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園だより
2015.10.26
NO.26
麻生明星幼稚園
「私は自分の望む善は行わず、望まない悪を行
っている。もし、私が望まないことをしている
とすれば、それをしているのは、もはや私では
なく、私の中に住んでいる罪なのです」
(ローマの信徒への手紙4章28節)
○発達のバランスについて
~大切なことは何度でも・自尊感情について~
最近、「発達障害」という言葉をよく耳にします。はじめてこの言葉と向き合っ
たのは東京で牧師をしていたときのこと。毎週教会に来ていた子どもの親御さんか
ら「娘が発達障害の診断を受けた」とメールが来たことがありました。頭の回転が
速い子で、楽しく遊んでいましたので「障害」という言葉に正直、驚きました。
「今、
自分たちが発達検査を受けたら認定を受ける可能性があるよね」と冗談半分、しか
し大いに真剣に師匠の牧師と話していたことを思い出します。
発達障害とは成長の「バランス」にばらつきがあり、好きなことにはとことん集
中するけれども、そうでないものには興味がないことも特徴の一つです。個人的に
は「個性」という言葉がしっくりくるのですが、かつての首相や一流のスポーツ選
手、実力派の漫才コンビなどの中にも検査をしたら発達障害の認定を受けるだろう
と言われている方々がいます。研修会では「大人の発達障害を見たければ、大学の
教授会に出れば良い」と言われていました。ずいぶん大胆でしたので語弊がないよ
うにしなければなりませんが、それもきっと本当のことなのでしょう。個人的には
どんな子どもにも神さまが与えてくださった「賜物」があると信じていますから、
課題は課題としてありのままを受け止めつつ、得意なことを「個性」としてこれを
伸ばしていくことが必要と考えています。
子どもも大人も課題のない人間はいません。皆、多かれ少なかれ課題を抱えて生
きています。身体に課題を抱える者は義足や義手を使うことで日常の生活を送るこ
とができます。同じように、発達の課題と向き合うためには目には見えない「義手」
や「義足」のような「助け手」が必要です。最近の幼児教育では「自尊感情(自分
に価値があると思える感情)」こそ、子どもたちの成長に不可欠な転ばぬ先の「杖」
と言われています。大人でも「なぜできないのか」と言われ続けて「自分は生きて
いる価値がない」と思ってしまったら手や足をもがれたような喪失感が起こり、元
気もでないし、やる気を失うでしょう。そうではなく、子どもが得意なものを見つ
けて、大いに褒める。そのことが自信となり、「助け手」となり、発達にばらつき
が有ろうと無かろうと力強く生きる力へと繋がっていくの
でしょう。これを育む第一の場は家庭ですが、家庭も大い
に支えられる必要があります。お困りのことがあったら是
非幼稚園にご連絡ください。きっとお役にたつことができ
るでしょう。
麻生明星幼稚園 園長 久保哲哉