IT基盤領域で チャンスをつかむ

パートナーのクラウドビジネス攻略術
ミライト情報システム
こう売る!
は
http://www.miraitsystems.jp/
IT基盤領域で
WebSphere Commerce(ウェブスフィア・コマ
ース)
」での販売でも実績を積む。直近では大手
自動車部品メーカーのB2B(企業間)取引サイト
チャンスをつかむ
向けに販売し、ユーザー企業の日欧米の主要拠
点へ展開している。EUではパーソナルデータの
越境規制があるため、規制に準拠したかたちで
海外データセンター(DC)を活用するなどネット
フルラインアップの強みを前面に
ワーク技術に長じた同社の強みを、ここでも存分
に生かしている。
通信エンジニアリング会社のミライト・テクノロジーズグループでIBMビジネスパートナー
のミライト情報システムは、
「SoftLayer」をテコに、IT基盤(プラットフォーム)領域へとビジ
IBMの戦略をキャッチアップ
ミライト情報システムは、Mobile First Plat
ネスの幅を広げている。2013年にIBMビジネスパートナーに加わった新参で、IBMプラット
formやWebSphere CommerceなどIBMテクノ
フォームで長くビジネスを手がけてきた手練れのIBMパートナーに比べれば存在感が薄い側
ロジーをベースとする情報サービスビジネスの割
面があった。しかし、SoftLayerという新しいプラットフォームの登場を“チャンス”と捉え、
合を、ここ2年余りで単体の売り上げ全体の2割
程度まで拡大させるなど、アプリケーション領域
これまで手薄だったプラットフォーム領域での事業拡大を推し進める。
を中心としたIBM関連ビジネスを急成長させてき
た。とはいえ、もともとがソフトウェア開発のウ
IBMソフト製品に独自の付加価値
エートが高かったこともあり、ハードウェア販売
ミライト情報システムの強みは、アプリケーシ
域のビジネスは、十分に拡大できなかった。
ョンソフトや運用サービスといった情報サービス
物理層からアプリケーション層までトータルで
の割合が少なく、IT基盤(プラットフォーム)領
と、親会社グループがもつ通信エンジニアリン
サービスを提供できることを強みとしてきた同社
グを一体的にユーザー企業に提供することがで
では、IT基盤ビジネスは必要不可欠な領域。IBM
きる点だ。グループ全体では、ネットワークの物
プラットフォーム&
クラウド技術部部長
中登義仁 氏
理層、すなわちOSI参照モデルに当てはめれば第
1層からアプリケーション層の第7層まで「トータ
の主力サーバーであるPower Systemsや、スト
エンタープライズ
営業部 担当部長
岩宮伸幸 氏
レージのVシリーズの販売に努めているタイミ
ングで登場したのが、IaaSのSoftLayerだった。
ルでサービスを提供できる」
(中登義仁・エンタ
部担当部長)と振り返
2014年12月には待望の東京データセンターも
ープライズ事業本部プラットフォーム&クラウド
る。
稼働を開始した。SoftLayerをプラットフォーム
技術部部長)という体制を築いている。
そこで、Mobile First
とするビジネスならば、
「各社ともほぼ同じスタ
しかし、IBMビジネスパートナーとしての歴史
Pl a t f o r m 上で 動 作
ートラインに立ったも同然」
(中登技術部長)と、
は浅い。ミライト情報システム単体では、ソフト
する独自の 業 務 ア プ
SoftLayerをPowerやVシリーズ同様、IT基盤ビジ
ウェア開発を主体としてきたこともあり、IBM商
リ「 Image Gate( イ
ネスの主軸と位置づける。
材を活用したビジネスは2013年にスタートした
メージゲート)
」を開発
ばかり。主力商材としてスマートデバイスと既存 ( 図 参照 )
。iPadな ど
システムのハイブリッドなアプリケーションを開
タブレット端末に表示
IT業界のビジョナリーカンパニーとして定評
エンタープライズ
営業部
のあるIBMが、ボリュームゾーンであるPCサー
花嶋涼子 氏
バーを売却した時点で、次世代のボリュームゾ
発できる「IBM Mobile First Platform(旧製品名
したイメージ画像をそのまま設備保守や商談時
ーンはSoftLayerへ移ることを確信。ミドルウ
Worklight)
」を扱ったが、
「ミドルウェアだけを提
のプレゼンテーションアプリとして活用するツー
ェアなどPaaS領域については、
「IBM Bluemix
案しても多大な開発が頭に描かれ、なかなか売
ルに仕立てたところ、ユーザーからの引き合い
(Bluemix)
」をはじめとしたクラウドベースになる
れなかった」
(岩宮伸幸・エンタープライズ営業
が急増した。ほかにもネット通販アプリの「IBM
とし、
「IBMパートナーとしてビジネスを伸ばすに
は、こうしたIBMの戦略をキャッチアップしてい
くことが、巡り巡ってIBMテクノロジーを求めて
いるユーザーのプラスに働く」
(エンタープライ
IBM Worklightを活用した「ImageGate」の概要
ズ営業部の花嶋涼子氏)と考えるようになった。
ImageGate
故障対応
基幹システムA
今後は、SoftLayerやBluemixなどのプラッ
トフォーム上に、Mobile First Platformベースに
営業報告
インターネット
サーバー
ESB
エンタープライズ
サービス・バス
基幹システムB
独自開発してきたImageGateや、WebSphere
Commerce、さらにはMicrosoft Dynamics AX
などのERP、ISV(独立系ソフトウェアメーカー)
提案活動
ユーザー
イントラネット
管理者
の製品群を組み合わせたサービスメニューの拡
基幹データベース
(DB)
充を図る。IT基盤からアプリケーション、サービ
ミライト情報システムの資料をもとに『週刊BCN』編集部で作成
ス領域に至るフルラインアップでユーザーの課
画像(pdf、pngなど)を登録し、
情報を関連づけ
例:図面に部品を関連づけ
題を解決することで、ビジネスを伸ばしていく。
photo by Hirokazu Hasegawa
BCN
Special Issue
(この特集記事は、週刊BCN2015年5月11日発行vol.1578 第2部に掲載したものです)