C:A と B の重なりを大きくする支援 ソフトマットを用いた痛みの少ない場

学年・領域
6年 器械運動領域 マット運動
単元名
「リズムに乗ってシンクロだ!!“倒立行くぞ。1,2,3丸まれ”
」
指導によせて
A:子どもがひかれるもの
B:教師のつけたい力
・普段味わえない逆さになる感覚。
動きの面
・痛みの少ない学習内容。
・勢いのある足の振り上げから
倒立姿勢をとることができ
めざす「これがしたい!!」の姿
る。
痛みのない場を通して、勢いのあ
・前転のタイミングが分かる。
る倒立姿勢を試みる姿。
学びの面
・補助を通して勢いのある倒立
の特徴に気づくことができ
る。
C:A と B の重なりを大きくする支援
○ソフトマットを用いた痛みの少ない場づくり
ソフトマットに向かって倒立をしたまま背中から倒れ込む練習をする場。
ソフトマットを敷くことで、背中から倒れ込んでも痛みがないことで、恐怖心を持たず勢いをつけて足を振
り上げることができる。振り上げ足の勢いの大切さを感じさせる。
○補助
補助を 2 人つけて、1 人は足を支え、もう 1 人は、背中を支えることで安心感を持たせて倒立前転に取り組
ませられる。
補助を通して、補助者が倒立をするために必要なポイントに気づける。
また、補助があることで、倒立姿勢を維持でき、前転をするタイミングをつかみやすくさせる。
○動きのシンクロ
最終目標は音楽に合わせた動きのシンクロであることを子どもたちに伝え、友だちの動きに自然と注目させ
る。自分の動きと周りの動きを合わせるために必要なことを考えさせ、動きを洗練させていく。
運動有能感を高める支援
○スモールステップを支えるソフトマット
○グループを作り、アドバイスの充実
シンクログループを作ることで、同じグループの仲間がつまずいた時に、アドバイスをするこ
とで、一体感が出るようにした。
○教師の補助
教師が補助をすることで、倒立姿勢のポイントを一対一で教えるようにした。
授業で生まれた「これがしたい!!」の姿と運動有能感を高める支援
①痛くない!(恐怖心を生まないスモールステップを通しての自信)
ソフトマットを用いた倒立練習を通して、恐怖心を持たずに何度も繰り返し倒立バタンをする姿が見られた。
本学級では、
「マット運動をする。
」と言うと「え~、絶対嫌や。」「マットとか痛いし、やりたくない。」と口々
にする児童が半数以上いた。特に女子児童の多くがマット運動に対して恐怖心を持っている様子であった。しか
し、ソフトマットを用いることで、
『痛みがない』
。背中から倒れ込んだ時の『心地よさ』を味わっていた。子ど
もたちの間でも「気持ちいい~。
」
「早く代わってよ。」とマット運動に対する恐怖心や抵抗感を持たずに意欲的
に取り組むことができた。また、意欲的に取り組む中で、より『心地よく』ソフトマットに倒れ込むには振り上
げ足を勢いよく上げ、まっすぐな倒立姿勢からバタンと倒れ込むことが大切だと感じている児童が多くいた。
「も
っと勢いつけよう。
」と言っている姿から、倒立姿勢のポイントを自然と考え、自信を持って練習に取り組んで
いることがわかった。
このような姿が生まれたのは、
『心地よい』ソフトマットがあることで、どうすれば『心地よく』なるのかと
いう視点から技能ポイントである振り上げ足を勢いよく上げることを意識できたからだと考える。また、
『痛み』
がないことで、自然ともっと足を高く上げても怖くないという個に応じたスモールステップを踏むことができた
からだとも考えられる。
②「丸まれ!」のアドバイス(仲間からアドバイスを受けることで深まる自信)
ソフトマットを用いた倒立練習に補助を加え、前転の動きにも挑戦させるようにした。初めは、倒立を取り組
む側より、補助者の方が恐怖心を抱き、うまく支えられないことが続いたが、慣れてくると補助者がしっかり支
え、倒立姿勢を維持できるようになってきた。その中で前転をするタイミングで「丸まれ!」というかけ声をつ
けるようにした。この「丸まれ!」というかけ声を通して、倒立している子自身が回るタイミングをつかめただ
けでなく、補助者もどの角度に足がある時に回れば良いかを考えるようになった。丸まるタイミングを伝え合う
中で、補助者が倒立をしていない間もイメージの中で倒立をしている様子であった。そのため、「今のタイミン
グやったら頭痛かった?」や「今のは丸まるの遅かったから背中がドンッてなってるな。もっと早く声をかける
わ。
」というアドバイスが生まれるようになった。
このように、お互いに補助をし合うことで、仲間ができるようになるためのアドバイスを大切にするようにな
った。また、アドバイスを通して、自分が倒立をしている時のことも考えながら補助をするようになり、補助者
自身が倒立をする時にも生かされるようになった。考えたアドバイスをし合いながら学習を進めることで、お互
いに自信を持って倒立前転をすることができた。
③教師の声(教師の言葉かけで生まれる自信)
ソフトマットに倒立バタンをしている児童の中でもなかなか体が伸びず、あごを引いてしまい、まっすぐな倒
立姿勢にならない児童もいた。そこで、教師自身が補助者になり、まっすぐな倒立姿勢がどのようなものかを体
感させた。その時に「うわ!こんなに持ち上げられるんや。
」という言葉が子どもから出た。そこで「持ち上げ
られるってことはもっと強く蹴り上げないとあかんってことやな。」と教師が切り返すと「あぁ~。先生もう一
回持って。
」と言ってきた。もう一度補助をすると、児童の体がぐっと上がり、少しずつまっすぐな倒立姿勢に
なっていき、最後に倒立前転ができるようになった。できるようになり、この児童が一言「先生。ポイントは思
いっきり足をけることやったんやな。
」と振り返る様子から自信を持って技能ポイントを理解し、動くことがで
きたのだとわかった。
このように、場合によっては、教師との一対一の関わりを通して自信が生まれる児童もいる。教師の支えによ
って自ら考え、技能ポイントに気づき、動きを学び取っていこうとする姿も見られた。
単元計画(全6時間)
単元名「 リズムに乗ってシンクロだ!!“倒立行くぞ。1,2,3,丸まれ”
○学習活動
」
・教師のねらい
時間
1
2
3
4
5
6
学習
リズムに乗る楽しさを
勢い良くソフトマットに
振り上げ足を強く上げる
倒立前転のタイミングを
マットの感覚をつかんで
発表会をしよう
課題
感じよう
倒れ込もう
ことを意識しよう
みつけよう
倒立前転をしよう
○音楽に合わせたダンスをする。
・音楽に合わせて踊
る楽しさを感じる。
・音楽に合わせて踊る
楽しさを感じる。
・自分で考えた動きを
1つ加える。
学
習
動
合わせを考える。
・音楽に合わせて踊れる
か確認する。
・それぞれのよか
り上げるイメージを持
った部分を見合
つ。
う。
・お尻を締める。
・背中を丸めない。
エンテーションをす
○動物歩き(くま)
○動物歩き(くま)
立バタン』をする。
・補助で2秒キープ。
る。
○動物歩き(うさぎ)
○動物歩き(うさぎ)
・振り上げ足を真上に
・準備、片付けの方法
○かえるの足うち
○かえるの足うち
けり上げるイメージ
○前転
○前転
を持つ。
○片足前転
○片足前転
・お尻を締める。
○歩きながら前転
○歩きながら前転
・背中を丸めない。
・ソフトマット使用時
の注意事項。
○マットに慣れる。
○ソフトマットに『倒立バタン』をする。
○動物歩き(くま)
○片足前転
○歩きながら前転
行動観察
・補助で2秒キープ。
○マットで倒立前転を
する。
・マットでの前転のタイ
ミングをつかむ。
・マットの感触を確かめ
ながら前転を試みる。
○ソフトマットに倒立
・勢いよくソフトマ
・振り上げ足を真上にけ
ットに倒れ込む心
り上げるイメージを持
地よさを感じる。
つ。
・自分の軸足を見つ
ける。
・お尻を締める。
・背中を丸めない。
・補助の役割を確認。
技
るか確認する。
・振り上げ足を真上にけ
○ソフトマットに『倒
○前転
思
・音楽に合わせて踊れ
会をする。
○マットに慣れる。
○かえるの足うち
関
み合わせを考える。
バタン』をする。
○マットに慣れる。
○動物歩き(うさぎ)
評
価
規
準
・グループで踊りの組
○シンクロ発表
○マット運動のオリ
の統一。
活
・グループで踊りの組み
○ソフトマットに『倒立
行動観察
前転をする。
・補助で倒立を2秒キ
ープして前転をす
る。
・前転のタイミングを
○音楽に合わせたダン
スをする。
・本番に向けてグループ
ごとに動きを確かめ
る。
つかむ。
行動観察
行動観察
行動観察、学習カード
行動観察、学習カード
行動観察、学習カード
行動観察
行動観察
行動観察