 末 が 災 害 時 の 代 替 的 通 信 シ ス テ ム に 求 め られ る コ
イ ー サ フ ォ ン ア ドホ ッ ク ネ ッ トワ ー ク プ ロ ト コル の フ
ス トが 安 価 ・即 応 性 ・耐 障 害 性 と い う3つ
レ ー ム フ ォー マ ッ トとな っ て い る こ とが 確 認 で きた.ま
た しつ つ 簡 単 に 通 信 を 行 う こ とが で き る こ とを 示 す こ
た,端 末Bの
とが 出 来 た と考 え られ る.今 後 の 課 題 と して は,シ ミュ
標 準 出 力 か ら端 末B宛
に 送 信 した パ ケ ッ
トを 受 信 した こ とを 確 認 で き た.
の要 求 を満
レ ー シ ョ ン 実 験 とイ ー サ フ ォ ン無 線 通 信 端 末 の 動 作 実
験 の 比 較 検 討 や,モ バ イ ル ア ドホ ッ ク ネ ッ トワー ク を利
7.考
察
用 す る際 に解 決 しな け れ ば な らな い 問題 点 で あ るセ キ ュ
リ テ ィ や 電 力 効 率 な ど の 解 決 及 び 検 証 を 行 う必 要 が あ
本 研 究 で は,イ ー サ フ ォ ン無 線 通 信 を 利 用 して モ バ イ
る と考 え られ る.
ル ア ドホ ッ ク ネ ッ トワ ー ク を構 築 した.そ して,イ ー サ
フ ォ ン無 線 通 信 端 末 で の モ バ イ ル ア ドホ ッ ク通 信 に よ
参考文献
る デ ー タ通 信 を行 っ た.実 験 結 果 か ら,送 信 した パ ケ ッ
トが イ ー サ フ ォ ン 無 線 通 信 で 利 用 す る イ ー サ フ ォ ン ア
口]大 和 田 泰 伯,照 井 宏 康,間 瀬 憲 一,今 井 博 英:マ ル チ
ドホ ッ クネ ッ トワ ー ク プ ロ トコ ル で 指 定 した フ レ ー ム
ホ ッ プ無 線LANの
フ ォ ー マ ッ トに な っ て い る こ とが 確 認 した.ま た,端 末
論 文 誌,J89-B,11,2092-2102(2006).
Bの 標 準 出 力 か ら端 末B宛
提 案 と実 装,電 気 情 報 通 信 学 会
に送 信 さ れ た パ ケ ッ トを受
信 した こ と を確 認 した.こ の こ とか ら今 回 製 作 した イ ー
【2]Yao-NanLien,Hung-ChinJangandTzu-ChiehTsai:
AMANETBasedEmergencyCommunicationandIn-
サ フ ォ ン無 線 通 信 端 末 が イ ー サ フ ォ ン無 線 通 信 用 の プ
ロ トコ ル 通 りに 挙 動 して い る こ とが わ か る.
formationSystemforCatastrophicNaturalDisasters.
DistributedComputingSystemsWorkshops,2009,
8.ま
とめ
ICDCSWorkshops'09.29thIEEEInternationalConferenceon,412-417(2009).
本 研 究 で は,イ ー サ フ ォ ン 無 線 通 信 端 末 を用 い て 災
【3]吉 岡 正 博,白 井 治 彦,黒 岩 丈 介,小 高 知 宏,小 倉 久 和:
害 時 に お け る代 替 的 な 通 信 シ ス テ ム を構 築 す るた め に
イ ー サ ネ ッ トの 機 能 の み を用 い た 通 信 モ デ ル の 提 案
イ ー サ フ ォ ン無 線 通 信 端 末 で の モ バ イ ル ア ドホ ッ ク通
と実 装 一ブ ロ ー ドキ ャス ト機 能 を 利 用 した イ ー サ フォ
信 に よ る デ ー タ通 信 を行 い,イ ー サ フ ォ ン無 線 通 信 端 末
ン,情 報 処 理 学 会 全 国 大 会 講 演 論 文 集,69(2007).
が イ ー サ フ ォ ン無 線 通 信 用 の プ ロ トコ ル 通 りに 挙 動 し
て い るか の 検 証 を行 っ た.パ ケ ッ トキ ャ プ チ ャ リ ン グ実
験 を行 っ た 結 果,今 回 製 作 した イ ー サ フ ォ ン無 線 通 信 端
末 が 正 し く動 作 す る こ とが わ か っ た.ま た,イ ー サ フ ォ
ン通 信 技 術 を用 い る こ とで,通 信 に 関 す る設 定 の 手 間 を
省 け,安 価 に ネ ッ トワ ー ク を形 成 す る こ とが 可 能 で あ る
こ とが わ か っ た.
この こ とか ら,本 研 究 で 製 作 した イ ー サ フ ォ ン無 線 通
[4]Ms.RuchiaA.KaleandProfDLS.R.Gupta.AN
OVERVIEWOFMANETADHOCNETWORK:
InternationalJournalOfComputerScienceAnd
Applications,6,2,223-227(2013).
[5]神 谷 将 樹,白 井 治 彦,黒 岩 丈 介,小 高 知 宏,小 倉 久 和:
イ ー サ フ ォ ン を用 い た ア ドホ ッ ク ネ ッ トワ ー ク に
よる災害 時通信 シス テ ムの構 築
日本 知 能 情 報 フ ァ
74
ジ ィ シ ス テ ム シ ン ポ ジ ウ ム 講 演 論 文 集,27,969-972
(2011).
[6]福
井 大 学:通 信 装 置,及 び,通 信 方 法,特 許 出 願2004-
217916,特
許 公 開2006-041842,特
許 番 号(特
許 第
4110251).
[7]袴 田 暁 人,白 井 治 彦,黒 岩 丈 介,小 高 知 宏,小 倉 久 和:
災 害 時 復 旧 支 援 ネ ッ トワ ー ク 用 の 新 し い プ ロ ト コ
ル の 提 案 福 井 大 工 報,59,17-24(2011).