元気企業訪問シリーズVol.31

元気企業
訪問シリーズ
Vol.31
そうしん元気発信
黒豚の生産、飼料製造、食肉処理・加工、販売の一貫体制。
えさや飼育方法にこだわり、安心・安全でおいしい肉を提供
活気みなぎる企業を訪ねて
鹿児島ミートグループ 本社・工場
家畜商からスタートして事業拡大
グループ4社で売上高109億円
鹿児島県が標榜する
「本物。鹿児島県」のさまざまな
農林水産物や加工食品の中でもその代表格とも言える
「かごしま黒豚」
。鹿児島ミートグループは、
そのかごし
社長
松 元 久 己 氏
鹿児島ミート販売株式会社
□所在地 鹿児島市谷山港1-4-11
□設立 昭和47年8月
□資本金 4200万円(グループ全体で
8800万円)
□売上高 65億円
(グループ全体で109億円)
□従業員 105名(グループ全体で約180名)
□電話 099(284)2151
□F A X 099(262)1232
(新栄支店お取引先)
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ま黒豚を飼料製造から手がけて
「かごしま黒豚さつま」
のブランド豚として生
産・販売。さらに契約
農場で白豚と黒豚を
かけ合せた
「極味
(き
わみ)豚」のほか
「かご
南日本畜産で育った黒豚
「かごしま黒豚さつま」
のロゴマーク
しまダブルエックス」
、自社農場で
「プリンシャスポー
ク」などの銘柄豚を生産。これら
「さつま」や銘柄豚を
カット処理し、
県内外の商社、
加工肉メーカー、
量販店、
精肉店への販売と一貫して取り組んでいる。
飼料製造の南九州飼料工業、黒豚の繁殖・肥育の南
日本畜産、
カット処理の鹿児島ミート販売、
地元への卸
売りの南九州食肉販売の4社からなる鹿児島ミートグ
ループの中核となる鹿児島ミート販売の設立は1972年。
そのルーツは昭和30年代の新原畜産にさかのぼる。現
会長の新原義弘氏が頴娃町
(現南九州市)で家畜商を
営み、市場で購入した黒豚を生体のまま貨車に積み込
み、
東京・芝浦市場に持ち込み、
枝売りを行っていた。
新原氏は69年、
鹿児島では初めて豚カット処理し、
ブ
ロックミートでの販売を開始。
ダイエーや地元スーパー
に卸していった。
鹿児島ミート販売として法人化された
翌年の73年、
鹿児島市新栄町に豚カット工場を新設。79
年に新工場落成と同時に本社も移転した。
鹿児島ミート
販売に生産事業部が設置され、
養豚事業を開始したの
が74年ごろ。
その生産事業部が75年分離独立し、
南日本
畜産が設立された。
当時は白豚母豚100頭でのスタート
だったが、99年から100%黒豚飼育となり、現在は母豚
2300頭。77年には南九州飼料工業を設立し、独自の飼
料製造を本格稼働。80年には鹿児島ミート販売から地
場ルート販売部門が分離独立し、
南九州食肉販売を設
立。
県内のスーパーや精肉店に販路を拡大していった。
「頴娃町で家畜商としてスタートし、
その商売を通じ
て食肉加工、農場経営、販売と事業を拡大。
さらに豚を
育てるコストとして飼料費の割合が非常に大きいこと
や、
いい肉質をつくるにはえさにこだわる必要があると
いうことで飼料工場をつくるといった流れで一貫体制が出来上
のしょうゆで煮たもので、
がった」
と松元久己社長。
グループ全体の売上高は2014年12月
そのまま焼酎のつまみの
期で109億円。鹿児島ミートグループは10年、本社・工場を新栄
ほか、野菜を足して蒸し焼
町から谷山港1丁目の現在地に移転した。
き、卵でとじて黒豚丼とさ
まざまな料理にアレンジで
えさの内容・供給法にこだわる
異物混入防止に厳しいチェック
きる。黒豚の心臓・舌・胃袋
をスペイン風に味付けした
「アヒージョ」は、ビールや
白ワインにぴったり。温め
豚の肉質を決めるのはまずは毎日与える飼料。
南九州飼料工
てバケットと一緒に食べた
業ではトウモロコシやカンショ、
飼料米などのほか、
木酢液、
ヨモ
り、野菜をプラスしてパス
ギ粉末、
海藻粉末を配合することで豚特有の臭みが減り、
甘味と
タにしたりできる。
こくが強く、
低コレステロールの黒豚肉の生産につながってい
る。
さらにEM菌を加えることで元気な豚が育っている。
「大切に愛情をこめて生
新加工食品コンクールで大賞を受賞した
黒豚缶詰グルメカップ
産した黒豚の命をいただくからには全部食べられるようにし
南日本畜産では繁殖センターと肥育センターを分けた2
たいという想いから、
この商品を開発した。黒豚商品は冷凍・
サイト方式を採用して病気が広がりにくい管理を行い、農場
冷蔵品が多いが、鹿児島のお土産として常温で手軽に持ち帰
HACCPを取得している。09年からは、
配合飼料と水を混ぜた一
ることができ、食卓やアウトドア、パーティーなどでも楽しめ
定量のえさをコンピュータ管理されたパイプラインで基本的に
る缶詰タイプにした」
と事業所管理課企画担当マネージャー
1日5回に分けて与えるリキッドフィーディングシステムを導
の松元亜香里さん。内容総量65グラムで価格は500円
(税別)
。
入。
「黒豚はじっくり時間をかけていい肉質を追求することが大
鹿児島空港スカイショップ、
鹿児島中央駅みやげ横丁、
マルヤ
切。
大部分の大型の養豚場はいつでもえさを食べられる方式だ
ガーデンズなどで販売している。
が、
決まった時間に決まった量を与えることで安定した肉質の
黒豚が育っていく。
えさにもムダがない」
(松元社長)
とんかつやしゃぶしゃぶだけでなく、なかなか味わうこと
のできない黒豚の部位のレシピ提案も含めて各国の料理で食
このえさに秋〜春ごろは地元の焼酎メーカーから仕入れた
べてもらおうという黒豚缶詰
「グルメカップシリーズ」の第2
液状の焼酎かすが加わる。
黒豚は少量のアルコールの残る焼酎
弾としてメキシコ風、
フランス風のものを現在開発中で、
今年
かすの入ったえさを腹いっぱい食べてぐっすり眠り、
肉質にも
の
「いい肉の日」の11月29日の発売開始を目指している。九州
甘みが加わる。
焼酎工場から出る焼酎かすは乾燥させずにその
新幹線全線開業効果もあって県外から訪れる観光客らの黒
まま利用できるので焼酎メーカーにとっても余分なコストがか
豚料理へのニーズは高まっている。鹿児島ミートグループで
からないというメリットもある。
は鹿児島市を中心に地元のスーパー・精肉店13店舗を
「かごし
鹿児島ミート販売の取扱量の割合は豚肉80%、
牛肉15%、
副産
物5%。カット工場はISOの取
ま黒豚さつま」
の指定店とし、
飲食店などへの供給網の拡充に
も力を入れている。
得を目指すとともに、HACCP
マニュアルに基づいて枝肉の
豚の病気予防やTPP対応に注力
従業員が安心して働ける職場に
殺菌に始まり、30分ごとに手
指の殺菌・消毒を実施するな
ど、
衛生管理を徹底。
工場では
X線で金属片や骨片など細か
衛生管理の徹底したクリーンな
鹿児島ミート販売のカット工場
鹿児島ミートグループにとって今後の大きな課題は、
口蹄疫
い異物の混入をチェックしている。
「消費者の異物混入への目
などの病気との戦いとTPPへの対応。14年は約5千万円かけて
は厳しくなっている。黒豚の場合は黒毛が目立つが、
きれいに
農場の防疫体制を再構築した。TPPに対しては
「輸入ものとの
カット処理した肉に1本でも黒毛がついているとクレームが出
価格競争をやっても生き残れない。
日本の消費者の安全でおい
る。
これも含めてしっかりした管理を徹底している」
(松元社長)
しいものを求めるという食文化は変わらないだろう。
こうした
消費者ニーズや取引先の要請に応え、
かごしま黒豚とともに、
白
お土産として手軽に持ち帰れる
黒豚缶詰のグルメカップシリーズ
豚も品種やえさにこだわりながら生産者と一緒になって安全と
おいしさを前面に打ち出したさまざまな銘柄豚の開発に力を
入れていきたい。
店頭で消費者がこの肉はどんな生産者がどん
なえさでどんなこだわりで育てたかがトレースできるシステム
鹿児島ミート販売では黒豚を生かした特産品開発にも力を
構築や、
かごしま黒豚の海外展開も進めたい」
と松元社長。
入れている。平成26年度鹿児島県新加工食品コンクールでは
松元社長はまた
「従業員が安心して働ける職場づくりを目指
「黒豚軟骨の甘辛醤油煮」
と
「ハツ・タン・ガツのアヒージョ」の
していく。
そのために無借金経営を追求するとともに、
6次化の
2種類の黒豚缶詰
「グルメカップシリーズ」
が最高賞の県知事
流れも強め、
黒豚に付加価値をつけていきたい」
と語る。
賞を受賞した。
「醤油煮」
は、
黒豚の肩甲骨部分の軟骨を県内産
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