「第9回一造会大賞 選考委員講評・受賞作概要」(PDF)

第9回
一造会大賞
選考委員講評
受賞作概要
平成 26 年 10 月 24 日
全国 1 級造園施工管理技士の会(一造会)
1
第 9 回「一造会大賞」受賞者
大
賞
「地域の要望に応えた公園づくり」
~隣接歩道に及んだ公園整備~
(最優秀賞)
田中
敏弘 、徳原
祥普 、佐々木 ひとみ氏(アゴラ造園 株式会社)
講評:設計にもとづく施工に止まらず、公園整備に伴って想定される隣接歩道の利用者増を念頭に隣接
歩道の整備を提案し、関係行政部局との調整を経て実現させた点で高く評価された。作品は、公
園施工担当者の明確な理念と関係者の理解を得る努力によって、整備が当該敷地の外側にも及ん
だ事例として全国的波及が期待されものである。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
優秀賞
「星のや京都 庭師によるとっておきのおもてなし」
~庭師によるおもてなし~
井上
靖智、小山
由美氏(植彌加藤造園 株式会社)
講評:もてなしは、移植や剪定、除草、掃除のすべてに適切で無駄のない仕事ぶりと、利用者との自然な
やり取りによって成り立つもので、作品は、庭の風景ともなる庭師のありようを意識した取り組み
であることが高く評価された。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
優秀賞
「なつかしい未来の原っぱ ~武蔵野の原っぱ再生~」
~選択除草による武蔵野の原っぱ再生~
小島 和夫、高坂麻衣子氏(株式会社 富士植木)
森村 有希氏
(㈱東京スタジアム)、徳平 友里恵氏(千葉大学大学院)
講評:選択的除草によって帰化植物を減らし、在来種からなる原っぱを再生する植生管理は、植物の同定
能力のみならず個々の種の生態や管理方法も熟知した技術力が求められる。作品は、その技術力の
みならず、それを求め評価する発注者・施主との共通認識を得ている点が高く評価された。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
特別賞
「震災発生土の利用促進と不足している黒土代用土について」
~震災発生土の植栽基盤材利用~
尾形
拓氏(有限会社 ミドリ企画)
講評:東日本大震災で発生した膨大な残土を植栽基盤材として活用するもので、膨大の震災発生土を抱え
る被災地の復興を緑化と合わせて進める技術として高く評価された。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
特別賞
「江古田三丁目地区緑地等整備工事」
~50 本以上の高木根回し移植の工夫~
小俣
雅由、小峯
成典氏(株式会社 柳島寿々喜園)
講評:限られた年限で多種に亘る多くの高木を根回し移植し、個々の樹木の推移を詳細に記録している点
が高く評価された。
2
1 審査員長総評
第 8 回一造会大賞の審査を終えて
藤井英二郎
千葉大学大学院教授、一造会顧問
回を重ねるにつれて応募件数を増え、今回は 24 件であった。応募された方々の努力と意欲に敬意を
表したい。今回は選考委員も大幅に変わり 10 名の選考委員で慎重に審議した。
大賞となった「隣接歩道に及んだ公園整備」は、設計にもとづく施工に止まらず、公園整備に伴って
想定される隣接歩道の利用者増を念頭に隣接歩道の整備を提案し、関係行政部局との調整を経て実現さ
せた点で高く評価された。道路の新設整備に伴って既存の周辺道路整備がなされるように、公園も利用
者のアクセスに不都合があれば公園整備と合わせて整備する必要がある。本件は公園施工担当者の明確
な理念と関係者の理解を得る努力によって、整備が当該敷地の外側にも及んだ事例として全国的波及が
期待される。
優秀賞の「庭師によるもてなし」は、庭の風景ともなる庭師のありようを意識した取り組みであり、
庭に止まらず街路や公園の管理でも意識されてよい。そのもてなしは、移植や剪定、除草、掃除のすべ
てに適切で無駄のない仕事ぶりと、利用者との自然なやり取りによって成り立つもので、手荒さやぎこ
ちなさ、わざとらしさが見えればもてなしにはならない。同じく優秀賞の「選択的除草による武蔵野の
原っぱ再生」は、選択的除草によって帰化植物を減らし、在来種からなる原っぱを再生する植生管理で、
植物の同定能力のみならず個々の種の生態や管理方法も熟知した技術力が求められる。そして、こうし
た質の高い管理を増やすためには、それを求め評価する発注者・施主の見識も必要である。
特別賞の「震災発生土の植栽基盤材利用」は、木製チップと下水汚泥を活用した植生基盤材の開発技
術をもとに東日本大震災で発生した膨大な残土を植栽基盤材として活用するもので、膨大の震災発生土
を抱える被災地の復興を緑化と合わせて進める技術として高く評価された。同じく特別賞の「50 本以上
の高木の根回し移植」は、限られた年限で多種に亘る多くの高木を根回し移植し、個々の樹木の推移を
詳細に記録している点が高く評価された。
今回の応募には、造園技術との関連性が薄い器具紹介が幾つか見られた。造園工事に関わる器具の開
発は強く推奨されるが、そのためには造園的工事を貫く必要があり、造園的器具開発はその過程で生ま
れるものである。一方、極めて造園的な工事であるにも拘わらず技術に対する意識が希薄な応募も見ら
れた。一造会大賞は、造園施工界が目指す目標となる仕事であり、造園技術に対する強い拘りがあって
はじめて得られるものである。
3
2 審査委員講評
(1)熱気あふれる選考会にて、応募 24 作品から受賞作品を選考
荻野 淳司 第 9 回 一造会大賞審査委員会 副委員長、一造会 副会長
一造会大賞、優秀賞、特別賞受賞されたみなさん誠におめでとうございます。
今回は、昨年を大きく上回る 24 作品の応募を頂き、選考会は熱気あふれるものとなりました。当表彰制度は、
造園技術者集団特有の「現場における隠れた工夫」
「できて当たり前ではない」などの技術に裏づけされた「苦
労話」を、受注金額など現場の規模や工事・管理の種別にとらわれずみんなに自慢しよう!という趣旨でス
タートしました。
委員長の藤井先生は、第1回目から一貫して「技術を確立し、表現する能力開発」の重要性を主張されて
おります。私たち造園技術者は、その命題に対して、日常真面目にコツコツと現場を仕上げる中で、しっか
りと記録を残す。さらには、第3者に理解されるように論理的に伝える。というトレーニングが必要である
ことを認識なくてはなりません。
今年の応募作品は、どれもしっかりと仕事をした記録としてエントリーされましたが、特に入賞作品は、
表題(テーマ)が文学的表現に偏り、とても重要で技術的に教えてほしい大切な事項がダイレクトに伝わら
ないという傾向が見られました。また、取組みは素晴らしいのですが、その仕事の中の「主語」が抜けてお
り、自分が果たした役割が明確になっていないために、もっと本質を知りたくなる作品がありました。
今後も一造会大賞は、全体的にかっこよくではなく、本当の技術的工夫を分かりやすく表現した自慢作品
集になるよう期待します。
(2)造園とは何かを考えさせられた受賞作品群
町田 誠 (公社)日本造園学会 関東支部 副支部長
第9回「一造会大賞」を受賞された皆様、誠におめでとうございます。今回初めて、審査をさせていただ
く機会をいただきました。このたびの全24作品の中には、本大賞の趣旨にそぐわないと思われるような作
品も見受けられましたが、ネガティブなことには触れずに、受賞作品を通じて考えたことについて、述べて
みたいと思います。
現場での工夫、頑張り、豊富な経験、広範な知識、柔軟な発想など、優れた技術・技術者を顕彰するとい
うのが本大賞の趣旨ですが、優れた計画・設計や施工・管理により達成されている「空間そのもの」でなく、
その空間を成立させている「造園的な心」が評価された結果、大賞、優秀賞、特別賞等が選ばれたと理解で
きるように思います。それでは「造園的な心」というのは何かというと、非常に幅広い領域を持つ「造園」
や「ランドスケープ」の本質、コアな技術とは何かと問われるのと同じくらい難しく、いつも悩んでいるの
ですが、生き物である人間への愛着や愛情をベースとして、良好な空間を成立させるための「関係性」や「プ
ロセス」をデザインする心、と言っても良いのではないかなと、このたびは思いました。
「地域の要望…」、「星のや…」、「なつかしい…」、
「震災発生土…」、
「江古田三丁目…」等の受賞作品は、
工夫や頑張りの種類や対象こそまるで違うのですが、やはりそこには共通した空気感-生き物である人間の
4
心に向けられた愛着・愛情-を感じ取ることができます。圧倒的な規模や構成力、洗練された美というのも、
造園のアウトプットの一つであることは間違いないのですが、そこに「迎えに行く優しい気持ち」を感じと
ることができないと、造園らしくない、ということになってしまうのかも知れません。そういう意味で「造
園的な心」というのは、これからの時代、とても大変なものになっていくと思います。
多忙な業務の中で応募してくださった方々に心より敬意を表するとともに、来年もいろいろと工夫や努力
を重ねられた作品に出会えることをお願いして、講評とさせていただきます。
(3)造園業の職能や役割を高め、ひいては社会に認知させていく使命も持つべき「一造会大賞」
韓 圭希 (公財)都市緑化機構 嘱託、釜山大学 兼任教授、URBANICS㈱ 共同代表取締役
一造会大賞の審査にはじめて携わらせていただきました。たくさんのプロジェクトを知ることができ、感
謝しております。受賞されたみなさま、おめでとうございます。また、応募されたみなさま、会員のみなさ
まのますますのご活躍を期待しております。
「一造会大賞という賞は造園施工に携わるものにとっての目標となるべき賞である」とお聞きしていまし
たが、私は造園業界全体における施工業の職能や役割を高め、建設業界全体、ひいては社会に認知させてい
く使命も持つべきだと考え、従来の技術や役割を超えた、新しい取り組みを行っているプロジェクトを推薦
させていただきました。
選から漏らしてしまった作品にも質が高いプロジェクトがありました。 「技術的なチャレンジ」や「社会
の要請に応える提案」を審査員として見落としていないかが気がかりですが、一方で、応募いただいたプレ
ゼンテーションには「新しいチャレンジ」
「社会的要請に応える努力」をハッキリと表現されていないものも
多い印象を受けました。また「結構スゴイこと」をやっているようなのにあまり表現されていない印象を受
ける応募作もありました。次回応募される方は、そういった視点でもプレゼンテーションを構成・見直して
くださることを望みます。
社会が、施主が、わたしたちに求めるものは日々深化し、変化もしています。建設業界の中で、造園界は
幅広くこれらの要請を察知し受け止めて対応しなくてはならない「最前線」に置かれています。なかでも、
施工されるみなさまはその結果を真っ先に受け止めなくてはならない重責も担われています。そういう状況
ですから、次回も、堅実でありつつ新機軸も打ち出しているプロジェクトにもっと出会いたいと思っていま
す。よいお仕事、そしてご応募、よろしくお願いいたします。
(4)わかりにくい造園というものを分かりやすく評価することの難しさ
萩野
一彦
(一社)ランドスケープコンサルタンツ協会 技術委員長、㈱オオバ まちづくり本部 担当部長)
第 9 回一造会大賞の各賞を受賞された皆様、おめでとうございます。
今回の最優秀賞、優秀賞、特別賞の 5 件を改めて見てみると、造園が、いかに広範囲にわたり、かつ非定
型な仕事であるかがよく分かります。これゆえ、評価項目に点数を入れる単純な評価がしにくく、作品選考
には頭を悩ませます。それでも、選考委員の評価はそれほどバラつきなく収斂されていきます。これは、造
5
園技術者が持っている特有の精神が表れていることを感じられたかどうかがポイントになっているからだと
思います。人に対し、自然に対し、双方に敬意を払い、このために定型の仕事の範疇を超えて行われた努力
により結果を得ていると感じられることが重要です。
また、計画・設計・施工・管理・運営の各段階にわたり、それぞれの技術者はどこかの段階に専門的に係
わっているのですが、人に対し、自然に対し、双方に敬意を払うことを優先すれば、本来の造園のプロセス
には、切れ目や順番は重要ではないということになります。例えば、最優秀賞の「隣接歩道に及んだ公園整
備」については、施工段階において、計画・設計に立ち戻って見直し、より良い成果を得た作品でした。施
工にも管理にもデザインの技量が必要であり、設計と施工が連携して空間をデザインしていくことが、造園
の特徴であるということも、そろそろ明確にされないといけないでしょう。
来年も多くの力作の応募があり、楽しい選考会になることとともに、一造会の活動を通じ、造園が多くの
市民に理解されることを祈念いたします。
(5)住民の方たちのため、利用者のため、社会のために
福成
敬三
一造会フェロー、㈱フォーサイト代表取締役
一造会大賞、並びに優秀賞、特別賞受賞の皆様、おめでとうございます。一造会大賞は、これまでも開催
されるたびに内容も充実し、応募資料のレベルの向上など、年々目をうばわれるものとなってきています。
今年度の大賞「地域の要望に応えた公園づくり」は、図面通りにやればいいと言われ続けてきた「造園施
工」の立場であっても、地域住民のニーズを汲み取って、パースなど提案書を作成し、自ら関係諸官庁にも
積極的に働きかけて、現実のものとしたことが賞賛されます。書類のまとめ方も簡潔でわかりやすく、特に
すぐれていました。
優秀賞の「星のや
京都」は、造園の仕事そのものを「おもてなし」と位置づけて庭師の仕事を前面に出
された工夫がすばらしかったと思います。さらに「維持管理」という言葉ではなく、
「お手入れ」などとされ
るとますます次の広がりも出てくるのではないかと思いました。
優秀賞「懐かしい未来の原っぱ
〜武蔵野の原っぱ再生〜」は、除草という作業の中にこのような観点が
あったかと、目を開かされるものでした。深い意味でいかにも造園的発想だと思いました。一方技術として
はあり得るが、今後の展開にも大いに興味がわく仕事でした。
特別賞 2 点は、造園の関わる様々な場面において、いかに自分のものとして困難を適切に乗り越えていっ
たかという点で大変すぐれたものであったと思います。
賞に漏れた作品は、あと一息というものも多く、ぜひ次の機会に再挑戦していただきたいと思います。ま
た最優秀賞などの応募書類は、見事に体裁、論理展開などもなされており、多くの方に読んでいただきたい。
そして造園の仕事が発注者のためにだけやっているのではなく、「住民の方たちのために、利用者のために、
社会のために」という根幹としての意識を忘れてはならないし、それが人の生活する中で大いに生きてくる
のだと言うことを感じました。
6
(6)図面に秘めた問題点をいかに早く見抜き改善策を提案できるか
坂元 博明 一造会常任相談役、㈱柳島寿々喜園 常務取締役
今回の9回目となる「一造会大賞」の作品募集に対し、関西や東北をはじめ多くの方々からご応募を頂き
ありがとうございました。また受賞された皆様、真におめでとうございます。今回初めて審査に携わり造園
領域の幅の広さを改めて認識した次第です。
応募作品の中には、現場を造り終えての感想分程度になっている作品や如何にも上司の指示で応募頂いた
ような積極性に欠ける作品も見受けられましたが、多くの作品が、携われた現場での創意工夫の結果として
上手くいったことを記述されていました。深読みをしていくと、現場への思いやこだわり、発注者とのぶつ
かり合い、利用者を一番に考えた場合の改善など、様々な創意工夫をされているのに、そのプロセスの説明
不足を感じました。もう少しポイントを絞ってアピールされていればもっと激戦になっていたかと思います。
現場の失敗やヒヤリハットから工夫された再発防止策とその効果など公表したくないことも現場ではありま
すが、同じようなことを繰り返さない強いメッセージを発信するのも良いかもしれません。
今回受賞された方々には胸を張って受賞の喜びを随時広報して頂き、惜しくも受賞に至らなかった方々に
は、次回こそは入賞できるよう今回をバネにもっと頑張ってください。また今回応募に至らなかった方々に
は、現場の度に一造会大賞を意識して頂き、これぞという現場で応募できるようにため込んでおいてくださ
い。
次回はもっと審査を難航させるような多くの作品の応募があることを祈念しています。
(7)単なる設計・工事・管理作業ではない、利用する人のことを考えた仕事ぶりを感じて
川井 良浩 一造会技術部会長、西武造園㈱ 取締役 工務部長
今回から審査委員になりました。24 作品の応募があり内容も造園工事、設計、管理など様々あり、どれも
力作で仕事に対する工夫や情熱を感じました。
大賞作品は 1 点「地域の要望に応えた公園づくり」、優秀賞は 2 点「星のや京都 庭師によるとっておきの
おもてなし」
、
「なつかしい未来の原っぱ ~武蔵野の原っぱ再生~」、そして特別賞 2 点「震災発生土の利用
促進と不足している黒土代用土について」、「江古田三丁目地区緑地等整備工事」を選出しました。受賞者の
皆様、おめでとうございます。
今回の応募作品で感じたことは、単に設計・工事・管理作業をするのではなく、それらを利用する人のこ
とを考え、仕事を進めていると感じられました。
また今回は受賞を逃しましたが造園の技術ではなく、そこに働く人の環境・女性技術者の登用・測量機器
の技術開発など別の観点からの応募作品もありました。興味深く読ませていただきましたが、それらがどの
様に造園技術に役に立ったかをアピールしてほしかったと思います。
最後に受賞作品を含め全作品がお忙しい中作成され大変だったと思います。一造会大賞は個人のアピール
の場でもあります。もっともっと現場での創意工夫・自分自身で苦労したこと、そしてどの様に乗り越え解
決したかを記載していただきたいと思います。
7
(8)場を読む
高橋 正敏 一造会幹事、関西造園土木 株式会社 工事グループ 統括
今回の応募作品 24 点の中から選ばれ受賞された皆様、おめでとうございます。
審査をさせていただいて感じたのは、場を読み条件を活かす技術の高い作品が一造会大賞、特別賞を受賞
されたと思います。それぞれ与えられた場の中で、図面通りではなく、どこに着目して創意工夫していくの
かがポインであったと思います。応募作品のジャンルとしてその他、が多かったのがすこし残念に思いまし
た。
今回忙しい業務の中、一造会大賞に応募いただいた皆様、ありがとうございました。
(9)視点の違う広範囲に及ぶ応募 24 作品
田中 秀穂 一造会幹事、株式会社 ガーデン二賀地 取締役会長
応募された 24 件の作品は視点の違う広範囲のものであった。
特に具体性を持った改善策には、関係部所をも動かす優れた提案として設計変更へと継った例などその実
績には多くの評が加算されました。
自慢・手柄・宣伝などが見え隠れするものもありましたが
その想いは必要でもありましょう。権威ある
一造会のプロの目に晒す事を念頭に技術力を伴ったイノベーション的な発展に継がる糸口を切り招くもので
より良い評点をいただいたのもありました。
その他の項目で震災発生土をとらえた内容が目に止りました。
確かに宮城県の海岸防災林は 1573haが壊滅し、東北全体の 77%に及ぶという震災前の緑量を取り戻すに
は植栽した緑化木をより良く伸長させなければならない。宮城県・仙台市は大消費地でありながら県内の生
産量は皆無に等しい。それは新たな植栽土壌が劣悪である事の一因もあり他県の生産に依存しているが実態
なのです。この度 石巻地区に集積されたガレキ収集後のいわゆる震災発生土は 40 万㎥でふるい分け出来な
い木くずが 40%程混入し、土木的には使用不可という。
宮城県グリーン製品認定 106 号としてすでに実用化されているネオソイルMSを混入撹拌することによっ
て活用出来るのではないか、堅密化した埋立地には団粒構造化促進剤で三相構造が確保されるのではないか
…。これらを実践的試行で緑化用の黒土に代替活用した事は緑の復興を成し遂げようとする緑化業界に好ま
しい事例として特筆に値するとも思われる。
他にも注目するべき好事例はあったが 今後基本的に技術力を伴ったものであれば大いに掘り下げ研鑚を
して新たな提案をして行きたいものである。
8
9
10
11
12
13